2000年前後に岐阜県の富加町で発生したポルターガイスト現象、幽霊団地騒動が話題です。
この記事では、岐阜県富加町のポルターガイスト現象、幽霊団地騒動の詳細な経緯、原因や真相、その後、これを元ネタにした折原みのりさん主演映画「N号棟」などについてまとめました。
この記事の目次
岐阜県富加町ポルターガイスト現象(富加町幽霊団地騒動)の概要
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2000年の秋、岐阜県加茂郡富加町にある町営の4階建の集合住宅でポルターガイスト現象などの怪奇現象が続発していると、新聞やテレビ、週刊誌などのメジャーなメディアが大々的に報道しました。
その結果、全国からマスコミだけでなく除霊やお祓いを申し出る霊能者や、事態を面白がった野次馬までもこの小規模な町営住宅に集まり、近隣地域の住民も巻き込んだ一大騒動へと発展しパニック状態になりました。
2000年の終わり頃にはある霊能者の祈祷が功を奏したのか、騒動は終息しましたが、現在もこの騒動は、オカルトファンや心霊マニアの間では「富加町幽霊団地騒動」、「富加町のポルターガイスト現象」などと呼ばれよく知られています。
今回はこの富加町ポルターガイスト現象、富加町幽霊団地騒動についてまとめていきます。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の経緯① 町営団地で怪現象が頻発するようになる
1998年、岐阜県加茂郡富加町に町営の集合住宅「T住宅」が完成しました。周辺には田園地帯が広がる静かな立地に建つごく普通の4階建の集合住宅で、当時は24世帯が居住可能でした。
この何の変哲もない新築の集合住宅である「T住宅」に異変が起こり始めたのは、ぽつぽつと住人が入り始めた1999年の春頃でした。
この住宅に住み始めた入居者達から、「ギシギシ」と壁が軋む音、天井裏を何かが「トトトトッ」と走るような音、ガラス瓶が転がるような音、ノコギリで何かを切るような音、トンカチで叩くような音など、不審な物音が聞こえるという訴えが続出したのです。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の経緯② ポルターガイスト現象が起こり始め騒動に
2000年の夏、お盆の時期になると、不可解な現象はエスカレートし、勝手にシャワーや水道から水が流れる、テレビのチャンネルが勝手に変わる、食器棚から食器が2メートル以上も飛び出して割れる、しかもその食器は機械で切ったかのように正確な長方形に切断されている、コンセントから外されているドライヤーが突然作動するなどのポルターガイスト現象が続発するようになります。
他にも、当時確認されたポルターガイスト現象としては、ガスコンロの火が勝手に点く、外から空き缶が飛び込んでくる、壁に刺さっていた画鋲が弾け飛ぶように勝手に外れるなどがありました。
こうしたポルターガイスト現象の被害を受けたのは、当時入居していた24世帯のうち15世帯にも上ったという事です。
さらには、このようなポルターガイスト現象だけでなく、部屋の中や階段、非常口、屋外駐輪場などで女性の幽霊を見たという証言も続出するようになりました。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の経緯③ 一部住人が祈祷師を呼び慰霊碑を建立
こうしたポルターガイスト現象や幽霊の目撃などについての数えきれない相談を受けた当時の自治会長は、富加町の役場に対策を求めました。
ところが、役場側の回答は「政教分離の原則に反するので、自治体としてお祓いなどの宗教的行為はできない」というものでした。
たまりかねた一部の入居者らは、自費で木曽御岳本教から祈祷師を呼び、敷地内の広場でお祓いの儀式を執り行いました。
お祓い後、祈祷師はこの広場の真ん中あたりを指差し「30年くらい前にこの場所で首吊り自殺をした女性がいる。この女性の祟りによって怪奇現象が引き起こされている」と入居者らに告げました。
入居者らはこの祈祷師の言葉を信じました。なぜならば、ちょうど30年ほど前のオイルショックの頃に、この近くで小学生の子を持つ母親が実際に首を吊って亡くなるという事件が実際に起こっていたからです。
入居者らは、祈祷師の勧めに従い、費用を出し合って広場の中央にこの女性を供養するための慰霊碑を建立しました
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の経緯④ 大手メディアが報道し全国的な騒ぎに発展
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お祓いを執り行い、慰霊碑を建立した後もポルターガイスト現象は一向に収まる気配を見せませんでした。
そして、地元の中日新聞の2000年10月13日付の夕刊がこの幽霊団地騒動を取り上げました。これをきっかけにして、テレビ朝日の報道番組「ニュースステーション」がこの騒動を報じました。
大手メディアが大きく報じた事から、ワイドショーや週刊誌などもこぞってこの幽霊騒動を取り上げ、全国的な一大ニュースへと発展してしまいます。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の経緯⑤ 霊能者が連日押しかけ除霊合戦に
地方の小さな集合住宅である「T住宅」に、大勢のマスコミ関係者が連日押しかけ、昼夜問わず住人のインタビューを行おうとし、さらに、全国から霊能者や宗教団体関係者も次々と来訪し、それを面白がった野次馬も大挙として押しかけるなど、パニック状態に発展。
バラエティ系のテレビ番組は、こぞって除霊特集を組み、当時人気の高かった織田無道さんや江原啓之さんら有名霊能者を現地に送り込み、霊視や除霊合戦が行われるといったカオスな展開となります。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の経緯⑥ 下ヨシ子の除霊で騒動は終息
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このようにして、幽霊団地騒動の熱狂が最高潮を迎えていた頃、颯爽と現れたのが、当時はまだ新手の霊能者として売り出し中であった下ヨシ子さんでした。
下ヨシ子さんは、数々の怪現象の原因は「刀鍛冶の霊とポルトガル宣教師の霊の怨念」と断定し除霊を行いました。すると、これをきっかけにしてポルターガイスト現象やその他の怪奇現象などが収まり始め、乱痴気騒ぎのようになっていた幽霊団地騒動も終息へと向かいました。
ただ、これについては、下ヨシ子さんの除霊が功を奏したというよりは、騒動に飽きたマスコミが帰って行ったから結果的に騒ぎが小さくなったのが真相という見方もあるようです。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の原因① 江原啓之や織田無道などの霊能者は霊の仕業と主張
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岐阜県富加町の幽霊団地騒動、ポルターガイスト現象の原因、真相については結論は出ていませんが、様々な説がささやかれているので紹介していきます。
まず、当時の騒動で現地で霊視や除霊を行なった霊能者達は原因は霊の仕業だると主張しました。
織田無道さんや江原啓之さんをはじめとする霊能者達は、「水子の霊の祟り」、「織田信長の息子の祟り」、「大昔にコレラで死んだ何千頭もの動物の霊の祟り」など、様々な説を真相として語っていました。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の原因② 霊道を塞いだ祟りが真相とする説
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実話の怖い話などを綿密に取材した上で作品にする事で知られる、漫画家の永久保貴一さんは「永久保貴一の極めて怖い話」で、この「富加町ポルターガイスト現象」、「富加町幽霊団地騒動」を取り上げています。
永久保貴一さんは、この事件の原因は、T住宅が建ったことで、古来からあった神様の霊道を塞いだのが原因で祟りが起こったのが騒動の真相ではないかとの仮説を唱えています。
騒動の起こった岐阜県富加町は、日本最古の戸籍とも言われる「大宝二年御野国加毛郡半布里戸籍」に記されているほど歴史が古く、周囲には古墳や神社が点在しています。こうした地域的な背景もあって説得力があるとして、この永久保貴一さんの神様の道を塞いだのが原因とする説は真相として有力とされている説です。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動の原因③ ポルターガイスト現象の真相は仮説止まりで謎のまま
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富加町の幽霊団地でのポルターガイスト現象については、専門家による科学的な検証も行われました。
専門家は怪音については、水道管内での圧力の変化で音が発生する「ウォーターハンマー」という現象が真相ではないかとする見解を示しましたが、証明はされませんでした。
織田や江原は現地に存在する霊を指摘し、鈴木所長は水道管内の圧力変化で音が発生するウォーターハンマーという現象を指摘した。しかし専門家たちは仮説を示すところまでしかたどり着けなかった。
現在まで、怪現象の根本的な原因は謎のままとなっている。
また、食器が飛ぶ、電源に差さっていないドライヤーが作動するなどの物理的な現象については科学的な説明が難しく、真相は謎のままとなっています。
この騒動は、2002年に原因は「建て付けの問題」と結論づけられ半ば強引に終息したようです。ただ、建て付けに問題があっただけでこれだけの騒動が発生するとは考えづらく真相は未だ謎のままです。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動のその後① 慰霊碑は取り壊され代わりにハナミズキを植樹
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続けて、岐阜県富加町の幽霊団地騒動、ポルターガイスト現象のその後についても見ていきます。
騒動が起こった当時の入居者によって、住宅敷地内の広場に、原因とされた霊を供養するための慰霊碑が建立された事は既に触れましたが、この慰霊碑はその後撤去され、現在はその場所にハナミズキの木が植樹されて大きく成長しています。
ちなみに、この慰霊碑が撤去された理由は、除霊を行なった下ヨシ子さんから、「慰霊碑があると、かえって悪霊が集まる」とアドバイスを受けた事だったようです。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動のその後② 当時を知る地域住人から新たな怪談も語られている
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富加町幽霊団地騒動の舞台となった「T住宅」は現在も存在していますが、当時の入居者はほとんど入れ替わり、当時の自治会長も既に亡くなって、この騒動を知る人はほとんどいないという事です。
ただ、古くから住んでいる近隣地域の住人はこの騒動をよく覚えており、当時団地に住んでいた知り合いから怪談話を聞いたという方もいます。
この方は、当時この団地に住んでいた友人から、5歳になる息子が部屋で目に見えない何者かとずっと遊んでいて怖いと聞いたのだそうです。話を聞いてみると、この5歳の息子はお爺さんの幽霊とおしゃべりをしているようだとわかったそうなのですが、その正体は不明で、この友人も息子が心配で悩んでいる様子だったとの事でした。
岐阜県富加町・幽霊団地騒動のその後③ 荻原みのり主演で映画化
2022年4月29日に公開のホラー映画「N号棟」は、富加町の幽霊団地騒動、ポルターガイスト現象を元ネタにした作品です。現在人気を上げている女優・折原みのりさんが主演する事で注目を集めています。
圧倒的な目力(めぢから)と作品ごとに見せる千変万化の表情で注目の女優、萩原みのり(24)主演の映画「N号棟」(後藤庸介監督)が、ゴールデンウイークに公開されることが決まった。2000年前後に岐阜県富加(とみか)町で起きた「幽霊団地騒動」を元に、新解釈で挑む考察型恐怖体験ホラー。萩原は心に不安を抱えながら団地に誘い込まれ、ラップ現象の真相に迫る女子大生を演じる。
なお、実際にポルターガイスト現象が起こった富加町の団地は現在も健在ですが、この映画「N号棟」に登場する幽霊団地はすでに廃墟化しているという設定で、あくまでもフィクション作品です。
まとめ
今回は、2000年前後に岐阜県の富加町の集合団地で起こった、ポルターガイスト現象、幽霊団地騒動についてまとめてみました。
この事件は町営住宅の住人らが、怪奇音やポルターガイスト現象、幽霊の目撃などに悩まされ、これが新聞やニュース番組、ワイドショーや週刊誌などで大々的に取り上げられた結果、全国かから霊能者や宗教団体が集まるという大騒動に発展しました。
原因としては、霊の祟りや水道管の圧力変化や建て付けの問題などの様々な説が出ましたが、現在まで真相は解明されていません。
その後、2002年頃を最後にポルターガイスト現象などの騒動は収まり、現在は入居者もほとんどが入れ替わり当時を知る人は住んでいないようです。