犯人の映像や目撃証言があるにも関わらず、犯人逮捕どころか、犯人が特定されていない殺人事件があります。その事件とは、2000年に茨城県牛久市で起こった茨城少年リンチ殺人事件です。
牛久市で起こった茨城少年リンチ殺人事件の概要や場所、被害者の藤井大樹さん、犯人の特徴やこの事件の謎、事件のその後と現在をまとめました。
この記事の目次
茨城少年リンチ殺人事件(牛久市)の概要
出典:youtube.com
茨城少年リンチ殺人事件は17歳の藤井大樹さんが4人の犯人グループにリンチされて殺害された事件です。
・発生日時:2000年5月4日0時30分ごろ
・場所:茨城県牛久市のスーパーの階段
・被害者:藤井大樹さん(17歳)
・犯人:4人グループ(詳細不明)
・犯行:リンチして殺害
茨城少年リンチ殺人事件は2000年(平成12年)5月4日に起こりました。5月3日は茨城県牛久市でうしく鯉まつりが行われていて、深夜になっても通常より若者が街中に多くいる状態でした。
被害者の藤井大樹さん(当時17歳)は、5月4日0時30分ごろに交際していた女性と一緒に牛久市中央にあるスーパーマーケット「スーパーマルヤ」を訪れ、自動販売機でジュースを購入しました。その時、男性4人の犯人グループに襲われ、スーパーマーケットの非常階段に連れ込まれます。
犯人グループは交際女性を羽交い絞めにした状態で、藤井大樹さんに殴る蹴るの暴行を30分にわたり加え続けました。藤井さんは交際女性が犯人に拘束されていたこともあり、抵抗することができず、無抵抗の状態でリンチを受けたと見られています。また、犯人グループに所持金数千円を奪われています。
被害者の藤井大樹さんは意識不明の状態で病院に搬送されましたが、顔が2倍近く腫れあがるケガを負っていて、事件から9日後の5月13日に脳挫傷と急性硬膜下血腫で死亡しました。病院に搬送されてから一度も意識が戻ることはなく、藤井さんの状態はレスキュー隊経験がある父親が見た時「助からない」と思ったほどひどい状態だったとのことです。
警察は現場にいた交際女性の証言から似顔絵を作成し、さらに近所のコンビニで犯人と思われる4人組の映像を入手していましたが、犯人の特定・逮捕に至らず、未解決事件になっています。
茨城少年リンチ殺人事件(牛久市)の場所
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茨城少年リンチ殺人事件が起こった場所は茨城県牛久市中央3丁目にあった「スーパーマルヤ牛久店」の駐車場近くです。現在はクリエイトS・D茨城牛久中央店になっている場所です。
目の前にはセブンイレブンがあり、隣にはホームセンターがある場所で、200m南には近隣公園があります。この近隣公園が事件前日に行われていたうしく鯉まつりの会場になっていました。そのため、事件現場となった場所はいつもよりも若者が多くいたようです。
茨城少年リンチ殺人事件(牛久市)の被害者は藤井大樹さん
出典:youtube.com
茨城少年リンチ殺人事件の被害者は、当時17歳だった藤井大樹さんです。
藤井大樹さんは土木作業員をしていて、交際中の女性と一緒にいたところを襲われました。
事件発生の時間や場所などを考慮すると、おそらく被害者の藤井大樹さんは彼女と一緒にうしく鯉まつりに行っていたのでしょう。お祭りのイベントが終わった後、会場近くの自動販売機(スーパーマルヤの駐車場)で飲み物を買っていた時に、突然4人組に襲われたと見られています。
つまり、被害者の藤井大樹さんは何も非はなく、彼女と普通に楽しく過ごしていたら、いきなり襲われたということになります。藤井さんにとってみれば、突然テロに巻き込まれたようなものしれません・・・。
茨城少年リンチ殺人事件(牛久市)の犯人の特徴
茨城少年リンチ殺人事件では、犯人は捕まっていません。
しかし、犯行現場では被害者の彼女が犯人に羽交い絞めにされた状態でいました。つまり、この女性は犯人の顔を見ているのです。しかも、被害者がリンチを受けていた時間はおよそ30分。30分間も犯人たちを見ていた可能性があります。
女性は事件後に警察による犯人の似顔絵作成に協力しています。また、事件現場から2km離れたコンビニエンスストアの防犯カメラに、犯人と思われる4人組が映っていました。
そのため、犯人の似顔絵や特徴は判明しています。警察が公式に発表している4人の犯人の特徴と共に、5ちゃんねるなどのネット上で噂されている情報をまとめて紹介していきます。
犯人①:坊主頭の男性
・身長:165センチメートル位
・体格:中肉
・頭髪:坊主に近い短い髪
・上衣:白色トレーナー
・下衣:黒色ズボン
ネット上では、この坊主頭の男性は事件当時17歳で、「シュウちゃん」と呼ばれていて、鑑別所に入っていたと言われています。
犯人②:ロン毛の男性
犯人の2人目はロン毛の男性です。事件があった2000年当時、木村拓哉さんのようなロン毛が若い男性の間で流行っていましたが、防犯カメラの映像を見ると、そのような髪型をしています。
・身長 175センチメートル位
・体格 やせ型
・頭髪 やや長め
・上衣 黒色パーカー
・下衣 茶色ズボン
映像や似顔絵を見る限り、頬骨がかなり目立つ顔立ちであることがわかります。
犯人③:メガネの男性
茨城少年リンチ殺人事件の犯人の3人目は、メガネの男性です。
・身長:170センチメートル位
・体格:中肉
・頭髪:ぼっちゃん刈り風
・上衣:灰色トレーナー
・下衣:青色ジーンズ
・その他:眼鏡使用
このメガネの男性は、犯人グループの中でも異彩を放っています。ほかの3人はいわゆる「オラついた」タイプ、不良タイプの見た目ですが、このメガネの男性は一見真面目に見えるし、オタクのような雰囲気があります。
いくら真面目に見えても、実際は1人を4人でリンチする犯罪を犯しているので、見た目は関係ありませんが、ほかの3人と比較すると犯人らしくないルックスをしていることは間違いありません。
犯人④:金髪&ヒゲの男性
犯人の4人目は金髪&ヒゲの男性です。
・身長:175センチメートル位
・体格:やせ型
・頭髪:パーマ風の茶髪
・上衣:黒色トレーナー
・下衣:茶色ズボン
4人の犯人グループの中で、ほかの3人は見た目的に10代の可能性がありますが、この金髪&ヒゲの男性は20代に見えます。2ちゃんねるなどのネット上では、この男性が犯人グループの主犯もしくはNo.2と言われています。
茨城少年リンチ殺人事件(牛久市)の謎①:被害者の藤井大樹さんはなぜ襲われた?
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茨城少年リンチ殺人事件は、謎が多い事件です。この事件の謎を紐解いていきましょう。まずは、なぜ被害者の藤井大樹さんが襲われたのかです。
被害者の藤井大樹さんは、彼女と一緒にスーパーの駐車場にあった自動販売機で飲み物を買おうとしていたところを、いきなり犯人4人に襲われています。そして、犯人たちに非常階段に連れ込まれてリンチされました。
なぜいきなり襲われたのでしょうか。ただ単に、イライラして暴れたかっただけ&因縁をつけたかっただけなら、突然襲われたとしても、非常階段に連れ込まれて、30分間もリンチされるところまではいかないはずです。30分間も殴る蹴るを続けるのは、相当体力が必要ですから。
「非常階段に連れ込んで、30分間もリンチをした」という犯行には、何らかの強い恨み・動機を感じずにはいられません。
藤井大樹さんは土木作業員で高校には行っていませんでしたが、母親の証言によると、この日は弟に借りた制服を着ていたとのことです。もしかしたら、学生気分を味わいたかったのかもしれません。
また、きちんとした証言ではありませんが、犯人グループに「お前が牛久のカシラか?」と言われたという情報もあります。
1:被害者の藤井大樹さんは、土木作業員だったが、事件当日は弟さんに借りた制服を着ていた(母親談)。
2:犯人グループに「オマエが牛久の頭(かしら)か?」と聞かれたされている(一説)。
3:犯人グループが事件後に「●●中学校の1つ上の奴をやった!」と吹聴していた(一説)。
ということは、藤井大樹さんは誰かに間違えられて、襲われた可能性があります。
彼女が事件に関わっていた可能性はない
ネット上には、藤井大樹さんの交際相手の女性が黒幕で、藤井さんと別れるために、知り合いに頼んで藤井大樹さんを襲わせたのではないか?という説もあります。
ただ、これはさすがにないでしょう。警察だってその可能性は考えたはずですが、交際相手の女性が逮捕されていない以上、女性は完全な被害者であると言えます。
そもそも、もし女性が知り合いに頼んで藤井さんを襲わせたなら、自分と一緒にいる時ではなく、藤井さんが1人でいる時を狙うはずです。一緒にいる時に襲わせたら、自分に疑いの目が向きますから。
だから、ネット上でささやかれている被害者の彼女が黒幕という説は完全なデマと言って良いでしょう。
茨城少年リンチ殺人事件(牛久市)の謎②:なぜ犯人は逮捕されない?
牛久市で起こった茨城少年リンチ殺人事件の謎の2つ目は、「なぜ犯人が逮捕されないのか?」です。この茨城少年リンチ殺人事件では、被害者と一緒にいた女性が犯人グループ4人の顔を目撃していますし、2km離れたコンビニで犯人グループと思われる防犯カメラの映像も残っています。
おそらく、その防犯カメラの映像と女性の目撃証言から似顔絵が作成されたと思いますが、似顔絵はかなり精巧にできていますし、いくら映像が荒いとはいえ、犯人と顔見知りの人が防犯カメラの映像を見たら、「この人だ!」とわかるくらいの解像度です。
それなのに、なぜ犯人は逮捕されないのでしょうか・・・。
映像や似顔絵が公開されるのが遅かった
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事件が発生した2000年に、犯人の似顔絵は作成されています。また防犯カメラの映像も2000年に警察は入手しています。
ただ、似顔絵と防犯カメラの映像はすぐには公開されませんでした。似顔絵が公開されたのは事件から4年後のこと。2004年になってからでした。
そして、防犯カメラの画像(静止画)が公開されたのは2016年。防犯カメラの映像が公開されたのは2017年になってからです。
事件から17年経って、当時の映像が公開されたとしても、「あの人だ!」とはなかなか思いつきませんよね。「あの人かな?」と思ったとしても、17年前の記憶はあやふやなので、わざわざ警察には通報しない人が多いでしょう。
なぜすぐに犯人の似顔絵が公開されなかったのか?その理由は犯人が未成年の可能性があるからです。被疑者が未成年である場合、原則として公開捜査はしないことになっています。これは警察庁から通達が出ています。だから、似顔絵は公開されませんでした。
「たられば」になってしまいますが、もし事件後すぐに似顔絵が公開されていたら、犯人は逮捕されていたかもしれません。
テレビ番組で犯人を特定するも進展なし
茨城少年リンチ殺人事件は、今まで2回、テレビ番組で取り上げられました。2005年の「テレビのチカラ」、2018年の「緊急!公開大捜索」です。
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2005年の「テレビのチカラ」では犯人と思われる人物が彼女に犯行を打ち明けていることまで特定し、テレビ局が警察に情報提供を行っています。
TVのチカラでの報道
TVの力では 『少年R』がRの付き合いのある彼女にやったことを打ち分けている事まで確認。
テレビ局は少年Rを特定して警察へ情報提供したとしているが進展はない。
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当時の放送内容を確認できませんが、かなり有力な情報であることは間違いありません。それなのに、捜査は進展せず、犯人の逮捕には至りませんでした。
もちろん、この「少年R」が警察の捜査の結果、犯人でないと判断した可能性が高いのだと思いますが、似顔絵や防犯カメラの映像の公開が遅くなったことなどを考慮すると、なんだかモヤモヤしてしまいます。
犯人は警察関係者とつながりがあるのか?
茨城少年リンチ殺人事件の犯人は警察や地元有力者の関係者ではないかという噂があります。あくまでも噂です。
ただ、似顔絵や防犯カメラの映像公開が遅かったため、「犯人を特定させない」、「犯人を逮捕させない」という強い力が働いたのでは?と推測する人が少なからずいます。
似顔絵は「犯人が未成年の可能性があるから」という理由で2004年まで公開されなかったのは、まだ理解できます。被害者の藤井大樹さんが事件当時17歳で、犯人も同年代と思われる。だから、犯人が成人した可能性が高い2004年に公開したと理由づけられます。
でも、防犯カメラの静止画の公開が2016年。動画の公開が2017年というのはあまりにも遅すぎるのではないでしょうか。防犯カメラの映像も警察は2000年に入手していたはずです。
それなのに、なぜ15年以上も静止画・動画が公開されなかったのでしょうか?15年以上経つと、人間の印象は大きく変わります。20歳前後の印象と30代後半の印象ではかなり変わりますよね。
それに、15年以上前の記憶なんてあやふやですから、事件発生直後にあの動画を見れば「あいつが犯人だ!」とわかったとしても、15年後に動画を見ても「う~ん・・・」と思って終わりという人が多いと思います。
特に、1999年に発生した栃木リンチ殺人事件では犯人の父親が栃木県警の警部補で、栃木県警の失態が被害者を救えなかったという事実があったため、この茨城少年リンチ殺人事件でも同じようなことがあったのでは?と思った人が多かったのでしょう。
茨城少年リンチ殺人事件(牛久市)のその後と現在:家族が情報提供を求めている
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茨城少年リンチ殺人事件では2017年に犯人たちの動画が公開された後も、犯人逮捕には至っていません。
ただ、被害者の藤井大樹さんの家族は、現在でも事件・犯人の情報提供を求めて活動を続けています。
茨城県牛久市で2000年5月、藤井大樹さん=当時(17)=が男4人に暴行され死亡した未解決事件から24年がたった11日、母康子さん(66)や県警幹部らが現場から約20キロの千葉県柏市にある道の駅で情報提供を呼びかけた。4人が千葉にも土地勘があるとみて、茨城県警は広く情報を集めたいとしている。
被害者のご家族はこの24年、どのような思いで過ごされてきたのかと思うと、本当に心が痛みます。
茨城少年リンチ殺人事件のまとめ
牛久市で起こった茨城少年リンチ殺人事件の概要や場所、被害者の藤井大樹さんについて、犯人の特徴と事件の謎、その後と現在をまとめました。
とにかく一刻も早く犯人が逮捕されてほしいです。