2020年11月に渋谷区で起きたホームレス傷害致死事件の被害者・大林三佐子さんが注目されています。
この記事では大林三佐子さんが殺害された事件の経緯、生い立ちや家族、高校や劇団などの経歴、若い頃が美人と話題になった件、犯人の死亡や現在などについてまとめました。
この記事の目次
大林三佐子さん渋谷ホームレス傷害致死事件の被害者
大林三佐子さん(事件当時64歳)は、2020年11月16日に、東京都渋谷区幡ケ谷2の、「幡ケ谷原町バス停」前の路上で発生した渋谷ホームレス傷害致死事件の被害者です。
大林三佐子さんは事件当時ホームレス状態で、事件現場となった幡ケ谷原町バス停に設置されていたベンチで寝泊まりしている姿が2020年の春頃から目撃されていました。
近隣住民によると、大林三佐子さんは身長150cmほどの小柄な女性で、おかっぱ頭で身なりは綺麗で日毎に違う服装をしていてホームレスには見えなかったという事です。
また、この近所の人々に迷惑をかけたくないという気持ちからか、バスの運行が終わった深夜に現れてベンチで仮眠を取り、運行が始まる前の早朝の時間帯には起きて、新宿方面へと立ち去るというパターンだったようです。
持ち物は、キャリーバックと手提げカバンで、中には衣類や食べ物、電源の入らない携帯電話、期限の切れた運転免許証の他、親類の連絡先などがメモされたカードが1枚入っていたという事です。また、所持金はわずか8円だったという事です。
大林三佐子さんが殺害された渋谷ホームレス傷害致死事件の概要
2020年11月16日の午前5時頃、東京都渋谷区幡ケ谷の幡ケ谷原町バス停前の路上で大林三佐子さんが倒れているのを近隣住民が発見し警視庁代々木警察署に通報。
救急隊員が駆けつけた時には大林三佐子さんには意識がなく、搬送先の病院で死亡が確認されました。大林三佐子さんには目立った外傷や出血は見られませんでしたが、後頭部に強い衝撃を受けた跡があり、死因は外傷性くも膜下出血でした。
警察の捜査により、通報約1時間前の午前4時頃の防犯カメラに、何かの入ったレジ袋を持った不審な男が大林三佐子さんに近づいていきなり頭を殴打する映像が記録されていました。
11月21日、犯人の男が母親に連れられて近くの交番に出頭し緊急逮捕となりました。犯人は事件現場から800メートルほどのマンションに住む吉田和人という当時46歳の男で、傷害致死容疑で緊急逮捕されました。
犯人の吉田和人は警察の取り調べに、持っていたレジ袋に入れていたペットボトルを飲んだら軽くなったので、落ちていた石を入れて殴ったと供述。前日の未明に「お金をあげるからバス停からどいて欲しい」と頼んだが、拒否されたので腹がたち、痛い思いをさせればどいてくれると思ったなどと動機を説明しました。
また、大林三佐子さんにどいて欲しいと頼んだ理由として、「近所でごみ拾いのボランティア活動をしていて、バス停に居座る路上生活者にどいてほしかった」などと供述しています。
そして、犯人の吉田和人は「こんな大事になるとは思わなかった」などと供述し、殺意はなかったと主張しています。
大林三佐子さんの生い立ちと経歴① 広島市出身で高校時代は声優を志望
出典:https://reiwa-kawaraban.com/
渋谷ホームレス傷害致死事件の被害者の大林三佐子さんの生い立ちについては、広島県広島市の出身である事と、高校時代は声優になりたいと夢見ていた事などが報じられています。
高校については、広島市内の中高一貫の私立の女子校だったという事です。また、弟さんによると、大林三佐子さんは明るく活発な性格で自立心が強く、高校時代は友人の相談に乗るなど、友達思いな優しい人柄だったようです。
2人は広島市で生まれた。1学年上の姉は明るく活発で、自立心が強い性格だった。市内にある中高一貫の私立女子校に通い、高校時代は友人を自宅に招いて悩みの相談に乗るなど、友達思いな一面もあった。
大林三佐子さんの生い立ちと経歴② 劇団に所属しアナウンサーを志望
大林三佐子さんは高校卒業後は地元の短大へと進学し、在学中の1977年の春から広島市内の劇団に入っています。
劇団時代の仲間によると、舞台監督や振り付けも担当されていたそうです。また、劇団に所属するかたわら、アナウンサーを志望しており養成教室にも通っていたという事です。
広島市出身の大林さんは市内の女子短大に在学中の1977年春、劇団に入った。アナウンサーになる夢があり、養成教室にも通っていた。愛称は「ミッキー」「サンサコ」。
短大を卒業後は、継続してアナウンサーの養成教室へと通いながら、3年ほど結婚式場の司会の仕事をされていたようです。
大林三佐子さんの生い立ちと経歴③ 結婚し上京するも離婚し職を転々
大林三佐子さんはその後、27歳の時に結婚して夫と共に上京しています。しかし、夫からの暴力が原因となってわずか1年ほどで離婚されています。
その後は、コンピューター関連の仕事など職を転々とした後、千代田区の派遣会社を通じて、東京、千葉、神奈川県の首都圏のスーパーマーケットで試食販売の仕事をされていたという事ですが、2020年2月に退職されています。
また、2017年頃までは杉並区のアパートに住んでいたという事ですが、家賃を滞納して退去する事になり、その後はホームレスの状態になっていたようです。大林三佐子さんの知人によれば、ネットカフェなどで寝泊まりしている時期もあったという事です。
大林三佐子さんの家族は弟と母親とアメリカに住む叔父
大林三佐子さんは家族とも長い間音信不通になっていたという事です。
大林三佐子さんの家族は、1学年下の弟の健二さんと母親、アメリカに住む叔父の存在が明らかになっています。母親は施設に入所し実家はすでになくなっているとの情報も出ています。
弟の健二さんが事件現場に花を供えに訪れて手を合わせている姿が、毎日新聞の記事で紹介されています。
また、大林三佐子さんは1年ほどで離婚していますが、この元夫との間に子供はいないという事です。
大林三佐子さんはホームレスになるほど生活に困窮していましたが、家族に迷惑をかけたくないという気持ちがあったのか、家族に頼る事をしなかったようです。
しかし、大林三佐子さんは家族や親族の連絡先をびっしりと書いた名刺サイズのカードを大切に持っており、これが身元を特定する鍵になったという事です。
大林三佐子さんが美人という声も多く出た
大林三佐子さんは若い頃は劇団で活動し、アナウンサーを志望されていたとの事ですが、一部のメディアで公開された若い頃の写真(上の画像など)が美人だという声も数多く上がっています。
大林三佐子さんの話、寂しすぎる。
若い頃は美人だったんだな、、— 転職した二郎 (@K6GQHkwxp5KJSTy) May 1, 2021
このような美人女性がなぜホームレスになったのかと衝撃を受けた方がかなり多かったようです。
大林三佐子さんの渋谷ホームレス傷害致死事件の犯人は吉田和人
大林三佐子さんが石やペットボトルを入れたレジ袋で突然殴られて亡くなった「渋谷ホームレス傷害致死事件」の犯人は、事件現場の近所に住む吉田和人という男でした。
犯人の吉田和人は事件当時46歳で、大林三佐子さんが殺害された事件現場から約800メートルほど離れたマンションに80歳近い母親と一緒に住んでおり、この自宅マンションの建物の1階に入っている酒屋を母親と2人で経営していました。
犯人の吉田和人を知る人物によると、中学生の頃に不登校になって引きこもりになり、20歳の頃に1度就職したものの精神を病んですぐに辞めており、それからは再び引きこもりのようになっていたという事です。
また、近隣住民が自宅用にテレビのアンテナを設置したり、シャッターを変えたりすると、その度に「景観が損なわれる、自分のバルコニーから見える世界が自分の全て、景色が変わってストレスだ」などと、あまりにも自己中心的な理由で文句を言いに来る人物だったそうで、多くの近隣住民からは神経質な要注意人物のように見られていたようです。
こうした証言から、犯人の吉田和人は何らかの精神障害を患っていた可能性が高いと思われます。
また、吉田和人の家族は祖父母の代から酒屋を経営しており、自宅マンションの他にもアパートなどの不動産を複数所有する資産家一家だという情報も報じられています。
他にも、犯人の吉田和人については、競馬やハードロックの洋楽が好きだった。マザコン気味で母親に異様に見えるほどベッタリだったなどの近隣住民からの証言も報じられています。
大林三佐子さんの渋谷ホームレス傷害致死事件の現在① 犯人は保釈中に死亡
大林三佐子さんが殺害された「渋谷ホームレス傷害致死事件」の犯人として逮捕され傷害致死罪で起訴されていた吉田和人でしたが、その後保釈されています。
そしてその保釈中だった2022年4月8日に、吉田和人は自宅近くの建物から落下して死亡しているのが発見されています。
東京都渋谷区幡ケ谷の路上で2020年11月、女性=当時(64)=を殴って死亡させたとして、傷害致死罪で起訴された吉田和人被告(48)が、同区の自宅付近で死亡していたことが、捜査関係者への取材で分かった。被告は保釈中で、8日朝に近くの建物から飛び降り自殺したとみて、警視庁が調べている。
大林三佐子さんが死亡した事件の犯人の吉田和人の初公判は2022年5月17日に開かれる予定でした。
遺書などが見つかったとの報道は出ておらず、犯人の吉田和人の転落死が自ら命を絶ったのか事故であったのかは不明で、自死であったとしてもその正確な理由はわかっていません。
また、犯人の吉田和人が保釈中に死亡した事で、この男が裁判で裁かれる事はなくなり、捜査段階で吉田和人が供述した内容以外の事が明らかにされる機会が永久に失われました。
この事については保釈を認めた裁判所に対する批判の声も多く上がっています。(吉田和人は傷害致死罪での起訴なので、本来権利保釈の要件を満たさないが、裁判所の裁量で保釈が許可される裁量保釈により保釈されていた)
大林三佐子さんの渋谷ホームレス傷害致死事件の現在② 事件をモチーフにした映画が公開
2022年10月8日公開の高橋伴明監督の映画「夜明けまでバス停で」は、大林三佐子さんが殺害された「渋谷ホームレス傷害致死事件」をモチーフにした作品です。
幡ヶ谷のバス停で、2020年冬に実際に起きた事件を基にした社会派ドラマ。コロナ禍で住まいと職を失いホームレスになった女性と、その周囲の人々の自尊心ゆえに生まれる“社会的孤立”を浮き彫りにする。監督は『痛くない死に方』の高橋伴明。主演に板谷由夏を迎え、共演には大西礼芳、三浦貴大、松浦祐也、ルビー・モレノらが名を連ねている。
大林三佐子さんが殺害された事件をそのまま追ったノンフィクション作ではなく、事件をモチーフにしたオリジナルストーリーのフィクション作品ですが、大林三佐子さんの事件が報じられた時に多くの人が感じたであろう世の中の不条理に焦点を当てた社会派作品です。
コロナ禍などの影響を受けてホームレスになってしまう主人公の北林三知子役を演じるのは、「運命じゃない人」、「欲望」などの代表作や、長年「NEWS ZERO」のキャスターを務めた事でも知られる人気女優の板谷由夏さんです。
その他、柄本明さん、柄本佑さん、筒井真理子さん、三浦貴大さん、ルビー・モレノさんといった人気俳優が多数出演されています。
まとめ
今回は、2020年11月16日に、東京都渋谷区幡ケ谷で発生した「渋谷ホームレス傷害致死事件」の被害者である大林三佐子さんについてまとめてみました。
大林三佐子さんは、広島県広島市の出身で、市内の中高一貫の私立女子校に通っていた生い立ちを持ち、高校時代は声優を夢見ていたそうです。高校卒業後は市内の女子短大へと進み、地元の劇団に所属して活動しながら、アナウンサーを目指してい養成教室にも通っていたという事です。この当時の若い頃の写真は報道番組などで公開されており美人という声が多く上がりました。
その後の経歴については、27歳で結婚して夫ともに上京したものの1年ほどで離婚。その後は仕事を転々としつつ、事件の約半年前まではスーパーの試食販売の仕事をされていたという事です。
しかし、経済的な理由で家賃を支払えずにアパートを出る事になってホームレス状態になり、渋谷区幡ケ谷原町のバス停で夜を明かしていたところを、突然、近所に住む吉田和人という男に背後から石を詰めたレジ袋で頭部を殴られ、その怪我がもとで亡くなりました。
犯人の吉田和人は、事件現場から800メートルほどのマンションに母親と住んでいた事件当時46歳の男で、ボランティアで地域の清掃をしていて、バス停に座っている大林三佐子さんの存在が邪魔だったという身勝手な動機により犯行に及んだようです。
犯人の吉田和人はその後逮捕され、傷害致死罪で起訴されましたが保釈され、裁判が始まる直前の2022年4月8日に自宅近くの建物から転落して死亡しています。自死の可能性が高いという事です。
現在も、大林三佐子さんが亡くなった理不尽な事件は社会の注目を集めており、2022年10月にはこの事件をモチーフにした映画「夜明けまでバス停で」が公開されます。