日本のアニメの中でも特に世界的に人気・評価が高く、舞台となった場所が「聖地」として注目されているのが、新海誠監督の作品です。
今回は新海誠監督のすずめの戸締りを深堀していきます。すずめの戸締りの興行収入やあらすじ、評価と地震予言の都市伝説やダイジンの正体や東日本大震災との関係などの考察、聖地紹介をまとめました。
この記事の目次
- すずめの戸締りは新海誠の映画
- すずめの戸締りの興行収入
- すずめの戸締りのあらすじ
- すずめの戸締りの評価
- すずめの戸締りの都市伝説①：宮崎地震を予言？
- すずめの戸締りの都市伝説②：地震を起こす？
- すずめの戸締りの考察①：愛媛を描いた理由
- すずめの戸締りの考察②：東日本大震災を描いた理由
- すずめの戸締りの考察③：ダイジンの正体
- すずめの戸締りの考察③：ダイジンの名前の意味
- すずめの戸締りの考察④：ダイジンはなぜ逃げた？
- すずめの戸締りの考察⑤：なぜもう一度要石に？
- すずめの戸締りの考察⑥：環と鈴芽、鈴芽とダイジンの関係
- すずめの戸締りの考察⑦：鈴芽が草太に会ったことがあると言った理由
- すずめの戸締りの聖地：九州地方4ヶ所
- すずめの戸締りの聖地：四国編4ヶ所
- すずめの戸締りの聖地：関西編5ヶ所
- すずめの戸締りの聖地：関東・東北編3ヶ所
- すずめの戸締りのまとめ
すずめの戸締りは新海誠の映画
出典：filmarks.com
すずめの戸締りは2022年公開の新海誠監督のアニメ映画です。
・タイトル：すずめの戸締り
・監督・脚本・原作：新海誠
・出演：原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、神木隆之介など
・主題歌：RADWIMPS「すずめ feat. 十明」、「カナタハルカ」
・公開：2022年11月11日
すずめの戸締りは新海誠監督の前作「天気の子」から3年ぶりの新作アニメ映画で、日本国内で大ヒットを記録したのは当然のことですが、世界199の国と地域で公開され、世界的にも大ヒットしました。
すずめの戸締りの興行収入
出典：eiga.com
このすずめの戸締りは、公開3日間で興行収入18億8421万5620円、公開45日間で興行収入100億円を達成し、最終興行収入は149.4億円になりました。
このすずめの戸締りの149.4億円は、日本の歴代興行収入ランキングの第16位にランクインしています（2024年11月時点）。ちなみに、新海誠監督作品だと、第5位に「君の名は。」（251.7億円）、第17位に「天気の子」（142.3億円）がランクインしています。
観客動員数は1115万2970人であり、日本人の10人に1人はこのすずめの戸締りを見た計算になります。
新海誠監督は3作連続で興行収入140億円超、観客動員数1000万人以上を達成しました。
さらに、すずめの戸締りは世界的にもヒットしましたが、中国では特に大ヒットを記録し、中国での最終興行収入は8.07億元（約160億円）に達しました。
すずめの戸締りのあらすじ
出典：natalie.mu
草太と出会い要石を抜く
東日本大震災で母親を亡くした女子高生の鈴芽は、九州の宮崎県で叔母の環と生活していた。ある日、鈴芽は幼い頃に草原で母を探している不思議な夢を見た。
2023年9月25日、鈴芽は登校中にイケメンの青年・宗像草太とすれ違い、草太から近隣の廃墟について尋ねられた。
その後、草太が気になった鈴芽は高校を抜け出して廃墟に向かった。鈴芽は、廃墟の中で不思議な扉を見つけ、その扉を開けると、不思議な草原のような風景が広がっていることに驚く。ドアを通ってその草原に行こうとするが、その世界に入ることができない。
足元に猫の形をした石があることに気づいた鈴芽は、その石を持ち上げると、石は猫に姿を変えて逃げて行ってしまった。怖くなったすずめはその場から離れた。
草太と扉を閉じる
高校に戻った鈴芽は、窓の外に山から赤い煙のようなものが立ち上っているのを目撃するが、鈴芽以外にはその煙は見えていない。その時、緊急地震速報のアラームがなり、地震が起こった。
揺れはすぐにおさまるも、赤い煙はさらに大きくなり空に昇っていくが、やはり鈴芽以外には煙は見えていない。
鈴芽は煙の場所に向かうと、不思議な扉を必死に戸締りしようとしている草太がいた。鈴芽は草太を手伝い、何とか戸締りに成功した。
ダイジンを追って草太と旅に
戸締りの際に鈴芽を庇ってケガをした草太の手当をするために、鈴芽の自宅に向かった2人は、鈴芽の部屋の窓に痩せた白い猫を見つけた。
草太は、要石で封印していた「ミミズ」の暴走を防ぐために戸締りをしていたと話した。
鈴芽が餌をあげて、「うちの子になる？」と話しかけると、「うん、鈴芽、優しい、好き」と言葉を話した。さらに「お前は邪魔」と草太を言うと、草太は鈴芽の母親の形見である3本足のイスに姿を変えられてしまった。
猫はそのまま逃げてしまう。鈴芽と草太（イスの姿）は猫を追ってフェリーに乗った。猫は通行人の注目を集め、SNSにその写真が掲載され、SNSでは「ダイジン」というニックネームをつけられた。そのダイジンが映ったSNSの投稿を頼りに、鈴芽と草太は愛媛・神戸と旅を続けて戸締りをしながら、東京にたどり着く。
東京で草太が要石に
東京に着いた鈴芽と草太は、草太の部屋に行き、「要石」について調べていると、友人の芹澤朋也が訪れた。
その時、地震があり、ミミズの姿を目撃した。鈴芽と草太はミミズが出てきた扉（後ろ戸）の方向に向かうと、ダイジンが姿を現す。しかし、後ろ戸は地下にあり、戸締りができない。ミミズは上空に昇って来て、2人は東の要石が抜けてしまったことにも気づく。
2人はダイジンに要石に戻ってもらうように説得するが、ダイジンはそれを拒否。そして、草太に「要石はお前だ」と告げ、草太は要石になってしまった。
草太が要石になったことで地震を防ぐことはできたが、鈴芽はダイジンを拒絶し、草太の祖父に会いに行き、常世に入る方法を教えてもらう。そして、常世に入るために、実家がある岩手に向かうことにした。
3人で故郷の岩手に
鈴芽は草太を救うために岩手に向かおうとした時、お茶の水駅前で芹澤に声をかけられる。同じタイミングで、鈴芽を心配して東京に来た環もやって来て、芹澤の車で3人で岩手に向かうことになる。ダイジンも車に乗った。
途中の道の駅で鈴芽と環は大喧嘩をする。車には黒い大きな猫「サダイジン」も乗り、実家に向
かった。途中で車が故障し、鈴芽は走って実家に向かうが、環が自転車で追いかけてきて、一緒に自転車で実家に行く。
更地になっている実家跡の地面を掘ると、鈴芽の昔の日記があり、鈴芽は子供の頃に確かに常世に迷い込んだことが分かった。
草太と要石を刺す
ダイジンに導かれるように後ろ戸を見つけた鈴芽は常世に入る。
扉から抜け出そうとするミミズとサダイジンが戦い、鈴芽とダイジンは要石になった草太を抜いた。
そして、ダイジンが代わりに要石となり、鈴芽がダイジンを、草太がサダイジンを要石として突き刺し、ミミズは倒れた。
目を覚ました鈴芽は、常世で子供の頃の自分を見つけた。その後、鈴芽と草太は常世から戻った。
すずめの戸締りの評価
出典：ch-files.net
すずめの戸締りの評価は非常に高く、120件のレビュー中96％が肯定的でした。
第46回日本アカデミー賞では、優秀アニメーション賞、最優秀音楽賞、話題賞俳優部門（松村北斗）を受賞し、クランチロール・アニメアワード2024では最優秀長編アニメ賞を受賞を受賞しています。
ストーリーや映画のメッセージ性の他に、映像の美しさも高い評価を得ています。
・美しい映像と素敵なセリフが印象的
・ファンタジーと現実が融合されたメッセージ性のある作品
・ダイジンの愛されたかった気持ちが切なく描かれている
・前半はコミカルな感じで、後半に急加速する展開が面白い
・芹澤君のキャラクターが魅力的で、タイトル出るまでのシークエンスが印象に残る
また、10代～20代の若い世代だけでなく、劇中では50～60代の人にもなじみがある「懐メロ」の曲を積極的に使っていて、幅広い世代の人から支持された作品と言えるでしょう。
津波を想起させる表現で評価を落とす
すずめの戸締りは評価が高い作品ですが、同時に一部からは批判もある作品です。批判の理由は東日本大震災を扱った作品であり、津波を彷彿とさせる表現があったからです。
東日本大震災の大津波で民宿の上に観光船が乗り上げてしまった衝撃的な光景が、すずめの戸締りの中でも描かれていました。
しかも、津波のシーンがあるという前情報はありませんでした。地震の描写があるという情報はありましたが、それが東日本大震災を直接描き、津波を思い起こすシーンがあるとは書かれていなかったのです。
本作には、地震描写および、緊急地震速報を受信した際の警報音が流れるシーンがございます。警報音は実際のものとは異なりますが、ご鑑賞にあたりましては、予めご了承いただきます様、お願い申し上げます。
そのため、東日本大震災の被災者の方たち、トラウマを抱える人たちにとっては、すずめの戸締りを鑑賞することで、ショックを受けた人がいたのです。
すずめの戸締り今さら見たんだけど、ガッツリ地震・津波系で前情報なしでいったからビビった
— あず (@pmpmiori) May 13, 2023
すずめの戸締り見てきた。
東日本大震災を経験した人たちにはつらい映画なのではないか
と思った。まだはやいんじゃない、かな。
映画だけ純粋に楽しめれば
良い映画 pic.twitter.com/lhD1uIVweN— くるみ♡ (@Kurmlly_) December 21, 2022
すずめの戸締り
観終わりとりあえず
地震速報の音トラウマなので
割とつらかった😂土地柄もあるけど
わりと観るのつらかったなぁー— ちるこ (@Chirko12) October 22, 2023
公開初日には、途中で席を立った人も多かったようです。
あ、だから
あんなに途中で席を立った人が多かったんですね。なんで、初日に観にくるような人が席立つのか分からなかったけど、こういうことでしたか。。— 直感おしゃべりメッセンジャーみわこ♪ (@3XSA2xb7dztIyHg) November 11, 2022
もちろん、被災者全員がすずめの戸締りを見て、トラウマを刺激されたというわけではなく、前向きなメッセージを受け取って感動したという人もいました。
でも、「地震描写」という前情報しかなく、想像以上に東日本大震災と津波をリアルに描いていたことで、心の準備をしないまま観てしまった人には辛い体験となってしまったのです。
すずめの戸締りの都市伝説①：宮崎地震を予言？
すずめの戸締りの都市伝説の1つ目は、宮崎地震を予言したのでは？というものです。
すずめの戸締りの冒頭で、鈴芽が緊急地震速報が出るシーンがありますが、その地震は「宮崎で震度6弱」というものでした。
そして、2024年8月8日。宮崎県で最大深度6弱の地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が出されました。
「宮崎で震度6弱」。すずめの戸締りの中の地震とリアルでの地震が一致したんです。これによって、すずめの戸締りは宮崎地震（南海トラフ地震）を予言していたのでは？と噂されるようになりました。
同じ宮崎で同じ震度で地震が起こるというのは、ちょっと怖いですよね。新海誠監督は地震の預言者なのか？と思う人もいたようです。
すずめの戸締りの都市伝説②：地震を起こす？
すずめの戸締りの都市伝説の2つ目は、すずめの戸締りは地震を誘発するのではないか？というものです。
すずめの戸締りは2024年1月1日午後9時からWOWOWで放送されましたが、その日には能登半島地震が起こり、放送中に津波警報が出ていました。
今WOWOWですずめの戸締りやってるの見てるけど、津波警報のやつ出ながらってのが
地震大国だなあと改めて感じる。
アニメでも現実でも、 pic.twitter.com/t3wjLTfkL5— やまだ (@ENTER929) January 1, 2024
東日本大震災を題材にした映画がテレビ初放送のタイミングで、能登半島地震が起こるというのはやはり不気味な気がします。
さらに、すずめの戸締りは2024年4月5日に日本テレビ系の金曜ロードショーで、地上波初放送されました。この2日前の4月3日、台湾ではマグニチュード7.7の台湾東部沖地震が起こり、大きな被害を出しました。
そして、日本でも放送3日後の4月8日に宮崎県で震度5弱、17日に愛媛県で震度6弱の地震が起こっています。
そして、偶然なのか、 映画で描写されている「災いの扉」のモデルになった場所で、同時刻、現実に地震が起きているのだ。今年4月5日、同作が日本テレビ系で地上波初放送された後、同8日に宮崎県で震度5弱の地震、同17日に愛媛県で震度6弱の地震が発生。
引用：映画「すずめの戸締まり」が宮崎地震を予言!?「震度や時刻が同じ」と作家が指摘、研究機関識者の見解とは（よろず～ニュース） – Yahoo!ニュース
宮崎県も愛媛県も、すずめの戸締りの舞台になった場所です。そこで大きな地震が起こったとなると・・・、後ろ戸が開いて、そこからミミズが出てきてしまったのでは？と思えてしまいます。
日本も台湾も地震が多い国ですから、ただの偶然であることは間違いないのですが、こんなにも偶然が続くと、都市伝説を信じたくなる気持ちはわかります。
すずめの戸締りの考察①：愛媛を描いた理由
すずめの戸締りでは、愛媛県が舞台の1つになっています。鈴芽と草太がダイジンを追って、愛媛に向かい、神戸、東京、岩手へと旅をするのですが、なぜ愛媛が舞台になったのでしょうか？
神戸も東京も岩手も過去に大きな地震被害があった場所ですが、愛媛県はこの3つの場所と比べると、「地震の被害があった場所」というわけではありません。
それなのに、なぜ愛媛が舞台になったのか。
それは終盤にかけてどんどんシリアスになり、重い展開になっていくため、最初は明るくポップな雰囲気にしたかったからと思われます。
愛媛の風景について、新海誠監督は次のように語っています。
八幡浜辺りを歩いて回った時、人と自然がミックスされたような風景が本当に美しいと思いました。山と海だけではなく町もあって、山には人の手の入ったミカン畑が美しく見えました。人と自然が共存している、柔らかな自然の風景にあふれていて、そこがとてもすてきだなと思います
人と自然が共存していて美しい風景の愛媛を最初の方に登場させ、鈴芽と千果が友情をはぐくむシーンを描くことで、すずめの戸締りという作品を「重すぎる作品」にせず、明るく楽しい部分もある映画に昇華させたのだと思います。
すずめの戸締りの考察②：東日本大震災を描いた理由
すずめの戸締りは東日本大震災を直接的に描いた作品です。
新海誠監督は、「君の名は。」では隕石衝突、「天気の子」では大雨による水害を描くなど、自然災害をテーマにすることが多いのですが、「地震」ではなく、具体的に「東日本大震災」を描いたのはなぜなのでしょうか？
鈴芽は東日本大震災で母親を亡くしています。
芹澤の車で岩手に向かう途中には福島県双葉町付近と思われるような描写（「帰還困難区域につき通行止め」の看板など）がありました。また、ミミズの動きは津波を思い起こさせるものでしたし、地震後に火災が辺り一面で起こっているような風景もありました。
岩手県大槌町の民宿の屋根に乗り上げた観光船の描写もありました。
これだけ東日本大震災であるとはっきりわかるように描いた理由は、東日本大震災を忘れないようにするためでしょう。
新海誠監督は次のように語っています。
新海監督は「今描かないと１０代や２０代の観客と経験を共有できなくなる」との切実な思いに背中を押されたと明かす。
また、違うインタビューでは、新海誠監督は直接被災していないからこその後ろめたさがあったと語っていました。
11年前、震災が起きたとき、新海監督は東京にいました。直接被災したとは言えない自分に何ができるのか、何をすべきなのか、あの日から葛藤を抱いてきたと明かしました。
葛藤があり、さらに忘れてはいけない震災だったからこそ、新海誠監督はあの東日本大震災をエンタメ作品に昇華させたと考えることができます。
すずめの戸締りの考察③：ダイジンの正体
すずめの戸締りの考察の3つ目は、ダイジンの正体です。ダイジンは宮崎の廃墟にあった要石が人間の言葉を話す猫になり、また要石に戻りました。
ただ、ダイジンは最初から猫だったわけではないでしょう。草太だって椅子になったのですから。
元々は神を宿した要石だったダイジン。では、ダイジンの正体は何なのでしょうか。
ダイジンは過去の閉じ師だった可能性が考えられます。草太も要石になりましたし、鈴芽は「閉じ師じゃなくても要石になれるのか？」と聞いたシーンがありました。
また、草太の祖父（閉じ師の師匠）である宗像羊朗は窓の外に現れたサダイジンに「お久しぶりです」とあいさつしています。
これらのことから、要石のダイジンは元々は閉じ師をしていた人物であり、先代の要石によって猫に姿を変えられたと考えることができます。
ダイジンはもしかしたら、閉じ師の家系に生まれた子供で人身御供のような形で要石になったのかもしれませんね。だから、ダイジンは子供っぽさがあるし、「うちの子になる？」と聞いてくれた鈴芽に強い執着を抱いたのでしょう。
すずめの戸締りの考察③：ダイジンの名前の意味
出典：natalie.mu
ダイジンはなぜ「ダイジン」と名付けられたのでしょう。すずめの戸締りの中ではSNSでいつの間にかダイジンと呼ばれるようになっていますが、このダイジンの名前の由来は2つあります。
1つ目は大事な役割を担う「大臣」。2つ目は大きな力を持つ神という「大神」。この2つの意味があるから、「ダイジン」と新海監督が名付けたそうです。
ダイジンの名前の由来は、強大な存在で大事な役割を担うことから大臣、同時に大神の意味も込められているそう。猫の姿の理由は、古来から猫は異世界への案内役というイメージがある事と新海誠監督が猫好きだったから。声を担当したのは『ウィッシュ』などの吹き替えでも活躍する山根あんさんです。 pic.twitter.com/qWeWr6XEQu
— アンク＠金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) April 5, 2024
すずめの戸締りの考察④：ダイジンはなぜ逃げた？
すずめの戸締りの考察の4つ目は、ダイジンはなぜ逃げたのかです。宮崎で要石になっていたダイジンは、鈴芽に抜かれてから、すぐに猫に姿を変えて逃げ出しました。
逃げたということは、要石としてミミズを抑えていた時からずっと「自由」への渇望があったことがわかります。東京で、鈴芽に要石に戻って言われても拒否していますから。
でも、ダイジンはただ単に「自由になりたい」というだけではなく、鈴芽と草太を開いてしまった後ろ戸に案内する役割も担っています。だから、いろいろなところで写真に撮られて、自分がどこにいるのか鈴芽たちにアピールしたのでしょう。
「自由になりたい」という思いと要石としての責任感が交錯した中での行動だったのかもしれません。
すずめの戸締りの考察⑤：なぜもう一度要石に？
ダイジンは鈴芽によって抜かれたことで、猫になって自由の身になりました。それから、自分を自由にしてくれて、しかも優しくしてくれた鈴芽のことを好きになり、草太に要石の役割を押し付けます。
東京では鈴芽に「要石に戻ってくれ」とお願いされても拒否して、草太が要石になってミミズを抑えました。
でも、最終的には草太を助けるために、自分が再び要石になり、ミミズを抑えたのです。なぜ、ダイジンは再び要石になること選んだのでしょうか？
ダイジンは鈴芽と一緒にいたかったけれど、草太を要石にしたことで、鈴芽から完全に拒絶されました。そして、大好きな鈴芽を悲しませていることを知ったダイジンは、鈴芽の幸せのために草太の代わりに自分がまた要石になることを選んだものと考えられます。
過去に要石になって宮崎県でミミズを抑えていたダイジン。どのような経緯があって要石になったのかは描かれていませんが、「自己犠牲」の精神がないと要石にはならないはずです。
ダイジンは過去もみんなのために要石になり、そして今回も鈴芽とみんなのために要石になったのだと思います。
すずめの戸締りの考察⑥：環と鈴芽、鈴芽とダイジンの関係
出典：crank-in.net
すずめの戸締りでは「うちの子になる？」という言葉が1つのキーワードになっています。
物語の冒頭、鈴芽がダイジンに「うちの子になる？」と聞いたことでダイジンは鈴芽を好きになりました。そして、物語の終盤に差し掛かるところで、母親を探していた子供の頃の鈴芽に環が「うちの子になろう」と言われて、2人で暮らすことになりました。
鈴芽とダイジンの関係と、環と鈴芽の関係はリンクしています。
＜鈴芽とダイジン＞
・ダイジンが鈴芽の大切なもの（草太）を要石にして奪った
・鈴芽がダイジンを拒絶
＜環と鈴芽＞
・鈴芽が環の大切なもの（婚活や可能性）を奪った
・環が鈴芽を拒絶
このようにリンクさせた意味は、鈴芽の理不尽さを描きつつも、鈴芽を前に進ませるためと考えられます。
鈴芽は「うちの子になる？」と言いながらも、ダイジンを受け入れることなく拒絶しました。
でも、環は「うちの子になろう」と鈴芽を受け入れ、大切なものを奪われながらも鈴芽をしっかり育て上げています。それなのに鈴芽は環に対して「重い」と拒絶し、その結果、環も鈴芽を拒絶したのです。しかも、環が鈴芽に対して本音を言って拒絶したのは、サダイジンの仕業でもあります。
環は「うちの子になろう」というセリフに対してしっかり責任を持ったのに、鈴芽は無責任だったという対比。さらに、環が鈴芽に本音をぶつけることで、2人が前を向き、家族として新たに関係性を構築できるようにしたのでしょう。
すずめの戸締りの考察⑦：鈴芽が草太に会ったことがあると言った理由
出典：iza.ne.jp
すずめの戸締りの冒頭で、鈴芽が草太を廃墟で探している時、「あの人に会ったことがある気がする」としています。なぜ、鈴芽は草太に会ったことがある気がしたのでしょうか？
鈴芽は確かに草太に会ったことがあったんです。鈴芽は常世で子供の頃に、高校生の自分と一緒にいた草太に会っていました。それを忘れていただけなんです。
だから、高校登校途中ですれ違った時、なんとなく感じるものがあったのでしょう。
すずめの戸締りの聖地：九州地方4ヶ所
宮崎県日南市と油津港
すずめの戸締りの聖地の1つ目は宮崎県日南市と日南市にある油津港です。鈴芽と環が住んでいるのは日南市と思われます。
すずめの戸締りの小説には「宮崎県南部」と書かれているだけですが、劇中でスマホの地図アプリに示されている位置から、日南市であることはほぼ間違いありません。
また、鈴芽が高校に向かう途中に草太とすれ違う道から見える港は、日南市の油津港がモデルになっています。
大分県の湯平温泉（天ヶ瀬温泉・杖立温泉・湯の鶴温泉）
出典：co-trip.jp
鈴芽が最初にミミズを見て廃墟に向かう途中にある廃墟になった温泉街のような場所は、大分県にある湯平温泉です。ただ、湯平温泉だけでなく、大分県の天ヶ瀬温泉、杖立温泉、熊本県の湯の鶴温泉の風景にも似ていると言われています。
豊後森機関庫
鈴芽が最初に戸締りした廃墟のモデルは大分県にある豊後森機関庫です。国の登録有形文化財・近代化産業遺産に登録されています。
大分県の佐賀関港
鈴芽と草太がダイジンを追って乗り込んだフェリー（四国みかんフェリー）は、九四オレンジフェリーがモデルにな手いて、佐賀関港がモデルになった港から出航しました。
すずめの戸締りの聖地：四国編4ヶ所
愛媛県の八幡浜港旧ターミナル
鈴芽と草太が愛媛県にフェリーで到着した時のシーンは八幡浜港がモデルになっています。
愛媛県の下灘駅
出典：iyokannet.jp
目の前に海が広がる愛媛県の下灘駅は映えスポットとしても有名ですが、SNSでダイジンの行方を追うシーンで少しだけ出てきました。
JR伊予大洲駅
愛媛県のJR伊予大洲駅は、鈴芽と草太がダイジンの行方をSNSで追っている時、ダイジンがJR伊予大洲駅にいる写真がSNSにアップされていました。
JR八幡浜駅
愛媛県のJR八幡浜駅は、鈴芽と草太がダイジンを追いかけるために列車に乗り込んだ駅です。
すずめの戸締りの聖地：関西編5ヶ所
大鳴門橋
徳島県鳴門市と淡路島を結ぶ大鳴門橋は、鈴芽と草太がルミが運転する車で神戸に向かう時に通った橋です。
明石海峡大橋
出典：kobetrip.net
淡路島と神戸市を結ぶ明石海峡大橋も、ルミの車で神戸市に行く途中に通りました。
神戸市の東山商店街と二宮商店街
出典：kobehigashinada.goguynet.jp
ルミが働くスナック「はぁばぁ」がある九宮筋商店街の入口は神戸市の東山商店街がモデルになっていて、商店街の中の風景は二宮商店街がモデルになっています。
神戸おとぎの国
神戸で鈴芽と草太が戸締りをした観覧車があった「神戸ゆめの国」は道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢の中にある神戸おとぎの国がモデルになっています。
神戸市の金2テラス
廃墟になった遊園地「神戸ゆめの国」から見た夜景は、神戸市の保久良神社近くの「金２テラス」から見た風景のようです。
場所は、保久良神社よりさらに、山に登った「金２テラス」という私設の展望テラス。
保久良神社から風吹岩に登っていく途中にある休憩所が、「金２テラス」です。
アップにすると…。方向感も間違いなく作中とほぼ同じ角度でのショットを見ることができます。
引用：【神戸市】「すずめの戸締まり」≪神戸編≫ 聖地巡礼をまとめてみました。商店街・スナック・マクド・地下鉄・遊園地…。 | 号外NET 神戸市灘区・東灘区
この場所は地元民でもあまりなじみがない場所とのことです。
すずめの戸締りの聖地：関東・東北編3ヶ所
御茶ノ水の聖橋
出典：ben54.jp
鈴芽が東京に来てミミズに向かって川に飛び込むシーンは御茶ノ水駅近くにある聖橋と言われています。草太のアパートもこの御茶ノ水駅の近くですし、草太が要石になった後、岩手の向かう鈴芽に芹澤が声をかけるのも御茶ノ水駅前です。
道の駅 大谷海岸
環にサダイジンが取り付いて、環が鈴芽に対して本音を言い、喧嘩をした場所は宮城県気仙沼市にある道の駅 大谷海岸です。
岩手県の織笠駅
鈴芽の実家近くでミミズを抑え込んで戸締りをした後、草太と鈴芽が抱き合い、草太が電車に乗って東京に帰った駅は三陸鉄道リアス線の織笠駅です。
すずめの戸締りのまとめ
すずめの戸締りの興行収入やあらすじ、評価、地震関係の都市伝説やダイジンの正体や東日本大震災関係の考察、各地の聖地をまとめました。すずめの戸締りは映像が美しいし、「東日本大震災」というテーマを前向きにエンタメに取り入れた素晴らしい作品です。
地震や津波にトラウマがない方は一度見てみることをおすすめします。
