2018年ごろからTwitterやネット掲示板で人気となった現場猫の元ネタを知っていますか?現場猫の元ネタの電話猫(どうして)からの派生や著作権問題、なんJで人気のコラ画像などをまとめました。
この記事の目次
現場猫はインターネット・ミームのキャラクター
出典:twitter.com
現場猫はイラストレーターのくまみねさんが描いた猫をモチーフにしたインターネットミームの猫のキャラクターです。「どうして・・・」と嘆く姿や指差し確認で「ヨシ!」と言う絵が多いです。
2018年ごろから人気が出始めて、Twitterや5ちゃんねるなどでたくさん見かけるようになりました。
危険な現場なのに現場猫が指差しで「ヨシ!」と安全確認をするブラックジョークや社会の理不尽さを嘆く「どうして」などを用いて、いろいろなコラ画像が作られています。
この現場猫はかなり汎用性が高く、危険な工事現場やブラックな労働環境をユニークに伝えることができるために、インターネットユーザーに人気となり、さらにインターネットを飛び出して、グッズなども作られるようになりました。
この現場猫は、かわいいけれど、微妙にかわいくないという絶妙なラインであり、「底辺民」と言われるような若者たちの心情をうまく伝えることができるため、ここまで人気になったと言えるでしょう。
現場猫の元ネタは「どうして」の電話猫
現場猫と言えば、黄色のヘルメットをかぶって、指差しをしながら「ヨシ!」というイメージが強いですが、元ネタは「どうして」とつぶやく電話猫になります。
現場猫がどのようにして出来上がっていったのかを元ネタと共に確認していきましょう。
イラストレーターのくまみねさんが画像が元ネタ
出典:twitter.com
現場猫の元ネタは、イラストレーターのくまみねさんの電話猫です。
くまみねさんが2015年12月21日にTwitterアカウントで、猫(現在の電話猫)が「どうして夜中に起きてるんですか?」と電話で相談しているイラストを「ネコ電話相談室」としてツイートしました。
ネコ電話相談室 pic.twitter.com/eS59vumxRF
— くまみね (@kumamine) December 21, 2015
これが現場猫の元ネタです。それから約半年後の2016年8月にはこのネコ電話相談室と同じイラストを「夜中科学電話相談」として再ツイートしました。
夜中科学電話相談 pic.twitter.com/tanTFmNuGK
— くまみね (@kumamine) August 25, 2016
夜中電話相談で、「どうして夜中に起きてるんですか?」という確信をつくような、身も蓋もないようなことを電話で猫が相談している。猫の表情の絶妙な感じも相まって、Twitterを中心に話題に上がるようになり、この猫は「電話猫」と呼ばれるようになりました。
最初は「どうして」と聞いている「電話猫」が現場猫の元ネタだったんですね。
ソザイング+ヨシだ君が加わる
人気になった電話猫は、ここから思わぬ形で改変されていきます。
電話猫が誕生した後、画像掲示板の「ふたば☆ちゃんねる」で電話猫のコラ画像がいろいろと作られるようになりました。
このコラ画像の中には、「電話でシステム障害が発生したことを告げられて、『どうして』」とつぶやく電話猫や「デーモン・コア」などの危険物を扱うようなものもありました。
このようにブラックな労働環境や理不尽なことなどを扱った電話猫のコラ画像が自然発生的に増えたことから、後の現場猫の誕生とその方向性が決まったとも言われています。
電話猫でいろいろなコラ画像が作られる中、画像掲示板「ふたば☆ちゃんねる」の中で、あるコラ画像が作られました。そのコラ画像とは、
・電話猫の顔
・黄色のヘルメット
・素材サイトのソザイングの「人型オブジェクト 怒るexit」の首から下の部分
・中央労働災害防止協会の指差し呼称シール(ヨシだ君)に書かれている「ヨシ!」
これが組み合わされたものでした。こちらが、ソザイングの「人型オブジェクト 怒るexit」です。確かに、指をさしてはいないものの、現場猫の身体と一致します。
こちらが中央労働災害防止協会の指差し呼称シールです。
出典:jisha.or.jp
ここでもう一度、現場猫を確認しておきましょう。
出典:twitter.com
確かに、顔は電話猫で体はソザイングの怒るexit、「ヨシ!」は中央労働災害防止協会のものです。黄色のヘルメットの出典はわかっていませんが、現場猫は4つの素材が組み合わさって生まれたキャラクターだったんですね。
このコラ画像が「現場猫」と呼ばれるようになりました。
この現場猫は誕生した当時から、現在のように危険な労働環境で使われることが多く、本来なら危険だったり、NGだったりする場面なのに、現場猫が「ヨシ!」と指差し確認をしていることが多いです。そして、その後に「やっぱり・・・」と思えるような労働災害が起こるという結末も描かれることがあります。
現場猫が誕生
出典:k-lion.jp
この現場猫が誕生してから、「ふたば☆ちゃんねる」ではじわじわと現場猫のコラ画像が作られるようになり、それはニコニコ静画や5ちゃんねるにも広がっていきます。また、2018年8月ごろからはTwitterでも流行するようになりました。
さらに、2019年にはTwitterで現場猫のコラ画像をツイートしていく、「現場猫bot(@genbaneko_bot)」や「からあげのるつぼ(@karaage_rutsubo)」も誕生するようになり、現場猫はインターネットミーム化していったのです。
現場猫はくまみねさんによって「仕事猫」に
現場猫の著作権はくまみねさんが持っているわけではない
現場猫は知っているけれど、「仕事猫」という名前も聞いたことがあるという人も多いと思います。現場猫と仕事猫は似ているようで違います。
現場猫は、イラストレーターのくまみねさんが描いた「電話猫」から派生したコラ画像です。つまり、くまみねさんの完全オリジナルというわけではありませんでした。
現場猫の顔はくまみねさんが描いたものですが、身体はソザイングの「人型オブジェクト 怒るexit」の素材でしたし、「ヨシ!」は中央労働災害防止協会の指差し呼称シール(ヨシだ君)から使っているものです。
だから、現場猫はくまみねさんのアイディアがベースになっていますが、それ以外の素材を使っているし、だれがら現場猫のコラ画像を作ったのかは不明な状態でした。
<現場猫の著作権>
・現場猫の顔の著作権→くまみねさん
・現場猫の身体の著作権→ソザイング
・現場猫の「ヨシ!」の著作権→中央労働災害防止協会
つまり、現場猫は3つの著作権が入り組んだ状態だったということですね。
そのため、インターネット上で現場猫の人気が盛り上がっても、くまみねさんは著作権に関して微妙な立場でしたし、現場猫のグッズを作ろうとしても、著作権が複雑・あやふやなので難しかったんです。
著作権をスッキリさせたものが仕事猫
出典:amazon.co.jp
そのような中、現場猫の元ネタとなる猫の顔を描いたくまみねさんが仕事猫というキャラクターを生み出します。この仕事猫は現場猫の身体をくまみねさんが描きなおしていて、さらにヘルメットは黄色から白に変更されました。
これで、「仕事猫」はクマミネさんの完全オリジナルキャラクターとなり、「仕事猫」に関しては著作権問題はしっかりクリアになったということになります。
くまみねさんはブログの中で、この現場猫と仕事猫の著作権・関係に関して、次のように話しています。
それがコラされた現場猫をパクって描いたのが「仕事猫」(現場猫の一種)です。
このパクリは違法か?というと、一次著作者なので二次著作者と同じ権利を使えるというトリックベント的なやつで実際合法です。
かといってスマートなやりかたでもないし、考えた人すごいなと思ってるので、現場猫という名前を使わない感じでやってます。
くまみねさんは自分自身で「現場猫をパクって描いたのが仕事猫」と言っています。もともと現場猫はくまみねさんの電話猫をパクったものなので、この辺りは複雑ですが・・・。そして、くまみねさんが現場猫をパクって仕事猫を描いたとしても、別に著作権法違反ではなく合法とのこと。
それでも、くまみねさんは現場猫を考えた人に敬意を表すと共に、面倒なことを言われるのも嫌だったため、「現場猫」という言葉は使わずに「仕事猫」という言葉を使うようにしたそうです。
とにかく仕事猫は著作権はくまみねさんになるということになりましたので、「仕事猫」のグッズが作られることになりました。
この電話猫からの現場猫、そして仕事猫という動きは、「逆輸入」的なものですよね。また、この逆輸入を利用して、くまみねさんは「ジェネリック現場猫(後発・逆輸入)」というグッズも販売しています。ジェネリック現場猫というアイディアもなかなか面白いです。
現場猫の著作権はどうなってる?
現場猫の著作権はどうなっているのでしょうか?現場猫の顔はくまみねさん、身体はソザイング、「ヨシ!」は中央労働災害防止協会が著作権を持っているようです。でも、Twitterやニコニコ、5ちゃんねるなどの掲示板で、どんどんコラ画像が作られていますよね。
現場猫のコラ画像を作ったら、著作権侵害にはならないのでしょうか?その辺りを詳しく調べていきましょう。
くまみねさんは顔を配布
現場猫の元ネタである電話猫を描いたくまみねさんは、2019年12月27日に現場猫の顔をブログで配布しました。
くまみねさんが猫の顔を配布したことで、完全なフリー素材というわけではありませんが、常識の範囲内で個人で楽しむ目的なら、好きなように使ってOKということになります。
しかも、リアル社会での特定の人向けの掲示物への印刷など商用での利用も限定的にOKとのこと!くまみねさん、太っ腹です。これによって、Twitterやその他で現場猫の顔を使ったコラ画像を作るのはOKということになります。
ただ、次の場合は利用はNGと明記されていました。
・公序良俗に反する目的での使用
・反社会的組織・人物の利用
・商品としての利用
・再配布、加工しての再配布
・商品としての利用
・グッズとしての販売
・攻撃的・差別的・性的・過激な利用
・その他著作者が不適切と判断した場合
著作権は放棄していないけれど、仲間内で楽しむためだけの少量ならグッズもOKとのことです。ちなみに、現場猫の身体の著作権を持っているソザイングも、商用利用はNGにしています。
コラに関しては現場判断
では、インターネット上で現場猫のコラ画像はどうなのでしょうか?電話猫の顔を使ったコラ画像は、くまみねさんは「コラ画像があっても、いちいち報告しなくて良いけれど、著作権は放棄していない。後は現場判断でやってくれ」というスタンスのようです。
基本的には上記イラストのように、安全は現場に任せていますので
イラストのコラとかそんな感じのやつは泳がせています。
なので「アレは無断コラ※なんじゃないの!?」とかは報告してもらわなくても大丈夫です。
あとコラに関して、現場判断でやってくれというスタンスは変わらないです。
コラ画像も常識の範囲内であればOKという感じでしょうか。ただ、商用利用をするなら、くまみねさんに依頼してくれということでしょう。
現場猫はたくさんのコラボあり
現場猫は2018年ごろからインターネットを中心に人気となりました。特に、黄色のヘルメットをかぶって指差し確認をしていることから、労働災害関係で使われてコラボすることが多いようです。
そして、とうとう2019年には現場猫の「ヨシ!」の部分の元ネタである中央労働災害防止協会と現場猫がコラボすることになりました。中央労働災害防止協会と現場猫のコラボは、次のようなものがあります。
・『日本で働く方のためのイラストで学ぶ!安全衛生漢字ドリル』
・ポスター『猫のフリ見て・ご安全に』
・『仕事猫と学ぼう 不安全行動と労働災害』
・ポスター『熱中症がねらう・仕事猫』
やっぱり現場猫と労働災害防止の相性は良いですね。
そのほか次のような現場猫のコラボもありました。
・バンダイナムコ
・新宿区
・農林水産省
・ミドリ安全
鉄道からゲーム・玩具メーカー、行政まで非常に幅広い分野で現場猫はコラボしています。それだけ、現場猫は汎用性が広く、人気が高いということなのでしょう。
現場猫のなんJコラ画像まとめ
現場猫は5ちゃんねるのなんJでたくさんのコラ画像が作られました。なんJで人気の現場猫のコラ画像を見ていきましょう。
まずは、なんJでミーム化している画像と現場猫のコラ画像です。
こちらの現場猫のコラ画像は、なんJで煽りによく使われる「奪!童貞。」の中の「えーマジ童貞!?キモーイ 童貞が許されるのは小学生までだよね?キャハハハハ」という一コマです。
続いては、こちら。
この現場猫は「疾風伝説 特攻の拓」の中の「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまった」の一コマになります。こんな漫画の一コマにも現場猫は入り込めるんですね。
最後はこちら。
これは人気漫画「進撃の巨人」の「おそらく2年前の地獄を見てきた者達だ 面構えが違う」という有名なセリフです。これを現場猫でコラ画像を作ると、こんなに面白くなります。
次に労働災害が起こる様子を描いたコラ画像です。
これらのコラ画像は、社会人として働いたことがある人なら「よくある光景だ」、「笑えないくらいリアル」、「経験したことがある」と思ったはずです。
なんJで人気の現場猫のコラ画像の最後は埼玉西武ライオンズの平井投手ネタです。
2019年シーズン、平井投手はよく言えば、信頼感抜群であらゆる場面で投げる活躍をしました。悪く言えば、便利屋を超えた「酷使」状態だったんです。僅差のリードでも大量リードでもビハインドでも「投手交代・平井」という状態でした。そして、パリーグ新記録となる81試合登板を成し遂げてしまいました。
この平井投手の酷使をネタにして、「どうして平井が投げてるんですか?」というコラ画像が生まれ、さらにそこから派生して「平井なら降板後の再登板も可能です」という野球のルールを超越したコラ画像も作られました。
現場猫はストロングゼロとのコラ画像も多い
出典:twitter.com
現場猫はストロングゼロとの相性も抜群で、現場猫とストロングゼロのコラ画像も多く作られました。
ストロングゼロは労働者の味方とも言われるチューハイです。アルコール度数が高いので、少量で酔うことができます。現場猫がストロングゼロを飲んだら、嫌なことは全部忘れてすべてが「ヨシ!」になるということなのでしょう。
現場猫は「ヨシ!」と言いながら実は危険な労働災害ネタで使われることが多く、ストロングゼロも口当たりは良いけれど、実はアルコール度数が高くて「ヨシ!」ではないので、相性が良いのかもしれませんね。
現場猫のまとめ
現場猫の元ネタや著作権問題、なんJでのコラ画像のまとめなどを見てきました。現場猫は汎用性が高く、絶妙にかわいいけれどかわいくないところが人気の秘密でしょう。また、ネットユーザーたちの心情をうまく表していることも、ここまでミーム化した要因かもしれませんね。