2chのVIP板の某スレ発祥の都市伝説「アガリビト」が話題になっています。
この記事ではアガリビトの都市伝説の内容や、舞台となった地域が九州の古賀姓の多い福岡県南部の筑後地方といわれている事や、アガリビトは嘘か真実かなどについてまとめました。
この記事の目次
アガリビトとは山にまつわる2chのスレ発祥の都市伝説の1つ
出典:https://livedoor.blogimg.jp/
「アガリビト」とは、2ch(現在の5ちゃんねる)のVIP板の「日本で一番不気味な未解決事件って何よ?」というスレへの書き込みを元にした山にまつわる都市伝説です。
ここでは、ネットの怪談ファンや都市伝説ファンの間でも人気の高い「アガリビト」についてまとめていきます。
そもそも「アガリビト」とは、人間の手の入っていない自然の中で、動物に戻ってしまった者を指し、九州のある地域では神様のように扱われているのだそうです。
ネットに広まったきっかけはアガリビトと遭遇したという2chへの書き込み
アガリビトは、2010年5月にある人物(仮にKさん)が、中学生の頃に祖母の山奥の田舎での体験談を2chのスレに書き込んだ事で広まった都市伝説です。まずはその内容を紹介していきます。
Kさんは中学生の頃に祖母の田舎に遊びに行った時には、他にやる事もないから、よく近所の渓流へ出掛けてルアーフィッシングをしていたそうです。この地域は「古賀」という名字が多い、九州のある田舎だという事です。
その日、段々と釣りに飽き始めていたというKさんが竿を思い切り投げたところ、当時お気に入りだったルアーが渓流対岸の林の中にまで飛んでいってしまいます。
Kさんはお気に入りのルアーを回収するために石を伝って対岸へと渡りますが、1時間くらい探しても一向にルアーは見つかりませんでした。
すると、不意に後ろから「パキパキ」と枝が折れる音がして、Kさんが後ろを振り返ると、そこには全裸の人が立っていたのだそうです。
この全裸の人の特徴は、若いようでいてガリガリの老人のようにも見え(30代〜70代)、髪は長く、目が大きいそうです。この見出しの冒頭に掲載した画像は、Kさんが手書きした「アガリビト」のイラストです。
全裸の怪しい風貌の人物と森の中で遭遇した時点で驚いて逃げそうなものですが、Kさんは不思議と怖くなかったらしく、「こんにちは」と挨拶をしたそうです。すると、その全裸の人はにっこりと笑いかけてきたため、Kさんは悪い人ではないと思い、「ルアーがどこかに行ってしまって」と話しかけてみたそうです。
すると、全裸の人は「ンー」と言いながらKさんに近づいてきて、アシモ(おそらくホンダの2足歩行ロボットASIMOを指していると思われる)のような動きで、Kさんの周りをぐるぐると歩き始めたのだそうです。この間も全裸の人は「ンー」という声を発し続けていたそうです。
そして不意に、この全裸の人は足元にあった大きめの石を大切そうに持ち上げると、その下を覗き込むようにしたそうです。
Kさんが「いやいや、そんなとこにはないですよw(原文のママ)」とツッコミを入れると、全裸の人はニコニコと笑いながら、突然持っていた石をKさん目掛けて投げつけてきたそうです。石はKさんの頭のすぐ横を通過しました。
Kさんが驚いて全裸の人の顔を見ると、その顔はもう笑ってはおらず、ギラギラとして目でこちらを見ており、突然「ギャー」という感じのわけのわからない奇声を発したそうです。
さらに、周囲から「パキパキ」と枝が折れるような音が無数に響き、Kさんは大勢の全裸の人に取り囲まれているように感じて必死に祖母の家まで逃げ戻ったそうです。
祖母にその全裸の人は「アガリビト」だと教えられる
逃げ帰ったKさんは、森の中での出来事を祖母に話しました。すると、祖母は「坊、それはアガリビトだっちゃ(原文のママ)」と話し始め、Kさんが遭遇した全裸の人は、人間が山に”上がって”自然に帰った姿で、人間の知恵と自然の力を持つ神様のような存在だと教えたそうです。
祖母によると、Kさんが遭遇したのは、まだ中途半端な状態の「半アガリビト」で、もし完全なアガリビトに遭遇すれば、その人も「上がっちゃう」ので良かったといった内容を話したそうです。
Kさんが祖母にアガリビトの話を聞いてくるという流れに
2chのVIP板のスレに書き込まれたアガリビトの話を見て興味を持つ人が増えたため、Kさんは今度九州に出張に行くので、そのついでに祖母の家に立ち寄って詳しい話を聞いてくるという流れになります。
そして、Kさんは出張で九州へと行き、祖母宅へ行く前の仕事中にコンビニに立ち寄ったところ、駐車場に停めていた車が車上荒らしにあいノートPCを盗まれるという被害を受けます。この件は後で関係してきます。
それからKさんは仕事を終え20時頃に祖母宅へ、その日は偶然その地域の祭りの日で、本家の親戚Aさんが妻と子供を連れて遊びに訪れていたそうです。
アガリビトの話とほとんど関係ないので詳細は省きますが、Kさんはこの本家の親戚Aさんの妻(女優の仲間由紀恵さんに似ているらしい)と2人でこの祭りを見に行く事になり、そこで4人の巫女が山に向かって踊りを奉納するのを見学しています。
Kさんがこの時に、Aさんの妻に自分がこの山の神様に興味を持っていると伝えたところ、Aさんの妻は自分の大学時代の知り合いにこのあたりの神様の事を研究している人がいるので紹介してあげるといい、その人の連絡先を教えてくれたそうです。
また、Kさんはこの時の巫女さんの写真や祭りのかがり火の写真(上の画像2枚)、アガリビト信仰のような形で厳重に施錠されているという仏壇の写真を証拠として投稿しています。(いずれもどこかから拾ってきたような写真)
Kさんが再び九州の祖母宅へ行き祖母が過去にアガリビトと遭遇した話を聞く
Kさんは祖母宅での出来事を話した翌日、車上荒らしにあったPCが見つかったという現地警察からの連絡を受けます。見つかったPCからは犯人のものと思しき指紋が検出されたそうですが、この指紋は既に死亡している人のものだったという気味の悪い内容を告げられたそうです。
KさんはこのPCを九州まで受け取りに行く事になりますが、この時に再び祖母宅を訪れて、アガリビトについて詳しい話を尋ねています。
そして、祖母は、自分がまだ若かった戦争中に都会から疎開してきた子供が逃げ出して、地域の人々と山狩りをしている最中に、大勢のアガリビトらしき全裸の人たちと遭遇した事を話しました。
祖母が1人山の中で子供らを探していると、詩吟のような間延びした歌を歌う大勢のアガリビトらしき全裸の人々と遭遇したそうです。このアガリビトの集団は逃げ出した子供の1人を取り囲むようにして、山の奥へと歩いて行ったそうです。
祖母がそれを追いかけていくと、アガリビトの集団は森の中の少し開けた場所で立ち止まり、そこにいた真っ黒い塊のような何かの周りに集まり始めたそうです。
するとこの黒い塊が動き出し起き上がったそうです。この黒い塊は、せむし男(ノートルダムのせむし男に登場する怪物)のようで、首と手足がヒョロヒョロと長かった異様な姿をしていたのだそうです。
その直後、この黒い塊は詩吟のような歌を歌い始め(原文のママ)、それに合わせるようにしてアガリビトの集団も歌い始めたそうです。しばらくすると黒い塊が地面に屈み、アガリビトの集団の歌が声がぴたりと止んだそうです。
そして、アガリビトの集団は連れていた子供の服を脱がせると、黒い塊の前へと連れていきました。黒い塊がアガリビトの集団に何かを伝えると、集団の中の1人が突然パタリと倒れ、その直後にアガリビトの集団は再び詩吟のような歌をバラバラに歌いながら、全裸にした子供を連れて山の方へと去っていったそうです。
残されたのは黒い塊と、倒れた1人だけだったという事でした。祖母は恐ろしくなって気を失い、気がついた時には自宅の布団だったそうです。
以上が、アガリビトの元ネタである2chのスレに書き込まれた内容です。
アガリビトが出た地域は古賀姓の多い九州福岡県南部の筑後地方か
2chのスレに書き込まれた内容によると、アガリビトに遭遇したのは九州の「古賀」という名字が多い地域だという事です。
このヒントから、アガリビトの地域は九州の福岡県の田舎ではないかと言われています。特に古賀姓の多い地域として、福岡県南部の筑後地方という説が有力だとされています。
アガリビトの都市伝説の初出の2010年の2chスレッドと書き込み
現在ネットで話題になっている「アガリビト」の都市伝説は、2chのニュー速VIP板に2010年5月28日に立てられた「日本で一番不気味な未解決事件って何よ?」というスレへの書き込みが元ネタです。
314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/28(金) 05:41:49.73 ID:EjI2Qk480山は怖い、何が怖いって幽霊とか動物とか天候とか色々あるけど一番怖いのは人間。
お前ら山とかいって開放的になるだろ?すがすがしいな~ってなるだろ?これは一種のボーダーラインを越えそうになってるから。町とか村とか人間が作った物に守られ続けてる人間ほど開放的になりやすい。
この書き込みをした2chユーザー(2ちゃんねらー)は、続けて、自分は中学生の頃に九州の山奥にある祖母の田舎で「アガリビト」という異形に遭遇したという冒頭で紹介した話を続けました。
他の2chユーザーらがこの話に食いつき盛り上がったため、最初の書き込み主が、祖母やその親戚達から話を聞いて、アガリビトの真相に迫っていくという流れになって、6月1日までこの話題でスレが進みました。
今回の記事でまとめた都市伝説「アガリビト」の内容は、この元ネタの2chスレへの書き込みがを元に構成しています。
オリジナルは蛇足部分が多くて少し読みづらいのですが、現在もこのアガリビトの元ネタの2chスレの内容は検索すればネット上でいくらでも閲覧可能なので、興味のある方は読んでみると良いでしょう。
アガリビトの都市伝説は嘘か真実か
アガリビトの都市伝説が嘘か真実かもネット上で話題になっています。
結論から言って、元ネタになった2chのスレッドに書き込まれた内容はご都合主義のような内容が多すぎるので、間違いなく嘘で、全て作り話でしょう。
元ネタの書き込み主は、アガリビト信仰のような仏壇があると言って写真(上の画像)を投稿していますが、観音とびらの形状から、どう考えても普通の仏教の仏壇だと思われます。
仮に地域に根付いたアガリビト信仰なるものがあったとしても、巫女さんが踊りを奉納する祭りをするような神様を、大陸から伝来した仏壇で祀るというのは不自然で、これは明らかに嘘です。
ですが、アガリビトが山に返って動物に戻ってしまった人間だという部分だけは、どこか真実味があり、その部分に興味を抱く人も多いようです。
嘘か真実かは別にして「アガリビト」という都市伝説自体は人気が高く、人気フリーホラーゲーム「怪異症候群」の中にもアガリビトを元ネタにしたエピソードが盛り込まれています。
アガリビトらしきものを見た事があるというネットへの書き込みも
2021年8月に「Yahoo!知恵袋」に、子供の頃にアガリビトを見た事がある気がするという内容が書き込まれています。
アガリビトを見たことがある。 5歳まで、山の中にある集落に住んでいたのですが、アガリビトを見たことがある気がします。 当時の事を鮮明に覚えているのですが、トイレに大きな窓があって、何となく覗いたら、裏の森の奥に、親子のような裸の人影が見えました。
上で紹介した以外にも実際に山の奥でで全裸で彷徨う人を見た事があるという談はわずかながら存在します。
アガリビトの都市伝説が生まれるきっかけになった2chの書き込みは間違いなく嘘でしょうが、深い山の中に全裸で彷徨いている得体の知れない人間がいるという部分だけは真実なのかも知れません。
まとめ
今回は、ネットで人気の都市伝説「アガリビト」についてまとめてみました。
アガリビトは、2010年に2chのVIP板の某スレへの書き込みを元に広まった都市伝説で、ある人物が中学時代に祖母の田舎の山奥で、全裸姿の異様な人間に遭遇し、それがアガリビトと呼ばれる人間が自然に返った神のような存在だと知るといった内容です。
アガリビトの都市伝説の舞台は、九州の田舎で「古賀」という名字が多い地域だということで、福岡県南部の筑後地方ではないかと言われています。
アガリビトが嘘か真実かも話題ですが、2chのスレに書き込まれた内容から、ほぼ間違いなく嘘で全て作り話だと断言できます。ただ、奥深い山の中で全裸の人間を見たという目撃談はわずかながら存在するため、アガリビトのようなものが山の奥深くに実在するという部分だけは真実なのかも知れません。