唯一無二の独特の世界観を纏い常識を覆したVtuber・鳩羽つぐが話題です。
この記事では鳩羽つぐの中の人の正体や前世や転生、顔バレ、活動場所である西萩窪の謎や誘拐説やAI説、実験説などの様々な考察やその真相、現在までの活動状況などについてまとめました。
この記事の目次
鳩羽つぐは退廃的な雰囲気と意味深な動画で話題になっているVtuber
鳩羽つぐ(はとば・つぐ)は、2018年2月28日にYouTubeに現れたVtuber(バーチャルYouTuber)です。
1分にも満たない短い1本の動画と共に現れた「鳩羽つぐ」という謎めいた存在は、これまでのVtuberの常識を覆し視聴者を深い謎と考察へと導きました。
ここでは、そんなVtuber「鳩羽つぐ」についての、中の人や正体、前世や転生、顔バレ、動画の舞台となる西荻窪が既に存在しない行政地名である事、様々な考察や真相など、現在もネット上で囁かれ続けている多くの謎を詳しくまとめていきます。
VTuber「鳩羽つぐ」の登場
「鳩羽つぐです。西荻窪に住んでいます。おわりー。」
エドワード・エルガーの名曲「愛の挨拶」のBGMを背後に、アッシュブロンドの髪、制服のような服装に身を包んだ少女が、はにかむように自己紹介をする。
これが、鳩羽つぐの最初の動画でした。わずか59秒のこの動画は、その愛らしい見た目とは裏腹に、どこか寂れた不穏な室内、ズームアウトしていくカメラワークなど、多くの意味深な謎を視聴者に提示しました。
ビジュアルは八重歯と左目の泣きぼくろがチャームポイントの、儚げな小学生くらいと思われる少女。しかし、鳩羽つぐの動画には、一般的なVTuberに見られるような明るいトークやファンとの積極的な交流はほとんど存在しません。
同時期にに開設されたX(当時はTwitter)に時折投稿される動画では、声が環境音でかき消されていたり、そもそも言葉を発さなかったりと、その活動スタイルは一貫して謎に包まれています。
— 鳩羽つぐ (@HatobaTsugu) March 18, 2022
この「空白」こそが視聴者の想像力を掻き立て、彼女を単なるキャラクターではなく、1つの壮大な世界観、あるいはアートプロジェクトとして認識させる要因となっています。
鳩羽つぐの中の人① 正体は「こいろ」説も憶測の域を出ていない
VTuberの話題において常に注目されるのが、そのキャラクターに命を吹き込む「中の人(声優)」の存在です。しかし、鳩羽つぐにおいて、その正体は徹底して秘匿されています。
囁かれる「中の人」候補と正体は「こいろ」説
鳩羽つぐの「中の人」として、インターネット上ではいくつかの説が囁かれています。
その中でも特に有力視されたのが、かつてニコニコ動画でゲーム実況者として活動し、現在はYouTuberとして活動する「こいろ」さんではないかという説です。
根拠は「声が似ている」という点ですが、聴き比べた人々の間でも「似ている」という意見と「違う」という意見に分かれており、決定的な証拠はありません。
そもそも、鳩羽つぐの動画は声が聞き取りづらいものも多く、比較自体が困難です。活動スタイルも全く異なるため、あくまで憶測の域を出ない情報だと言え、結論としては鳩羽つぐの中の人や正体は不明と言わざるを得ません。
鳩羽つぐの中の人② 「顔バレ」は一切しておらず正体は不明
Vtuberの正体について語る際には、「顔バレ」の画像などは存在するのかという点が必ず注目されます。
鳩羽つぐに関しては、当然ながら、「中の人」が不明である以上、「顔バレ」も一切しておらず、顔バレ画像などは存在しません。
鳩羽つぐという存在は、そのミステリアスな世界観全体で1つの作品となっています。そのため、運営側が「中の人」やその素顔を公開することは、作品の世界観を根底から覆す行為であり、今後もその可能性は極めて低いと考えられます。
ファンもまた、「顔バレ」などで謎が解き明かされる事よりも、彼女が「鳩羽つぐ」として存在し続ける事を望んでいると言えます。
鳩羽つぐの中の人③ 「前世」や「転生」という概念は不在
多くのVtuberファンにとって、「前世(VTuberとして活動する以前のネット上での活動)」や「転生(前世の活動を終え、新たなVTuberとして活動を開始すること)」は馴染み深い概念です。
しかし、鳩羽つぐに関しては、このような文脈で語られることはほとんどありません。「中の人」の過去の活動が特定されていないため、「前世」が存在しないというだけでなく、鳩羽つぐというキャラクターがあまりにも唯一無二であるため、前世や転生を考察する余地がほとんどないためです。
鳩羽つぐに関して「転生」という言葉が使われるとすれば、それはキャラクターの設定や物語の考察、あるいは二次創作の文脈においてであり、の存在自体が、過去の記憶を失った何者かの「転生」した姿なのではないか、といった物語的な想像や考察を掻き立てる余地はあるものの、他のVTuberのように具体的な個人と結びついた「転生」の事実はありません。
鳩羽つぐの舞台「西荻窪」は既に廃止された地名で考察の重要なトリガーに
鳩羽つぐの世界観の考察において、極めて重要な意味を持つのが「西荻窪」という地名です。
最初の動画での「西荻窪に住んでいます」という言葉
鳩羽つぐは最初の動画で、彼女は自らの居住地を「西荻窪」だと明かしました。実際に、彼女の動画内には、西荻窪周辺の実在の風景をモチーフにしたとされる場所が登場し、ファンによる「聖地巡礼」の対象にもなっています。
この現実に根差した情報が、鳩羽つぐという存在に奇妙なリアリティを与えています。
考察のトリガーとなった「西荻窪」は「廃止地名」という事実
しかし、この「西荻窪」という地名は、鳩羽つぐに関する考察を飛躍的に加速させる事になりました。「杉並区西荻窪」という行政地名は1970年以前に廃止されており、現在は「西荻北」、「西荻南」という地名になっているという事実が様々な考察を呼ぶ事につながったのです。
この西荻窪が既に存在しないという事実から、「鳩羽つぐは過去の時代の人間、つまり幽霊なのではないか」と考察する「死亡説」が浮上しました。
鳩羽つぐが住んでいると語る「西荻窪」が存在しない過去のものであるならば、彼女自身もまた、現代の人間ではないのではないか。この説は、彼女の儚げな雰囲気や、どこか古風な服装、そして動画全体のノスタルジックかつ不穏な空気感と結びつき、多くの視聴者に支持される事になったのです。
ただし、「西荻窪」は駅名や通称として現在も広く使われているため、この説はあくまで数ある考察の1つであり、真相は今も闇に包まれています。
鳩羽つぐの正体についての様々な「考察」と一向に見えない「真相」
鳩羽つぐのコンテンツの最大の面白さは、運営が提示する断片的な情報から、視聴者が物語を能動的に「考察」していく点にあると言えます。
数ある鳩羽つぐに関する考察の中でも、特に広く議論されているものをいくつか紹介していきます。
鳩羽つぐの正体の考察① 誘拐説・監禁説
最初の動画の廃墟のような室内や、常に誰かに撮影されているかのようなカメラワークから、「彼女は何者かに誘拐・監禁されているのではないか」という考察が初期の頃は目立ちました。
視聴者は動画の断片から彼女の置かれた状況を推理し、救出の可能性を探るかのような没入感を得ました。
鳩羽つぐは活動開始の半年後に30分の映像作品を作る事を目的にクラウドファンディングを開始。この際に一部の視聴者からは「誘拐・監禁されている鳩羽つぐの身代金ではないか」という説が出て、「つぐちゃんを開放してください」とクラファンに参加する人間が後を絶ちませんでした。
結果としてこのクラファンでは10日間で2千万円以上の資金が集まりました。
鳩羽つぐの正体の考察② 死亡説・幽霊説
前述の「西荻窪」廃止地名説を主な根拠とする考察です。彼女はすでにこの世にいない存在であり、投稿されている動画は生前の彼女の記録、あるいは地縛霊としての姿を捉えたものだという解釈がされています。彼女の儚い雰囲気と最も親和性の高い説の1つとして支持されています。
鳩羽つぐの正体の考察③ SCP・実験体説
鳩羽つぐは、特定の組織に管理・観察されている実験体(あるいはそれに類する存在)なのではないか、という考察です。これは、架空の異常存在を報告書形式で創作する共同創作サイト「SCP Foundation」になぞらえた見方です。動画は彼女の生態を記録したものであり、時折混じる不穏な要素は、実験や管理の失敗を示唆していると解釈されています。
鳩羽つぐの正体の考察④ AI説・アンドロイド説
感情の起伏が少なく、どこか人間離れした言動から、鳩羽つぐは高度なAIやアンドロイドなのではないか、という考察です。
これらの考察に明確な答えはなく、運営は「実在の人物、団体、地名、事件などとは関係ありません」と注意喚起するのみで、解釈は完全に視聴者に委ねられており、真相は現在も謎のままです。
もう1人の少女「雉尾つぐ」の存在
出典:https://assets.moguravr.com/
2018年5月13日に投稿された動画で、鳩羽つぐと瓜2つの容姿を持つ「雉尾つぐ(きじお・つぐ)」と名乗るキャラクターが登場し、その正体の謎はさらに深まりました。
喫煙者であり、Live2Dモデルを自作する姿も見られるこの雉尾つぐは、鳩羽つぐ本人なのか、姉妹なのか、あるいは全く別の存在なのか、その関係性や真相は一切不明となっています。
この存在は、多重人格説やドッペルゲンガー説など、新たな考察の火種となりました。
鳩羽つぐの現在
鳩羽つぐの現在についても見ていきます。
鳩羽つぐの現在① 長期の空白を挟み活動を続けるスタイル
鳩羽つぐの活動は、極めて不定期かつ寡作(動画投稿頻度が低いという事)です。2018年に鮮烈なデビューを飾った後、クラウドファンディングで約2082万円もの資金を集め、今後の展開が期待されましたが、活動は突如として停滞します。
鳩羽つぐは2020年に動画を投稿して以降、長らく沈黙期間に入り、約2年後の2022年3月9日に突如として新たな動画を投稿します。その後も2023年に動画投稿やグッズ販売に関する告知が行われるなど、数ヶ月から1年以上もの間隔を空けながら、忘れた頃に姿を現すという活動スタイルが現在まで続いています。
2025年現在、コンスタントな活動は行われていないものの、YouTubeチャンネルの登録者数は25万人を超え、未だに多くのファンが彼女の動向を見守っている状況です。
この「不在」の時間すらも物語の一部として機能し、ファンの考察を深め、彼女のミステリアスな魅力を風化させない要因となっています。「通知が来るまで忘れていて、動画を見ている時だけ存在を思い出す、そんなつぐちゃんで居続けて欲しい」といったファンのコメントは、彼女の特異な立ち位置を象徴しているようです。
鳩羽つぐの現在② アートプロジェクトとしての側面
鳩羽つぐの活動は、キャラクターデザインを担当したイラストレーターLM7氏らが設立した株式会社「枝の上(Edanoue, Inc.)」によって運営されている事がわかっています。
当初から単なるVTuber活動に留まらず、1つの「映像作品」としての側面を強く意識していたと現在では考えられています。
視聴者を巻き込んだ壮大なARG(代替現実ゲーム)のようでもある彼女のプロジェクトは、VTuberが単なるエンターテイナーではなく、芸術表現の媒体にもなり得ることを証明した稀有な事例だと言え、現在もその観点で注目する事で、鳩羽つぐの活動の意義が見えてくるかも知れません。
まとめ
今回は、多くの謎をまとうVtuber「鳩羽つぐ」についてまとめてみました。
鳩羽つぐの2018年のデビューから数年が経過した現在も、「鳩羽つぐ」をめぐる数々の謎は、依然として何1つ明確には解き明かされていません。
「中の人」の正体や「前世」や「転生」の有無、「西荻窪」という既に廃止された場所で作られる意味深な世界観の「真相」も、厚いベールに包まれたままです。
しかし、もはやその「真相」を暴くことは、この作品を享受する上で本質的な意味を持たないのかも知れません。鳩羽つぐという存在は、運営が提示する断片的なピースを元に、視聴者1人ひとりがそれぞれの物語を想像し、紡いでいく体験そのものに価値があるという見方もできます。
彼女は誘拐された哀れな少女である、過去の時代から迷い込んだ幽霊である、あるいは無機質なアンドロイドであるといった様々な考察は、鳩羽つぐという得意なキャラクターの魅力そのものだと言えます。
「鳩羽つぐ」は、VTuberというフォーマットを用いてネット上に生み出された、極めて優れた現代の都市伝説であるといえ、インタラクティブ・アートという側面もあります。そしてその唯一無二の世界観は、彼女が次にふと姿を現すその時まで、西荻窪のどこかで現在も静かに続いていると視聴者に想像させ続けるのです。