日本は先進国で秩序があり、衛生環境が良い国です。でも、日本にも不法占拠で作られたスラム街があったんです。そのスラムが川崎市の池上町です。
川崎市池上町の場所や治安、不法占拠からスラムになった背景、池上町出身の芸能人、川崎区や池上町での事件と現在のまとめました。
この記事の目次
池上町(川崎市)は日本のスラム街
出典:sankei.com
川崎市の池上町は日本のスラム街の1つです。先進国の日本にもスラムのような場所はありますが、その1つが池上町なんです。
池上町には土地の所有権を持たないコリアンなどが住み始め、細い路地に掘っ立て小屋・バラックが立ち並び、小さな住宅が密集しています。住宅地としてのインフラは整備されておらず、ほかのエリアとは一線を画す雰囲気が漂っていて、日本のスラムとも言われている場所です。
食料品を扱う小さな商店や焼き肉店があるほかは、町工場のような小規模の施設や事業所が数軒並ぶ。コンビニエンスストアやコインパーキングなどの施設は見当たらない。周囲の市街と隔絶され、生活面のインフラが不十分なことは明らかだった。住みづらさが想像される。
不法占拠で勝手にバラックやアパートが建てられているため、池上町は住宅が密集しています。
池上町の場所
池上町の場所を確認しておきましょう。行政上の住所は、神奈川県川崎市川崎区池上町になります。
上記地図で赤で囲まれた場所が「池上町」になります。川崎駅の東にあり、海沿いの臨海部に位置しています。ただ、いわゆる「スラム街」としての池上町は首都高速神奈川1号横羽線(K1)沿いの一部分になります。それ以外のエリアは「JFEスチール」の工場が立ち並ぶ工業エリアです。
航空写真で見ると、赤い線で囲んだ場所が池上町のスラム街になります。首都高を挟んだ向かい側のエリアと比べると、池上町にある建物は秩序がなく、ごちゃごちゃに位置していて、しかも密集しているのがわかります。
池上町は不法占拠でできた街
川崎市の池上町は不法占拠でできた街です。なぜ、不法占拠が行われたのかを見ていきましょう。
「日本鋼管」の労働者が住みだした
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池上町が現在のようなスラム街になったのは、戦前まで歴史をさかのぼる必要があります。1910年代から川崎市の臨海部は京浜工業地帯として、工業が盛んなエリアでした。そして、太平洋戦争前、満州事変が起こる頃、日本は欧米列強との戦争準備のために軍需生産を増大させます。
もともと、池上町付近には、多摩川で採取した砂利採取で働いていた在日コリアンが住んでいました。
日本鋼管は池上町一帯の土地を買収して、軍需工場建設に着手します。そして、池上町にはその工場で働く労働者の飯場や宿泊施設を建設しました。
そこに日本人労働者やコリアン労働者が集まってくるようになり、そこで生活しながら工場で働いていたのです。
戦後さらにコリアンが集まりスラム街のような街並みに
1945年に太平洋戦争で日本が負けると、軍需工場の稼働はストップします。そして、そこで働いていた日本人労働者のほとんどは、池上町を去っていきました。みんな自分の田舎に戻っていったものと思われます。
しかし、コリアン労働者たちは池上町にとどまり続けました。そして、戦後の混乱の中で日本人労働者が去って空き家になった場所を占拠していったのです。
それから、さらに終戦時に日本にいた在日コリアンが「コリアンコミュニティ」を求めて池上町に集まってきましたし、さらに朝鮮戦争が勃発して朝鮮半島から日本に逃げてきたコリアンたちも池上町に集まってきました。
このような事情があって、川崎市の池上町は在日コリアンたちが不法占拠して住み続ける場所になっていったのです。
池上町の60%は日本鋼管のもの
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歴史的に見ると、池上町は戦前に日本鋼管が買収していますので、池上町の土地所有権は日本鋼管(現在のJFEスチール)が持っています。その土地を在日コリアンたちが不法占拠して、勝手に家を作り住んでいるのです。
もちろん、池上町に住んでいる人たちはJFEスチールと賃貸契約を結んでいるわけではありません。
不法占拠だから、ある意味やりたい放題であり、都市計画的なものはありません。だから、先ほどの航空写真のように、池上町はゴミゴミとしていて住宅が密集しています。
この不法占拠の問題は戦後からずっと続いています。ちなみに、土地の所有権はJFEスチール(旧日本鋼管)が持っていますので、固定資産税はJFEスチールが支払っています。
池上町はコリアンタウン
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川崎市の池上町は、在日コリアンが不法占拠で住みついた土地です。そのため、住民の多くコリアンです。もちろん、日本人も住んでいますが、コリアンの割合が高いため、池上町はコリアンタウンのようになっています。
駅から離れている上、JFEの工場と常にトラックが行き交う産業道路に挟まれ、住環境は良いとは言えない。ただ、昔ながらのコミュニティーの温かさが残っていて、食卓にはいつも近所からおすそ分けされたキムチがあった。
池上町のすぐ近くには川崎市のコリアンタウンの中心地であるセメント通り(KOREA TOWN)がありますので、その周辺一帯がコリアンタウンにはなっています。
でも、池上町は新大久保のようなポップなコリアンタウンではなく、「ガチのコリアンタウン」といった雰囲気になっているようです。
池上町の出身芸能人はBAD HOP
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池上町は在日コリアンが住む不法占拠の町で、スラム街と言われることも多い場所ですが、この池上町出身の芸能人もいます。その芸能人とは、BAD HOPです。
BAD HOPは川崎市川崎区池上町で保育園からの幼馴染を中心に結成されたヒップホップグループで、現在のメンバーは8人(他にスタッフは7人)です。
・T-Pablow
・YZERR
・Tiji Jojo
・Bark
・Benjazzy
・G-k.i.d
・Vingo
・Yellow Pato
・Gold digga
ほとんどのメンバーが川崎市川崎区出身で、T-Pablow・YZERR・Tiji Jojo・Barkは保育園時代からの幼馴染です。
レコード会社や芸能事務所には所属していませんが、人気のヒップホップグループで、日本武道館や横浜アリーナでのワンマンライブを成功させています。
BAD HOPのリリックがヤバい!
BAD HOPのリリックは、川崎区・池上町のリアルを映し出していて、かなりヤバイと注目を集めています。
BAD HOPで一番有名なリリックは、やっぱりこれですよね。
また、こんなリリックもあります。
「小2の頃にはタバコをふかし 金髪でスカジャンの友達/むかつく奴ら頭かち割り 周りの大人背中に刺青/13の頃には立派な犯罪者 用意周到乗り込むヴェルファイア/人を傷つけてはまた得る快楽 真面目ちゃんがベッドで寝てる間/朝まで溜まる中留公園 また檻のなか悲しむGirl Friend/出てきてすぐおまわりとCar Chase 行ったり来たり遠回りの人生」
引用:「BAD HOP × 川崎(神奈川県)」──京浜工業地帯が生んだ、元不良ヒップホップ・クルー | GQ JAPAN
ヒップホップのリリックは、リアル・事実をつづるもの。このBAD HOPのリリックを見ると、BAD HOPのメンバーはかなりヤバイ環境で育ってきたことがわかります。だからこそリアルさがあり、若者たちから共感を得ているのでしょう。
ちなみに、BAD HOPのメンバーは全員が少年院に入っていた経験があるという情報があります。
池上町の治安は悪い?
BAD HOPのエピソード聞く限り、池上町の治安はかなり悪いと言えるでしょう。BAD HOPのワイザーは生い立ちや育った環境について、次のように語っていました。
小2のときに金髪でスカジャン着てるやつがいて、そいつを自分がケンカでぶっ飛ばしたことがあって、そしたら、『今度遊ぼうよ』となって。それで遊んで、そしたらタバコを吸っていて、『みんなで吸おう』って吸って、『モノ盗みに行こう』って、近くのデパートに行ってモノ盗んで。親が親なんで、そいつらは。お母さんが刺青、全部入っていて。おばあちゃんも入っていて。もうひとりのやつも家庭環境が悪くて。和彫りです。やくざの刺青。タトゥー文化じゃないです。怖いです。
引用:「BAD HOP × 川崎(神奈川県)」──京浜工業地帯が生んだ、元不良ヒップホップ・クルー | GQ JAPAN
YZERRによれば、現実は曲よりもさらに生々しく、ドロドロした世界だったという。同曲で歌われているような、貧困や借金、薬物依存、暴力団による借金の取り立て……こうした家庭環境はごく当たり前だったという。
引用:少年院から世界へ、BAD HOPのYZERRが語るセルフプロデュース術 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
BAD HOPのメンバーが「クレイジージャーニー」に出演した時は、次のように語っていました。
・大体みんな刑務所に入っている
・そういう道(おそらくヤクザ)に進んでいる
・シャブ中になったやつもいる
・人の物を盗んだり、傷つけたりは当たり前
・自分たちの中学校だけで20人くらいつかまった
・親に刺されたことがある
これらのエピソードを見ると、池上町は「治安が悪い!」と言わざるを得ません。番組の中で、バナナマンの設楽さんが「日本じゃないみたい」と言ってましたが、本当にそうですね。
本当に治安がが悪いのかを川崎市の犯罪発生率のデータで見てみましょう。
・幸区:0.43%
・中原区:0.36%
・高津区:0.29%
・多摩区:0.33%
・宮前区:0.21%
・麻生区:0.21%
池上町は川崎区にあります。川崎区は川崎市の中でダントツに犯罪発生率が高いです。
BAD HOPのエピソードとこのデータから、池上町は残念ながら治安が悪いと言えるでしょう。
池上町や川崎区の事件6選
池上町や川崎区で起こった事件をご紹介します。2015年以降の事件を見れば、池上町は治安が良くないことがわかると思います。
事件①:川崎市中1男子生徒殺害事件(2015年)
出典:sankei.com
川崎区の事件でもっとも有名なものが、2015年に起こった川崎市中1男子生徒殺害事件でしょう。
川崎市中1男子生徒殺害事件では、中学1年の男子生徒が地元の不良グループ(18~19歳)3名にナイフで43ヶ所も刺されて、さらに真冬の多摩川に全裸で泳がされて死亡した事件です。
この事件の犯人は地元の不良少年グループであり、家庭環境にも問題があるような人物たちで、川崎区の闇を映し出すような事件です。
この犯人たちは「イスラム国」になぞらえて「川崎国」という言葉を使っていたことから、川崎を揶揄する意味での「川崎国」という言葉が広く使われるようになりましたし、「川崎区=ヤバイ地域」という認識が広がりました。
事件②:川崎市簡易宿泊所火災(2015年)
出典:mainichi.jp
川崎区の事件の2つ目は、2015年の川崎市簡易宿泊所火災です。
2015年5月17日に川崎市川崎区日進町の簡易宿泊所で深夜に火災がありました。この火災で簡易宿泊所2棟が全焼し、11人が死亡、17人が重軽傷を負っています。
川崎区には日雇い労働者の宿泊所があるエリア(ドヤ街)があり、そこでの火災でしたが、木造3階建ての造り(建築基準法違反)だったことで、火の回りが早く、犠牲者が多くなってしまったようです。この火事では出火場所に火の気がなく、ガソリンのような成分が検出されたことから、火災の原因は放火である可能性が高いようです。
事件③:川崎発砲事件(2019年)
出典:sanspo.com
2019年1月17日に川崎区の路上で、稲川会傘下組織の暴力団組長ら3人が銃撃を受け、2名が重傷を負った事件がありました。この事件で、2021年になって指定暴力団住吉会系組長ら5人が逮捕されています。
この事件は午後8時25分ごろに起こっていますが、午後8時30分なんてまだまだ人通りも多い時間帯です。そんな時間帯に発砲事件が起こるなんて、さすが川崎区としか言いようがありません。
事件④:高齢女性殺人事件(2020年)
出典:nicovideo.jp
2020年3月に川崎区鋼管通3丁目(池上町近く)のアパートで88歳の女性が頭から血を流して死亡しているのが見つかりました。司法解剖の結果、死因は頭や顔の粉砕骨折による出血死と判明しています。
この事件では韓国籍で川崎区池上町に住む自称派遣社員の男性(69歳)を逮捕しています。
事件⑤:男子大学生刺傷事件(2022年)
2022年3月27日の夜遅く、川崎市川崎区にある川崎駅前で男子大学生が刃物で刺された事件がありました。この事件で、47歳の男性が逮捕されています。
調べに対して犯人の男は、「笑われて口論になった」と話しているとのこと。犯人と被害者に面識はなく、通り魔のような犯行とも言われています。
事件⑥:京急川崎駅前マンション遺体事件
出典:kanaloco.jp
2022年4月27日に川崎市川崎区のマンションで、「人が落ちた」という通報があり駆けつけたところ、女性が死亡しているのが発見されました。
その後、警察の捜査でそのマンションの部屋で体に複数の刺し傷がある女性の遺体が見つかっています。この刺し傷がある女性はマンションから落ちて死亡していた女性の母親であることが判明し、殺人事件、又は無理心中ではないかと見て、捜査が進められています。
池上町の現在:コインランドリー事件
川崎区の池上町は、現在、不法占拠問題で揺れています。
池上町にある「池上コインランドリー」は、老朽化していたため、この店のオーナーは一度コインランドリーを解体して、その後に新たに土地を利用しようとしていました。
しかし、解体工事を始めたところ、土地の所有者であるJFEスチールと川崎市は、このオーナーに土地を明け渡すように求めたのです。そして、2018年12月にはこの池上コインランドリーの敷地は柵で囲まれ、「JFEスチール管理地」と標識が掲げられました。
その後、JFEスチールから住民に対して、家屋を撤去して土地を明け渡すように求める通知書が届けられたのです。戦後70年以上、不法占拠状態が続きながらもそのままの状態が続いていたのですが、ここに来て大きな動きが出てきました。
「占有使用する土地はJFEスチールが地権者」であり、「直ちに建物を収去し、明け渡す」ことを求め、従わない場合は「しかるべき法的手続きをとる」と通知している。
最近は家賃が安いなどの理由で、コリアンだけでなく、日本人や東南アジア系の人も住み着いていて、多国籍化が進み、ますます難しい問題となっています。
ただ、JFEスチールは「提訴すれば勝てるだろうが、長く住んでいる人たちに立ち退きなど求められない」という配慮を口にしていることもあり、すぐには解決できない問題のようで、現在も池上町は不法占拠が続くスラム街のままです。
池上町(川崎)のまとめ
川崎市のスラム街と言われる池上町の場所や不法占拠の経緯と治安、池上町出身の芸能人と池上町や川崎区の事件、現在とまとめました。
池上町はかなり特殊なケースですね。不法占拠問題がいつ解決するのか注目していきたいです。