1996年に発生した「横山ゆかりちゃん行方不明事件」が注目されています。
この記事では横山ゆかりちゃん行方不明事件の経緯、一部から批判もある両親や、現場となったパチンコ店や防犯カメラ映像、自宅、ルパンに似た男が犯人説、テレビ番組での霊視結果、現在などについてまとめました。
この記事の目次
横山ゆかりちゃん行方不明事件の概要
「横山ゆかりちゃん行方不明事件」は、1996年7月7日に、群馬県太田市高林東町にあるパチンコ店「パチトピア」に両親に連れられて訪れていた当時4歳の女児・横山ゆかりちゃんが行方不明になり、現在も発見されていない事件です。
横山ゆかりちゃん行方不明事件発生までの経緯
1996年7月7日(日曜日)、群馬県邑楽郡大泉町の電気工事士・横山保雄さん(当時29歳)は、妻の光子さん(当時30歳)、長女の横山ゆかりちゃん(当時4歳、大泉町立西保育園に通っていた)、生まれたばかりの次女(生後8ヶ月)を連れて、車で自宅から約1キロ離れた、群馬県太田市高林東町1594に位置するパチンコ店「パチトピア」(当時の店名)へと出かけました。
両親と横山ゆかりちゃんと妹は、午前10時の開店前に同パチンコ店に到着し、少し並んでから午前10時半頃に店内へ入っています。
横山ゆかりちゃんの両親は、それぞれ別の通路のパチンコ台に座って打ち始め、まだ幼い次女は母親の光子さんがおんぶ紐でおぶり、横山ゆかりちゃんはその間、パチンコ店内で走り回ったり、景品を見たりして1人で遊んでいたという事です。
昼になり、母親の光子さんは横山ゆかりちゃんを駐車場の車に連れて行き、そこでおにぎりを食べさせていますが、少し食べると横山ゆかりちゃんは「もういらない」と食べ残してしまったそうです。
その後、母親の光子さんと横山ゆかりちゃんは再びパチンコ店内へと戻りますが、少し経つと横山ゆかりちゃんはやはりお腹が空いたのか母親の元へ来ておにぎりをねだったそうです。
母親の光子さんは残っていたおにぎりとパックジュースを横山ゆかりちゃんに与えると、パチンコ店内のベンチに座って食べるように言ったそうです。
そして、13時半頃、横山ゆかりちゃんは母親の光子さんの元へ駆け寄ってくると「…のおじちゃんがいるよ」と伝えてきたそうです。両親によるとパチンコ店内の騒音で「…」の部分は聞き取れなかったという事ですが、「新潮45」2016年8月号にはこの時、横山ゆかりちゃんは「優しいおじちゃんがいる」と母親の光子さんに言ったと記されています。
事件の現場となったのは、家族で訪れたパチンコ店『P』。パチンコに興じる両親を店内で待っていたゆかりちゃんは、母親の耳元で「優しいおじちゃんがいる……」とささやいたのを最後に、姿が見えなくなった。
この時、母親の光子さんは横山ゆかりちゃんに「絶対について行ってはダメよ」と注意をしたという事です。
しかし、それからわずか10分後、母親の光子さんは横山ゆかりちゃんの姿がパチンコ店から消えている事に気がつきます。光子さんは慌てて横山保雄さんのところへ行き「ゆかりがいないの」と伝えています。
横山保雄さんは、この時無性に胸騒ぎを覚え、「ただ迷子になっただけじゃない、誰かにさらわれたかもしれない」と感じられたそうで、すぐに警察に通報しています。
警察が、パチンコ店の防犯カメラ映像を解析したところ、ベンチに座る横山ゆかりちゃんの横にサングラスをかけた怪しげな男が並んで座り、顔を近づけて何事か話しかけたり、店の外の方向を指さしたりする様子が映っていました。
そして、この男がベンチを立ってパチンコ店の外の方向へ歩いて行った直後(13時42分頃)、横山ゆかりちゃんはその後を追うようにベンチを立ち(13時45分頃)、店外の方向へ通路を1人で歩いて行き、そのまま行方不明になってしまいました。
パチンコ店の出入り口は防犯カメラの死角になっており、犯人と思しき男や横山ゆかりちゃんが出た様子などは記録されていなかったようです。
警察はこの防犯カメラに残された映像から、この男が横山ゆかりちゃんを連れ去った可能性が高いとみて捜査を開始しています。
警察はパチンコ店周辺や河川敷などを捜索しましたが、横山ゆかりちゃんの手がかりはつかめませんでした。
また、横山ゆかりちゃんが行方不明になった後、横山ゆかりちゃんの両親は捜査員とともに自宅へと戻り、犯人からの身代金などを要求する電話があるかもしれないと、電話に逆探知機をつけて待機していたという事ですが、犯人からのそうした電話はありませんでした。
防犯カメラに映っていた犯人と思しき男の特徴
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パチンコ店の防犯カメラに映っていた犯人と思しき男の特徴としては、当時の推定年齢が「30歳〜50歳」、身長が「158cm」くらい、服装は、白いシャツ、背中にハの字のような白い線が入ったジャンパー、ニッカズボン、サンダル、サングラス姿。体を揺らすようにしてガニ股で歩くといった情報が警察により公開されています。
また、一部では、身長の低さなどから犯人は実は変装した女性ではないかといった意見もあるようです。
行方不明当時の横山ゆかりちゃんの特徴
行方不明当時の横山ゆかりちゃんの特徴は、当時の読売新聞の記事によれば、身長は「約100cm」、体重は「約20kg」で、体型は「ぽっちゃり型」、服装はピンクのワンピースに白の半袖カーディガン姿でした。
横山ゆかりちゃん行方不明事件のパチンコ店の防犯カメラ映像(警察公開)
上でも触れましたが、横山ゆかりちゃんが行方不明になったパチンコ店の防犯カメラに記録された映像には、ベンチに座る横山ゆかりちゃんに顔を近づけて何事か話しかけ、外を指差して連れ出そうとしているかのような不審な男が映っていました。
この時の防犯カメラ映像は、群馬県警によって最新技術を用いて鮮明に画像処理した上で公開されています。
この防犯カメラ映像から新たに、犯人と思われる男が「丸型の腕時計」と「ポーチ」を身につけていた事が判明しています。
横山ゆかりちゃんの両親は現在も行方を探す活動を行なっている
横山ゆかりちゃんが行方不明になってから2022年で26年になりますが、現在も横山ゆかりちゃんの両親は横山ゆかりちゃんを探す活動を続けられています。
横山ゆかりちゃんが行方不明になって25年となった2021年7月7日には、父親の保雄さんが以下のコメントを発表されています。
父親の横山保雄さんは「早く見つかってほしいと思いながらの25年でした。25年も離れ離れになるなんて考えられることじゃないので、私たちがつらい分、ゆかりもつらい思いをしていると思うのでゆかりに対して申し訳ない。本来あるべき家族の元に帰してほしい」と話していました。
横山ゆかりちゃんをパチンコ店で放置した両親が悪いとする誹謗中傷も
現在も横山ゆかりちゃんを懸命に探されている横山ゆかりちゃんの両親ですが、この事件が報じられてから現在に至るまで、一部の人々からの誹謗中傷にもあっていたそうです。
横山ゆかりちゃんは、両親がパチンコに興じて目を離している隙に、行方不明になりました。この事から、まだ幼い女児をパチンコ店に連れて行った挙句、店内で放置していた両親の自業自得であるなどといった声が多く出たのです。
横山ゆかりちゃんは行方不明になる直前に、母親に「…のおじちゃんがいるよ」などと声をかけていたため、危ない人間が近づいている事に気がつかなかったわけがない、にも関わらず、横山ゆかりちゃんを放っておいたのは両親の過失であるといった声もありました。
また、現在の感覚からすると、18歳以下の入店が禁止されているパチンコ店に幼い娘2人を連れ込んで両親がパチンコに興じていたという事実にも違和感を抱く人が多いようです。
ただ、当時からパチンコ店は18歳以下の入店を禁じていたものの、これは建前上のルールのようになっており、子供を連れ込む客は多くいて店側も黙認しているような状態でした。なので、横山ゆかりちゃんの両親もまさか人の目が多くあるパチンコ店内で娘が危険な目には遭わないだろうと油断していた部分もあったようです。
この横山ゆかりちゃん事件以降、パチンコ店の18歳以下の入店禁止のルールは厳格化され、店側もきっちり監視するようになったという経緯もありました。
そのため、現在の感覚では横山ゆかりちゃんの両親の行動は非常識極まりないもののように感じられますが、当時の感覚では一般的とまでは言えないまでも、よくみられる行動であったというのは留意しておかなくてはなりません。
横山ゆかりちゃんの自宅には思い出の品や写真などが飾られている
横山ゆかりちゃんの両親と2人の妹(事件当時一緒にパチンコ店にいた次女と、事件後に生まれた三女)は、事件後も群馬県大泉町の自宅に住んでいるようです。
2021年7月時点のメディア報道によると、横山ゆかりちゃんの両親は、現在もこの自宅に住んで横山ゆかりちゃんの帰りを待っているという事でした。
そうした報道によると、横山ゆかりちゃんの自宅のリビングには、横山ゆかりちゃんの思い出の品や写真などが飾られた棚が設られているという事で、その自宅室内の棚の写真も公開されています。
横山ゆかりちゃんの行方不明になったパチンコ店は現在も店名を変えて営業
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横山ゆかりちゃん行方不明事件が発生したパチンコ店は、群馬県太田市高林東町にある「パチトピア」という店舗でした。
このパチンコ店は現在も店名を変えて営業を続けています。現在はスロット専門店舗になっているようです。
横山ゆかりちゃん行方不明事件の犯人① 北関東連続幼女誘拐事件と同一犯
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横山ゆかりちゃん行方不明事件は、防犯カメラに映っている不審な男による誘拐事件という見方が有力とされています。
この犯人についてですが、1979年から栃木県と群馬県で立て続けに起こった幼い女児の誘拐殺人死体遺棄事件である「北関東連続幼女誘拐事件」と同一犯ではないかと疑われています。
「北関東連続幼女誘拐事件」は、1979年から横山ゆかりちゃん行方不明事件の1996年までの17年の間に、栃木県と群馬県の県境の半径10km圏内で5件もの類似手口による幼い女児の連れ去り事件、及び殺人死体遺棄事件が発生しており、これは同一の犯人によるものではないかとするもので、日本テレビ報道局記者でジャーナリストの清水潔さんが、著作「殺人犯はそこにいる」の中で、この説を主張されています。
同著の中で、清水潔さんは、「横山ゆかりちゃん行方不明事件」を含む、一連の犯行の真犯人の可能性が高い男の特定に成功し、実際に接触した事も書いています。
「北関東連続幼女誘拐事件」の中の1つに、1990年5月12日、栃木県足利市のパチンコ店から当時4歳の松田真実ちゃんが行方不明になり、翌日の5月13日に渡良瀬川河川敷で全裸の遺体となって発見された事件があります。この事件では菅家利和さんという方が逮捕されますが、後に冤罪である事が確定し無罪となっています。(通称・足利事件)
清水潔さんは、この事件の真犯人と思しき男を特定し接触した結果、その男はこの足利事件当日にパチンコ店で松田真実ちゃんと話をした事を認めたというのです。
さらに、この男のDNA鑑定を筑波大学法医学教室・本田克也教授の最新方法で行ったところ、松田真実ちゃんの遺体に付着していた犯人のものと思われるDNA型と100兆人に1人の確率で一致のだそうです。
この犯人と思しき男が、パチンコ店で声をかけて松田真実ちゃんを連れ出したと仮定すれば、あまりにも横山ゆかりちゃんを連れ去った時の手口と似通いすぎています。
こうした内容を根拠に、横山ゆかりちゃん行方不明事件の犯人は、一連の誘拐殺人死体遺棄事件(北関東連続幼女誘拐事件)の犯人と同一人物ではないかと推測されているのです。
横山ゆかりちゃん行方不明事件の犯人② ルパン似の男
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上の仮説とも関連するのですが、横山ゆかりちゃん行方不明事件の犯人は「ルパンに似た男」だと言われています。
これは、上で紹介した清水潔さんの著作「殺人犯はそこにいる」で、清水潔さんが特定した真犯人の可能性が極めて高い人物が、漫画、アニメ作品の「ルパン三世」によく似た男だと書かれている事が出てきたものです。
清水潔さんは、この「ルパンに似た男」という情報から、真犯人と思しき人物を特定し接触。DNA鑑定までも行ったという経緯でした。
そして、重要なのはここからで、この「ルパン似の男」の情報を証言した人物が、「横山ゆかりちゃん行方不明事件」で公開された防犯カメラ映像に映っていた犯人と思しき男が、このルパン似の男に似ていると証言しているのだそうです。
以上の情報が全て事実であるとすれば、松田真美ちゃんを殺害した可能性が高いとされる「ルパン似の男」が、横山ゆかりちゃん行方不明事件の犯人である可能性が高いという仮説が成り立ちます。
ただ、これだけ具体的情報が上がっており、DNA鑑定や目撃者の証言などの証拠がありながら、このルパン似の男が逮捕されていないという事は、犯人ではない証拠があるか、あるいは犯人であるとする決定的な証拠が見つからないか、さらに勘ぐれば何らかの事情で逮捕できない理由があるのかのいずれかという事が考えられそうです。
横山ゆかりちゃん行方不明事件の霊視のテレビ企画の結果
2015年1月5日に、テレビ朝日で、スペシャル番組「信じるか?信じないか?トリハダ!世界の超能力捜査 第4弾 3時間スペシャル!」という番組が放送されました。
この番組内で、「横山ゆかりちゃん行方不明事件」が取り上げられ、イギリス人の有名霊能力者のジョー・パワーという人物(上の画像がジョー・パワー氏)による霊視捜査が行われました。
このジョー・パワーという人物は、イギリスNo.1サイキックとも呼ばれ、死者と生きている人間の精神のコミュニケーションを仲介する事ができると主張しています。これまでに1998年の「リンゼイ・クワイ失踪事件」、2008年の「シャノン・マシューズ誘拐事件」を解決に導いたとされています。
このジョー・パワーなる人物が横山ゆかりちゃん行方不明事件について霊視した結果、1979年〜1990年にかけて発生した連続幼女誘拐殺人事件(上で触れた北関東連続幼女誘拐事件の4件)と、横山ゆかりちゃんの事件の犯人は別人であり、前の4件の事件の模倣犯であるとの霊視結果が示されました。
その他にも、ジョー・パワーは、「横山ゆかりちゃんは犯人に『外に行こう』と話しかけられてパチンコ屋から連れ出されて車に乗せられた」とも霊視、さらに犯人の自動車は「あまり大きくない中型の乗用車で色は白などの明るい色」、「車の中に犬の毛がたくさんあり、犯人は犬を飼っている」、「犯人は車の他にバイクを運転しており、そのバイクは壊れており、その故障時に事故を起こして病院に通っていた」などの霊視結果も示しています。
また、この番組以前にもテレビ朝日「テレビのチカラ」でも横山ゆかりちゃんの霊視捜査が放送されていましたが、この時には「例になってお父さんのすぐそばにいる」などという霊視結果が出されていました。
ただ、これらはなんの科学的根拠もない霊視による情報であり、あくまでもテレビがエンタメ的に垂れ流しただけの情報なので、闇雲に信じる事は避けた方が良さそうです。
横山ゆかりちゃん行方不明事件の現在
横山ゆかりちゃんは現在も発見されておらず、「横山ゆかりちゃん行方不明事件」は現在も未解決のままです。
横山ゆかりちゃんは生存していれば、2022年7月11日の誕生日で31歳になるはずです。
横山ゆかりちゃんの両親は現在も横山ゆかりちゃんの生存を信じて情報提供を求める活動を継続しており、メディアの取材に応じているほか、チラシを配る活動(新型コロナ蔓延後は自粛)、現在の横山ゆかりちゃんの姿を予測したCG画像を掲載したポスターの作成、映画館で情報提供を求める映像を流すなどの活動を行われています。
まとめ
今回は、1996年7月7日に群馬県太田市のパチンコ店で発生した「横山ゆかりちゃん行方不明事件」についてまとめてみました。
当時4歳の保育園児であった横山ゆかりちゃんはその日、両親と生まれたばかりの妹と一緒に太田市のパチンコ店に来ていましたが、両親がパチンコに興じて目を離している間にいなくなり、そのまま行方不明になりました。
パチンコ店の防犯カメラには、不審な男(変装した女性ではと疑う意見も)に話しかけられる横山ゆかりちゃんの映像が記録されており、警察はこの男による誘拐の可能性が高いとして捜査しています。
横山ゆかりちゃん行方不明事件の犯人は「北関東連続幼女誘拐事件」の犯人とされる「ルパン似の男」と同一人物ではないかとする説もありますが、現在まで犯人逮捕には至っていません。
横山ゆかりちゃん行方不明事件は注目度が高く、テレビの霊視捜査などでも取り上げられていますが、それらも犯人逮捕はには繋がりませんでした。
現在も横山ゆかりちゃんの両親は懸命に情報を求める活動を続けられています。