イギリスのネス湖で目撃されるUMA『ネッシー』。
目撃場所はネス湖だけでなく、日本を含む諸外国でも類似生物が目撃される事が多く、正体は実在する首長竜の一種とも言われています。しかし代表的な写真の嘘が吐露され、ネッシー存在の立証は混迷を迎えます。
ネッシーというUMAはどんな生物なのか
ネッシーと言えばまず、この写真が皆さんの脳裏に浮かぶのではないでしょうか?
この最も有名な『ネッシー』の写真は別名『外科医の写真』と呼ばれ、1934年に未知の生き物UMAの「頭部・背部」がフィルムに収められた世界初の写真と伝えられています。ちなみにその1年前にはかなり不鮮明なネッシーの写真が撮影されており、この写真は厳密に言えばネッシーを捉えた「2枚目の写真」となります。
撮影者はロンドン在住の産婦人科医“ロバート・ケネス・ウィルソン”です。1896年に創刊されイギリスで最多発行部数を誇る日刊紙『デイリーメール』が1934年4月21日に当写真を大々的に取り上げ、一躍世界中の注目を集める事態になります。
ネッシーと言えばこの写真がきっかけとなったUMAと勘違いされがちですが、実は初出は今から1400年以上も前にも遡るのです。
最も最古の記録は、西暦565年アイルランドに出自を持つキリスト教聖職者“コルンバ”の伝記『聖コルンバ伝』にて言及されています。
当時コルンバはスコットランド北部に住む異教徒へのキリスト教改宗活動に熱心に取り組んでおり、その最中スコットランド最大の淡水湖である『ネス湖』で巨大な首長竜の様な生き物と遭遇したという記述があります。
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それ以降、ネス湖のネッシ―についての様々な逸話が流布されるようになります。
ネッシーの正式名称は「ネス湖の怪獣 (Loch Ness Monster:ロッホ・ネス・モンスター)」であり、古くからの記録も相まって未確認動物を代表する生き物として世界中に知られ、写真初出の1933年以降「20世紀最大のミステリー」として語られてきました。
ネッシーの生物学的特徴として、基本的に『肺呼吸』を行う生き物ですが、ほぼ上陸せず水中に身を潜める事がほとんどです。
その外観から最も有力な説は『首長竜プレシオサウルスの生き残り』といったものです。
近年の説では“バージニア工科大学”の権威『ヘンリー・ハーマン・バウアー教授』は、非常に冷たい水の中で活動できること、そして比較的首が長いことなどから「現存種と絶滅種、両者の可能性があるウミガメ」「ネッシーは未だ発見されていない大型のウミガメであり、現在もどこかで生息している可能性が高い。」と主張しています。
ここで注目してほしいのが『ネス湖』の特異な形状です。
地図を拡大すると更に分かりやすいのですが…ネス湖自体、北東から南西にかけて細長い湖であり、その長さが約35kmに対し幅は2kmしかありません。
もっと分かりやすい画像ではこのような感じになります。
基本的にネス湖は山深い地域の湖であり、大昔地殻変動などある種の「海峡」取り残されてしまった『封入湖』なのでは?という見方が取られがちです。
しかし「ネス湖」の起源は氷河期後期(約11000万年前)の氷河が溶けたものが始まりです。その証拠に完全な淡水湖であり、海水の流入は一切確認されていません。
しかしその前後に「マリー湾」「リニ湾」という海域があり、飛び地の様に似たような形状を持つ湖が点在しています。
ここから『ネッシー』という未確認生物・UMAがネス湖に進出したという考え方も可能です。
また白亜紀に実際存在した『モササウルス』という『魚竜』ではないか?と提唱する研究家もいます。
一目見ると現存爬虫類のワニにそっくりですが、その「ヒレ状の脚部」と「全長17~20m」に及ぶ巨体という点が現存種ワニとは全く異なります。
湖面から出ている首長竜の頭部らしきものは、この“モササウルス”の尾っぽという主張もあります。
またネッシー否定派の最大の根拠の内、現存する水棲爬虫類…例えばワニ・カメ・ウミヘビですら水中では子孫を増やせないという点です。ネス湖の岸辺はこれら爬虫類にとって、十分な砂場などの土地が少なく、そもそも産卵場所がないと言われています。
更にこれらの現存爬虫類より遥かに巨大な「ネッシー」が、産卵のため上陸する姿が一向に観察されないのは確かにおかしな部分ですよね?
しかし近年の恐竜研究でこの説は180°ひっくり返る事となります。
お腹の中で赤ちゃんを育む「胎生」✨
海辺の恐竜に卵を食べられないように海竜たちは進化したんです💡#恐竜超世界 pic.twitter.com/3shBENqBeV
— NHKスペシャル公式 (@nhk_n_sp) July 14, 2019
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そう!モササウルスを始めとする魚竜は実は『卵胎生』…つまりお腹の中で受精卵が孵化し、子供を水中に出産する形の恐竜だったんです。
これに続くように首長竜についても『卵胎生動物』であったという根拠が数々と発掘されていきます。
ちなみに首長竜に近い動物(鰭竜類)が胎生/卵胎生だった証拠が発表されたのは割と最近(2004)。首長竜の胎児が発見されたのは2011なので、「のび太の恐竜」原作発表の1980年ではもちろん「のび太の恐竜2006」段階でも首長竜が卵を産まなかったとは言い切れませんでした。https://t.co/XhsL2mknFT pic.twitter.com/nll5CmlLCd
— 中島保寿(古生物学者) (@japanfossil) February 23, 2021
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そのため「ネッシー」と呼ばれるUMAは、実はネス湖の水中内で子孫を増やしていたのではないかという見解が強くなるのです。
更にネス湖の水深は約300mと湖にしては深く、入り組んだ湖畔には海中洞穴等の存在も示唆されており、これらの巨大な恐竜が生き残っていても不思議ではないという“当時の論調”もありました。
この様に1933年に写真に収められてから数十年の間に、ネス湖の『ネッシー』はその存在が強く確信されるであろうUMAと言われるようになって行ったのです。
ネッシーが収められた写真
ネッシーの写真の初出は既にお話しした様、1933年に初めて撮影されました。その翌年最も有名な、水面から頭を出す首長竜?らしき写真が報告されました。
前者は『ヒュー・グレイ』というスコットランド人、翌年のものが産婦人科医『ロバート・ケネス・ウィルソン』の手によるものです。すでにお話した様に“デイリー・メール”に掲載されたことから後者の方が有名になりました。
ロバート・ケネス・ウィルソンのは捏造で、ヒュー・グレイのは棒を咥えて泳ぐ犬の写真がブレたものだっけ? https://t.co/kucfqWiUmE
— ながぴい (@Nagapiii) November 12, 2020
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しかし1994年(平成6年)、かの有名なロバート・ケネス・ウィルソン作『外科医の写真』と銘打たれた『ネッシーの写真』はちょうど60年の時を経て『捏造』だということが明らかになります。
これはかなり手の込んだ捏造写真で最低でも3名の専門家が関わっていました。俳優・映画監督の親子“イアン・ウェザレル”と“マーマデューク・ウェザレル”そして造形技師・芸術家の“クリスチャン・スパーリング”です。
この内イアン・ウェザレルとクリスチャン・スパーリングの告発により、完全な合成写真でありその手段は下記のように行っていました。
出典:https://www.dailyrecord.co.uk/
また当時Daily News紙上に載った写真と、実際の全体像の比較図がこちらになります。
こちらを引きで見ると…
出典:https://www.donttakepictures.com/
いががでしょう?真実は撮影者のみぞ知る…という感じですね。現在では大多数の人が本写真を『捏造』と見做していますが、真偽のほどは読者の皆様にお任せします。
ただ面白いことに古代聖人の伝説から始まり、ネッシー写真については真偽の「真」の部分が強い写真が多数存在するもの確かです。
3回目に撮られた写真は1955年、銀行員“ピーター・マクナブ”により撮影されました。この写真にはネス湖北部に隣接する観光名所アーカート城が比較にもなり、体長が概ね10m以上あると推測されています。
そしてネッシーを立証している科学的学術調査の結果報告も実は存在します。
ボストン大学応用科学アカデミー学部の“ロバート・ラインズ”博士をリーダーとする調査隊が1972年から75年にかけて行った大規模学術的調査がそれです。
70年代の最先端技術を駆使しネス湖内の調査。水中ソナー・自動カメラの連動により、水中を泳ぐ巨大生物の撮影に成功しました。しかも当写真はアメリカ航空宇宙局(NASA)によりコンピューター処理が行われ『ヒレを持つ首長竜らしき巨大生物』と判定されたのです。
これがそのソナー写真です。
NASAのお墨付きという所が、より信憑性を増すような気がしますね。
1960年、消防士の“ピーター・オコンナー”が至近距離からネッシー撮影に成功し、以下のような写真を公開しています。
この写真は20~30mほどの至近距離から撮影されたものです。確かに浅瀬で横たわるネッシーに見えますが、これ以上の情報はありませんでした。
次にご紹介する写真は最も鮮明なネッシーの頭部写真であり、そのため真贋論争が激しく行われたという経緯があります。ちなみに1977年に撮影されたものです。
他にもネッシーの写真は本当に星の数ほどあるのですが、本項ではハッキリと『偽物認定』されていないもの…そして実際のネッシ―像に近しいものをセレクトしご紹介しました。
ネッシーの目撃場所について
基本的に『ネッシー』と呼ばれる生き物は、グレート・グレン断層の北東端に位置するイギリス・スコットランド北部ハイランド地方に位置するイギリス最大の淡水ロッホ(湖)「ネス湖」に生息するUMAに限定されます。
ネッシーの名前を借り「~ッシー」という形で北海道屈斜路湖『クッシー』鹿児島県池田湖の『イッシー』、そして日本漁船がニュージーランド沖で釣り上げた未確認動物の腐乱遺骸に「ニューネッシー」の名前が付きましたが、あくまでネッシーの模倣に過ぎません(※次項で詳しくお話しします)
話をネス湖のネッシ―に戻すと、その大多数が『水中』で見つかっているというのが最大の特徴です。
これは観光スポットでもあるネス湖に設置された、ネッシーの銅像です。この様に水辺に乗り上げている姿すら未だにネッシーは撮影されていません。
基本的にネッシーの目撃場所はネス湖の水中内となります。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=oRSQJ4BOEuM]
ごく稀に死骸らしきもの・目撃証言などで陸地で見かけるケースもあるのですが、やや信憑性に欠けるものが多いものがほとんどです。
ソナーによる水中写真も既に紹介しましたが、仮にネッシーが実在するとなると四肢がヒレ状になっており「卵胎生」の繁殖形態を取る可能性もあるので、わざわざ上陸する必要性もないのではないでしょうか?
また「ネス湖」での頻出スポットも特にないようで…浅瀬・深場・方角関係なく頻繁に目撃されているというのが事実です。
もしイギリス、更にスコットランドまで足を運べる機会がありネス湖を訪れる事が可能ならば、チャンスがあれば誰にでもネッシー目撃のチャンスがあるのではないでしょうか?
ネッシーは日本国内にもいた!?
ネッシーという謎の未確認生物が話題に挙がり、全世界を巻き込み始めた1934年以降、日本でも謎の巨大生物が2例…国内外も合わせれば3例の報告がされています。
それは「北海道のカルデラ湖“屈斜路湖”」の通称『クッシー』、「鹿児島県にある九州最大の湖“池田湖”」の『イッシー』…そして日本の遠洋漁業船が1977年にニュージーランド沖で偶然引き揚げた『ニューネッシー』の三大生物です。
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屈斜路湖の東にあるのが『摩周湖』北西にあるのがマリモで有名な『阿寒湖』となります。
この一帯は「阿寒摩周国立公園」に指定されており国で厳重に保護されていますが、1975~1980年代(昭和50年代)巨大な未確認生物の影が度々目撃されています。
ちなみにクッシーの正体は超巨大な水生肉食ナメクジらしいです
ちゃんと自衛官が死の間際に撮影した写真も残ってます ムーにはちゃんとそう書いてありました pic.twitter.com/WbNhqjGiVK— べっくみん/Gavin Beckminh/ゆうさく/味噌 (@Vonoknow_Niner) February 3, 2021
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上記の2つが有名な『クッシー』なのですが、1980年代から徐々に目撃情報も少なくなり、2000年代以降の目撃例は皆無です。
しかし地元の先住民族アイヌ族の方々の中には屈斜路湖に主がいるという伝承があり「湖を見ても誰にも話してはならない。話すと災いが起こる」という掟があり、見て見ぬふりをしてきたとされています。
ただしこの湖には日本の最大淡水魚である“イトウ”や“アメマス”などの巨大魚がおり、アイヌの伝承もクッシーのことを明確に指しているとは限りません。
次にもう一つのネッシー型UMA、鹿児島県薩摩半島にある“池田湖”の『イッシー』について説明します。
[googlemaps https://www.google.com/maps/embed?pb=!1m18!1m12!1m3!1d137542.6423993625!2d130.48663273748463!3d31.234867422147236!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x353dd4257394bac1%3A0x3939a82f10d2df50!2z5rGg55Sw5rmW!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1658744293123!5m2!1sja!2sjp&w=600&h=450]
桜島を南下すると池田湖が見えますが、実はこの池田湖も屈斜路湖と同じく『カルデラ湖』となります。
ただカルデラ湖の特徴として酸性の強い水質が挙げられ、そもそもその様な湖には一般的に巨大水棲生物は生息しません。
しかし目撃例があるのは、その存在がイレギュラーであるか?何らかの生物の誤認であるかでしょう。
イッシーに関してはネッシーの様に明確な頭部の画像などがなく、この様に水面が大きく波打つような画像がほとんどです。
そしてこの池田湖には、国内でもかなり珍しい生き物が生息していることが知られ、早くからこちらの生物との誤認説が地元では噂されているそうです。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=qGZPAHwzNaE]
それがこの天然記念物「オオウナギ」です。私たちが知る既存のウナギの仲間ではなく、最大クラスになると実に2mを超す全長の個体の確認例もあります。
この様に国内二か所のカルデラ湖「池田湖」「屈斜路湖」の“イッシー”そして“クッシー”はかなりその存在が本場ネッシーと比べ不明確です。
ただ逆にその存在を即座に否定できるものもなく、もしかしたら今後何らかの生物の発見例があるかも知れませんね。
そして最後に日本の漁業船にかかった、ニュージーランド沖のUMAこと『ニューネッシー』です。
この写真をご覧になった経験は多くの方が持つのではないでしょうか?
筆者も幼少時代、当写真を目にし様々な考察を立てた思い出があります。
この写真は1977年4月25日、日本のトロール船「瑞洋丸」が、ニュージーランド沖の太平洋上で巨大な未知の生物の腐乱死体を引き揚げたものです。
その姿・形が首長竜ひいてはネッシーに酷似しており「ニューネッシー」と名付けられました。しかしその種明かしは後年明らかになります。
例のUMAがウバザメの腐乱死体だとよくわかる画像。 pic.twitter.com/8yDCpPrfpk
— きゃの十三🔞夏コミ一日目東チ41b (@kyano13neo) September 28, 2016
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この通り現代では「ウバザメの死骸」ということがほぼ確定しています。
誤認された理由として、引き揚げ当初は日本に持ち帰る予定だったのが…余りの悪臭・腐乱臭のため海洋に遺棄してしまった事。そして1977年当時はウバザメ自体の報告例が少なく半UMA化していたという点です。
2022年現在でも「ウバザメ」の生きている姿はほぼ観察できませんが、技術の発展と共に多数の標本が集まっています。この様な貴重な生物はX線などでその骨格を調べるのですが、硬骨魚類であるサメの仲間は外見からは想像できないような貧相な骨格をしています。
ニューネッシーはウバザメの誤認という説で決着がついています。
ネッシーの正体への考察
さて、ネッシーの正体ですがこれは「捏造説」「他の水棲生物との誤認」そして「実在説」に分けられます。
「実在説」の中には「絶滅説」も少なからず含まれることも付け加えましょう。ただ「もういない生物」とするとそもそも話にもならないので、絶滅の可能性はこの項では除きましょう。それは近年でもネス湖のネッシ―目撃例は後を絶えないという事実があるからです。
まず『捏造説』ですが、これについては『外科医の写真』でお話ししたとおりです。ただ単に捏造だけなら、西暦565年から伝承として伝わるものでしょうか?いささか腑に落ちない部分があります。
しかし現在、最も支持を受けているのは『誤認説』に他なりません。
…というのもネス湖から大西洋に流れ出る「ネス川」では、海洋生物が迷い込む可能性が捨てきれないからです。本来はネス湖とネス川は隔離されていますが、1803年のナポレオン戦争時に人間がその間に運河を作っています。
2022年イギリス・ダービー大学の分子生態学のマイケル・スウィート教授がTwitterに投稿した記事が注目を浴びます。4月8日、教授は「ネッシーは怪獣ではない」とTwitterで主張。更に「クジラのペニスではないか」という新説を写真とともにつぶやきました。
Back in day, travellers/explorers would draw what they saw. This is where many sea monster stories come from ie. tentacled and alienesque appendages emerging from the water – giving belief to something more sinister lurking beneath….however, many cases it was just whale dicks. pic.twitter.com/6ZH1nJZvB1
— Prof. Michael Sweet (@DiseaseMatters) April 8, 2022
https://platform.twitter.com/widgets.js
このクジラの生殖器は過去、別のUMA『シーサーペント』の正体としても示唆されています。
また2018年10月、ニュージーランド・オタゴ大学の生物学者“ニール・ゲメル教授”の調査チームが、ネス湖の各地点250カ所で、生息する水生生物のDNAの採取に踏み出します。
データ解析を無事終えた“ニール・ゲメル教授”は再度ネス湖を訪れ、2019年9月5日に記者会見を開きました。内容は以下の通りです。
「残念ながら、私たちの調査データからすると、プレシオサウルスというのは厳しい」
「ウナギのDNAは非常に大量にあります。ネス湖ではウナギが非常に豊富で、調査点のほぼすべての場所でウナギのDNAが検出されます。DNAからはウナギのサイズまでは分かりません。でも、DNAの量から言って、人々が目撃したネス湖の怪物は巨大なウナギである可能性を無視することはできません」
引用元:ハフポスト
因みにイギリスでは日本と同じく「ウナギ料理」…つまりウナギを食べる文化もあり、一概に否定できないデータとなります。
イギリス料理、ウナギゼリー pic.twitter.com/sV5Xs5nWmi
— クリス (@clice_jin) June 24, 2016
https://platform.twitter.com/widgets.js
その他にも既にお話しした「ウミガメ」「チョウザメ」「タコなどある種の軟体動物」が運河を遡上し、ネス湖にたまたま迷い込んだという説もあります。
最後に『実在説』です。これはネッシーの存在が証明されていない以上、客観的意見…つまり、ネッシーを取り巻く学術的証拠・現地調査・そしてイギリス政府の反応から推測するしか叶わないでしょう。
ただここで思いもよらぬ「政治」からのアプローチが行われます。
それはイギリス南部にある『ロンドン自然博物館』とネス湖の地元『スコットランド博物館』の対立に始まります。
『ロンドン自然博物館』
『スコットランド博物館』
両者の主張は万が一ネッシーを捕獲できた際、どちらがその生き物を育て上げるか……そのただ一点でした。同じ国の中でネッシー争奪戦が始まってしまったのです。
そんな中スコットランドの議会は何と『ネッシーを保護する法律』の立法を真剣に検討し始めます。その後は「捕獲」もなく「写真の捏造」などのスキャンダルもあり、自然消滅してしまうのですが、それから40年後…新たにサッチャー政権下で本法律は始動しはじめます。
イギリス政府は複数のイルカに探査機器を取り付け、ネス湖に放ちます。イルカには超音波反響で物体の距離・方向・大きさを測る『エコロケーション』という性質があり、これを応用しネッシー発見に転換したのです。
するとその僅か2年後、スコットランドで今度は正式な法律として『ネッシー保護法』が定められるのです。
この一連の経緯からイギリス国内に今なお多く存在する『ネッシー研究家』の間には「実は政府はネッシー発見に至り、秘密裏に保護したのではないか!?」という『陰謀論』に近いものが流布される事態になります。
そして2014年9月11日イギリスの新聞『ミラー紙』に「イングランド・ウィンダミア湖」でネッシーに良く似た生物が、遂に動画に収められます。
このウィンダミア湖はスコットランドのネス湖から約240kmも離れたイングランド地区の湖です。とは言え同じイギリス連邦内…その動画の信憑性も含めかなりの話題になるのです。
それもそのはず、1900年代と比べ2000年代に入り技術的にごまかしが効かないにも拘らず、ネッシーの目撃談は近年飛躍的に増えていたからです。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=FsR3D6TCQko]
こちらがその動画になります。
実はこの動画がウィンダミア湖の通称『ボウネッシー』の始まりではありません。2006年に初めて撮影され、2011年・2014年と立て続けに写真に収められています。
2010年には大規模調査チームが結成され、この時の調査では何と湖底に“約20m”ほどの生物の影も公式に確認されているのです。
客観的事実から推量するしかありませんが、未だなおイギリス連邦ではネッシーの正体が『未確認生物である何か』という説が再浮上しているのも確かです。
ネッシーは実在する?それとも嘘なのか?
UMAであるネッシーの実在を立証するのは困難です。しかし嘘と断定することも明確にはできません。
その存在の否定材料となってしまうのが、やはり数々の捏造でしょう。
しかしそれに反して国家をも巻き込んだ客観的事実があることも確かなのです…
もちろん、今までの目撃例の中には有力説の“巨大ウナギ”の誤認や“大型魚類・鳥類・迷い込んだ海洋生物”などは確かに紛れ込んでいるでしょう。
ただし現存する魚竜・首長竜…そして未発見動物の可能性はどうしてもぬぐえません。
ただネス湖は近年、地球温暖化の影響で画像の様に湖底が露わになるという現象が起きています。
このままネス湖の水位が下降すれば「スマートフォンでネッシーが撮影できる」とさえ言われているほどです。
異常現象の賜物であり素直には喜べませんが、ネッシーの正体が明らかになる日はそう遠くはないのではないでしょうか?
まとめ
今回はスコットランド・ネス湖に住む未知のUMAこと『ネッシー』についてリサーチしました。
その正体は「誤認」「捏造」「未確認生物」と、ありとあらゆる可能性が交錯しています。
しかし首長竜型のUMAの報告例は世界中から寄せられており、モケーレ・ムベンべなどは日本の早稲田大学が心血を注ぎ、捜索した過去があります。
2000年代に入り目撃例が跳ね上がった理由は定かではありません。ただ…もし、彼らが住んだ太古の地球に現在の環境が近づきつつあるのであれば、真実が明らかになるのはそう遠くない未来になるような気がします。