1998年に和歌山県和歌山市で起こった和歌山毒物カレー事件を覚えていますか?この事件は無差別ヒ素殺人として、当時ワイドショーなどで連日センセーショナルに報道され、異常とも思える過熱報道が行われました。
この和歌山毒物カレー事件では林真須美が逮捕されていますが、冤罪ではないかという情報もあります。
今回は和歌山毒物カレー事件の概要や、犯人の林真須美と家族(旦那や子供)、息子と娘(長女/次女/三女)、判決文と動機や冤罪の可能性、真実と少年が真犯人の噂、死刑執行の可能性と現在をまとめました。
この記事の目次
和歌山毒物カレー事件の概要
和歌山毒物カレー事件は、1998年7月25日に和歌山県和歌山市園部地区で起こった無差別ヒ素混入殺人事件です。夏祭りで提供されたカレーにヒ素が混入されていたことで、67人が急性ヒ素中毒になり、うち4人が死亡しました。
この和歌山毒物カレー事件では、近所に住んでいた主婦の林真須美が逮捕されました。
<和歌山毒物カレー事件>
・発生日時:1998年7月25日
・場所:和歌山県和歌山市園部地区
・事件内容:夏祭りで提供されたカレーライスにヒ素が混入
・被害:4人死亡・63人負傷
・犯人:林真須美
林真須美はカレー毒物混入事件・保険金殺人未遂事件・保険金詐欺事件で起訴され、2009年5月19日に死刑が確定しました。
和歌山毒物カレー事件は「夏祭りで起こった無差別毒物混入事件」というセンセーショナルな内容であったほか、住民たちの密告合戦などもあり、マスコミが事件があった園部地区に居座り続けて過熱報道が行われました。
和歌山毒物カレー事件の流れ
1998年7月25日夕方に起こった和歌山毒物カレー事件がどのようにして起こったのか、事件の流れを見ていきましょう。
夏祭りの日にカレー作り
出典:x.com
和歌山市園部地区では1992年度から夏祭りが行われていて、事件があった1998年度は7月25日に行われることになりました。
夏祭りではカレーなどの食べ物を提供するために、夏祭り当日の朝8時30分から住民の女性たちがカレーを調理して、調理後は子供たちがつまみ食いをするのを防ぐために、1時間ずつ交代で見張りをすることになっていました。
夏祭り当日の7月25日、林真須美は午前中に病院で精密検査を受けていたため、カレー作りには参加していませんでした。
林真須美は「午前中に行けない。12~13時の見張りには行く」と班長に伝えていましたが、それが伝わっていなかったのか、無断でさぼったとほかの主婦から思われていたようで、調理中や調理後は林真須美の悪口・批判が話題に上がっていました。
調理をしていた主婦(Aさん)が林真須美について、「朝調理に来なかったから、来るかどうか分からへんわ」と興奮気味に批判している時、病院での精密検査が終わった林真須美が現れたのです。
林真須美がカレーを見張る
出典:sankei.com
調理が終わったカレーを見張るために、林真須美とAさんが2人でカレー鍋の近くに残ることになりましたが、Aさんは林真須美に「氷を作ってくれているかどうか聞いてきて」と伝え、林真須美はその場から離れ、氷のことを確認しに行きます。
林真須美がその場から離れるのとほぼ同時に、他の主婦も自宅に戻り、Aさんはカレー鍋の現場に1人になりました。
林真須美は約10分後に戻って来て、今度はAさんが「家に帰りたい」と林真須美に伝え、その場を離れ、カレー鍋の現場には林真須美が1人で残されました。
Aさんが自宅に帰ったのは12時20分ごろ。そこから林真須美の子供たちが来たものの、すぐに出て行ったので、13時ごろまでは林真須美がほぼ1人でカレー鍋の見張りをしていたことになります。
裁判では、この約40分の間に林真須美が紙コップを使ってヒ素をカレー鍋に混入させたとされています。
体調不良者が続出し4人死亡・毒物はヒ素
出典:x.com
7月25日の夕方、夏祭りが始まると、カレーが提供されました。しかし、カレーを食べた人たちが次々に腹痛や吐き気を訴えて、病院に搬送されることになりました。
異変に気付いた人が「カレーストップ!」と命じて、カレーの提供は中止されましたが、中毒症状を訴えた被害者は67人にのぼり、うち4人が死亡しました。
<和歌山毒物カレー事件で死亡した4人>
・自治会長の男性:64歳
・副会長の男性:53歳
・小学4年生男子:10歳
・女子高生:16歳
この和歌山毒物カレー事件は、当初は食中毒とみられていましたが、和歌山県警の科学捜査研究所の検査により、青酸化合物の反応が検出されたため、「青酸化合物による無差別殺人事件」として報じられました。
しかし、青酸化合物が検出されなかった被害者が多かったことから、再検査したところヒ素が検出されたことで、カレーにヒ素が混入されたことによる無差別殺人であることが判明しました。
林真須美が逮捕される
事件から約2ヶ月半後の1998年10月4日、保険金殺人未遂と保険金詐欺の容疑で、近くに住む主婦の林真須美が逮捕されました。この逮捕はあくまでも「保険金殺人未遂と保険金詐欺」であり、和歌山毒物カレー事件での逮捕ではありません。
つまり、別件逮捕です。その後、さらに別件逮捕が続き、とうとう12月9日に和歌山毒物カレー事件の殺人と殺人未遂の容疑で逮捕されました。
・10月4日:林真須美→保険金殺人未遂と保険金詐欺の容疑で逮捕
・10月26日:林真須美→別の殺人未遂と詐欺容疑で逮捕
・10月26日:林健治→詐欺容疑で逮捕
・11月18日:林真須美→健治への殺人未遂容疑で逮捕
・11月18日:林健治→詐欺容疑で逮捕
・12月9日:林真須美→和歌山毒物カレー事件で逮捕
12月29日には殺人と殺人未遂の罪で起訴されました。
林真須美が和歌山毒物カレー事件で逮捕された理由には、次の5つがあります。
・林真須美の自宅からカレーに混入されたものと同じ組成の亜ヒ酸が発見された
・林真須美の頭髪からも高濃度のヒ素が検出された
・林真須美だけがカレーにヒ素を混入させる機会があった
・林真須美がカレー鍋の蓋を開けるような怪しい挙動が目撃されていた
・以前からヒ素や睡眠薬を使った保険金殺人未遂や詐欺をしていた
林真須美は保険金殺人未遂・保険金詐欺については認めたものの、和歌山毒物カレー事件については嫌疑を否認しています。
和歌山毒物カレー事件の場所
出典:mainichi.jp
和歌山毒物カレー事件が起こった場所は、和歌山市園部1013番地の5にある空き地です。空き地で夏祭りが行われ、そこでヒ素が入ったカレーが振舞われました。
この夏祭りの場所とカレー作りの場所、林真須美の自宅は隣り合っています。カレーを作ったガレージを挟んで、両隣に夏祭り会場と林真須美の自宅がある形です。
後述しますが、この園部地区は治安が悪いと言われています。
■和歌山市園部地区で起きた事件
1988 新聞配達の女子高生が殺される
1993 タクシー運転手が殺される
1997 娘が母親を絞殺する
1997 弟が姉を撲殺する
1998 和歌山毒物カレー事件
また、和歌山毒物カレー事件が起こった後は、林真須美の自宅は放火されました。のどかな新興住宅地でこれだけ凶悪犯罪が頻発するのは、ちょっと気味が悪いですね。
和歌山毒物カレー事件の犯人の林真須美とは?
林真須美は和歌山毒物カレー事件が起こった1998年当時、37歳でした。
林真須美は1961年7月22日に和歌山県有田市で生まれました。両親ともに忙しい人で、寂しい思いをしたことはあったようですが、経済的には恵まれていました。
高校卒業後は大阪にある大学附属の看護学校に入学し、学校の寮に入って生活していました。そのような中、19歳でのちに夫になる林健治に出会いました。
当時、林健治は白アリ駆除の会社を経営する35歳。19歳の林真須美はお金を持っている大人の
男性である林健治に惹かれ、看護学校を卒業した翌年の1983年に結婚しました。
林健治と結婚した林真須美はウエイトレスや化粧品販売の仕事をしながら、4人の子供を出産します。
贅沢な暮らしをしていた
林真須美の父親は地元の漁業の網元をしていたこともあり、かなり羽振りが良かったようです。
林健治の証言によると、林真須美が看護学校に通っていた頃は、林健治に会うために大阪から和歌山までタクシーで往復していたとのこと。
しかも、学生でも1万円以上の化粧品をバンバン使っていたそうです。
家を買う時も、林真須美の両親がドンと現金を持ってきたそうです。
家を買ってすぐに、眞須美の父親が訪ねてきたという。
「これ持っとけゆうて、スーパーのレジ袋を差し出すんですよ。なんかな思うて中のぞいたら、札束ですわ。そんときは、ボンとカウンターの上に置いといたんです。ほいで、あとで眞須美に『この金もろてええんか』ゆうたら『うん。ええ、ええ。もうといたらええわ』って。二〇〇〇万ありましたわ。
林真須美は自分では稼がないけれど、親などの家族の贅沢な暮らしをすることが当たり前という価値観を持っていました。贅沢な暮らしをするのが当たり前であり、節約するなんて考えられなかったのでしょう。
後述しますが、結婚生活の途中から、夫の林健治は働かなくなります。でも、自分では稼げないし、必死に汗水たらして働く気もない。だから、保険金詐欺に手を染めるようになっていったし、異常なほどお金への執着が強かったのかもしれません。
林真須美の家族:旦那
林真須美の夫である林健治は、林真須美の16歳年上で、和歌山毒物カレー事件が起こった時は53歳でした。
林健治は和歌山県でシロアリ駆除会社を経営していて、35歳の時に林真須美と出会います。この頃はかなり羽振りが良かったようで、派手な車を乗り回したり、20万円のネックレスを林真須美にプレゼントしたりしました。
ただ、この頃林健治は既婚者でした。
健治は既婚者だったが、そのことは伏せて眞須美とつきあい出したのだという。
「当時の嫁はんの実家が埼玉でね。『ちょっと静養してこい』と帰らして、ほいでそのあいだに眞須美と。
結婚しているのを隠して林真須美と交際を開始し、離婚が成立してから、1983年に結婚しました。林健治は3回目の結婚、林真須美は初婚でした。
林健治はもともとギャンブル好きで、結婚後に徐々に仕事をしなくなります。麻雀や競輪を繰り返していて、林真須美の長男は「父親の仕事は麻雀だと思っていた」と語るほど、ギャンブルにハマっていきます。その延長線上で、保険金詐欺に手を染めるようになったそうです。
長男が街録chに出演した時は、父親は保険金詐欺について次のように語っていたと話しています。
保険金詐欺もどんどんエスカレートしていって、目的が「お金を得る」っていうよりかは、もうその「ギャンブルを楽しんでいる」っていうような感じになっていた
林っ真須美の旦那の林健治は根っからのギャンブラーであり、保険金詐欺も行い、20歳そこそこの看護学生を騙して不倫をするようなクズ男だったということですね。
林真須美の家族:長女は娘を虐待&無理心中
林真須美には4人の子供がいました。長女は事件当時、中学3年生でした。
事件後は母親代わり
出典:nhk.or.jp
和歌山毒物カレー事件が起こったことで、林真須美は殺人・殺人未遂罪で逮捕、旦那の林健治も詐欺容疑で逮捕されたことで、子供だけが残される形になりました。
そんな中で、長女がほかの3人の子供の母親代わりになります。
孝一さん
「(姉は)守ろうとしてくれていましたね、僕たちが(警察の)取り調べに連れていかれるときも、『分からないことは分からないと言いなさい』と。完全に母親代わりとなって、僕たち残りの兄弟の面倒をみてくれましたね」
姉は自立して、和歌山毒物カレー事件と林真須美から距離を置くために、高校を中退して大阪に出てアパレル関係の会社に就職しました。
結婚して子供を出産する
事件から7年後の2005年に長女は21歳で結婚し、娘(心桜さん)を出産しました。
2009年に林真須美の死刑が確定すると、名前を変え、兄弟たちの連絡も絶ち、和歌山市内のコールセンターで働きながら夫婦で子供を育てていました。
しかし、2013年に旦那と離婚し、娘の親権は「両親がいない」という理由で旦那側に渡ってしまい、1人ボッチになってしまいます。
子供を虐待して自殺
出典:bunshun.jp
ここからはややこしいので、林真須美の長女を「B子」と記載します。
2015年にはB子は木下匠という男性と再婚します。その2年後には次女を出産し、2005年に出産した心桜さん(B子が2005年に産んだ長女)を呼び寄せて4人で生活を始めました。
しかし、ここから心桜さんを虐待するようになります。心桜さんは妹の面倒を見るために、中学校に行けなくなり、虐待を受けるようになりました。
「心桜さんは『妹の世話をしなくちゃいけなくなったから』って、中1からは不登校でしたね。一度、妹を電気カーペットで低温火傷させそうになり、親に怒られて『ハンガーで殴られた』と言っていました」(心桜さんの同級生)
引用:(2ページ目)全身に多数のアザ、歩けないほど衰弱…林眞須美「長女」と「継父」に虐待死させられた16歳娘の“苦界” | 文春オンライン
そして、2021年に心桜さんは虐待をうけ全身打撲による外傷性ショックで死亡します。B子は119番通報をしますが、その2時間後に4歳の次女を抱いて、大阪府泉佐野市の関西国際空港連絡橋から海に身を投げ死亡しました。
そこで飛び降り心中を図ったとみられ、夕方にはともに遺体となって関西空港近くの海に浮かんでいた。母親は全身打撲による多発外傷、次女は水死だった。
引用:林眞須美死刑囚、飛び降り心中した長女が関与“孫虐待死”で逮捕された長女の再婚相手の歪な結婚生活 | 週刊女性PRIME
林真須美の長女は結婚したものの、自分の娘を虐待して死亡させ、さらにもう1人の娘と無理心中をしたという最悪の結末を迎えました。
B子と結婚した心桜さんの義理の父親である木下匠は保護責任者遺棄致死容疑で逮捕されています。
林真須美の家族:次女
林真須美の次女は長女の1歳下なので、事件当時は中学2年生でした。
次女は、林真須美が逮捕された時には「私は常に母といた」と主張していましたが、証言としての信用性が低いために、裁判ではこの証言は認定されていません。
また、そのほかにも母親の容疑を晴らすような証言をしていましたが、「捜査段階では母をかばうために嘘をついた」と裁判では認定されました。
林真須美の家族:息子(長男)
出典:youtube.com
林真須美の長男は、和歌山毒物カレー事件があった当時は10歳の小学生でした。
事件後は姉や妹と共に児童養護施設で暮らすことになりますが、つらい環境で生活することになりました。
児童養護施設での生活
林真須美は教育熱心だったこともあり、事件前はいろいろな習い事をしていて、勉強もしっかりしていましたが、児童養護施設に入ると、施設の子供たちと同じレベルの勉強をすることになり、そこからほとんど勉強をしなくなったとのことです。
また、中学2年生の頃から、施設の女性職員に性的虐待を受けていたとのこと。
両親が逮捕され、施設では性的虐待を受け・・・。あまりにも辛い環境ですね。
結婚も破談に
和歌山毒物カレー事件で逮捕された林真須美の息子であることを隠して生活していた長男に彼女ができます。
彼女には自分が林真須美の息子であることがバレてしまいますが、彼女はそれを受け入れてくれて、結婚に向けて動き出します。
彼女の両親には、自分が和歌山毒物カレー事件の林真須美の息子であることを隠し、「交通事故で両親が死んだ」と説明しましたが、嘘をついていることに罪悪感を感じて、事実を打ち明けたら、結婚は破談になってしまいました。
その他にも飲食店をクビになるなどの差別を受け続けます。
ただ、2019年ごろからはサングラス&マスク姿ではあるものの、マスコミの取材を積極的に受けるようになり、少しずつ自分の考え・事件や母親の林真須美への思いを語るようになっています。
長男が取材を受けることで、他の姉妹にマスコミが取材に行かないようにする防波堤の役割を担っているのでしょう。
林真須美の家族:三女
出典:fnn.jp
林真須美の三女は、和歌山毒物カレー事件が起こった時、まだ4歳でした。
4歳だったこともあり、なぜ両親が帰ってこなくなったのかを理解することができず、長女・次女・長男は「仕事で遠いところに行った」と説明していました。
しかし、同級生たちがわざわざ「カレーに毒を入れて逮捕された」と説明したとのこと。
4歳にして辛い環境に放り込まれることになった三女は、姉・兄と共に児童養護施設で生活することになりましたが、現在は姉・兄とは連絡を絶って生活しているようです。
和歌山毒物カレー事件で林真須美は死刑判決を受けた
和歌山毒物カレー事件では、犯人の林真須美に対し、第一審で死刑判決となり、控訴審でも第一審を支持して控訴棄却、さらに上告審でも上告棄却となり、2009年5月19日に死刑判決が確定しました。
死刑判決が確定した要素
林真須美に死刑判決が出た理由(有罪認定の理由)は以下の通りになっています。
・事件に使われたヒ素と林真須美の周辺から発見されたヒ素の組成上の特徴が同じである
・林真須美以外に、カレー鍋にヒ素を混入させるのは不可能である
・見張り中に林真須美は、カレー鍋の蓋を開けるなど不審な行動をしていた
・林真須美の自宅や昔の家のガレージ、実兄の自宅からヒ素が保管・検出された
・過去にヒ素を使った事件を起こしていた
・ほかの第三者によるヒ素混入の可能性が認められない
林真須美が和歌山毒物カレー事件を起こしたという直接的な証拠はないものの、目撃証言や状況証拠などを積み重ねたことで、死刑判決が言い渡されたことになります。
和歌山毒物カレー事件の犯人の林真須美は危険な余罪があった
林真須美が逮捕され死刑判決を受けた理由の1つに、林真須美が過去にヒ素を使った犯罪を起こしていたことがあります。
林真須美と旦那の林健治は、ヒ素を摂取することにより、自らヒ素中毒を起こして病院に入院し、保険金をもらうという保険金詐欺事件を起こしていました。これについては、長男が「保険金詐欺をやっていた」と断言していますし、林真須美も林健治も詐欺を認めています。
・1993年:転倒して右膝骨折をした林健治は、「バイク事故」と偽って、後遺障害保険金2052万円をだまし取った
・1996年:林真須美が両足を火傷して入院保険金459万円を騙しとった(後遺障害保険金もだまし取ろうとしたが未遂に終わる)
・1996年:旦那の健治にヒ素を飲ませて保険金合計1億3768万円を騙しとった
・1997年:居候の男性にヒ素を飲ませて保険金をだまし取った
旦那の健治と居候の男性は、保険金目的で自らヒ素を飲んだと証言していますが、裁判では「林真須美が死亡保険金目当てで飲ませた」と認定されました。
このように林真須美は和歌山毒物カレー事件以前から、ヒ素を使って犯罪を行っていたため、和歌山毒物カレー事件でも犯人とみなされ、死刑判決が出たと言えるでしょう。
和歌山毒物カレー事件での林真須美の動機は判決文でも不明
出典:sankei.com
和歌山毒物カレー事件では林真須美に死刑判決が言い渡されましたが、実は動機は解明されていません。裁判の判決文でも、「動機は解明されていない」とはっきり述べられています。
大阪高裁の判決文では、動機について次のように推測しています。
ガレージ内で他の主婦から疎外され、氷の件で近隣を回らされるなどしたことに対する腹立ち紛れから犯行に及んだと見るのが最も自然であるが、被告人が真実を語ろうとしない状況において、そのように断定することまでは困難である
この推測された動機を見ると、林真須美は自分が仲間外れにされたから、怒りのあまりに突発的に犯行に及んだということですね。
ただ、最高裁の判決文では林真須美の動機について、次のように書かれています。
(なお,カレー毒物混入事件の犯行動機が解明されていないことは,被告人が同事件の犯人であるとの認定を左右するものではない。)
犯行動機は解明されていないけれど、犯人であることは間違いないから、死刑は妥当であるという判決文になります。
後述しますが、林真須美にはこの和歌山毒物カレー事件を起こす動機が本当にないんです。仲間外れにされたことに怒って、無差別殺人を犯すようなタイプでもないようです。
判決文に「動機が解明されていないけれど、犯人であることは間違いない」という趣旨が書かれるのは、違和感を覚えずにはいられません。
林真須美は冤罪なのか
林真須美は死刑が確定していますが、林真須美本人は冤罪を主張し、さらにほかの有識者たちも「冤罪ではないか?」とこの死刑判決を疑問視する声が挙がっています。
林真須美は本当に冤罪なのかどうかを、冤罪と言われる理由と共に考えていきます。
動機があやふや
出典:fnn.jp
冤罪と言われる理由の1つ目は、動機が分からないことです。判決文にもあったように、和歌山毒物カレー事件の動機はわかっていません。
林真須美には、和歌山毒物カレー事件を起こす動機がないのです。
長男が語っていますが、林真須美はお金のためにヒ素を使って保険金詐欺を起こしましたが、あくまでも「お金のため」であり、お金が入らないのにリスクを冒して、ヒ素を使って無差別殺人をするとは考えられません。
しかも、林真須美がカレーにヒ素を混入させたという確固たる証拠もありません。
動機もないし、直接的な証拠もないのに、林真須美が犯人であると断定するのはおかしいように思います。
林真須美のヒ素混入について
出典:mainichi.jp
和歌山毒物カレー事件では、林真須美が1人でカレー鍋を見張っている時にヒ素を混入させたとされています。そして、林真須美以外にカレーにヒ素を入れることができた人はいないことも裁判で認定されました。
しかし、実際に林真須美がカレー鍋にヒ素を入れていたのを見た人はいません。また、林真須美が怪しい挙動でカレー鍋の蓋を開けたところを見たという目撃証言がありましたが、このカレー鍋はヒ素が入っていない方のカレー鍋でした。
また、確かに林真須美はAさんが自宅に帰ってから約40分間、1人でカレー鍋の見張りをしていました。その時に、ヒ素を入れたとされています。
しかし、数分間程度ではあるものの、他にも3人の住民が1人で見張りをする時間帯がありました。この3人の住民は、家族が被害に遭っていることに加え、「いつ他の見張りの住民が来るか分からない状態」だったため、ヒ素の混入は不可能と判断されました。
ただ、林真須美以外にもヒ素を混入させるチャンスがあったことは間違いありません。となると、「林真須美以外にカレーにヒ素を入れられた人はいなかった」という論理は崩れてしまうように思います。
ヒ素の鑑定が怪しい
ヒ素の鑑定において、カレーのヒ素と林真須美の周辺から発見されたヒ素は組成の特徴が同じという結果が出ました。
しかし、京都大学教授である河合潤氏はこの鑑定は間違っていて、不正があると主張したのです。
1998年に起きたカレーヒ素事件。被告人は分析化学鑑定を根拠に死刑を言い渡されました。被告人の夫がシロアリ駆除業に使っていた亜ヒ酸と、事件の亜ヒ酸とが異なることを知りながら、「同一」に見せるため、濃度比を百万倍して対数を計算した図を示した鑑定書がありました。3価ヒ素(亜ヒ酸のこと)が検出できない分析方法を使って、被告人の頭髪に亜ヒ酸が高濃度に付着していることを検出したとする鑑定書もありました。
この河合教授の主張が正しければ、林真須美が犯人であるという根拠の1つが崩れたことになります。林真須美の周辺のヒ素とカレーのヒ素が違うものならば、林真須美が犯人であるとは断定できないのですから。
夫と知人への殺人未遂が怪しい
林真須美が逮捕された理由の1つに、過去に旦那や居候の男性にヒ素を飲ませて、保険金詐欺事件を起こしていたからというものがあります。林真須美は旦那の林健治や居候の男性への殺人未遂で起訴されました。
ただ、林真須美は、林健治も居候の男性も保険金目当てで自らヒ素を飲んだと主張していますし、林健治もそのように証言しています。
ということは、林真須美は確かにヒ素を使って保険金詐欺をしたけれど、旦那や居候に飲ませていないということになります。
その証拠に林真須美と林健治は離婚していません。林真須美が本当に林健治にヒ素を飲ませようとしたのであれば、林健治は離婚するはずです。でも、離婚していないし、林真須美がいる大阪拘置所にも面会に行っています。
この林健治の行動が、林真須美は冤罪であるという証明になるのではないでしょうか。
長男が母親の冤罪を主張
出典:gendai.media
犯人の林真須美の息子である長男は、林真須美は冤罪だと主張しています。
山口敏太郎さんのYouTubeの中で、『被害者の会の副会長に「真須美ちゃんじゃないよ、あの犯人。あいつだよ」って名前を出して言われた』と話していました。その真犯人は覚醒剤での逮捕歴があるとも話しています。
和歌山毒物カレー事件の真実:冤罪なら真犯人は少年?
和歌山毒物カレー事件では林真須美の死刑が確定していますが、冤罪疑惑も浮上しています。もし、林真須美が冤罪なら、真犯人は誰なのでしょうか?
真犯人は近所の少年(小学生または中学生)ではないかという噂があります。近所の少年がいたずら目的でカレー鍋にヒ素を入れたのではないか?という説ですね。
和歌山毒物カレー事件で真犯人は近所の小学生といわれていますが、
小学生がどうやってヒ素を手に入れたんでしょうか?
このYahoo!知恵袋のように、小学生がヒ素を手に入れられるはずがないと思うかもしれませんが、当時、和歌山市園部地区ではヒ素は身近にあったようです。
・農耕地帯ではヒ素を農薬として使われていたから、納屋に普通にあったのではないか
・あの数日前に地域に排水の害虫駆除のために、ヒ素が配られていた
・あの地域はネズミ対策にヒ素を使っていた
ということは、自宅のどこかにヒ素が置いてあっても不思議ではない。小学生でも使える可能性があったとということになります。
長男は「X」が真犯人であると主張
前述のように、林真須美の長男は被害者の会の副会長から「林真須美ではなく、違う人が犯人だ。その人は覚醒剤による逮捕歴がある」と言われたと語っていました。ただ、これはあくまでも長男が主張していることであり、副会長が表に出てきて主張したことではありません。
長男は街録chに出演した時に、園部地区には「怪しい人」がいたようです。
林真須美一家が園部地区に引っ越してくる前には、青酸化合物で何十匹も犬が殺されたり、新聞配達の少女が殺害されていました。また、事件後にも殺人事件(不審死?)が起こるなど、いろいろと物騒な地区だったことは間違いないようです。
真犯人は別にいて、警察に自分たちが怪しいと思われないいろいろな理由があったんじゃないかのような噂話があったとテレビプロデューサーの増村氏は語っていました。
和歌山毒物カレー事件と林真須美の現在:死刑執行はまだ
再審請求&冤罪疑惑があるうちは死刑執行はない?
出典:youtube.com
和歌山毒物カレー事件では、2009年に林真須美の死刑が確定しましたが、2024年時点でまだ死刑執行はされていません。
林真須美は冤罪を主張しているので、再審請求をしています。2024年2月に3回目の再審請求を行いました。
さらに林死刑囚は今年5月、「第三者の犯行である証拠が見つかった」として、新たに和歌山地裁に再審請求を行いました。
この再審請求でヒ素の鑑定方法と死因に関わる証拠が争点になります。林真須美はカレーを食べた全員からヒ素の他に青酸化合物も検出されていたという鑑定結果があるとのこと。
再審請求をしている間は、「必ず」というわけではありませんが、死刑執行は回避できる可能性が高いです。
再審請求自体に刑の執行を止める効力はないものの、2017年以前には、法務省は再審請求中の死刑囚の執行を避ける傾向にありました。
特に、和歌山毒物カレー事件の場合、やみくもに再審請求をしているわけではなく、鑑定結果に不正の可能性があるのですから、死刑執行は行われない可能性が非常に高いと思われます。
映画が公開
出典:hotori.jp
2024年には和歌山毒物カレー事件を多角的に分析したドキュメンタリー映画「マミー」が公開されました。この映画では、林真須美は冤罪であることを訴えています。
公開前には林真須美の家族に誹謗中傷が遭い、一時は映画公開中止にの可能性もありましたが、2024年8月3日に無事公開されました。
和歌山毒物カレー事件のまとめ
和歌山毒物カレー事件の概要や流れ、場所と犯人の林真須美とその家族(旦那・息子・長女・次女・三女)、判決文や動機と冤罪の可能性、事件の真実と真犯人は少年説、現在と死刑執行の可能性をまとめました。
和歌山毒物カレー事件の真相はわかる日が来るのでしょうか?真犯人と動機が知りたいですね。