上九一色村の現在!オウム事件とサティアン跡地・乗っ取り危機・合併され消滅した今・場所と地図を総まとめ

山梨県の中南部にあった上九一色村はオウム真理教がサティアンを建設した場所として知られています。

 

この記事では上九一色村の場所や地図、オウム真理教事件との関係、サティアンの跡地や怖いという声、村乗っ取りの計画、合併され消滅した現在などについてまとめました。

上九一色村は山梨県にあった村でオウム真理教のサティアンがあった場所

 

出典:https://static.tokyo-np.co.jp/

 

「上九一色村(かみくいしきむら)」は、山梨県中南部に位置する西八代郡の東部、富士山麓の麓一帯に2006年まで存在していた村です。現在は北部は甲府市に、南部は富士河口湖町に編入合併されており地名としては存在しません。

 

上九一色村の村役場があった場所の現在の住所は「山梨県甲府市古関町1158」で、現在は「甲府市上九一色窓口センター(上九一色出張所)」が置かれています。

 

上九一色村は、1988年から1995年にかけて、「坂本堤弁護士一家殺害事件」や「松本サリン事件」、「地下鉄サリン事件」など数々の凶悪事件、テロ事件を起こしたカルト宗教団体「オウム真理教」の活動拠点(サティアンと呼称される約30棟もの施設群)が置かれていた場所として知られています。

 

 

上九一色村があった場所は甲府市の南部と富士河口湖町西部にまたがる一帯

 

出典:https://static.tokyo-np.co.jp/

 

上九一色村は2006年に吸収合併されて現在は地名としては存在していません。

 

上九一色村があった場所は、甲府市の南部と富士河口湖町の西部にまたがる一帯です。

 

上九一色村は86.59平方キロメートルにもおよぶ広大な場所でしたが、当時(吸収合併時)の人口はわずか1501人でした。

 

オウム真理教の拠点「サティアン」があった場所は、その上九一色村でも南の端にあたる富士ヶ嶺地区で、富士山の西の麓に位置する4.8ヘクタール(48000平方メートル)の土地で、その南には青木ヶ原樹海が広がっています。

 

広大な土地にわずかな人しか住んでいない上九一色村のさらに端、中心部から外れた場所であったため、オウム真理教は人目につかずに、サリンなどの化学兵器や自動小銃や爆弾などの兵器を製造する事が可能だったとみられています。

 

 

上九一色村があった場所の地図とオウム真理教サティアン周辺の地図

 

下は上九一色村があった場所一帯の地図です。

 

 

下は、オウム真理教のサティアンがあった場所とその周辺地図です。

 

 

さらに下の地図は当時のオウム真理教のサティアンの配置図です。

 

出典:https://stat.ameba.jp/

 

サリンが製造されていたのが第7サティアン、オウム真理教の教祖である麻原彰晃とその家族が居住していたのが第6サティアンでした。

 

 

上九一色村とオウム真理教事件(サティアン建設から閉鎖までの経緯)

 

出典:https://president.ismcdn.jp/

 

上九一色村はオウム真理教事件によって知られるようになりました。

 

オウム真理教の上九一色村でのサティアンの建造、生物兵器やサリンなどの化学兵器の製造、松本サリン事件や地下鉄サリン事件を起こし、警察の強制捜査で麻原彰晃らが逮捕され、サティアンが閉鎖されるまでの経緯について時系列順に見ていきます。

 

 

人気を得たオウム真理教が上九一色村の土地を購入しサティアンを建設

 

出典:https://bunshun.ismcdn.jp/

 

オウム真理教は麻原彰晃こと松本智津夫が立ち上げたヨーガサークルが元になったカルト団体でしたが、日本では1980年代に超常現象や超能力など現在でいうところのスピリチュアル的なものが流行するオカルトブームが起こり、オウム真理教はそのブームに乗っかる形で急激に信者を増やし、教祖の麻原彰晃がオカルト雑誌で紹介されたり、テレビ番組に出演したりし、一部の若者の間でオウム真理教ブームが起こりました。

 

急激に信者を増やしたオウム真理教は、そのお布施や店舗経営など(飲食店やパソコンショップなどで、信者が従業員なので人件費はほぼ0円)で潤沢な資金を獲得し、それを元手にして各地で拠点建設のための土地購入を目論みました。

 

 

オウム真理教は1987年には静岡県富士宮市の土地を購入して、同年8月に富士山総本部道場を建設。そして、1989年に上九一色村の富士ヶ嶺地区に4.8ヘクタールもの広大な土地を取得し、3メートルの高さの鉄製の壁で周囲を囲うと、無許可でサティアンと呼ばれる施設の建設をはじめました。

 

 

サティアンの建設はオウム真理教信者のみで実施され、住民に敵対的な行動も

 

オウム真理教はサティアンの建設は全て信者の手で行い外部の業者は一切入れず、中で何が建設されているのかもわからず、当時の上九一色村の住人は不安を感じていました。サティアンの建設工事は24時間ぶっ通しで行われ、夜間もお構いなしで騒音を出し続けました。

 

また、上九一色村の当時の村民が農作業などのためにサティアンの前の道を通ると、オウム真理教の信者は無断でカメラを向けて撮影するなどし、その理由と問うても「答える必要はない」と繰り返すばかりでした。

 

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その他にも、オウム真理教の信者の運転する車はいつも猛スピードで走るために周辺で交通事故を頻繁に起こし、またトラックを村民の畑の真ん中に駐車するなど傍若無人な振る舞いをし、それに対して上九一色村の村民が抗議をするも、オウム真理教信者は、「バカヤロー」、「コノヤロー」、「テメー」、「帰れ」と暴言を吐くばかりで、全く話し合いにならない有様でした。

 

 

1990年頃から生物兵器や化学兵器の製造を開始し1993年にサリン製造に成功

 

オウム真理教は、教祖の麻原彰晃の「人々を殺害(ポア)する事で、その人々が地獄に落ちる事を防ぎ、より高い世界へ転生させ救済する」という教えを信じて、1990年頃から上九一色村に建設したサティアンで生物兵器や化学兵器の製造を試みはじめました。

 

そして、1993年8月にオウム真理教は化学兵器として猛毒のサリンの製造に成功。麻原彰晃は第7サティアンにサリンプラントを建設するように指示しています。

 

 

1994年6月に松本サリン事件を起こす

 

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1994年2月、オウム真理教は上九一色村のサティアンでサリン30kgの製造に成功し、このサリンは1994年6月27日の「松本サリン事件」で使用されました。

 

松本サリン事件は、1994年6月27日の深夜から28日の早朝にかけて、長野県松本市北深志の住宅街でオウム真理教によってサリンが撒かれ、周辺住民7人が亡くなり、約600人が負傷(一部の人には深刻な後遺症が残った)した無差別テロ事件でした。

 

オウム真理教が松本サリン事件を起こした動機は、教団松本支部の建設をめぐる訴訟を妨害するために担当判事を殺害する事と製造したサリンの効果の実験のためだったとされています。

 

この松本サリン事件発生からすぐ後の1994年7月、サリンプラントの建設が進められていた上九一色村の第7サティアンで薬品が漏れる事件が起こり、発生したガスにより周辺の樹木の葉が変色する異臭騒動が発生。7月15日にも再び第7サティアン周辺で異臭騒ぎが起こりました。

 

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この時点で、上九一色村の住民は松本サリン事件の犯人はオウム真理教だと確信していたようです。しかし、警察が最初の通報者を犯人だと疑うなどしたためオウム真理教に疑いの目が向けられる事はありませんでした。

 

松本サリン事件を起こした一方で、麻原彰晃は自動小銃(AK-74)を1000丁作れと信者らに命令。1994年4月下旬から上九一色村のサティアンに銃器製造工場を整備し、1995年1月には試作品の製造に成功しています。

 

また、1994年8月、オウム真理教は猛毒のVXガスの製造にも成功しています。この後、オウム真理教はこのVXガスを使った殺人および殺人未遂事件を何度も繰り返しました。(滝本太郎弁護士VX毒殺未遂事件、駐車場経営者VX襲撃事件、会社員VX殺害事件、オウム真理教被害者の会会長VX襲撃事件)

 

 

1995年に地下鉄サリン事件を起こす

 

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1995年1月1日、読売新聞が上九一色村の第7サティアン周辺から、サリンを生成した際の残留物質が検出された事をスクープしました。麻原彰晃はこれを受けてサリンプラントの解体を指示し、それまでに製造し保有していたサリンも処分されます。

 

同年1月4日、オウム真理教はサリン製造を隠蔽するため、上九一色村の肥料会社が教団を毒ガス攻撃しており、そのためにサティアン周辺でサリンが検出されたなどと虚偽の発表をし、肥料会社の社長を告訴しています。

 

同日、オウム真理教はオウム被害者の会の会長・永岡弘行さんを殺害しようとし、東京都港区の自宅近くでVXガスの溶液をかける殺人未遂事件を起こしています。(オウム真理教被害者の会会長VX襲撃事件)

 

永岡弘行さんは、一時意識不明となりましたが、病院に搬送され一命をとりとめています。

 

そして、1995年3月20日、オウム真理教は捜査の撹乱と首都圏を混乱に陥れる事を目的に「地下鉄サリン事件」を起こしました。

 

地下鉄サリン事件は、午前8時頃に、東京の地下鉄丸ノ内線、日比谷線、千代田線の合計5車両の地下鉄車内でほぼ同時にサリンが散布され、乗客と乗員13人が亡くなり、約6300名が重軽傷を負った無差別テロ事件でした。

 

 

上九一色村のサティアンなどオウム真理教の拠点を警察が一斉捜査

 

地下鉄サリン事件を受け、1995年3月22日、警視庁がようやく動き、上九一色村のサティアンをはじめ1都2県の教団施設25ヶ所の一斉捜査を行いました。

 

この時には自動小銃の部品やサリンの製造過程で使用される薬品などが発見されましたが、決定的な証拠は得られず、麻原彰晃ら幹部を逮捕するまでには至りませんでした。

 

同年4月8日、別件で逮捕されたオウム真理教幹部の林郁夫が地下鉄サリン事件を自白。同年5月6日には、警察は地下鉄サリン事件はオウム真理教による組織的犯行と断定しました。

 

 

第6サティアン隠し部屋に隠れていた麻原彰晃が逮捕されサティアンは取り壊し

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1995年5月16日、警察は上九一色村のサティアンを一斉捜査し、麻原彰晃は第6サティアンの1階から2階への階段天井部分の隠し部屋に現金960万円を持って隠れていたのを発見され逮捕されました。

 

その後、上九一色村のサティアンはサリンが製造された第7プラントを除いて1996年までに全て取り壊され、捜査のために残されていた第7サティアンも1998年12月に取り壊されています。

 

 

上九一色村のオウム真理教のサティアン跡地の現在

 

上九一色村にオウム真理教が建設したサティアンは地下鉄サリン事件後に全て取り壊されており、その跡地は現在は更地になっていて建物の形跡もありません。

 

現在、サティアンの跡地を訪れる方が多くいる様子で、ネット上では跡地の写真や動画なども紹介されています。旧上九一色村のサティアンの跡地は現在は公園に整備されて慰霊碑が建立されているものの、うら寂しい雰囲気となっているようです。

 

 

 

かつてあった事件やオウム真理教の不気味さもあってか、サティアンの跡地を怖いと感じる方も多いようです。

 

 

上九一色村はオウム真理教による乗っ取り危機に晒されていた

 

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上九一色村はオウム真理教がサティアンと呼ばれる拠点を建設していた事で有名になりましたが、当時についてオウム真理教は上九一色村自体の乗っ取りを企んでいたという見方があります。

 

当時、上九一色村の人口は約1700人ほどでしたが、オウム真理教はサティアンの建設と並行して信者の住民登録手続きを始めました。上九一色村のサティアンには最大で約800人もの信者が居住しており、この全員の住民登録が受け入れられれば上九一色村そのものがオウム真理教に乗っ取りされる恐れがありました。

 

行政側はオウム信者の一部の住民票は受け入れたものの、上九一色村の住民らは徹底的にこれに反対し、結果として乗っ取りは失敗に終わりましたが、オウム真理教が地下鉄サリン事件などのテロ事件を起こさずに淡々と合法的に信者の住民登録を試みていれば、本当に村そのものがオウム真理教の乗っ取りにあっていた可能性は十分にありました。

 

 

 

上九一色村のサティアン跡地近くの富士ガリバー王国跡地が怖い事も話題に

 

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地下鉄サリン事件から約2年半が経過した1997年7月、上九一色村にあったオウム真理教のサティアンの跡地のすぐ近くに、「富士ガリバー王国」というアミューズメントテーマパークが建設されました。

 

これは、オウム真理教事件でついたマイナスイメージを払拭するため、上九一色村が誘致し運営を行っていたテーマパークでした。

 

「富士ガリバー王国」が建設された場所は、実際にはオウム真理教の第6サティアンから約1.5km離れた場所でしたが、ほど近い場所という事もあってオウム真理教のサティアンの跡地に建設されたテーマパークだとしてネット上でも話題になりました。

 

しかし、経営はうまくいかずに2001年に閉鎖されその跡地が廃墟として残される事になりました。

 

富士ガリバー王国はガリバー旅行記をモチーフにしたテーマパークだったため、跡地には45メートルの巨大なガリバーが横たわるモニュメントなどが残され、これが怖いとネットでかなり話題にになっていました。

 

 

 

2023年まではこのガリバーのモニュメントは残されていましたが、2024年の現在は取り壊されて更地になっています。

 

 

上九一色村の現在① 合併により消滅

 

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すでに触れていますが、もともと人口の少なかった上九一色村はオウム真理教事件後にさらに過疎化が進み、2006年3月に北部の大字梯・古関地区が甲府市に、南部の大字精進、本栖、富士ヶ嶺地区が富士河口湖町に編入合併され、地名としては消滅しています。

 

したがって現在、上九一色村は存在していません。

 

富士河口湖町に合併された大字精進、本栖、富士ヶ嶺地区を合わせた2024年8月現在の人口は約900人で、甲府市に合併された大字梯・古関地区を合わせた人口は200人ほどとなっています。

 

上九一色村役場があった場所は現在は甲府市役所上九一色出張所になっています。

 

 

上九一色村の現在② オウム真理教サティアン跡地は公園に整備

 

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上九一色村の富士ヶ嶺地区にあったオウム真理教のサティアンの跡地は、現在は「富士ケ嶺公園」として整備されています。

 

サティアンではかつて、オウム真理教による信者のリンチ殺人事件が起きているため、その犠牲者の鎮魂のための慰霊碑も建立されています。

 

 

まとめ

 

今回は「松本サリン事件」や「地下鉄サリン事件」などを起こしたカルト宗教団体「オウム真理教」が「サティアン」と呼ばれる拠点を建設した場所として知られる山梨県の上九一色村についてまとめてみました。

 

上九一色村があった場所は山梨県の中南部で、甲府市の南部と富士河口湖町の西部にまたがる一帯です。上九一色村の地図上の地名は現在は存在しませんが、上九一色村役場は現在は甲府市役所上九一色出張所になっていて、住所は「山梨県甲府市古関町1158」です。

 

地下鉄サリン事件など、数々の凶悪事件を起こしたオウム真理教は、1989年に上九一色村の富士ヶ嶺地区に4.8ヘクタールの土地を購入し、そこに「サティアン」と呼ばれる拠点を建設。ここで事件で使用されたサリンの製造に成功しました。

 

上九一色村の当時の人口は1700人ほどでしたが、オウム真理教はサティアンに最大で約800人もの信者を住まわせて住民登録を申請しており、村自体の乗っ取りを企てていたとも言われています。

 

オウム真理教は1995年に地下鉄サリン事件を起こし、上九一色村のサティアンは強制捜査を受けて教祖の麻原彰晃も逮捕され、1998年までにサティアンも全て取り壊されました。その跡地は現在は「富士ケ嶺公園」として整備され、オウム真理教の信者殺人事件の犠牲者のための慰霊碑も建立されています。

 

サティアンの跡地は現在はうら寂しい雰囲気となっており、かつてオウム真理教が起こした事件の恐ろしさもあってか怖いというイメージを抱く人も多いようです。

 

上九一色村自体も2006年までに甲府市と富士河口湖町に分割合併され現在は存在していません。

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