私人逮捕の要件とやり方!実例と拒否や冤罪の場合・やりすぎと話題のYouTuberなどまとめ

一部のYouTuberが痴漢や盗撮、転売ヤーを「私人逮捕」する動画が話題になり炎上も起きています。

 

ここでは私人逮捕とは何かやその要件、やり方、取り押さえるのはどこまでOKか、拒否した場合や誤認した時どうなるのか、適法な実例やYouTuberの炎上例についてまとめました。

私人逮捕とは一般人による逮捕で一定要件を満たす場合のみ認められている

 

 

「私人逮捕(しじんたいほ)」とは、検察官や司法警察職員ではない一般人による被疑者逮捕の事です。

 

本来、刑法第220条により、不法に人を逮捕したり拘束したりする事は違法行為(逮捕罪)にあたりますが、一定の要件を満たした場合にのみ私人逮捕は正当な法令行為となり逮捕罪にはなりません。

 

そのため、検察官、検察事務官、司法警察職員でない一般人であっても、一定の要件を満たした場合は犯人を逮捕する事ができ、それが私人逮捕(または常人逮捕)と呼ばれています。

 

2023年現在、この私人逮捕の要件を拡大解釈した一部の自称世直し系YouTuberなどが、痴漢や盗撮、チケットの転売、煽り運転などをした疑い(あるいはする疑い)がある人をターゲットにして無断で撮影した上で拘束し、警察や駅員などに引き渡す動画を投稿して問題になっています。

 

中には、逃走しようとしたターゲットを投げ飛ばしたり、地面に押さえつけたりの過激な方法で取り押さえ「制圧」などと言って動画のクライマックスに持ってくるYouTuberもおり、「やりすぎではないか」、「暴行罪や名誉毀損で逆に逮捕されるのでは?」と批判や疑問の声が多数上がり炎上しています。

 

この問題は次第に大きくなっており2023年10月の現在、大手メディアが取り上げたり、立憲民主党の石垣のり子参議院議員がこれを問題視し『「私人逮捕」と称する動画の拡散に関する質問主意書』を国会に提出したりと、社会問題化しつつあります。

 

この記事では、そんな「私人逮捕」や正当な私人逮捕の実例、炎上している一部YouTuberの私人逮捕などについてまとめていきます。

 

 

 

私人逮捕の要件① 現行犯逮捕もしくは準現行犯逮捕である事

 

 

私人逮捕の要件の1つは「現行犯逮捕もしくは準現行犯逮捕である事」です。

 

現行犯逮捕とは、刑事訴訟法第212条1項に明記されている逮捕で「現に罪をおこない、または現に罪をおこない終わった者」が対象となります。

 

つまり、目の前で犯行を起きている最中、もしくは目の前で犯行が完了した時点を指し、逮捕を行うタイミングが犯行が行われた時間と限りなく近い必要があります。(時間的接着性)

 

また、犯行が行われた場所と逮捕をする場所が近くなくてはならないとする「場所的接着性」も現行犯逮捕の要件であるとする見解もあります。

 

もう1つの準現行犯逮捕とは、犯行の時間と逮捕の時間との間に、時間的・場所的な接着性が弱くなった場合でも刑事訴訟法第212条2項に明記されている4つの要件のいずれかを満たせば現行犯人と同じ扱いを受けるというものです。

 

準現行犯逮捕の4つの要件は以下です。(括弧内は実際の条文)

 

① 「泥棒待て」などと、はっきり犯人とわかる形で追われている時(犯人として追呼されているとき)

 

② 被害品(盗んだ物など)や、犯罪に用いたとみられる凶器を所持している時(贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき)

 

③ 身体や衣服に犯罪の顕著な証拠となる痕跡がある時(身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき)

 

④ 事件現場の近くで、呼び止められて逃げ出した時(誰何されて逃走しようとするとき)

 

 

 

私人逮捕の要件② 軽微犯罪における逮捕の要件を満たす事

 

私人逮捕の2つ目の要件は、「軽微犯罪における逮捕の要件を満たす事」です。

 

「軽微犯罪」とは、「30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪」を指します。

 

刑事訴訟法第217条では「軽微犯罪」での現行犯逮捕の要件として、「犯人の住居もしくは氏名が明らかではない」、「犯人が逃亡するおそれがある」の2つが定められています。

 

私人逮捕においても同様であり、軽微犯罪の場合は上の2つの要件を満たさない限り現行犯逮捕する事はできません。

 

 

 

私人逮捕のやり方(合法的に行う方法)

 

出典:https://pbs.twimg.com/

 

私人逮捕のやり方は、単純に犯人(被疑者)を取り押さえる事です。

 

ただし、私人逮捕の際には必要最低限の有形力(殴る蹴る、引っ張る、投げ飛ばすなどの物理的攻撃)の行使は認められていますが、必要以上に過大な有形力を行使する事認められていませんん。

 

必要以上の有形力を行使した場合は、適法な私人逮捕と認められず逮捕罪に問われる可能性があります。

 

また、私人逮捕が許されるのはあくまでも現行犯逮捕、準現行犯逮捕の場合に限られるため、私人による捜査や取り調べ(職務質問含む)などを行う事はできません。当然ながら、私人逮捕した被疑者を不当にどこかに拘束したり拘禁したりする事も違法です。

 

したがって、私人逮捕のやり方は、被疑者の犯行を自ら確認、あるいは準現行犯の要件を満たしている事を確認した上で、必要最低限の有形力を持って被疑者を取り押さえるなどして逮捕した後、速やかに司法警察職員、検察官、検察事務官などに引き渡すという流れになります。

 

 

 

私人逮捕での取り押さえなどの実力行使はどこまで許されるのか

 

出典:https://pbs.twimg.com/

 

2023年5月頃から、私人逮捕の要件を拡大解釈したYouTuberが続出し、痴漢や盗撮、チケットの転売、覚醒剤密売などの被疑者(あくまでも被疑者)をターゲットとし、強引な方法で私人逮捕して警察に突き出したりする動画が流行しています。

 

こうした過激な方法で私人逮捕をする動画の人気上昇に伴い、私人逮捕における実力行使は一体どこまで許されるのかにも注目が集まっています。

 

具体的にどこまで許されるのかというのは、実際に法律に基づいて裁判所が判断を下す事ですが、私人逮捕系YouTuberの行為はいずれも度を越しているという印象を受ける視聴者が多いようです。

 

私人逮捕系のYouTuberは互いにコラボし、集団でターゲットを取り囲むようなこともしており、こうした行動が監禁罪や逮捕罪にあたる可能性も指摘されています。また、ターゲットの腕を強引に掴んだり、挙げ句の果てには投げ飛ばしたり、階段から転落させたりとやりたい放題であり、これもどう見ても暴行罪や怪我をした場合には傷害罪にあたります。

 

さらに、彼らは、なんとなく怪しいといったレベルであっても執拗に追いかけまわして犯人に仕立て上げようとし、ターゲットにモザイクをかけていない場合すら見られます。こうした行為は誤認逮捕につながる事もありえますし、名誉毀損で訴えられる可能性もあります。

 

こうした私人逮捕系YouTuberのやり方は、もはやどこまでといったレベルではなく、「完全にアウト」と言えるケースも多く見られます。こうした事から、そろそろこうしたYouTuberの中から逮捕者が出るのではないかと見る向きもあるようです。

 

ネット上では、次は私人逮捕YouTuberをさらに私人逮捕するYouTube動画がバズるのでは?と推測するような声も見られます。

 

 

 

私人逮捕を被疑者が拒否した場合の対応はどこまでできるか

 

私人逮捕系YouTuberが人気化していますが、こうした動画では、大抵の被疑者(YouTuberらのターゲットにされた人)は最初は、犯行を認めず、警察に引き渡すなどと言われても頑なに拒否する場合が多いです。

 

私人逮捕系YouTuber達は、被疑者があっさりと従うよりも拒否されるくらいの方が動画としては美味しいと思っているため、あえて抵抗させて拒否されるような展開に誘導しているようなところもあるようです。

 

YouTuber達は拒否されても、大抵は最終的に強引に警察に引き渡すところまで持っていきますが、このように私人逮捕の対象とされた被疑者が、その逮捕自体を拒否した場合はどこまで対応できるのかにも関心が高まっているようです。

 

原則として、要件に沿って合法的に私人逮捕を行なった場合であれば、被疑者側がその逮捕を拒否するような権利はそもそもありません。

 

ただ、例えば被疑者が罪を認めて逃げるそぶりを全く見せず、自分の身分なども示した上で、私人逮捕を拒否して、警察を呼ぶように求めた場合などは、それを無視して取り押さえたりする行為は違法と見なされる可能性があります。

 

原則的に、私人逮捕が認められるのは、明らかに犯罪をした人間が暴れたり、逃走したりといった緊急性が高い場合に限られます。

 

したがって、最近流行している私人逮捕系のYouTube動画でよく見られる展開のように、はっきりと犯行をしたという証拠がない被疑者が「やっていない」と容疑を否認し、YouTuberらによる私人逮捕を拒否しているような場合に、さらに追いかけまわして捕まえようとするというのは違法行為と認定される可能性があります。

 

 

 

私人逮捕が誤認だった場合は逮捕罪に問われ3月以上7年以下の懲役の可能性

 

また、仮に私人逮捕が誤認だった場合、逮捕罪に問われて「3ヶ月以上7年以下の懲役」に処される可能性があります。

 

報道によると、私人逮捕系のYouTuberらが犯罪者だとして警察に突き出した被疑者らが、さらに何らかの容疑で警察に逮捕されたというケースはほぼ無いという事です。つまり私人逮捕系YouTuberの行為の中には誤認逮捕も多く含まれていると推測されますが、2023年10月現在のところ、こうしたYouTuberから逮捕者が出たという報道は出ていません。

 

 

 

私人逮捕の実例① ラーメン店で暴れた客を店主が現行犯逮捕

 

出典:https://contents.newspicks.com/

 

続けて、適切な(適法な)私人逮捕の実例をいくつか紹介していきます。

 

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2023年2月16日の13時過ぎ、千葉県千葉市にあるあるラーメン店で男性客が大声を上げて暴れ出したため、店主が現行犯逮捕しました。

 

逮捕された男は、冷たい麺を熱いつけ汁につけて食べるタイプのつけ麺を注文。しかし箸をつけた直後に「なんで麺が冷たいんだ!すぐに麺を温めろ!」などと激昂。

 

店主は「冷たい水でしめた麺を温かい汁につけて食べるもの」と説明するも、男は「こんなまずい食い物があるか!お前ら全員ぶち殺すぞ!」などと拳を振り上げながら叫び始め、振り下ろした拳が店主の手首にあたりました。

 

店主はそこで「今からあなたのことを私人逮捕させていただきます」と告げた上で男を取り押さえ、その後110番で駆けつけた警察官に男を引き渡しました。

 

昼食時に混みあうラーメン店で、大声を上げ暴力を振るった男性客。店内が騒然とするなか、店主の庄野さんは…。 庄野さん:「『今からあなたのことを“私人逮捕”させていただきます』と。上着を着ていたので、襟口と利き手であろう右手の袖口をつかんだうえで座らせて」 そのうえで、110番通報。男性客を駆け付けた警察官に引き渡し、周りの客に迷惑が及ぶことを防ぐことができたということです。

 

引用:つけ麺「なぜ冷たい」“カスハラ”暴行客 ラーメン店の店主が“私人逮捕”

 

暴れて周囲に危害を加える恐れのある人間を取り押さえる場合の典型的な私人逮捕の実例だと言えます。このケースは当然適法であり、店主が罪に問われる事はありません。

 

 

 

私人逮捕の実例② 病院食堂のマヨネーズ泥棒を保安対策員が現行犯逮捕

 

出典:https://newsdig.ismcdn.jp/

 

2023年10月30日、島根県出雲市の病院施設内の食堂でマヨネーズを盗んだとして、61歳の無職の男が病院の保安対策員によって私人逮捕されました。

 

逮捕された男はその日の午前11時頃に、持参した容器に利用客のために設置されているマヨネーズを移し替えて盗みました。

 

 

病院内の食堂に置いてあるマヨネーズを、自分が持ってきた容器に勝手に移し替えたとして30日、無職の男が島根県警出雲警察署に逮捕されました。

窃盗の容疑で逮捕されたのは、島根県出雲市に住む無職の男(61)です。

 

引用:食堂のマヨネーズを、自分が持ってきた容器に勝手に移し替える…無職の男(61)を保安対策員が私人逮捕 過去にも来店し食事せず

 

この男は以前から食堂に何度も来ており、食事もせずに出て行くために病院側が警戒しており、マヨネーズを盗んで食堂から出た事を確認した保安対策員が声をかけ、男が逃走しようとしたため取り押さえて私人逮捕しました。

 

その後、通報によって駆けつけた警察官に身柄を引き渡されています。

 

男がマヨネーズを移し替え、退店するのを目撃した病院の保安対策員が声をかけたところ、逃走する素振りを見せたため私人逮捕。駆け付けた警察官に身柄を引き渡しました。

 

引用:食堂のマヨネーズを、自分が持ってきた容器に勝手に移し替える…無職の男(61)を保安対策員が私人逮捕 過去にも来店し食事せず

 

私人逮捕の実例で多いのは、万引きや備品などの窃盗の犯人を店員や関係者が現行犯逮捕し警察に引き渡す事例で、万引きGメンに密着した番組や「警察24時」などのドキュメンタリー番組でもこうした場面がよく放送されています。この病院での私人逮捕も、そうした典型的な実例のパターンの1つだと言えます。

 

 

私人逮捕の実例③ 妙高市赤倉の温泉街で女風呂をのぞいた男を現行犯逮捕

 

続いては、新潟県妙高市の温泉街で、女風呂をのぞいていた男が、それを注意した男性に暴行したため男性によって私人逮捕された実例です。

 

2023年10月28日21時前、職業住所不詳の54歳の男が妙高市赤倉の温泉街の屋外で不審な動きをしていたため、「女風呂をのぞいているのでは」と疑った40代の男性が声をかけました。

 

すると、男は突然40代男性に襲い掛かり、壁に複数か打ち付けるなど暴行。40代男性は反撃して男を取り押さえ、110番通報し駆けつけた警察官に引き渡しました。男は暴行の容疑で逮捕されています。

 

妙高市で40代男性に暴行を加えた疑いで職業不詳の男が逮捕されました。発端は「女風呂をのぞいていた」疑いからでした。男は暴行の容疑は否認していて、警察は経緯を詳しく調べています。

 

引用:発端は「女風呂のぞきの疑い」?暴行受けた被害者が男を取り押さえ私人逮捕 男は暴行を否認【新潟】

 

被害にあった男性は、不審な動きをする男を見つけ「女風呂を覗いている」と疑い、取り押さえようとしたところ暴行を加えられたということです。男性は男を取り押さえたうえ、自ら「暴行を受けた。犯人を取り押さえている。」と110番通報し、警察に引き渡しました。

 

引用:発端は「女風呂のぞきの疑い」?暴行受けた被害者が男を取り押さえ私人逮捕 男は暴行を否認【新潟】

 

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なお、この温泉街ではこの私人逮捕以前から、何者かに女風呂を覗かれる被害が複数件警察に寄せられていました。

 

40代男性はそれで警戒しており、この男に覗きを疑って声をかけたようです。結果として暴行を受けたため私人逮捕の要件を満たす事になった実例だと言えます。

 

 

私人逮捕のYouTubeの炎上① 「ガッツch」中島蓮

 

出典:https://pbs.twimg.com/

 

続けて、現在、社会問題化しつつある一部YouTuberによる私人逮捕による炎上騒動について見ていきます。

 

私人逮捕系YouTuberの先駆け的存在と言えるのが、YouTubeチャンネル「ガッツch」を運営する中島蓮さんです。

 

中島蓮さんは盗撮・痴漢を撲滅するパトロール系YouTuberを名乗り、2023年初め頃からYouTuber活動を開始しました。

 

中島蓮さんは当初から疑わしい人物をかなり強引な方法で私人逮捕した動画を次々と投稿しました。過激な内容は瞬く間に話題となって人気YouTuberとなり、私人逮捕動画はYouTubeの人気コンテンツの1つとなったため、類似の動画を投稿するYouTuberが続出しました。

 

そんな中島蓮さんの活動を応援する声も多い一方、その過激な方法により以前から度々炎上していましたが、2023年10月28日に公開の「【階段から転落】忍者のような身体能力と不屈の精神を兼ね備える痴漢に実力行使した」と題された動画が大炎上しています。

 

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=z-4bszXco-8?si=ir6jyrMVgogNGQbr]

 

 

動画では、中島蓮さんとスタッフが、新宿駅埼京線ホームにて、ある1人の男性の不審な動きを見て痴漢をしようとしていると目星をつけてマークし追跡。

 

男性が満員の車両に乗り込んだところで、男性の動きや乗客の女性の反応などから、男性がこの女性に痴漢行為をしていると判断(現認はしていない)し、被害に遭っていると思われた女性に小声で「お姉さん、この人に触られてないですか?」と確認します。

 

女性は「大丈夫」と答えるも、中島蓮さんは男性が池袋駅と新宿駅を往復するなど怪しい動きをしている事を伝え、続けて背後に立っていた男性に対しても「なんで往復してたんですか?」と問いただしました。男性はほとんど何も答えず「別に…」いうのみでした。

 

列車が池袋駅に着くと、ホームに降りた男性に対して中島蓮さんは「交番連れてくけん。待てってゴラァ、待たんかい」と声を荒げて腕を掴んでカメラの方へと連れ戻し、抵抗する男性の体を両腕で掴むようにしました。

 

なおも逃げようとする男性に対し中島蓮さんは「これ以上逃げるなら制圧します」と言い、男性と揉み合いになります。男性は隙をついて駆け出して逃亡を試みますが、中島蓮さんが追跡して身体に触れた事でバランスを崩して転倒し、駅の階段を数段転げ落ちました。

 

中島蓮さんはこの動画内容を「X」でも投稿。

 

 

これが拡散され「あまりにも危険すぎる」、「他の人も巻き込みかねない」、「やりすぎ」など批判の声が殺到しており炎上に発展しています。

 

なお、この男性が痴漢をしたという証拠は動画では最後まで示されていないため、この記事では男性を犯人と断定する事はしません。(示されているのは中島蓮さんが痴漢だと確信したという事のみ)

 

中島蓮さんは痴漢や盗撮の撲滅を目的にしているとし自身の正義を主張しているのですが、朝日新聞の取材には「炎上狙いで投稿した」と回答しており、金儲け目的である事を告白しています。

 

この動画は9月21日時点でも閲覧可能だ。投稿した男性は「炎上狙いで投稿した」と言う。撮影を繰り返してきた経験から、盗撮をしている可能性が高いと感じた、と主張。具体的根拠には言及しなかった。

 

引用:街角の人、「不審者」と決めつけ「逮捕」 SNSへの動画投稿に批判

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私人逮捕のYouTubeの炎上② 煉獄コロアキ

 

出典:https://www.j-cast.com/

 

炎上系の有名YouTuberである煉獄コロアキさんも、最近は私人逮捕系動画に参入。狙い通り炎上を起こしています。

 

直近話題になり炎上しているのは、煉獄コロアキさんが2023年9月21日に「X」に投稿した、女性の転売ヤーを私人逮捕しようと大立ち回りをしている動画です。

 

武蔵野市議選にも立候補した炎上系YouTuberの煉獄コロアキは9月21日、チケットを高額転売していた女性に迫ったとして、〈タクシーに乗って逃げる美人転売ヤーを私人逮捕!〉とX(旧Twitter)に動画を投稿した。

 

引用:《美人転売ヤーを私人逮捕》炎上系YouTuber・コロアキ「俺逮捕されますか?」 逮捕動画に弁護士は「暴行罪や傷害罪に該当する可能性」

 

 

動画を見るとわかりますが、煉獄コロアキさんと仲間らは、タクシーに乗って逃亡しようとする女性を強引に引きづり降ろそうとし、かなり強引な方法で私人逮捕を試みています。

 

転売ヤーが不快なのは間違いないのですが、女性に対して男性が集団で襲いかかる様子に不快感を覚えた方が多かったようで「やりすぎ」、「警察に任せるべき」などの批判が起こり炎上しています。

 

 

 

私人逮捕のYouTubeの炎上③ 元特殊詐欺主犯・フナイム

 

出典:https://img.news.goo.ne.jp/

 

過去に、特殊詐欺事件の主犯格として詐欺罪で逮捕起訴され、懲役5年4ヶ月の実刑判決を受けるも服役後は犯罪撲滅活動家を名乗っているYouTuberのフナイムさんも、私人逮捕動画に参入しましたが、やはり炎上しています。

 

フナイムさんは、2023年8月28日に「X」に乃木坂46のチケットの高額転売ヤーを私人逮捕にて制圧したとする動画を投稿しました。

 

 

この動画の前後も含めた動画がYouTubeにも投稿されていましたが、現在は非公開となっています。

 

フナイムさんに対しては、「転売ヤーを成敗してくれてありがとう」と言った感謝や応援の声もある一方で、「あきらかにやりすぎ」、「YouTubeにアップしている時点で利益目的で正義とは言えない」など批判の声も多く炎上しています。

 

フナイムさんは2023年9月にも、転売ヤーを私人逮捕する動画をYouTubeにアップしています。

 

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=nkUdslNjCEo?si=Y77bF6OOCZ1CJZbD]

 

 

 

私人逮捕YouTuberが社会問題化

 

上でも見たように、現在、私人逮捕の要件を拡大解釈して、盗撮や痴漢、チケット転売ヤーなどの犯人や被疑者を強引に制圧するYouTuberの動画が人気となっています。

 

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一方で炎上にも発展しており、その強引な私人逮捕の方法を問題視する声も多数上がっており、社会問題に発展する兆しがあります。

 

2023年9月23日の内閣官房長官の定例会見では、松野博一官房長官が記者から私人逮捕系の動画を投稿する迷惑系YouTuberへの見解を求められて、「発信者の自由は確保しなければなりませんが、プライバシーの侵害や迷惑行為は控えていただかなければなりません」と無難なコメントを返す場面がありました。

 

官房長官会見で、このような質問が出るのも異例だと言えますが、2023年10月20日には立憲民主党の石垣のり子参議院議員が『「私人逮捕」と称する動画の拡散に関する質問』の答弁書を提出し、10月31日の定例閣議で決定しています。

 

私人逮捕系のYouTuberについて国会で取り上げられるという事になるため、今後、警察も私人逮捕系のYouTuberに対して何らかの対応に動く可能性がありそうです。

 

 

 

まとめ

 

今回は、一部YouTuberの動画で話題になっている「私人逮捕」についてまとめてみました。

 

私人逮捕とは、検察官や司法警察職員ではない一般人による一般人による犯罪被疑者の逮捕の事です。

 

私人逮捕の要件は、「現行犯逮捕もしくは準現行犯逮捕である事」、「軽微犯罪における逮捕の要件を満たす事」などで、この要件を満たせば、検察官、検察事務官、司法警察職員ではない一般市民であっても被疑者を逮捕する事できます。

 

私人逮捕のやり方は、シンプルに取り押さえて逃げないようにするというもので、必要最低限の有形力の行使が認められています。ただ、一般人による捜査や取り調べ、職務質問などは認められておらず、必要以上の有形力を行使しての取り押さえや犯罪を強引に自白させるなどの行為は違法となる可能性があります。

 

私人逮捕の実例としては、店舗から商品を盗み出そうとするのを見つけた店員がそれを取り押さえたり、暴れて他人に危害を加える恐れがある人を取り押さえたり、自分を攻撃してきた人に反撃して取り押さえたりする事例などが代表的です。

 

2023年10月現在、一部のYouTuberが私人逮捕の要件を拡大解釈して、盗撮や痴漢、チケットの転売ヤーなどを個人的に取り締まり、追いかけ回した上で強引に制圧するという動画が人気となっています。

 

一方で、「やりすぎ」、「逆に暴行や名誉毀損で逮捕されるのでは?」、「金儲けのために正義を振りかざしている」などと批判が集まり炎上に発展しています。

 

こうした状況を受けて、大手メディアや国会でもこの問題が取り上げられて社会問題にも発展しています。

 

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