1980年代後半から1990年代初頭にかけて、日本はバブル経済に沸いていました。バブル経済に乗じて作られた建物は豪華絢爛でしたが、一部はバブル経済崩壊後に廃墟のようになってしまったものもあります。
バブル期に建設された「バブル遺産」の一覧とバブル遺産の衝撃度ランキングをハコモノ編とホテル・マンション編に分けて紹介していきます。
この記事の目次
日本のバブル遺産の一覧
1980年代後半から1990年代前半にかけてのバブル経済期には、日本ではたくさんの豪華な建物が作られました。
バブル期のなごりが残るそれらの建物は、現在「バブル遺産」と呼ばれて注目を集めています。バブル遺産の中には、現在でも豪華絢爛のまま使われているものもあれば、廃墟のようになっているものもあります。
日本の代表的なバブル遺産を一覧にしてまとめました。
・キングムー(北海道)
・北の京・芦別(北海道)
・ヘレナ国際ホテル(福島県)
・鬼怒川温泉廃墟群(栃木県)
・東京都江戸東京博物館(東京都)
・マインド和亜(東京都)
・ソフィテル東京(東京都)
・ホテル西洋銀座 (東京都)
・ウェスティンホテル東京(東京都)
・ホテル雅叙園東京(東京都)
・八丈オリエンタルリゾート(東京都)
・横浜駅西口シンボルタワー(神奈川県)
・清里(山梨県)
・ホテル石風(山梨県)
・フォルテ(静岡県)
・ヴィクトリア・タワー湯沢(新潟県)
・ユートピア加賀の郷(石川県)
・蓼科仙境都市(長野県)
・丸二ホテル伊勢の郷(三重県)
・志摩磯部駅(三重県)
・ホテル川久(和歌山県)
・アジア太平洋トレードセンター(大阪府)
・ワールドトレードセンター(大阪府)
・新梅田シティ梅田スカイビル(大阪府)
・世界平和大観音像(兵庫県)
・ナシオン斜行エレベーター(兵庫県)
・神戸フルーツフラワーパーク(兵庫県)
・六甲アイランド(兵庫県)
・吉備高原都市(岡山県)
・アクア子与島(香川県)
・シーガイアコンベンションセンター(宮崎県)
・キャデラックハウス(山梨県)
・長崎西海楽園(長崎県)
・卑弥呼の里(熊本県)
この一覧はあくまでもバブル遺産の代表例です。まだまだ日本にはバブル遺産と呼ばれる建物・場所がたくさんあります。
日本のバブル遺産の衝撃度ランキング:ハコモノ編 14位~11位
日本のバブル遺産衝撃度ランキング、まずは「ハコモノ」と言われる建物から見ていきましょう。ハコモノは主に地方公共団体や自治体が建設した建物です。
バブル期にはバブル期には全国各地にたくさんのハコモノが作られましたが、何に利用するのか明確な計画がないままバブル崩壊が来たため、有効活用されず、さらに資産価値は下がり、維持費だけがかかるバブル遺産が少なくありません。
第14位:横浜駅西口シンボルタワー
出典:4travel.jp
・竣工:1986年
・神奈川県横浜市西区
横浜駅の西口ロータリーの中央にある楕円形のタワーは、横浜駅西口シンボルタワー、もしくは風の棟と呼ばれます。このシンボルタワーは1986年のバブル初期に伊東豊雄氏の設計で作られました。
デザインを見るとスタイリッシュな雰囲気がありますが、これは実はただの「換気塔」です。換気塔にこれだけのデザイン性を持たせるリッチさが「バブル遺産」と言えるのではないでしょうか。
ライトアップの時期にはこのシンボルタワーを使ってプロジェクションマッピングなどが行われているそうです。
第13位:新梅田シティ梅田スカイビル
・着工:1990年2月
・竣工:1993年春
・場所:大阪駅から徒歩6分
大阪市北区、大阪駅から徒歩8分にある新梅田シティは梅田スカイビルとウェスティンホテルからなる複合都市1施設で、1993年に誕生しました。
原広司氏が設計し、「天空の城ラピュタ」を思わせる空中庭園が魅力のビルですが、2000年代半ばには来場者数が落ち込み、このままでは「バブルの負の遺産」になると思われていました。
しかし、2008年にはイギリスの有名出版社が選ぶ「世界の建物トップ20」に選ばれたことで、外国人観光客が増え、現在では大阪のランドマークとして人気となっています。
第12位:吉備高原都市
・構想:1973年
・完成:中断中(当初は1990年)
・岡山県吉備中央町
吉備高原都市は自然豊かな環境の中で風俗・伝統・文化を活かしながら、新しい都市を作るための都市計画です。
立派で新しく大きな施設は建設されているものの、バブル崩壊と共に計画は中止され、施設だけは立派だけど、「止まったまま何もない」という状態の「バブルの負の遺産」になっていました。
しかし、2019年に22年ぶりに開発が再始動したようで、今後変わっていくかもしれません。
第11位:芦別カナディアンワールド公園
・開業:1990年7月
・場所:北海道芦別市黄金町
芦別カナディアンワールド公園は、1990年に赤毛のアンをテーマにしたカナディアンワールドというテーマパークを建設し、1991年には官民合わせて合計で423億円規模のリゾート開発が計画されていました。
しかし、来場者数は伸びず、1999年には自治体が「芦別市営カナディアンワールド公園」として無料開放し、2020年からは市民が土日祝日だけ開園する形になっています。バブル期の無茶な計画によるバブル遺産の1つと言えるでしょう。
日本のバブル遺産の衝撃度ランキング:ハコモノ編 10位~6位
第10位:フォルテ
・完成:1990年
・場所:静岡県浜松市中区
浜松駅前にあったフォルテは浜松市と遠州鉄道の共同出資で建設された複合施設です。ガラス張りのアトリウムとオフィス棟からなる複合施設で、バブル期真っ只中の1990年にオープンしました。
しかし、テナントは出資者(運営者)である浜松市関連や遠州鉄道関連しか入っておらず、赤字続きになり、さらにガラス張りの建物のため、耐震補強工事に多額の費用が掛かることが判明したため、2008年に解体・撤去となりました。
完成からわずか18年での解体となり、まさに「バブル遺産」と言える建物でした。解体後は、遠鉄百貨店新館としてオープンしています。
第9位:神戸フルーツフラワーパーク
出典:tohata.co.jp
・開業:1993年
・場所:兵庫県神戸市北区大沢町
神戸フルーツフラワーパークはヨーロッパのお城風のホテル、遊園地やゴーカート、温泉、バーベキュー施設、ドッグラン、プール、果樹園などがある100haの広大な敷地のテーマパークで、神戸市が運営していました。
しかし、バブル崩壊と阪神淡路大震災の影響で、年々客足が減っていき、2017年には道の駅に生まれ変わっています。
第8位:アジア太平洋トレードセンター
出典:jalan.net
・開業:1994年
・場所:大阪市住之江区咲洲
大阪市住之江区の咲洲に建設されたアジア太平洋トレードセンター(ATC)は、大阪市が建設したバブル遺産です。
ATCはアジア・太平洋地域の国際貿易拠点となるはずでしたが、交通の便が悪く、さらに賃料が高いことからテナントがガラガラで、大量の赤字を垂れ流し、経営破綻しています。
その後、再建に取り組んで、2005年にようやく初の黒字を計上し、現在はアウトレットモールなどを運営して、黒字となり、テナント入居率も90%近くに回復しました。
それでも大きなハコモノを十分に生かし切れていない状態は続いています。
第7位:志摩磯部駅
・完成:1994年(現在の駅舎)
・場所:三重県志摩市磯部町迫間
志摩磯部駅はもともと1929年から存在する歴史ある駅ですが、バブル末期の1994年に現在のスペイン風の豪華な駅舎に建て替えられました。駅舎に使用されているレンガはわざわざスペインから取り寄せているほどの念の入れようです。
この志摩磯部駅は志摩スペイン村の最寄り駅で「志摩スペイン村」という副駅名も与えられていて、この駅から志摩スペイン村への直行バスが出ていましたが、2004年には市町村合併により鵜方駅が直行バスの発着駅となたっため、この駅の利用者数は大幅に減少しました。
現在は1日400人前後しか駅を利用しなくなっています。
第6位:シーガイアコンベンションセンター
・完成:1993年
・場所:宮崎県宮崎市山崎町浜山
シーガイア(フェニックス・シーガイア・リゾート)はホテル(シェラトン・グランデ)に隣接する形で、最大5,000名収容可能なシーガイアコンベンションセンターが建設されています。
このシーガイアコンベンションセンターは2000年の九州・沖縄サミットで外相会合が開催されるなど、日本屈指のコンベンションセンターですが、立地が「宮崎のリゾート地」のため、その機能を十分に発揮する機会はほとんどありません。
例えば宮崎のシーガイア。国際会議場を建設すれば建設費が膨らむのは当然だが、交通アクセスの悪い宮崎で国際会議などが一体何回開催されたとうのか。誰の発案で計画が進められたのか、いまだに疑問を持っている。
引用:バブル期の負の遺産 | [ 福岡県民新聞社 ] 福岡県の政治・経済のニュースをどこよりも早く、ズバッとぶった切る! |
宮崎シーガイア自体がバブル遺産と言われることも多いですが、その中でもシーガイアコンベンションセンターはバブル遺産そのものと言われることもあります。
日本のバブル遺産の衝撃度ランキング:ハコモノ編 5位~1位
第5位:六甲アイランド
出典:jalan.net
・完成:1988年~
・場所:兵庫県神戸市東灘区
六甲アイランドは神戸港内にある人工島です。六甲アイランドには「AOIA(アオイア)」という超巨大テーマパークが建設され、ウォータースライダーや屋内遊園地、屋外遊園地が建設されていったのですが、1995年に阪神淡路大震災が発生します。
六甲アイランドは液状化現象に見舞われ、AOIAは壊滅的な被害を受けます。復興には多額の費用がかかるため、そのまま閉鎖されました。
六甲アイランドにはその他の建物のバブル期に計画されたような大きく豪華な「ハコモノ」が点在しています。
第4位:ナシオン斜行エレベーター
・場所:兵庫県西宮市名塩新町
ナシオン斜行エレベーターは西宮名塩駅から西宮名塩ニュータウンにつながる斜行エレベーターです。高低差60mの斜行エレベーターは西宮名塩ニュータウン住民の生命線です。
世の中がバブルの好景気に沸いている時に作られた住宅街だから、交通の便も考えずに街計画が進み、斜行エレベーターという微妙なものが作られたのでしょう。その姿は「バブル遺産」そのものと言える建築物です。
第3位:ワールドトレードセンター
・着工:19991年
・竣工:1995年2月
・場所:大阪府大阪市住之江区南港北
世界各地にあるワールドトレードセンターの1つとして大阪市が計画し、第三セクター方式で建設された大阪ワールドトレードセンターも、バブル遺産の1つです。
着工時には地上252mで計画されていましたが、同時期に大阪府が建設したりんくうゲートタワービルが256mだったことで、高さを4m増やして、りんくうゲートタワービルと同じ256mにしました。
しかし、厳密にはりんくうゲートタワービルは256.1mだったため、結局高さで負けてしまうというオチがついています。
このワールドトレードセンターは1995年2月に竣工しましたが、アクセスの悪さや賃料の高さ、さらにバブル崩壊後に周辺開発が進まなかったことからオフィスの入居が進まず、1996年度にはすでに債務超過に陥り、2003年には事実上の倒産となっています。
その後、再建計画が進みますが、2009年に2次破綻が起こります。
大阪府は知事室と議会以外のすべての部局を移転する計画を立てましたが、東日本大震災の揺れで360ヶ所が損傷し、全面移転を断念することになりました。
現在は一部をホテルとして使っていますが、賃料を滞納していて裁判沙汰になっています。
このワールドトレードセンターがある咲洲エリアは前述のアジア太平洋トレードセンターもあり、咲洲全体がバブル遺産という声もあります。
第2位:世界平和大観音像
出典:mainichi.jp
・完成:1982年
・場所:兵庫県淡路島
世界平和観音像は1982年に建てられました。バブル期の少し前ですが、バブルの先駆け・バブルを象徴する遺産の1つです。
1982年に実業家の奥内豊吉氏が観光目的で100mの巨大な観音菩薩像を建築しました。奥内豊吉氏が1988年に亡くなると、妻が事業を引き継いでいましたが、その妻も2006年に亡くなると、閉園してそのまま廃墟になっていきました。
コンクリートの破片などが落下して危険になってきたため、国が所有者となり、税金を投入して2021年に解体工事が始まり、2022年に完了しています。
バブル期には大きな観音像が各地に建てられていますが、建てた後のことを考えなかったため、この世界平和観音像と同じような事態が起こっています。
第1位:東京都江戸東京博物館
出典:museum.or.jp
・完成:1993年3月
・東京都墨田区横綱
東京都江戸東京博物館は国技館に隣接する場所に建設され、バブル末期にオープンしました。下町の景観を無視したような大きなデザインで、赤字経営となっていたため、石原都知事が「こんなものは潰してしまえ」と言い放ったことでも有名です。
下町の景観を損ねたうえに激しいビル風との批判も受けています。また、バブル期に計画されたため維持費用も膨大で、都の持ち出しも多いので、「こんな物はつぶしてしまえ!」と石原都知事が言いましたが、実際に見学したところ、これは、大切だということで、残ったことで有名です。
2022年~2025年までは施設老朽化のために、全面的に改修が必要で休館となっています。
日本のバブル遺産の衝撃度ランキング:ホテル/マンション編 21位~16位
第22位:ウェスティンホテル東京
・完成:1994年
・場所:東京都目黒区三田
ウェスティンホテル東京は、恵比寿ガーデンプレイス内にありますが、バブル期に作られたこともあり、とても豪華絢爛な造りで、内装にもしっかりお金をかけているのがわかります。
これだけ立派なホテルになったのはバブル期だからであり、このホテルは良い意味での「バブル遺産」と言えます。
第20位:ホテル西洋銀座
出典:wsj.com
・開業:1987年
・場所:東京都中央区銀座1丁目
東京の銀座一丁目にあったホテル西洋銀座はバブルの象徴と言われたホテルです。
当時の日本はバブル初期で、株価や不動産価格は終わりの見えない高騰状態にあり、同紙はこのホテルを最新のラグジュアリーと謳い上げた。
77室と小規模ながらラグジュアリーで高級感漂うホテルは「スモールラグジュアリーホテル」と呼ばれていましたが、バブルが崩壊すると親会社のセゾンが解体し、2013年には閉業となっています。
第19位:マインド和亜
出典:goodrooms.jp
・竣工:1992年10月
・場所:東京都杉並区和泉
マインド和亜は京王線代田橋駅から徒歩4分の場所にあるマンションです。このマインド和亜は日本のガウディと呼ばれた梵寿綱が建築したもので、静かな住宅街の中に突如としてアーティスティックで目を引くマンションが目に入ります。
パティオ(中庭)もあり、このようなぜいたくな雰囲気のマンションはバブル期だから作られたと言えるでしょう。
ただ、現在は1階に店舗が入っていて、内装は普通のマンションと同じとのことなので、外観だけが「バブル遺産」のマンションかもしれません。
第18位:キングムー
出典:hre-net.com
・開業:1991年
・場所:北海道札幌市すすきのエリア
キングムーとは1991年に札幌のすすきのにオープンしたディスコです。バブル期らしい奇抜な外観が観光客や若者の目を引き、人気ディスコとして2008年まで営業していました。
その後は、外観はそのままに閉鎖されていましたが、2016年にテーマパーク型ダンスクラブとして再オープンしています。しかし、その後また2023年5月に閉業となりました。
閉業後も外観は残っていて、キングムーの一角だけ異様な雰囲気となっています。
第17位:ソフィテル東京
出典:eonet.ne.jp
・着工:1990年
・竣工:1994年6月
・場所:東京都台東区上野
ソフィテル東京は1994年に完成したホテルです。開業当初は法華クラブのシティホテル「ホテルCOSIMA」として営業していました。26階建てでなのに非常に細身の建物なので71室という客室の少なさで、五重塔を連想するような不思議で奇抜な形をしています。
バブル崩壊後、法華クラブは会社更生法の適用を申請し、フランス資本に買収されてソフィテル東京として再オープンしています。しかし、再オープンからわずか4年後には解体されました。
このソフィテル東京はバブル遺産・バブル期の象徴とされる建物で、奇抜な外観から上野の景観に馴染まないという意見もありました。
第16位:ヘレナ国際ホテル
・完成:未完成のまま
・場所:福島県いわき市添野町
ヘレナ国際ホテルはバブル末期に着工して、未完成のままバブル崩壊を迎え、資金繰りなどの理由で未完成のまま佇んでいる珍しい建物です。まさに「バブル遺産」といえます。
未完成なのでホテルとして営業はしていません。しかし、廃墟になっているわけではなく、管理されていて、テレビや映画などの撮影でよく使われています。
施設内にはヘレナ国際ヴィラという宿泊施設がありますし、ゴルフ場もありますが、ヘレナ国際ホテルだけが未完成のままになっています。
日本のバブル遺産の衝撃度ランキング:ホテル/マンション編 15位~11位
第15位:ホテル石風
・開業:不明
・場所:山梨県笛吹市石和町
山梨県の石和温泉にあるホテル石風は、バブル時代を彷彿とさせる建物・内装となっています。
いきなりシャンデリアがあったり、中国チックな宴会会場、鯉や白鳥黒鳥がいる池などなど。
どう見てもバブルの時代に建てたことが一目瞭然。
大きな庭と池、錦鯉、シャンデリア、中国風のカーペットなどを見ると、バブリーな雰囲気で「とにかく豪華!」という雰囲気が漂っています。
第14位:清里
出典:tabizine.jp
・場所:山梨県北杜市
清里は山梨県北杜市にある高原で、バブル期には「おしゃれな避暑地・観光地」として人気になり、夏にはたくさんの観光客が訪れて賑わっていました。
駅前にはタレントショップやファンシーショップが並び、さらにペンションもたくさん建てられたのですが、バブル崩壊と共に客足は遠のいていき、現在の清里駅前は廃墟が並んでいます。
かわいらしいメルヘン&ファンシーな建物が廃墟になっているため、清里全体がバブル遺産といえるでしょう。
第13位:北の京・芦別
・開園:1970年7月17日
・観音建立:1989年
・ホテル開業:1993年
・場所:北海道芦別市旭町
1970年に芦別レジャーランドとして開業した後、バブル期には大宴会場や日本庭園大浴場、ギリシャ神殿大浴場、ジャンボプールを建設します。
そして1988年には北の京・芦別に名前を変更し、レジャーランドからテーマパークの新しいイメージに路線変更し、1989年には北海道大観音が建設され、1993年にはホテル三十三間堂が開業しました。
しかし、バブルが崩壊して経営状況が悪化し、宗教法人「天徳育成会」が購入し、現在は宗教施設になっています。
第12位:蓼科仙境都市
・着工:1969年
・場所:長野県佐久市
蓼科仙境都市は長野県佐久市の高原に位置する高級別荘地・総合リゾート施設です。
1969年から開発が始まりましたが、バブル初期の1983年には別荘地の隣にスキー場やサッカー、モトクロスなどができるリゾート施設が作られて開発が進みました。
現在でも別荘地として管理されていて、別荘は山の中にポツポツと建っていますが、全体的な雰囲気はゴーストタウン・廃墟のようになっていて、完全に負のバブル遺産となっています。
第11位:鬼怒川温泉
東京の奥座敷として東京からの観光客・団体客を受け入れてきた鬼怒川温泉は、1993年には年間341万人の宿泊客を記録するほどの温泉地として発展しました。これだけの宿泊客を受け入れるために、鬼怒川温泉のホテル・旅館は設備投資をして、宿泊施設を拡張していきました。
しかし、バブル崩壊と共に社員旅行などの団体客は激減し、さらに海外旅行が一般的になったり、レジャーが多様化したことで、鬼怒川温泉のホテル・旅館は経営難に陥ります。
そして、鬼怒川温泉駅付近や鬼怒川の川沿いに並ぶ旅館・ホテルはまるで廃墟のようになっていて、バブル遺産の1つとなっています。
日本のバブル遺産の衝撃度ランキング:ホテル/マンション編 10位~6位
第10位:キャデラックハウス
・完成:1985年
・場所:山梨県北杜市高根町清里
バブル期に人気観光地の清里に建てられたホテルキャデラックハウスは、1985年に開業しました。オーナーは元プロ野球選手の江夏豊さんと言われています。
バブル期は若者を中心に人気がありましたが、バブルが崩壊し、清里ブームが去ると、客足が遠のき、1996年ごろには閉業し、ホテルキャデラックハウスはそのまま廃墟となりました。現在は廃墟のバブル遺産となっていて、廃墟マニアが訪れる場所の1つとなっています。
第9位:ホテル雅叙園東京
出典:travel.co.jp
・完成:1991年(改修)
・場所:東京都目黒区下目黒
目黒雅叙園は1928年に料亭を始めたことから始まる歴史あるホテルですが、現在の建物になったのはバブル期真っ最中の1991年で850億円をかけてリニューアルしています。
文化財も多く配置され、天井や壁には日本画が飾られていて、トイレまで豪華絢爛というバブルの遺産ホテルと言えます。
2002年には経営破綻となりましたが、現在は外資系企業に買収されて、営業を続けています。
第8位:丸二ホテル伊勢の郷
出典:ameblo.jp
・完成:1985年
・場所:三重県多気郡明和町有爾中
丸二ホテル伊勢の郷は、1985年に「有料老人ホーム伊勢の郷」として開業しました。しかし、思ったよりも入居者が集まらず、1年で60億円以上の債務を抱えることになりました。
そこで、入居者全員に退去してもらって、1990年ごろからは隣のゴルフ場の利用客をターゲットとしたホテル「丸二ホテル伊勢の郷」として再出発したのですが、2009年ごろに閉業しています。
この丸二ホテル伊勢の郷は現在、巨大な廃墟になっていて、バブル期に建設された巨大なバブル遺産として有名にになっています。
第7位:長崎西海楽園
・開業:1990年
・場所:長崎県西海市西海町中浦北郷
西海楽園は長崎県にある仏教系テーマパークです。高さ40mの巨大な黄金観音像が鎮座し、そのほかの仏像も黄金でキラキラしています。さらに敷地内には四季折々の花が咲いていて、プレイランドや草スキー、プール、バーベキュー施設などがあります。
黄金観音像はオーナーの天の啓示で建立したんだとか。
この西海楽園には同じ会社が運営する七つ釜観光ホテルがありましたが、西海楽園も七つ釜観光ホテルも2007年には閉業しています。
巨大な黄金観音像+ホテル、さらにその建設はオーナーの天の啓示というところが、完全に「バブル遺産」ですよね。
第6位:ヴィクトリア・タワー湯沢
出典:angel-f.com
・場所:新潟県南魚沼郡湯沢町大字土樽字下中子126番地1
・竣工:1992年11月
このヴィクトリア・タワー湯沢は岩原スキー場まで徒歩5分の場所にドーンと建っているリゾートマンションです。
自然豊かなスキー場・山近くには似つかわしくない、都会風のタワーマンションのような外観になっていて、共用施設として温泉大浴場、温水プール、サウナ、レストラン、スポーツルーム、テニスコートなどが併設しています。
このヴィクトリア・タワー湯沢以外にもバブル期には湯沢町を中心にたくさんのリゾートマンションが建設され、3000万円~5000万円などの高値で販売されていましたが、現在は100万円台で買える物件も多く、それ以下の値段がついていることもあります。
つまり、裁判所も、湯沢町の多くのリゾートマンションは実質ゼロ円だと見なしているのだ。かつては3000万円から5000万円以上で販売されたリゾートマンションが、今やその価値がゼロ円だと見做されている。
引用:湯沢の新築3000万円物件が「ほぼゼロ円」の現実 凋落する「バブル時代のリゾートマンション」 | 不動産 | 東洋経済オンライン
バブル遺産となったリゾートマンションは老朽化が進んでいるだけでなく、不便な場所にあるため、その価値は暴落しているようです。
日本のバブル遺産の衝撃度ランキング:ホテル/マンション編 5位~1位
第5位:卑弥呼の里
・完成:1981年(第1期)
・場所:熊本県阿蘇郡産山村大利
卑弥呼の里は熊本県阿蘇郡に建設された巨大なテーマパーク・宿泊施設です。
時期的にはバブル期が本格的に始まる前なので厳密には「バブル遺産」とは言えないかもしれませんが、バブル遺産に似たものがありますし、人気Youtuberもバブル遺産として紹介していますので、ここでもバブル遺産として紹介します。
卑弥呼の里は1981年に総工費247億円をかけて、「古代の村」や「祭の館」、資料館、イベントセンター、野球場、テニスコートなどが作られ、さらにそこから中核施設として産山リゾートホテルが建設されることになりました。
しかし、建設途中で運営会社が倒産し、未完成のまま放置されることになり、そのまま廃墟となっています。この卑弥呼の里はバブル遺産の先駆けといえるかもしれません。
第4位:アクア子与島
出典:youtube.com
・完成:1988年
・場所:香川県坂出市小与島
アクア小与島は瀬戸内海に浮かぶ小与島に建てられたリゾートホテルです。
瀬戸大橋の完成に合わせて作られ、地中海風のオレンジの屋根で全室オーシャンビューのリッチなリゾートホテルでした。このホテルを皮切りに小与島全体をベネチア風リゾートとして開発する予定でしたが、経営会社が破綻して、その計画は頓挫し、ホテルも2000年までには閉業しています。
ホテルは現在営業していませんが、建物は残ったままで廃墟となっています。海沿いにポツンと建つ様子が、まるでRPGの中の世界のようだという声もあります。
第3位:八丈オリエンタルリゾート
出典:youtube.com
・完成:1968年
・場所:東京都八丈島
八丈オリエンタルリゾートはバブルが始まる前の1968年に開業していました。日本のハワイとして人気となり、バブル期にはたくさんの人が訪れていましたが、バブル崩壊や海外旅行に行く人が増えたことなどから客足が徐々に遠のき、2006年に休館となっています。
バブル期に建てられた建物ではありませんが、バブル崩壊のあおりを受けて休館していることから、バブル遺産の1つと数えられることもあります。
「日本三大廃墟」の1つと言われることもありますが、廃墟ではなく、きちんとした管理者がいる建物です。
第2位:ユートピア加賀の郷
・完成:1987年
・場所:石川県加賀市作見町
ユートピア加賀の郷は1987年にオープンした仏教のテーマパークです。73mの巨大観音像や金色堂の羅漢像、瑠璃光殿の五重塔などキラキラした黄金の仏像が配置され、さらに遊園地やパットゴルフ場、美術館、レストラン、さらに1995年には観音温泉ホテルを開業しました。
しかし、徐々に入場者数は低迷し、親会社の経営不振もあり、1999年に閉園することになりました。
巨大観音像はバブル遺産の定番といえる存在ですよね。
第1位:ホテル川久
出典:jtb.co.jp
・開業:1991年
・場所:和歌山県西牟婁郡白浜町(南紀白浜温泉)
ホテル川久はもともと老舗旅館として営業していましたが、施設の老朽化に伴い改築することになり、約400億円ものお金をかけて世界中から職人を集めて内装・外装にこだわり、1991年にリニューアルオープンしました。
リニューアル当初はセレブ向けの会員制高級ホテルでしたが、バブル崩壊などで1995年には経営破綻しています。
その後、30億円で買収されて現在でも高級ホテルとして営業を続けています。
このホテル川久は、バブル期にお金をかけて作ったホテルですので、とにかく外装も内装もリッチでゴージャスです。
・イギリスIBSTOK社製の煉瓦:140万個
・1億円の柱:24本
・ドイツ製金箔:19万枚
このホテル川久は現在も稼働しているバブル遺産といえるでしょう。
日本のバブル遺産のまとめ
日本のバブル遺産一覧と衝撃度ランキングをまとめました。最近、注目を集めているバブル遺産。あなたもバブル遺産を探してみてはいかがですか?