2020年6月にスケボーに乗った5歳児の藤原拓海くんが交通事故で死亡する事故が起こりました。
世田谷腹ばいスケボー事故の詳細やCGや場所での検証、被害者の藤原拓海くんの親・家族と加害者のどちらに原因があるのか、過去の裁判判例とその後や現在をまとめました。
この記事の目次
世田谷腹ばいスケボー事故とは
出典:i.imgur.com
2020年6月23日に東京都世田谷区中町の交差点で、スケボーに腹ばいで乗って遊んでいた5歳の藤原拓海くんがワゴン車に轢かれて死亡した事故です。
6月23日の午後1時ごろ、東京都世田谷区中町にある交差点で、5歳の藤原拓海くんが祖母と一緒にスケボーで遊んでいました。この時、藤原拓海くんはスケボーで腹ばいになって遊んでいたそうです。
そして、交差点に差し掛かり、祖母が最初に交差点を渡り、その後に拓海くんがスケボーで交差点を通過しようとしたところ、ワゴン車の下(前輪と後輪の間)に入ってしまい、そのまま7メートルほど引きずられました。
藤原拓海くんはすぐに救助され、救急搬送されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されています。
ワゴン車の運転手は自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで現行犯逮捕されています。
世田谷腹ばいスケボー事故の再現CGと検証
世田谷腹ばいスケボー事故は腹ばいでスケボーに乗った5歳の少年が、ワゴン車の下敷きになって死亡した事故です。
ただ、この事故の説明を聞いても、いまいちイメージが湧かない人も多いと思います。テレビのニュース番組で、この世田谷腹ばいスケボー事故をCGで検証していました。
<状況>
・見通しの悪い交差点
・ワゴン車側が一方通行の道路
・ワゴン車側に一時停止の標識はなし
・歩行者側(被害者側)の道路には一時停止の標識あり
・被害者の5歳児は祖母と遊んでいた
<事故の経過>
1.事故現場の交差点にワゴン車が差し掛かる
2.ワゴン車は高齢女性(被害者の祖母)が交差点を渡るために一時停止して待っていた
3.高齢女性が交差点を渡り終わった後、自転車が来たのでワゴン車は停止したまま待っていた
4.自転車が停止してワゴン車に道を譲ったので、ワゴン車は発進した
5.ワゴン車が交差点の真ん中に差し掛かった時にスケボーに腹ばいに乗った被害者が交差点に突入
6.スケボーの少年はワゴン車の下(前輪と後輪の間)に入る
7.ワゴン車は少年に気づかずにそのままスピードアップした
8.少年がワゴン車の後輪に引きずられる
9.事故に気付いた運転手が急ブレーキをかける
10.少年は救出されるも病院で死亡
このようにして、世田谷腹ばいスケボー事故は起こりました。
車の免許を持っている人はわかると思いますが、車を運転していて車の下にスケボーに腹ばいになった少年が滑り込んでくるなんて予想できませんよね。
特に、この運転手はワゴン車に乗っていたので、一般的な乗用車よりは運転席が高く、低い場所は死角になりやすく、まさか「今、車の下に少年が腹ばいになっている」なんて想像だにしなかったでしょう。
5歳児の平均身長は約110cmですので、普通に立った状態でスケボーに乗っていたら、運転手は気づいた可能性が高いです。そもそも、車の下に潜り込むことはないので、ワゴン車の側面にぶつかったとしても、7メートルも引きずられることはなかったでしょう。
世田谷腹ばいスケボー事故の発生場所
世田谷腹ばいスケボー事故の場所は、東京都世田谷中町の交差点です。事故現場の報道写真を見ると、東京都世田谷区上野毛4丁目10-15の交差点(上野毛コートハウスB館近く)で事故は起こったと推測することができます。
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この辺りは道幅が狭く、しかも一方通行が多くて、Google Earthでも見れないエリアが多いです。基本的には居住者用だったり、そこに何かしらの用事がある人が通る道路で、通り抜けのために使う道路ではないということでしょう。
こちらが、運転手が視点のGoogle Earthの画像になります。
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そして、右から左に向かって被害者のスケボー少年や祖母が来ることになります。
事故を起こした運転手はこの地点で祖母が通り過ぎるのを待ち、自転車を待っていたけれど、道を譲ってもらって発進し、交差点を通過中に右から少年がスケボーに腹ばいになって突っ込んできたということになります。
この交差点で右から腹ばいスケボー少年がすごいスピードで突っ込んできたら、「気づくことができる」、「事前に危険を察知してブレーキを踏める」という人はいるでしょうか。もしいたら予知能力を持っている人だと思います。
しかも、この交差点を見てわかるように、この道はかなり細いです。しかも、事故を起こした運転手は祖母が通り過ぎるのを待ち、次に来た自転車も通り過ぎるのを待っていようとした(実際は自転車に譲られて発進)ことからも安全運転をしていたことがわかります。
そんな安全運転をする運転手ですから、おそらく交差点に進入した時もそこまでスピードは出していなかったはずです。
世田谷腹ばいスケボー事故は、それでも起こってしまった事故であることが、事故の場所の画像からわかります。
世田谷腹ばいスケボー事故の被害者は藤原拓海くん
世田谷腹ばいスケボー事故の被害者は藤原拓海くんです。藤原拓海くんは東京都世田谷区瀬田に住んでいることがわかっています。
事故現場から瀬田の一番近いエリアまで200~300m程度は離れています。おそらく瀬田の中でも事故現場に最も近いエリアに住んでいて、事故当日は祖母と一緒にスケボーで遊びながら散歩をしていたのかもしれません。
報道では事故当日は4歳と報じられていましたが、その後は「5歳」と報じられていますので、年齢は5歳で間違いないでしょう。
スケボーで腹ばいで遊んでいたら、事故に遭ってしまった藤原拓海くんはすぐに救出されて救急搬送されましたが、心肺停止の重体で病院に運ばれ、搬送先の病院で死亡が確認されました。
拓海君は病院に搬送されたが頭などを強く打ち死亡が確認された。
被害者の藤原拓海くんは幼稚園児と報じられていますので、幼稚園に通っていたと思われます。事故当時5歳であれば、年中さんか年長さんでしょう。
事故が起こった6月23日は火曜日。つまり平日です。その日は幼稚園は午前中だけだったのか、それともコロナの影響で幼稚園の保育時間が短くなっていたのかはわかりません。
普通だったら幼稚園に行っている時間のはずなのに、道路で遊んでいたということは何らかの事情があり、不運が重なった結果だったのかもしれません。
世田谷腹ばいスケボー事故の加害者は瀬田康彦さん
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世田谷腹ばいスケボー事故の加害者は瀬田康彦さんです。
警視庁玉川署は、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで、ワゴン車を運転していた神奈川県相模原市、自営業、瀬田康彦容疑者(47)を現行犯逮捕した。
瀬田康彦さんは自営業と報じていることもありますが、建設会社社長と報じているメディアもあります。おそらく、零細建設会社を営んでいるのでしょう。
世田谷区瀬田に代表取締役が「瀬田康彦」の建設会社がありますので、おそらくその会社が世田谷腹ばいスケボー事故の加害者の瀬田康彦さんの会社と思われます。会社が事故現場から近いので、取引先か仕事の関係で、事故現場を通っていたものと思われます。
加害者には同情の声が集まる
この世田谷腹ばいスケボー事故の加害者は、瀬田康彦さんです。これは間違いありません。瀬田康彦さんが運転していたワゴン車に轢かれて被害者の藤原拓海くんは亡くなりました。これは事実です。
ただ、加害者の瀬田康彦さんには、同情の声が集まっています。一般的には対人事故の場合、車を運転していた側が圧倒的に悪いですし、世論もそのような方向に走ることが多いです。
しかし、この世田谷腹ばいスケボー事故は例外でした。加害者の運転手(瀬田康彦さん)に同乗の声が集まったのです。
世田谷で発生したスケボーに腹ばいで乗ってた5歳児の交通事故、とくダネ!で特集やってるけど、これ運転手に同情するわ・・・
— Traum とらうむと読むらしい (@Traum1) June 24, 2020
東京の世田谷で5歳ぐらいの男の子が車に轢かれて心肺停止。の記事を見たんやけど、スケートボードの上に腹ばいになって乗るのもおかしいし、親が見てなかったこともおかしい。
道路族の子やろな。運転手さん可哀想すぎる。#道路族— ぱんだ (@SOLO__PARENTING) June 23, 2020
加害者の運転手に同情の声が集まった理由には次のようなものがあります。
・腹ばいスケボーは完全に死角
・運転側は優先道路で、スケボー側が一時停止標識あり
・公道でスケボーは危険(しかも腹ばい)
・運転側は運転ルールをきちんと守っていた
報道によってこのような事実が明らかになったため、運転側には非はないと思う人が多かったんです。また、「自分が運転手の立場だったら、スケボーを避けられる自信はない」と考えて、「こんな事故不可避じゃん」と運転手に同情する声が集まったようです。
世田谷腹ばいスケボー事故の原因は被害者の親など家族(祖母)?
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世田谷腹ばいスケボー事故では、加害者の運転手に多くの同情の声が集まったのに対し、被害者の藤原拓海くんの親・家族に原因があるのではないか?という意見も多く聞かれました。
祖母がきちんと見ていなかった
世田谷腹ばいスケボー事故で被害者の藤原拓海くんは、祖母と一緒にいました。つまり、この時の保護者・監督責任者は祖母になります。
もし、祖母がきちんと拓海くんを見ていたなら、「道路で腹ばいでスケボー」なんて危険なことはさせなかったでしょう。
しかも「スケボーに腹ばいになって、手でこぎながら高速で交差点に突入する」ことはやめさせたはずです。
事故が起こった交差点では祖母が一人で交差点を横断し、その後に車が発進したタイミングで拓海くんがスケボーで突入してきました。ということは、一緒に歩いていなかった(進んでいなかった)ということです。
となると、やはり「祖母がきちんと見ていたら、この事故は起こらなかった」と言えるのです。ただ、祖父母の年齢の高齢者が5歳の男の子を完全に見られるか?きちんとコントロールして安全を守れるかというと、体力的に無理が生じるかもしれません。(その場合、子どもを預かる・見るのを断るべきですが・・・)
親のしつけの問題か?
世田谷腹ばいスケボー事故では、被害者の藤原拓海くんの親は事故現場にはいませんでした。
そのため、親には事故の原因がないのか?というと、そんなことないという意見が多いです。
親のしつけが不十分だったことが、事故の原因ではないか?という声があります。
そもそも、道路でスケボーは危険です。道路交通法では下記のように記されているため、法律で明確に禁止されているわけではありません。
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
現場となったエリアが「交通のひんぱんな道路」かどうかはという議論はさておき、一般的な常識を持っていたら、子どもが公道でスケボーをするのはどう考えても危ないです。しかも、腹ばい・・・。
このことから、被害者の藤原拓海くんの親・家族は道路族だったのではないか?と言われているんです。道路族とは住宅街の道路で大騒ぎをして遊ぶ子供とその親を意味します。
道路族は常識のない迷惑行為をしているわけですから、この世田谷腹ばいスケボー事故の原因は親のしつけ・親自身にあったのではないかと考える人もいるようです。
ただ、どんなに常識がない親だったとしても、道路族だったとしても、子どもを交通事故で亡くしているのですから、第三者がむやみに責めることはできませんね。
世田谷腹ばいスケボー事故を加害者が予測するのは不可能?過去裁判は?
過去の裁判ではスケボーを予測できたかがカギ
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過去に車とスケボーの交通事故の裁判では、運転手がスケボーの飛び出しがあるかどうかを予測できるかが判決のカギとなりました。
過去のスケボーと車の交通事故に関しては、平成15年6月26日に東京地裁の判例があります。この事故ではスロープでスケボーをしていた子供が自動車に衝突した事故でしたが、車と子供の過失は6:4でした。
裁判所が出した判決理由の中には、この運転手は近所に住んでいて、その道もよく通っていて、子供が現場で遊んでいることを知っていたのだから、注意すべきだったという内容がありました。
つまり、裁判所としては、スケートボード遊びが危険であることを踏まえつつ、運転手としては近くで子どもが遊んでいることを知っていたので注意すべきだったとしているのです。
この判例から、この世田谷腹ばいスケボー事故では運転手がスケボー事故を予測できたかが大きなカギになると思われます。
加害者の運転手がスケボーを予測するのは不可能
世田谷腹ばいスケボー事故では、加害者が「腹ばいでスケボーに乗った5歳児が交差点に突入してくる」ということを予測するのは不可能と言われています。
このCG画像を見るとわかりますが、運転席からは絶対にスケボー少年(拓海くん)を認識することはできません。完全な死角です。
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事故の目撃者は「子どもがのったスケートボードがすごい速さで交差点に向かっていった」と証言しています。
また、「一時停止した車が動き出したと同時にこの辺にいた子供が寝た状態で車に潜り込むような感じで入っていった」という証言もあります。
しかも、ワゴン車を運転していたため、低い位置は死角になりやすい。このような状態で、加害者側が事故を予測するのは不可能であると言えるでしょう。
交通事故防止コンサルタントの上西一美さんも、「非常に回避が困難である」と述べています。
また、この事故を回避する(事前に気づく)可能性がある対策は、窓を開けておくことと話していました。窓を開けておけば、スケボーで滑り込んでくる音が聞こえるからですね。
確かに、窓を開けておけば回避できる可能性は少し上がりますが、回避できない可能性の方が高いと思います。つまり、プロのコンサルタントでも、「回避が困難」と結論付けているのですから、この世田谷スケボー事故は明らかに非がある人がいない事故、みんな不幸になる誰も得しない事故だったと言えます。
加害者も心に大きな傷を負い、今後車の運転ができなくなるかもしれません。
それどころか、現行犯逮捕されているのですから、社会的名誉も傷つけられています。
親や家族(祖母)も拓海くんを失い、自分のせいだと一生自分のことを責め続けるでしょう。
この事故は関わった人がみんな不幸になるし、明確な悪人がいないというやるせない事故と言えます。
世田谷腹ばいスケボー事故の加害者のその後や現在
その後は加害者は不起訴処分に
世田谷腹ばいスケボー事故はその後、加害者は不起訴処分となっています。
東京地検はこの男性について、今月1日付で嫌疑不十分で不起訴処分としました。
検察は男の子が当時、スケートボードに腹ばいで乗っていたなどの事故の状況から、事故を予見することが難しく、回避することも困難だったと判断したとみられます。
検察は「この事故は予測できない!運転手に過失があるとは言い難い」と結論付けたようです。
先ほどの裁判の判例は「予測できたから運転手にも過失がある」というものでしたが、今回の世田谷腹ばいスケボー事故は腹ばいになった少年がスケボーで突っ込んでくるというのは予測できないと判断されました。
加害者は現在も会社社長
不起訴になった瀬田康彦さんは、変わらずに会社を経営しているようです。世田谷区瀬田にある会社は現在も存在していて、瀬田康彦さんは代表取締役社長のままです。
不起訴になったとはいえ、現行犯逮捕された日常生活への影響は大きかったと思いますが、生活は壊れずに維持できているようなので、良かったです。
世田谷腹ばいスケボー事故のまとめ
世田谷腹ばいスケボー事故の詳細やCGでの検証、事故の場所、被害者の藤原拓海くんや加害者、事故原因は親や家族にあるのか、過去の裁判の判例と予測の関係、その後や現在をまとめました。
このような事故を知ると、車を運転するのが怖くなりますよね。できる限り、安全運転を心がけていきたいです。