岡田更生館事件の館長の実名と写真!跡地の場所と現在・映画やひぐらしのなく頃・アンビリバボーの特集も紹介

終戦後間もない頃に起きた大量殺人事件「岡田更生館事件」が話題です。

 

この記事では岡田更生館事件の概要、犯人である館長の実名や子孫、事件の証拠写真と真相、その後の展開と跡地の現在、映画やひぐらしのなく頃にのモチーフになった件、アンビリバボーでの特集などについてまとめました。 

岡田更生館事件の概要

 

出典:https://minakoro.com/

 

「岡田更生館事件」は、太平洋戦争終戦からすぐ後の1946年12月から1950年まで、岡山県吉備郡岡田村(現在の倉敷市真備町岡田)に設置されていた浮浪者収容施設「岡田更生館」で発生した組織的な監禁、暴行傷害、殺人事件です。

 

事件発覚当時の報道やその後まとめられた資料や記録などによると、岡田更生館事件では、施設開設から事件発覚までに50名〜76名の収容者が死亡したとされていますが、記録に残っていない犠牲者を加えればさらに多くの犠牲者が存在するとも言われています。

 

 

岡田更生事件発覚のきっかけは毎日新聞記者の潜入取材

 

岡田更生館事件は、1949年2月に1人の収容者が脱走に成功し、毎日新聞大阪本社に駆け込んで凄惨な施設内の実情を訴えた事が発覚のきっかけでした。

 

この脱走者からのリークを受けて、毎日新聞社会部記者だった大森実氏と小西健吉氏が岡田更生館への潜入取材を決行し、実態と事の真相を暴き出した事により明るみに出ました。

 

岡田更生館事件について書かれた、大森実氏の著作「エンピツ一本」では、この最初の脱走者からのタレコミがあったのを編集デスクづてに聞いた時の事が以下のように記述されています。

 

北川冬一郎と名乗る放浪詩人が、岡山県営の施設から脱走しての話だが、県営とは名ばかりで恐ろしい監獄部屋らしい。400人の浮浪者が収容されているようだが、毎日死者が出ているらしい。

 

引用:大森実著書「エンピツ一本」上巻より

 

 

岡田更生館事件の時代背景

 

岡田更生館事件があった当時、日本国内は太平洋戦争敗戦直後の混乱期の真っ只中で、市内には空襲で家や家族、仕事を失った者や、外地からの復員兵や引揚者が溢れ、その多くが浮浪者化していました。

 

当時日本を占領統治していたGHQはこの現状を問題視し、こうした問題を解決するよう命令しました。これを受けて、浮浪者を救済するために強制的に収容する施設が日本全国62カ所に設置され、岡田更生館はその施設の1つでした。

 

こうして行政により設置された岡田更生館は、岡田更生館事件発覚までは模範施設と評価されておりその実態は巧妙に隠蔽されていました。

 

 

岡田更生館事件の発覚で暴き出された施設内の実態① 劣悪な居住環境

 

出典:https://blogimg.goo.ne.jp/

 

岡田更生館の実態は事件発覚までの評価とはかけ離れたものでした。

 

事件発覚後の調査資料などによると、収容者が寝泊まりする部屋はいわゆる「タコ部屋」状態で、畳一畳当たり1.3名という、収容能力を超えた過密収容の状態でした。

 

さらに、居住環境は衛生面でも劣悪で、清掃が不十分であり、入浴の機会もほとんどありませんでした。寝具は1人に麻袋が1枚だけ与えられ、就寝時には脱走防止のために全裸にされていました。

 

こうした劣悪な居住環境により、収容者の約半数が結核に、ほぼ全員が重度の疥癬(ダニなどが原因となる皮膚病)に罹患していました。

 

なお、この小見出し冒頭に掲載した画像は、同時期にお台場で撮影された戦災孤児の収容施設の写真で、岡田更生館事件の写真ではありませんが、参考までに紹介しておきます。当時の浮浪者や戦災孤児達がおかれていた環境がいかに劣悪なものであったのかが伝わるかと思います。

 

 

岡田更生館事件の発覚で暴き出された施設内の実態② 栄養失調を招く劣悪な食事

 

収容者に配給される食事は極めて劣悪で、生存に最低限必要な栄養量に大きく満たないものでした。

 

潜入取材を行った大森実氏は、著作「エンピツ一本」の中で、この時の食事について以下のように記述しています。

 

(雑炊は)吐き気をもよおす悪臭だった。隣に並んだ収容者は「飲み込むんだぞ。食わねば死ぬだけで、第1、第2作業場送りだ。目をつむって飲め」といった。

 

引用:大森実著書「エンピツ一本」上巻より

 

この雑炊の中身は、1人あたり溶けかけた米粒が7、8粒と大根の切れ端が1つという、栄養のほとんどないものだったという事です。また、この雑炊は不衛生なバケツで運ばれ、同じく不衛生なアルミ皿に収容者1人につき1杯ずつ注がれて与えられていたという事です。

 

一方、岡田更生館館長(実名については後述)に取り入って気に入られたごく一部の収容者は「指導員」とされ、彼らには十分な食事が与えられていました。

 

 

岡田更生館事件の発覚で暴き出された施設内の実態③ 虐待で死亡者が続出

 

岡田更生館では、収容者を効率的に管理するのを目的に、部長班長制度が設けられており、これが原因でボスと手下のような関係性が収容者間で生まれ、収容者による自警団まで組織されて、脱走を試みたものに対する集団暴行なども横行し、それによる死亡者も出ていました。

 

また、岡田更生館では、収容区画を3つの「作業場」に分けており、入所した浮浪者はまず第1と第2作業場に収容されました。そして、指導員(館長に気に入られた収容者)に気に入られた者だけが、比較的まともな環境にある第3作業場へと昇格できるという仕組みが作られていました。

 

岡田更生館では、外部からの査察が入った時には、この第3作業場だけを見せる事で、模範的施設を装っていました。

 

収容者による監視の目は非常に厳しく、実際に脱走を試みた者に対しては、職員による見せしめの暴行が行われ、バットで殴打されて死亡したり肋骨が折れて死亡したりする者が続出しました。こうした暴行は深夜にまで続けられており、ほとんど殺害する事を目的に行われていたようです。

 

周辺の住民が岡田更生館から毎晩遺体が運び出されるのを目撃しており、その遺体は裏山へと運ばれてそこで焼却されていた事も判明しています。

 

焼かれた収容者の遺体の中には骨箱に収められることはなく、焼却炉付近の広場にそのまま埋められたものも多くあった事もわかっています。

 

 

 

岡田更生館事件の犯人の館長の実名は名木田安男

 

出典:https://cdn.mainichi.jp/

 

岡田更生事件の犯人である館長の実名は「名木田安男」です。

 

岡田更生館事件の犯人である館長の実名は不明とされているウェブサイトが多く、何らかの公権力によって隠蔽されているのではないかなどと噂されているのですが、当時の新聞報道や、潜入取材にあたった大森実氏の著作などでは実名で記されています。

 

こうした館長の実名のわかる画像や書籍が規制されていない事などを考えれば、岡田更生館の館長の実名が何らかの意図によって隠蔽されているという可能性は低いのではないかと思います。

 

 

 

岡田更生館事件の証拠写真が新聞に掲載されこれが逮捕の決め手となった

 

出典:https://stat.ameba.jp/

 

岡田更生館事件では、毎日新聞記者の大森実氏と小西健吉氏が潜入取材を行いましたが、万一の時に備えて救出するための班が本社に待機していました。

 

潜入取材から2日目、大森実氏と小西健吉氏は、脱走者がどのような目に遭わされるのかを取材するためにあえて脱走を決行。

 

大森実氏と小西健吉氏はすぐに十数名もの指導員によって捕らえられ、事務所へと連行されました。ここで大森実氏は危険を察知して「よく聞け!われらは毎日新聞大阪社会部の事件記者だ!」と名木田安男館長に向かって啖呵を切っています。

 

これに、名木田安男館長は「戯言を抜かすな。このまえも偽記者を騙った奴がいた。おい、この2人を道場へ連れて行ってしごいてやれ!」などと切り返しましたが、ここで大森氏は目の前の電話で救出班に連絡。

 

すぐに毎日新聞本社からの救出班が駆けつけています。この時、大森実氏はカメラマンの向井氏を案内して、現場の証拠写真を多数撮影しています。

 

また、事務所では小西健吉氏らが証拠として帳簿を押さえようとし、それを取り返そうとする名木田安男館長らとの奪い合いも発生しています。

 

この時に、毎日新聞記者らが撮影した証拠写真が、その後の岡田更生館事件の発覚と館長らの逮捕への決め手となりました。

 

 

 

岡田更生館事件の真相は館長の名木田による収容者保護費の横領

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毎日新聞記者2人の決死の潜入取材によって明るみに出た岡田更生館事件でしたが、このような凄惨な行為が行われた真相は、名木田安男館長による、県から給付された収容者の保護費の横領でした。

 

 

名木田安男館長は、県から支給された保護費のうち、実に90万円を着服していました。これによって、元から不足していた保護費がさらに減少した事により、収容者らが劣悪な環境におかれる事になったというのが事件の真相でした。

 

また、名木田安男館長が着服した金額の中には、虐待行為によって死亡した収容者に割り当てられた配給と交付金までも含まれていた事もわかっています。

 

この真相解明にも、毎日新聞記者2名が潜入取材をして入手した帳簿などがきっかけになっています。この点でも、毎日新聞の潜入取材は意義の大きなものであったとして評価されています。

 

なお、当時の1円の貨幣価値は現在の500倍ほどなので、名木田安男館長が横領した金額は現在の価値にして4500万円に相当します。

 

 

 

岡田更生館事件のその後① 毎日新聞報道により事件が発覚し館長らが逮捕

 

岡田更生館事件のその後の展開についても見ていきます。

 

大森実氏らの岡田更生館への潜入取材により証拠を得た毎日新聞は「本紙記者二名、館内潜入」、「岡田更生館を探る 本社記者潜行体験記」などの見出しで大々的にこの事件を報じました。

 

これに対して、岡田更生館側は「大森、小西両記者の悪意ある報道」などと記したビラをまくなどして反論しています。

 

その後、国家地方警察(国警)による捜査が始まる事になります。岡田更生館では、この期に及んでも、正面玄関前に「親が子を叱って何故悪い?」、「愛情のムチを見誤るな!」、「大森・小西記者の大誤報!」などと書いたプラカードや貼り紙などを設置して反発しています。

 

この捜査時、岡田更生館側は本館の2階の大広間に会見場を設けて、反論を展開。身なりを整えられた収容者200名余が集められて正座しており、壇上に立った名木田館長が「もし本当に私が悪事を働いたと思う人があれば、今ここで、県や国の役人の前で手をあげてください」などと涙声で訴えるパフォーマンスを行いました。

 

恐怖に支配されていた収容者らはうつむいたままで、手を挙げる者は1人もいませんでした。

 

そこで、捜査団に同行していた大森実氏は、国警の隊長に要請して名木田館長を退場させた上で、再び収容者らに挙手を求めたところ、今度は全員が手を挙げ、名木田館長らの悪事が証明されています。

 

これを受けて、名木田館長をはじめとする職員や指導員ら犯人は国警によって逮捕される事になりました。

 

 

 

岡田更生館事件のその後② 犯人らには軽い刑罰が下されたのみ

 

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岡田更生事件発覚で逮捕された名木田館長らは、事件発覚から1年後の1950年2月に岡山裁判所での裁判で裁かれましたが、下された刑罰は事件の凄惨な内容と比べてあまりにも軽いものでした。

 

主犯格である名木田館長に対しては、業務上横領と私文書偽造の罪で懲役1年(求刑は懲役3年)の判決でした。

 

その他の被告に対しても、岡山県会計課主事の男に対して私文書偽造の罪で懲役1年(求刑懲役2年)、岡田更生館指導員の男性に対して業務上横領と私文書偽造の罪で懲役8か月執行猶予3年(求刑懲役1年)、会計係に業務上横領と私文書偽造の罪で懲役6か月執行猶予2年(求刑懲役1年)というあまりにも軽い判決が下されました。

 

なお、名木田館長と会計主事はこの判決を不服として控訴しています。

 

その後、この控訴は棄却され、地裁での判決が確定していますが、刑期を終えたあとの名木田安男館長の行方は明らかにされていません。

 

 

 

岡田更生館事件の現在…跡地には慰霊碑が立つ【場所の地図あり】

 

出典:https://pbs.twimg.com/

 

岡田更生館事件のその後、岡田更生館は「岡山県吉備寮」と名称を変更して存続しましたが、事件発覚から5年後の1955年に廃止になっています。

 

施設自体はその後も残され、翌1956年に更生施設から救護施設に改組されましたが、これも1957年に廃止となっています。その後、跡地に民間の病院が開設されましたが、これも程なくして閉鎖されています。

 

この場所の近くには現在は岡田更生館事件被害者達の慰霊碑が建立されています。

 

 

 

 

 

岡田更生館事件の犯人・名木田安男の子孫

 

岡田更生館事件の犯人の名木田安男の子孫が現在も存続しているのかは不明です。

 

岡田更生事件のその後、名木田安男館長の行方は記録が残されておらず不明である事から、子孫についてもわからなくなっています。

 

ただ、実名の「名木田」というのが珍しい名字である事から、子孫が存続していれば少し労力とお金をかければ特定できそうです。とはいえ子孫に罪はないのでそれはやめておいた方が良いでしょう。

 

ちなみに「名木田」という姓は、岡山県総社市久代がルーツとなっています。そして、岡田更生館は岡山県の行政施設です。時代背景を考えれば地元の古くからの名士が館長に就いていたと考えるのが自然です。

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岡田更生館事件で名木田安男館長に下された刑罰が不自然に軽かったのも、そうした事情が関係していそうです。

 

その意味でも、名木田安男館長の子孫についてはあまり掘り下げない方が良さそうです。

 

 

 

岡田更生館事件をモチーフにした映画

 

岡田更生館事件をモチーフにした映画についても盛んにネット検索されているようです。

 

ただ、現在のところ、岡田更生館事件をモチーフにした映画は制作されていません。事件自体があまりにも人間社会の暗部に関わる内容である事や行政が絡んだ闇の深い事件だという事もあって、映画化自体を尻込みしてしまう部分も大きかったのでしょう。

 

 

 

岡田更生館事件が「ひぐらしのなく頃に」の設定のモチーフになった噂も

 

映画化はされていない岡田更生館事件ですが、人気アニメ(原作はゲーム)の「ひぐらしのなく頃に」の一部設定のモチーフにされていると言われています。

 

ひぐらしのなく頃にの登場人物の1人鷹野三四が過去に収容されていた孤児院の実態が「岡田更生館事件」をモチーフにしているのではと噂になっています。

 

 

なお、ひぐらしのなく頃にの制作者が明言されている事ではないので、岡田更生館事件がモチーフになっているというのはあくまでも噂です。

 

 

 

岡田更生館事件はアンビリバボーで特集されよく知られるように

 

出典:https://blogimg.goo.ne.jp/

 

戦後の衝撃事件の1つとして一部マニアの間で知られていた岡田更生館事件でしたが、2020年9月3日に放送されたフジテレビ系バラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」が特集したことで一般的にもよく知られるようになりました。

 

奇跡体験!アンビリバボーでは、岡田更生館事件を「真相を暴け!命がけ潜入捜査!」のサブタイトルで特集し、潜入取材を行った大森実氏に焦点を当てる形で紹介されました。

 

アンビリバボーでの再現映像を交えた岡田更生館事件は、多くの視聴者に衝撃を与えたようで、ネット上でも話題になっていました。

 

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まとめ

 

今回は、戦後の混乱期の日本の浮浪者収容施設で発生した組織的な監禁、暴行傷害、殺人事件「岡田更生館事件」についてまとめてみました。

 

岡田更生館事件は、当時日本に溢れていた浮浪者を収容するために岡山県吉備郡に設置されていた岡田更生館で、館長の名木田安男をはじめとする職員らによる収容者に対する虐待行為が行われて、少なくとも76人が死亡した事件です。

 

岡田更生事件の真相は、館長の名木田安男による、県からの運営金の横領でした。これにより収容者のための金が不足した事から収容者らは劣悪な環境におかれ、暴行と栄養失調、病気などによって次々と死亡しました。

 

岡田更生館の館長の実名は「名木田安男」です。岡田更生館事件は検索しても館長の実名が見つからない闇の深い事件だと噂されていますが、当時の新聞や裁判記録、関係者の著作などを調べれば、すぐに館長の本名が「名木田安男」である事がわかります。

 

また、当時の施設内の写真も潜入捜査をした毎日新聞の記者らがその脱出時に撮影しており、当時の新聞を図書館などで閲覧すればたくさん見る事ができます。(ネット上にはあまり多くは見つからない)

 

岡田更生館事件のその後については、名木田安男館長をはじめとする犯人らが逮捕されましたが、殺人罪で裁かれる事なく、業務上横領と私文書偽造の罪などで最長でも懲役1年というあまりにも軽い刑罰が下されたのみでした。

 

また、名木田安男のその後も明らかにされておらず、その子孫の有無などもわかっていません。

 

岡田更生事件はその凄惨さや闇の深さもあってか、これまでに映画化などはされておらず、モチーフにもされてないようです。

 

ただ、ゲームが原作の人気アニメ作品「ひぐらしのなく頃に」の一部設定に、この岡田更生館事件がモチーフにされていると噂されています。

 

岡田更生館事件は一部のマニアの間で知られている事件でしたが、2020年に人気バラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」で特集されたことで、広く一般的にも知られるようになりました。

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