近年、話題になっているコオロギ食。豊富なたんぱく質などのメリットがある一方で、危険性やデメリットなども心配され、芸能人や有名人の意見も賛否両論です。なぜコオロギ食が推進されるのか、会社への補助金や利権などの陰謀論を含めて紹介していきます。
この記事の目次
コオロギ食が話題に
近年、TVでも大きく取り上げられて話題となっている昆虫食。なかでもコオロギはコンビニなどで売っているスナック菓子やパンにもタンパク源として含まれるようになり、注目を集めています。
国連の食糧農業機関が2013年に食糧問題の解決策として昆虫食の推進を掲げたことから、徐々に日本でも昆虫食、とくにコオロギが食用に注目されるようになりました。
しかし、地域によってはイナゴや蜂の子などの昆虫を食べる文化があるとはいえ、日本では昆虫食はゲテモノという印象が強く、拒否反応示す人が大半です。
そこへきて2022年頃から急激にコオロギ食がマスコミに取り上げられるようになったことから、「何か裏があるのではないか?」と訝しむ声も増えるようになり、Twitterなどを見ると陰謀論まで囁かれているようです。
また、コオロギ食を販売した食品メーカーに対してデマが流される、不買運動が起こるなどの社会問題も発生しています。
コオロギ食のメリット・なぜ推奨されるのか
食糧問題の解決策として国連が推進していると聞いても、フードロスが問題視されている日本ではピンとこない人も多いのではないでしょうか。
まずはなぜ今、コオロギ食が推奨されているのか、その理由とメリットについて見ていきましょう。
なぜコオロギ食が推奨されるのか
国連世界食糧計画(WFP)によると紛争や災害、気候変動などの影響で食糧危機に陥っている人々の数は全世界で8億2800万人もの人が飢餓状態にあるといいます。
現在、日本国内では食糧不足は問題にはなっていません。そのため、食糧難の国があるからと日本が昆虫を食べる理由にはならないのでは?と思う方もいるでしょう。
しかし、世界経済や社会情勢の分析を行っているキャノングローバル戦略研究所によると、食料供給の多くを輸入に頼っている日本は有事の際に深刻な食料危機に陥る危険性が高いとのこと。
とくに現在は台湾有事が想定されているため、日本の近海で戦闘が起これば輸入が途絶してしまうおそれがあることから、自国で食糧を賄うことが重要視されています。
実際に日本では第二次世界大戦後に深刻な食糧問題が起きています。そのために限られた国土でも生産可能なコオロギが注目されているのです。
メリット①たんぱく質が豊富で栄養価が高い
コオロギは昆虫の中でも栄養価が高く、昆虫食品の開発・販売を行う株式会社グリラスのサイトでは「コオロギは同量の鶏肉のおよそ2倍のたんぱく質を含み、ビタミンやミネラル、食物繊維も摂取できる」と説明されています。
コオロギは豊富なタンパク質に加え、亜鉛、鉄分、カルシウム、マグネシウム、ビタミン、オメガ3といった体に必要な栄養素を数多く含んでいる次世代のタンパク質といえます。
引用:なぜコオロギ?
味も「陸のエビ」と呼ばれるほど甲殻類に近い風味で食べやすいとのことで、次世代のスーパーフードとして注目を集めているます。
メリット②飼育効率が高い
1㎏のたんぱく質を生産するために、牛は約10㎏の飼料、豚は約5㎏の飼料を必要とするのに対して、コオロギは約1.7㎏の飼料しか必要としないといいます。
しかもコオロギは成虫になるのに40~45日程度しか要しないために育成から出荷までのスパンが短く、広い飼育施設がなくても次々に世代交代をさせて収穫することが可能です。
これらのことから従来の家畜と比べるとコオロギは飼育のコストがかからず、食用として定着すれば安価なたんぱく源になりえると期待されています。
メリット③温室効果ガスを排出しない
牛やヤギなどの反芻動物のゲップやおならにはメタンガスが含まれており、このメタンガスは二酸化炭素のおよそ25倍もの温室効果があるとして長らく問題視されてきました。
コオロギが排出する温室効果ガスは反芻動物の1780分の1とされており、気候変動への影響を抑えながら生産できるという点も大きなメリットとなっています。
メリット④加工しやすく可食部が多い
牛や豚などの可食部分が個体の約45%とされているのに対し、コオロギの可食部分はほぼ100%、つまりまるごと食べられると発表されています。
そのためロスが出にくい食材としても評価されており、ほぼまるごと砕いて粉末状にできることから、加工のしやすさにも注目が集まっています。
コオロギ食のデメリット・危険性①~③
コオロギ食のデメリットというと、やはり見た目の不気味さや虫を食べるという生理的な嫌悪感が最初に思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし、感情面だけではなく、栄養面やコスト面で見ても肉や魚の代わりとするのは厳しいのではないかとも指摘されています。ここでは、昨今推進されているコオロギ食のデメリットについて紹介していきます。
デメリット①アレルギーを引き起こす
甲殻類アレルギーがある人がコオロギを食べた場合、アレルギー症状が起きることが明らかになっています。
コオロギにはトロポミオシンというタンパク源が含まれており、エビにもトロポミオシンが含まれています。
コオロギとエビに含まれるトロポミオシンは構造が違うのですが、よく似ているためにエビにアレルギーを持つ人はコオロギを食べてもアレルギー反応を起こす可能性が高いとされているのです。
摂食後30分後に耳と首に火照り、蕁麻疹、かゆみの症状、さらに息苦しさ、吐き気、耳が聞こえにくくなる症状が出ました。しばらく休んだ後に救急車を呼び、摂食後2時間半後に救急車が到着しました。その頃には容態はおおよそ安定してきており、救急隊員により心拍数と脈拍を測り、正常値であることを確認し、病院に搬送すること無く帰宅しました。
実際にコオロギを含むさまざまな昆虫食の開発や販売を行なっているTAKEO株式会社も、自社の通販サイトで昆虫食とアレルギーについて注意勧告をしており、2022年にはコオロギを食べた女性に上記のようなアレルギー反応が出たことを発表しています。
また、SNSでもコオロギの粉末の入ったスナック菓子などを食べたらアレルギー反応が出た、という報告が多く見られました。
この間無印に売ってるコオロギせんべい食べたら今までに無いほどの蕁麻疹が出たので、コオロギアレルギー確定です。コオロギ食推奨されるとしに至ります。
— つくね🎖 愛ペガ12/19 (@tukune_0512) June 25, 2023
エビ以外に、ダニアレルギーを持っている人もコオロギにアレルギー反応を示す可能性が高いとされており、「食べ物のアレルギーはないから大丈夫だろうと思って食べたら、体中に蕁麻疹が出た」という書き込みもありました。
このようにアレルギーの報告例が増えてきたこともあり、パッケージでアレルギー反応の注意喚起をするメーカーも増えている様子ですが、消費者庁によると昆虫は食物表示アレルギーの表示対象ではないとのこと。
現時点(令和3年8月)では、「昆虫」は食物アレルギー表示の対象として定められている特定原材料等に該当しないため、食物アレルギー表示は必要ありません。
なお、例えば、事業者において、根拠に基づき、一括表示枠外に「本品に使用されている●●(昆虫由来の原材料を表示)は、甲殻類と類似した成分が含まれています。えびやかににアレルギーをお持ちの方はお控えください。」等、注意喚起表示を行うことは可能です。
コオロギを食べてアレルギーを起こした人が確認されていても、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状報告が少ないこと、まだコオロギを常食する人が少なくアレルギーを証明するデータが十分の数集まっていないことなどが理由で、上のような対応になっているそうです。
そのため何も知らずにコオロギを食べてアレルギーに苦しむ人が出るおそれがある、という点からコオロギ食は危険だと指摘する声も多くあがっています。
また、コオロギが含まれる食品は、成分表示にコオロギではなく「クリケットパウダー」と記載されていることもあるため、これについても「アレルギーを引き起こす食材なのに濁すような書き方は良くないのではないか?」との意見も見られました。
デメリット②鉄分やプリン体の含有量が多すぎる
コオロギは鉄分の含有量が多く、赤身の牛肉に比べても1.8倍の量の鉄分を含みます。
女性や貧血気味の方のなかには、「鉄分が多いのは良いことなのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、鉄分の摂りすぎには以下のようなデメリットがあることが明らかになってるのです。
鉄を必要量を超えて徐々に摂取すると、過剰な鉄が全身の組織に蓄積されます。 鉄が内分泌器官(特に、膵臓、性腺、下垂体)、肝臓、心臓に蓄積すると、症状や合併症が生じる可能性があります。
引用:鉄過剰症の概要
不足すると心身の悪影響を及ぼす鉄分ですが、過剰に摂取し続けると心筋梗塞などの深刻な病気を引き起こすおそれがあることが判明しています。
さらに2014年に発表された『食用昆虫3種の幼虫におけるプリン体誘導率とアミノ酸組成の検討』という論文には、「コオロギの幼虫はタンパク質が豊富な反面、プリン体もおおく、痛風や高尿酸結症の人には勧められない」との記述があり、プリン体の多さを危惧する声もあります。
この論文はあくまでもコオロギの幼虫の栄養価を研究したものであるため、食品として流通している成虫の粉末にどの程度のプリン体が含まれているのかは明示されていません。
そのためタンパク源としてコオロギを摂取しすぎるとプリン体のせいで尿酸値が上がりやすい、という確実なデータはないのですが、プリン体の多さを否定するデータもないために、危険性があるのなら避けたいという人もいるでしょう。
ほかの食材との組み合わせにもよりますが、少なくとも現段階で出ている情報を見る限りは、日常的にコオロギを食べ続けると鉄分やプリン体の過剰摂取になってしまう可能性は否定できないと言えます。
場合によっては病気の原因になってしまうおそれがある。この点はコオロギ食の軽視できないデメリットでしょう。
デメリット③安全性への心配
2018年の欧州食品安全機関(EFSA)の調査では、コオロギ食についての懸念点として細菌の数の多さがあげられており、コオロギには非常に多くの好気性細菌が含まれていると発表されていました。
好気性細菌とは加熱殺菌で死滅する一般的な細菌であり、生の鶏肉などに含まれるカンピロバクターも微好気性細菌にあたります。
そのため畜肉同様に食品として流通させる似は十分な加熱処理が求められているのですが、コオロギの持つ細菌の中には芽胞を形成する菌も多く含まれているといい、これらは熱を加えても死滅しません。
特にコオロギの持つ芽胞形成菌の中には食中毒の起因となるセレウス菌なども含まれており、その安全性が疑問視されているのです。
このことは国会でも問題視されており、野党議員からは「EFSAではヨーロッパイエコオロギのリスク評価を公示しているが、日本でも独自のリスク評価や安全性の基準を義務付ける必要があるのではないか」との提起がされました。
しかし、答弁に立った河野太郎消費者担当相は「現状、健康被害が確認されていないことから特段の対応を行う必要はない」と回答しており、アレルギーのみならず細菌についても国としては対応を考えていないことを明かしています。
弊社で製造しているコオロギパウダーやコオロギエキスといった、食用コオロギを加工した食品原料(以下、コオロギ原料)は、耐熱性芽胞形成菌も死滅させることができる高圧蒸気(一般的な殺菌条件である2気圧・121℃・20分と同等以上の殺菌強度)による殺菌を行っています。
コオロギ食品を扱うメーカーである株式会社グラリスは、自社サイトで上記の方法で加熱処理をすることでコオロギの芽胞形成菌はすべて死滅させられる、と発表しています。
実際にコオロギ食品を食べて食中毒になったという報告はないとのことで、2022年にはEFSAもコオロギ食の懸念項目の中から細菌の多さという点を消去しており、適切な処理をすれば食中毒のリスクは抑えられるという見解を示しました。
したがって食用であってもコオロギは細菌だらけで汚い、という点はあまり気にしなくても良いと言えるのですが、細菌を持っていること、徹底した殺菌処理が行われていることが大きく周知されていないことから「昆虫なんて汚いに違いない」というイメージを持つ人も少なくないのでしょう。
ネット上では「コオロギにはボツリヌス菌が含まれているらしい」「寄生虫だらけで汚い」というデマも見られました。
コオロギ食のデメリット・危険性④~⑥
デメリット④逃げだした場合の生態系への影響
食用に繁殖したコオロギが繁殖施設を逃げだした場合に生態系へ与える影響を考えて、コオロギ食の導入を決めるべきではないのか、との指摘もあります。
実際に日本では、1981年に食用に持ち込まれたジャンボタニシが繁殖場から逃げたり遺棄されたりして野生化し、近隣の水田で稲や植物を食い荒らすという被害が発生しています。
もともとは国内に生息していなかったジャンボタニシによる生態系の破壊は深刻な問題となっており、現在も解決していません。
牛や鶏などが逃げだしたとしても見つけて捕獲することは比較的簡単ですが、ジャンボタニシ同様に食用のコオロギが繁殖場から逃げたとしても、全て捕獲することは極めて困難です。
コオロギはキャベツや白菜、大根、ブロッコリーなどの苗を食べる害虫でもあるため、野生化した食用コオロギが繁殖して農作物を食い荒らしてしまう可能性は十分に考えられます。
そのため繁殖施設や繁殖業者について細かい規定を定める前にコオロギ食を導入すると、食糧問題を解決するどころか農作物に深刻なダメージを与えてかねない、との指摘もされているのです。
デメリット⑤値段が高い
現在、日本国内で販売されているコオロギ食品は比較的高価なものが多く、たとえばコオロギを粉末状にしたコオロギパウダーには100gあたり1500円前後の値段が付けられています。
決してコオロギの飼育コストが高いというわけではないのですが、食用に飼育している施設が少ないために流通量も少なく、値段が下がらないのです。
そのため需要が増えれば価格も下がると言われていますが、少なくとも現在の状態では「高級牛肉並みの値段を払ってコオロギを食べたいと思わない」と感じる人が多い様子です。
デメリット⑥共食いをする
コオロギの餌と聞くと、野菜の切れ端などを思い浮かべる方も多いでしょう。バッタに似た外見をしていることもあり草食と勘違いされやすいものの、実はコオロギは雑食の食性を持ち、共食いをします。
2022年に「東洋経済オンライン」で発表された記事では、コオロギの共食いについて言及した以下のような記載があり、共食いは生産量を増やすための壁になると指摘されていました。
だが、問題は共食いが起こることだ。コオロギは光を嫌う性質があるため、光を当てることである程度共食いを防げるが、それでも3000匹飼育した場合、最終的に1000匹しか生き残らない。
この共食いという行動が食品として危険を及ぼすのか否かについては、研究がされていないようで論文などは発表されていません。
しかし、コオロギは餌を通してカドミウムなどの重金属類を体内に蓄積していくことが報告されているために、共食いを繰り返したコオロギを食べれば人体にも悪影響が及ぶのではないか?と心配する声があがっています。
この点については元林農水産大臣の山田正彦氏も、「集英社オンライン」の取材に対して「少しでも払しょくされていない危険がある以上、安易に口にするのは避けたほうが良いのではないか」という見解を示していました。
コオロギ食は陰謀と囁かれる理由①利権がらみでプッシュしている?
安全性が確立されていないものは食べたくない、という消費者としての主張以外に、コオロギ食については急に持て囃されるようになったことから「利権がらみで政治家がプッシュしているのではないか?」という疑惑も持ち上がっています。
こういった陰謀論が生まれた背景には、河野太郎消費者担当相が2022年に徳島のベンチャー企業が開催したイベントに出席し、株式会社グリラスのコオロギ食を試食、「美味しかった」とコメントした様子が報じられたことがあるようです。
このことにくわえて、前述したように国会の答弁で「コオロギが含まれる食品にリスク評価や安全性の基準を設ける予定はない」と発言したことから、ネットを中心に「河野大臣はコオロギ推進派」「どこかからお金が出ているに違いない」という憶測が飛び交うようになったと思われます。
以前にもツイートしましたが、私も政府もコオロギ食の推進などしておりません。すべて悪意のあるフェイクニュースです。ただ、コオロギを将来、タンパク質として利用しようと頑張っている日本のスタートアップ企業があります。悪意のあるフェイクを広めることが、そうした努力に与えている影響も考えて…
— 河野太郎 (@konotarogomame) April 29, 2023
批判が大きくなったために、河野大臣も自らのTwitterアカウントで上のように発信し、「コオロギ食を推進しているわけではない」と否定しています。
しかしながら、河野大臣に対してはマイナンバーの推進と制度不備で発覚した多数のトラブルの件でも不信感が寄せられていることもあり、このツイートにも批判的なリプライが多く見られました。
コオロギ食は陰謀と囁かれる理由②生産会社には補助金が入る?
もともと昆虫食を製造していた会社にくわえて新規に食用コオロギの生産に参入する会社が多いことから、コオロギ食を普及させると会社に補助金が入るのではないか?との噂もあるようです。
しかし実際には、コオロギの生産に限定した補助金というのは存在しません。
市町村が定める「農業経営基盤強化促進基本構想」の基準を満たせば、農林水産省が定める認定農業者制度に基づいてさまざまな支援が受けられますが、これは農業に従事していれば誰でも申請できるものです。
2023年の2月にはTwitterに「コオロギ食には6.3兆円の予算が充てられていて、ここから補助が出ている」というツイートが投稿されてこれがバズり、税金の無駄遣いだと批判を集めました。
もちろんこの情報もデマであり、6.3兆円という政府が発表した「SDGsアクションプラン2021」の予算総額から来たのではないかと考察されています。
SDGsアクションプランの中には水田の有効活用などの項目は含まれているものの、コオロギや昆虫食に関する項目はなく、そもそも総予算の3分の1が教育関連に充てられる予定です。
したがってコオロギ事業に多額の税金が投入されている、参入した会社には補助金が支払われるという事実はないのですが、未だにネット上ではこの噂がまことしやかに囁かれているのを目にします。
コオロギ食は陰謀と囁かれる理由③先にやるべきことがあるのでは?
利権がらみ、補助金の噂とも関係している理由となりますが、「コオロギにお金を使うのなら、フードロスの問題を先に解決させるべきでは?」「コオロギのようにもともと日本で常食されていないものではなく、おからや大豆、模造肉の推進に力を入れるのでは駄目なのか」という指摘も多くされています。
とくにフードロスについては、コロナ禍で学校が休校やリモート授業になったことで大量の牛乳が破棄されたことは記憶に新しく、昔から真面目に乳牛を育てている酪農家が困っているなか、コオロギで盛り上がるのはおかしいのではないか、との指摘が多くあるようです。
乳牛を殺すと1頭15万円の助成金が出るのは未来の食糧確保に逆行している。食えるかわからないコオロギ食に税金使うなら、牛の餌代に使うべき。
乳牛殺しは現在の問題であり未来の問題でもある。
「未来の可能性を探る試み」に金使うより乳牛を生かした未来の食糧確保が優先。
https://t.co/k4rFD9CPpM— ひろゆき (@hirox246) March 8, 2023
2ちゃんねる開設者のひろゆきさんも上のようなツイートをして、4.9万ものいいねを獲得していました。
このことからも「コオロギも良いのかもしれないけれど、まずは既存の農家や酪農家への援助が先」「食べ物を捨てている状態で、新しい食材に手を出すのは無駄を産むだけ」と考える人が少なくないことが窺えます。
食糧難対策としてもほかにできることがあるのに、なぜ馴染みのないコオロギ?という違和感を持つ人も多く、そこからコオロギ食推進の裏には何かあるのでは?と勘繰る人もいる様子です。
コオロギ食は陰謀と囁かれる理由④学校給食で出すのはおかしい
2022年11月と2023年2月には、徳島県立小松島西高校で給食にコオロギの粉末を混ぜ込んだコロッケやコオロギエキスを使用した大学芋が出て話題になったのですが、この話にも批判が殺到して、ネット上でも炎上騒ぎになりました。
高校側の説明では給食といっても強制ではなく、コオロギ食に興味がある生徒のみを対象にした選択制のメニューだったとのことですが、給食=強制という印象から学校にも問い合わせの電話が殺到。
生徒や保護者から苦情の声は上がっていないにもかかわらず、「生徒に虫を食べさせるなんて!」と外野が盛り上がるという展開を見せました。
そもそもこの学校で給食にコオロギが取り入れられたのも、生徒同士が食用のコオロギをゲームに使用していたのを教師が見かけて「試しに給食に取り入れてみたら、食の問題につて考えるきっかけになるのではないか」と考えてのことだったそう。
しかし、税金でコオロギを使った給食を作って、有無を言わさずに生徒に食べさせたというデマを流す人や、それを信じる人が多く出てしまい、コオロギ食は通常では考えられない猛プッシュをされている、これには何か裏があるに違いないという陰謀論と結びついてしまった模様です。
コオロギ食は陰謀と囁かれる理由⑤推進派と否定派の芸能人・有名人の存在
2022年頃からコオロギ食が急にマスコミで取り上げられるようになり、TVなどでコオロギを口にした芸能人や有名人がその味や食べやすさを絶賛する様子も多く報じられるようになりました。
こういった報道へ違和感を覚える人も少なくないようで、コオロギ食を肯定するコメントを出した芸能人に対して「コオロギを推すとお金が貰えるのではないか?」との疑惑も囁かれています。
コオロギ食肯定派としてメディアに出ている芸能人としては、昆虫食全般を好み、プライベートでもコオロギの炊き込みご飯などを自炊しているというタレントの井上咲楽さんや、「昆虫食が好きな現役ナース」という肩書きを持つYouTuberの荒川真衣(まいころ)さんなどが有名でしょう。
また、長澤まさみさんや指原莉乃さんも出演番組でコオロギ入りのラーメンを試食して「美味しい」と絶賛したことがあり、知名度の高さから影響を受けてコオロギに興味を持った人も多かったのではないかと言われています。
逆にコオロギ食に対して否定的な芸能人、有名人としては堀江貴文さん、ひろゆきさんなどメディアで昆虫食への持論を展開している有名人が目立ちます。
堀江さんやひろゆきさんの主張は、「コオロギのように食品として馴染みのないものを食べる気にはなれない。それが自然だ」という至ってシンプルなもの。
レぺゼンフォックスのDJふぉいさんも自身のYouTubeチャンネルで、給食にコオロギ食が出たというニュースを受けて「コオロギはYouTuberが動画のネタで食べるもの。コンビニのチキンの方が美味しいのに、私生活で虫なんて食べる?」との意見を発していました。
ほかに料理研究家として人気を誇るリュウジさんも「自分は料理研究家だから、ニーズがあればコオロギ料理も作るけれど、それよりも日本の酪農を支えたい」との発言を自身のTwitterでしています。
俺は料理研究家だから「世の中が本当に求めている」ならコオロギ料理だってやるけど今はそれより酪農をどうにかしたい
牛乳は捨てられ、牛も減らせと言われているこの状況なら至高のコオロギレシピより至高の牛乳レシピ作るし食べてほしいし世の中もそれを求めてほしい
https://t.co/Y0YtR9NkXi— リュウジ@料理のおにいさんバズレシピ (@ore825) March 2, 2023
昆虫食を推していると言われる芸能人、有名人も陰謀論めいた背景を持っているわけではなく、話題になる前から昆虫を食べていた人や、単にコオロギ食が口にあっただけの人という印象を受けますし、否定派の方々の主張ももっともなものが多い印象です。
しかし、急に有名人の間でもコオロギ食に対する賛否が展開されたことから「みんな、何か裏があって急にコオロギの話をしはじめたのでは?」「肯定派も否定派もどこかからお金をもらっていそう」との声が根強くあります。
コオロギ食についてのまとめ
今回は昨今、物議を醸しているコオロギ食についてメリットとデメリット、囁かれる陰謀の理由を中心に紹介しました。
コオロギ食に寄せられている否定的な意見の大半は「食べたい人は食べればいいけれど、昆虫に対して生理的な嫌悪感を持つ人もいるのだから、万能食のように持て囃すのはやめてほしい」といった意見や、「既存の食材や農家、酪農家を大切にするべきだ」という意見に感じられます。
しかし、食材として馴染みのない昆虫が突然スーパーやコンビ二の棚に並び、日常に登場してきたことから、不気味に感じる人も少なくなかったのでしょう。
アレルギーなどの問題もありますし、ほかの食品同様に食べたい人だけが食べる、拒否反応のある人は食べない、という対応で良いのではないかなという気がします。