ジョン・タイターは、2000年にアメリカのネット掲示板に現れた自称・未来人です。また、アニメ・シュタインズゲートの阿万音鈴羽のモデルになった人物でもあります。
この記事ではジョン・タイターの予言一覧や予言の嘘、本当、正体についてまとめます。
この記事の目次
ジョン・タイターとは
ジョン・タイターとは2036年からやって来た未来人を名乗る人物で、数々の予言をネットにアップして話題になりました。
ジョン・タイターが最初にネット上に姿を見せたのは2000年の後半で、彼は「タイムトラベルインスティテュート」など、アメリカの複数の大手掲示板に「TimeTravel_0」または「John Titor」というハンドルネームで書き込みをしました。
最初にタイターが書き込んだのは、自分がなぜ2036年からタイムトラベルをしてきたのか、という理由についてでした。書き込みの要点は以下のとおりです。
ジョン・タイターの最初の書き込みの内容
・自分は2036年からやってきた
・1998年生まれの38歳、アメリカ人男性
・フロリダ州タンパに住んでいる
・職業はアメリカ連邦軍の兵士
・最初に1975年にタイムトラベルをし、それから2000年に移動してきた
・IBM社製のコンピューター「IBM5100」を探している
・2036年の自分がいる世界とタイムトラベルしてきた2000年は違う世界だ
・「IBM5100」がないと、自分がいた2036年の世界が危ない
タイムトラベルしている理由と「IBM5100」
ジョン・タイターによると、彼がいた世界は私達が暮らす世界とは異なるパラレルワールドであり、それゆえに私達の世界では起きないはずの危機に陥っているといいます。
私達が暮らす世界でも、西暦2000年にを前にして、コンピューターがいっせいに誤作動を起こすという「コンピューター西暦2000年問題」(UNIX時間問題)が取り沙汰された時期がありました。
当時のコンピューターでは、日付を西暦の下2桁と月日のみで表記していました。つまり西暦の上2桁を省略していたため、2000年を迎えると時計がコンピューター内の時計が1900年に巻き戻ってしまうおそれがあったのです。
さらに2000年は閏年だったのですが、400年に1度訪れる「2月29日がある閏年」でした。このことをコンピューターが認識していないと、2月28日以降の日付がどんどん狂っていくこととなります。
上記2つの理由からコンピューターの日付が正しく設定できなくなり、世界中のシステムがおかしくなると危惧されたのです。
しかし、ご存知のとおり私達の世界では2000年問題は起こらず「そういえば、そんなことがあったよね」程度の認識になっています。そのため、若い方のなかには2000年問題の存在を知らない方もいらっしゃるでしょう。
ところがジョン・タイターがいた世界では2000年問題が起きていて、2038年にも世界的なコンピューターの誤作動が発生すると言うのです。
2038年問題とは、西暦2038年のある瞬間を境に一部のコンピュータシステムが誤作動する可能性がある問題。古い設計のシステムが採用している日付と時刻の標準データ形式が定義上の上限値を超えてしまうために起きる。
2038年にもコンピューターが誤作動する可能性があるという指摘は、私達が住む世界でもされてきました。しかし、楽観視はできないものの、2000年問題の対策を応用することで予防できるのではないか?と見られています。
ちなみにSiriに「世界の終わりはいつ?」と尋ねると「2038年」と返された時期があったのですが、これは2038年問題と、プログラムである自分を揶揄したジョークだと考えられています。(現在は「わかりません、でも心配しないで」というものに変更されています)
一方で2000年問題を防げなかったタイターの世界では、あるアイテムがないと2038年問題を防げないのだそうです。
そのアイテムというのが、タイターがタイムトラベルをしている理由でもあるIBM社製の「IBM5100」というコンピューターです。
「IBM5100」は1975年に開発された古いコンピューターなのですが、古いプログラミング言語を解読できる特殊な隠し機能があるとされており、この機能を使うことで2038年問題を回避できるとタイターの世界では考えられているといいます。
IBM5100の開発にはタイターの父方の祖父が関わっていたそうで、そのためにこのコンピューターの回収の任務を任されたのだそうです。
ジョン・タイターが辿った時間
2036年を出発したタイターは、まず祖父に接触するために1975年に向かい、IBM5100を入手しました。
その後、自分が生まれた1998年にまで移動して両親と生後2ヶ月の自分に会い、4人で共同生活をしたといいます。そして2001年3月に2036年に帰還しました。
わざわざ1998年を訪れた理由は、タイムトラベルをしたことで自分の出生に影響が出ていないか確認するためだそうです。
ジョン・タイターの予言一覧
ジョン・タイターはインターネット上に「自分がいた2036年までの間に起きた出来事」を書き込んでいます。
これはタイターのいた世界で起きた出来事ですので、厳密には未来予知ではありません。しかし、タイター本人も自分の書き込みをまとめたものを「タイターの大予言」としてまとめていますので、予言と呼ばれることが多いです。
ジョン・タイターの予言一覧【世界情勢編】
・核兵器を隠し持っているという理由でアメリカがイラクを攻撃。第二次湾岸戦争となるが、核兵器は発見されなかった。
・2005年にアメリカで内戦が勃発し、2008年にかけて都市部が警察国家化する
・2007年に中国で大規模な暴動が起こり、軍が制圧する
・2008年に世界恐慌が起きる
・2009年に中国が、日本、韓国、台湾、北朝鮮を侵攻する
・2011年に内戦が原因でアメリカ合衆国が解体される
・2012年にアメリカ連邦帝国が建国される
・2015年にロシアが、アメリカ、中国、ヨーロッパに核爆弾を投下。第三次世界大戦が始まる
・大戦の混乱に乗じて、中国が日本、韓国、台湾を吸収、強引に併合する。その後、オーストラリアが中国を攻撃し、撃退に成功。しかしロシアに破れてしまう。
・2017年にロシアの勝利で第三次世界大戦が終結
・2020年にアメリカ国内での内戦が収まる。新たな連邦政府が誕生し、社会主義国家となる。またアメリカの首都はネブラスカ州のオマハになる
どうやらタイターのいた世界は悲惨としか言いようがない状況のようです。アメリカの新政府はロシアの協力で誕生したそうなので、世界的に見てもロシアがもっとも権力を持つ国家になっているのでしょう。
ジョン・タイターの予言一覧【疫病・災害・環境編】
・アメリカで狂牛病が発生する
・近いうちにペルーで地震が発生する
・2008年に日本で関東大震災が起きる。これが世界恐慌の引き金となる
・2012年に暗黒惑星・ネメシスが太陽系を通過。その間、太陽光線が遮断されて地球は三日三晩闇に包まれる
・ネメシスの通過後、超巨大地震が発生して地球の人口は半減する
・癌とエイズの治療薬はまだ発見されていない
・飲水や淡水の確保が困難になっている
・地球温暖化はそれほど大きな問題ではない
・核戦争による環境の汚染が深刻な問題になっている
・出生率は低く、平均寿命も60歳程度に満たない
戦争にくわえて自然災害も大規模なものが起きたようです。しかし、2012年に地球の人口が半減するほどの惨事が起きたにもかかわらず世界大戦に踏み切るとは、タイターの世界の価値観と私達の世界の価値観は大幅に異なるのかもしれません。
また、地球温暖化の影響で水の確保が難しくなるというのは私達の世界でも議題に上がることですが、タイターの世界が水不足なのは温暖化とは無関係なんですね。となると、戦争の影響で水質汚染が進んだのでしょうか?
ジョン・タイターの予言一覧【その他】
・2001年に欧州原子核研究機構(CERN)がタイムトラベルの基礎理論を発見、研究を開始
・2001年以降に中国人が宇宙進出を果たす
・2001年以降に新しいローマ法王が即位する
・オリンピックは2004年でいったん中止となり、2040年に再開される予定
・2009年アメリカ合衆国初の女性大統領が誕生する
・2020年ごろに日本は3つにわかれ、首都は岡山県になっている。岡山は岡京と呼ばれている
・地球外知的生命体はまだ発見されていない
・タイムマシンは2034年ころから実用化されている
・2036年までに無線インターネット接続があらゆる場所で可能になる
このなかで面白いのが、日本の首都は岡山になっているという予言でしょう。実は岡山県は地震大国日本のなかでも数少ない頑強な地盤を持つ地域で、かねてから地質学者の間でも「首都を移転するとしたら岡山が最適」と議論されているほどです。
タイターはアメリカ人だと名乗っていますが、日本の首都が岡山に移転するというのは荒唐無稽な話ではなく、実現する可能性があるのが興味深いですね。
ジョン・タイターの予言のうち本当だったもの
ジョン・タイターの予言のうち、現在の時点で的中しているのは以下の5つです。
- アメリカで狂牛病が発生
-
2001年以降に新しいローマ法王が即位する
- 近いうちにペルーで地震が発生する
- 2001年以降に中国人が宇宙進出を果たす
- 核兵器を隠し持っているという理由でアメリカがイラクを攻撃。第二次湾岸戦争となるが、核兵器は発見されなかった。
まずアメリカでの狂牛病発生は、2003年12月23日にアメリカの農務省長官の発表で明らかになりました。
また2005年4月19日にベネディクト16世が新しくローマ法王に即位したことから、2001年以降に新しい法王が誕生するという予言も当たっています。
ペルーでの地震発生については、2001年6月23日にペルー南部海岸を震源としたマグニチュード8.4の巨大地震が起きています。
続いて2003年に中国が友人宇宙船の神舟5号の打ち上げに成功していることから、2001年以降に中国が宇宙進出を果たすという予言も当たっています。
さらに第二次湾岸戦争についての予言ですが、これは2003年におこなわれたアメリカのイラク攻撃と合致します。
当時のアメリカ合衆国大統領であったジョージ・W・ブッシュが、イラクを「大量破壊兵器を保有している可能性がある、悪の枢軸国」と激しく糾弾。2003年3月20日にイラクへの侵攻を開始しました。
しかしアメリカが侵攻の大義として掲げたイラクの持つ大量破壊兵器については、結局見つけることができず、2011年12月14日に米軍はイラクから撤退しています。
この戦争はイラクへの攻撃に至った理由から通称・第二次湾岸戦争と呼ばれることもあるため、ジョン・タイターの予言どおりの出来事と言えるでしょう。
ジョン・タイターの予言と日本地図
2019年にはジョン・タイターの予言をもとに、2020年時点の日本を予想した地図がネット上で話題になりました。
タイターは2020年に日本は3つにわかれると予言していました。上の画像の赤枠で囲われている範囲は、2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響で福島第一原子力発電所の原子炉が破損、立ち入り禁止区域となった場所と、関東大震災規模の地震が起きた場合に、甚大な被害を受ける可能性が考えられる場所です。
この赤枠の範囲を挟んで、日本は3つに分かれてしまうのではないかとネット上で予想されたのです。
実際には2008年に関東大震災規模の地震は起こらず、日本は1つの国家のままですが、そう広くない国土の3分の1が立ち入り禁止区域になるというのはぞっとしない話ですね。
ジョン・タイターは本当に未来人?
ジョン・タイターが本物の未来人なのではないか?と騒がれたきっかけは、彼の残した予言のいくつかが的中したことではありません。
そもそもタイターは「自分は現在訪れている世界とは違う、パラレルワールドから来ている。だから、2つの世界の間でまったく同じ出来事が起きるとは限らない」と自ら述べていました。
そのため予言が当たっても彼が本当に未来人だという証明にはならず、逆に外れたから嘘つきという証明にもならないのです。
タイターが本物の未来人ではないのか?と言われた理由は、タイムトラベルの設定の緻密さにあります。
ジョン・タイターのタイムマシン
ジョン・タイターは、2034年にタイムマシンの試作機が完成したと書き込んでいました。このタイムマシンはアメリカのゼネラル・エレクトリック社(通称・GE)が開発したものだといいます。
GEといえば、オバマ元大統領が打ち出したグリーン・ニューディール政策で、風力発電のタービンを製造したことで知られていますが、ステルス戦略爆撃機なども開発している大企業です。
タイターがタイムトラベルに使用したのは、GE社製の「C204型」というタイムマシンだったそうです。C204型はそれ自体に乗り込んで時間移動ができるものではなく、乗用車などに取り付けて使うタイムマシンなのだといいます。
上の画像は、実際にジョン・タイターがネット上にアップした「C204型」のマニュアルの画像です。彼は、これを1967年型のシボレーサバーバンの後部に取り付けて回転するブラックホールを人工的に作り出し、そこを通って別の世界へ移動していたそうです。
ジョン・タイターのタイムトラベルの理論
ジョン・タイターは自分がどのように時間を移動しているのかについて説明する際に「エヴェレットの多世界解釈は正しかった」と述べていました。
エヴェレットの多世界解釈というのは、簡単に説明すると世界は私達が現在認識しているもの1つだけではなく、宇宙に無限に存在するという理論です。
たとえば目の前にりんごとバナナがあるとします。りんごを選ぶと、りんごを手に入れた世界に、バナナを選ぶとバナナを手に入れた別の世界に移動する、といったように1つの選択をするたびに別の世界が展開していく、というのが多世界解釈の考え方です。
バナナを選ぶかりんごを選ぶかで世界は大きく変わり、決して交わることなく存在し続ける可能性もありますが、最終的に同じ結末になることもありえます。バナナを選んでもりんごを選んでも、それを友達にあげて喜ばれたという同じ結果になった場合は、2つに分岐した世界はまた1つになるわけです。
やや突飛な考えに思う方もいらっしゃるかと思いますが、多世界解釈はマックス・テグマーク博士をはじめ、著名な理論物理学者も支持している説です。
タイターのタイムトラベルも多世界解釈の理論に基づいており、彼がもともといた2036年と最初に訪れた1975年、次に訪れた1998年、そして最後に彼が向かった2036年はすべて異なる世界の可能性があるそうです。
となると、タイターは結局、自分がいた世界にIBM5100を届けられないのではないか?タイムトラベルをしても何も解決しないのではないか?と不思議になりますよね。
タイター自身も、このことについて説明をしていました。彼は「おそらく自分はもともといた2036年の世界には帰れないし、IBM5100は別の世界に届けることになる。」としたうえで「でも、結果は変わらない。どの世界にIBM5100を届けても、2038年問題は回避される」と述べています。
タイターによると、どの世界でも自分はIBM5100を回収しに過去にいっているはずだから、どこに戻っても世界が救われることに変わりはないそうです。そして彼自身が元々いた2036年の世界には、別のジョン・タイターがIBM5100を届けるから問題ないというのです。
タイターの世界で確立されたタイムトラベルの方法では、世界は無限のように見えて有限であり、結局は同じ収束点に複数の世界が集まるのだといいます。
さて、タイムトラベルで世界を救うという話で問題になるのが本来、過去の時点には存在しなかったアクションを起こすことで生まれる矛盾・タイムパラドックスについてです。
タイムパラドックス問題を考えると、タイターがタイムトラベルしたことで結局2036年の世界も変わってしまうのではないか?過去に戻ってIBM5100を持ち帰ることに意味はあるのか?と疑問に感じますよね。
しかし、タイターの時代のタイムトラベル理論では何をしても同じ結末(2036年にIBM5100を届けて、2038年問題が防げる)にしかならないため、世界が大幅に変わるようなタイムパラドックスは生じないのだそうです。
IBM5100の隠し機能
もう1つ、ジョン・タイターは本当に未来から来たのでは?と囁かれた理由としてあげられるのが、彼が過去に来た目的であるIBM5100と、その隠し機能です。
タイターは2038年問題を防ぐためにはIBM5100が必要で、このコンピューターに隠された古いプログラミング言語を解読する機能が必要だと言っていました。
実際、IBM5100にはBASIC以前の古いプログラミング言語を解読するデバック機能がついており、このことは開発当初はIBM内でも限られた開発者しか知り得ない情報だったそうです。
にもかかわらず、タイターはIBM5100のデバック機能のことを知っていました。そのため、本当に未来から来たのではないか、とアメリカのネット掲示板で話題になったのです。
ジョン・タイターが未来人というのは嘘?
本当の未来人ではないか?と騒がれたジョン・タイターですが、現在では嘘だ、架空の人物だという見方をする人が大半です。ここでは彼が作られた架空の人物だとされる理由を見ていきましょう。
IBM5100の噂と嘘
ジョン・タイターがタイムトラベルをしている理由でもあるIBM5100の隠し機能について、2004年にIBM5100の開発者の1人であるボブ・デュービック氏が「なんで極秘情報をジョン・タイターが知っているのか」と驚愕したという話が、ネット上ではまことしやかに流れています。
たしかにデュービック氏は『rochester magazine』の2004年8月号で、IBM5100に隠されたデバック機能があると認めていました。
しかし、この情報は1991年に発行された『IBMシステムジャーナル』の30巻で公表されていたものです。つまりIBM5100の隠し機能は1991年の段階で、誰でも知り得る情報になっていたのです。
軍人の守秘義務は?帰らなくていいの?
ジョン・タイターは自分の職業を、新たに設立されたアメリカ連邦軍の兵士だとネットに書き込んでいました。
軍人が自分の任務に関することを軽々しく口外するものなのでしょうか?少なくとも不特定多数の人が見るネット掲示板に自分の受けた任務を書き込むなんて、懲戒ものでしょう。
仮にIBM5100を持っている人を探しているというのならまだわかりますが、タイターは1975年に移動した時点でIBM5100を入手しており、2000年の時点で探している情報はなかったはずです。
そもそもジョン・タイターは、なぜ1998年から2001年まで私達の世界に滞在していたのでしょうか。最初のタイムトラベルで軍から命じられたものを入手できたのだから、さっさと帰るべきです。
そもそも異なる世界を移動しても2036年に自分がIBM5100を持ち帰るという事実が不変だと言うのなら、1998年に自分がちゃんと生まれているか、家族はどうしているのかなんて見に行く必要があるのでしょうか。しかも、任務そっちのけで長々と実家にとどまっていたなんて意味がわかりません。
当たった予言に対する反論
前述のとおりジョン・タイターの予言は、5つが的中しています。しかしそのうちの4つは、誰もが予想できるものだったのではないかと指摘されています。
まずアメリカでの狂牛病の発生。タイターがこの予言をアップしたのは2001年3月ですが、2000年の時点で、ヨーロッパでは狂牛病に感染した牛肉を摂取したことによるクロイツフェルト・ヤコブ病の発症が問題視されていました。ですから、アメリカで狂牛病に感染した牛が確認されるのも時間の問題だったわけです。
ペルーはもともと地震が多い国で、直近では1996年、2001年、2007年、2018年、2019年とマグニチュード7以上の地震が起きています。
上の図は1900年から2016年の間に南米西海岸で発生したマグニチュード5.5以上の地震をまとめたものなのですが、ペルーがいかに地震大国なのかがわかります。はっきりと地震が起きる時期まで当てたのならともかく、「近いものにペルーで地震が起きる」というのは、誰でも予想できることでしょう。
続いて新しいローマ法王の即位と中国の宇宙進出についてですが、この2つも「2001年以降のいつか」と曖昧な表現をしていたので、当たって当然だと思われます。
中国は神舟1号を1999年に打ち上げており、以前から宇宙進出に意欲的でしたし、ローマ法王に関しては人は寿命を迎えるわけですから、いつかは代替わりするはずです。
しかもタイターが新法王の即位を予言した2021年の時点で、当時のローマ法王であったヨハネパウロ2世は御年80でした。いずれ新しい法王が誕生するのは誰の目にも明らかだったでしょう。
このように考えるとジョン・タイターの予言のうち当たったと言えるのは、第二次湾岸戦争についてのみ、ということになります。
ジョン・タイター財団とは?
ジョン・タイターが話題になった後、上の画像のような書籍やDVD、ジョン・タイターのグッズなどが販売されるようになりました。
しかし2036年にジョン・タイターは帰ったわけですから、これらの売上や印税は誰が手にしているのでしょうか?
私達の世界のタイター、もしくは母親だというケイ・タイターが受け取っているのかと思いきや、ジョン・タイター財団というところが版権を持っていて売上も管理しているようです。
このジョン・タイター財団なる団体は、公開されている住所もデタラメな怪しい団体にもかかわらず、なぜかあのウォルト・ディズニー社の顧問弁護士も務めたというラリー・ハーバーという人物がCEOを務めています。
なんで親でも本人でもない人物がジョン・タイター関連の商品を販売し、権利を管理しているのでしょう。とてもきな臭い話ですね。
なお、ラリー・ハーバーは2003年にジョン・タイターの母親のケイ・タイターが自分の法律事務所を訪れたとしていますが、戸籍情報や警察・司法のデータベースを探した結果、フロリダ州タンパにケイ・タイターという人物はいないことが判明しています。
ジョン・タイターの正体と現在とは
現在の時点でジョン・タイターの正体と考えられているのが、ジョン・タイター財団CEOのラリー・ハーバーと、彼の弟のリチャード・ハーバーです。
リチャード・ハーバーは情報工学の専門家で、おそらく弁護士の兄と結託してジョン・タイターの設定を考えたのではないかと指摘されています。そしてジョン・タイターがビジネスとして成立する目処が立ったら兄のラリー・ハーバーが権利を管理するようになったのでしょう。
あまりにも呆気ない正体ですが、ハーバー兄弟が架空のキャラクターであるジョン・タイターの仕掛け人だと指摘されて以降、タイターのブームも現在は終わりを迎えました。
ジョン・タイターはアニメ「 シュタインズゲート」 阿万音鈴羽の元ネタ
出典:https://www.jp.playstation.com/
ジョン・タイターはアニメ化もされた人気ゲーム『シュタインズゲート』の阿万音鈴羽の元ネタにもなっています。
鈴羽は作品の序盤ではブラウン管工房のアルバイトをしているのですが、後に正体は2036年からやって来た未来人で、IBN5100というコンピューターと父親を探していることが明かされます。
こんにちは。
あたしは2036年から来たタイムトラベラー。— JOHN TITOR (@QA4nAofm0) July 27, 2020
2020年7月にはTwitter上にJOHN TITORを名乗るアカウントが現れ話題になりましたが、これはシュタインズゲートの10周年記念企画『STEINS;GATE 10th Anniversary』のイベント告知アカウントで、鈴羽がツイートしているという設定でした。
ジョン・タイターについてのまとめ
今回は2036年から来たという自称未来人、ジョン・タイターと彼の予言、正体について説明しました。
版権を管理している団体と弁護士がいる、という時点でジョン・タイターは架空の人物と考えて間違いないでしょう。SF漫画のような設定でネット上で時の人となったタイターが、実はお金儲けのために作られたキャラクターだったというのは少しさびしいような気もします。
しかしジョン・タイターの話を追っていくと、ネット上の都市伝説、ネットロアはこうして生まれることもあるのか、と興味深くも感じられます。