タイヤネックレスとは南アフリカで行われたとされる残虐な私刑方法で、検索してはいけない言葉に数えられています。この記事ではタイやネックレスの現在や画像や動画を見る方法、この私刑が出てくる漫画やイラスト、知恵袋や生き残りについて紹介します。
この記事の目次
タイヤネックレスの概要【検索してはいけない言葉】
タイヤネックレスとはアパルトヘイト政策(人種隔離政策)施行下の南アフリカを中心に、ハイチやブラジルのギャングの間で行われたとされる刑罰です。
刑罰といっても日本の極刑で行われる首吊りや、アメリカで行われている電気椅子や銃殺などと違って非常に残酷なものであるため、タイヤネックレスは非合法な死刑、国家権力によらない私刑として存在してきました。
タイヤネックレスの手順は以下のようなものだといいます。
・ホイールから外されたタイヤを用意し、内側のくぼみにガソリンをかける。タイヤの表面にガソリンを塗りつけることもある。
・刑を受ける人物の首にガソリンを塗ったタイヤをかける。受刑者の身体にもガソリンをかけることもある。
・ガソリンを塗ったタイヤに火をつける。
用意するものは、もう本来の用途を果たせない中古のタイヤとガソリン、あとはマッチかライターがあればよいため、経済的に発展していない国や地域で行われてきた私刑でもあります。
刑を受ける人物は焼死することになるのですが、一酸化炭素中毒で意識を失って絶命できれば良いほうで、意識を持ったまま全身を焼かれる壮絶な痛みと苦しみに耐え続けなければいけないこともあるそうです。絶命するまでに20分以上もかかるケースまであるとされます。
これは火元となるタイヤが体に密着しており、かつ頭に近い場所が火元となるためです。
火災などでも火元からの距離が近く、煙を深く吸う前に体や衣服に引火してしまった場合、意識を持ったまま全身を焼かれるとされています。
この場合は皮膚や皮下脂肪、筋肉、骨などが焼かれていく外的な痛みとともに、煙から出る一酸化炭素で肺や気道が攻撃されることによって生じる身体の内部の痛み(呼吸不全など)の両方にさらされるわけです。
しかもタイヤネックレスの場合はタイヤを燃やすわけですから、ダイオキシンや硫黄酸化物といった有毒ガスも放出され、それを間近で吸わされるという耐えがたい苦痛も強いられることとなります。
あまりにも残酷で非人道的な処刑方法ですが、南アフリカなどでは個人に対する罰としてだけではなく、「見せしめ」として行われていたのではないかと考えられています。
タイヤネックレスが行われた国① 南アフリカ共和国
もっとも多くタイヤネックレスの被害者が出たとされる国が南アフリカ共和国です。
南アフリカでは1980年代から1990年代初頭までタイヤネックレスが行われていたとされ、主に被害者はアパルトヘイト政策に協力的とみなされた黒人住民、加害者は黒人コミュニティのメンバーとされています。
アパルトヘイト政策とは
アパルトヘイト政策は1948年に確立された、南アフリカ共和国での非白人(黒人やアジア人などの有色人種)と白人の社会的な関係を定めた人種隔離政策です。
1948年以前から南アフリカ内では選挙権に始まり、職業や住居の自由、教育など様々な面で白人と非白人の間にはさまざまな差別が存在しました。
しかし、第二次世界大後、戦争の影響による経済的な成長を受けて南アフリカでは黒人コミュニティが権力を持つようになり、黒人の台頭を危惧した当時の国民党が、黒人コミュニティの封じ込めを狙ってアパルトヘイト政策を制定しました。
この政策には公職などに就いている限られたアフリカ―ナが優遇されるようになった反面、黒人労働者は安く使われることなどが盛り込まれており、黒人コミュニティによる反アパルトヘイト運動が盛んに起きたとされます。
アパルトヘイト問題に関する暴力の応酬や人権侵害を調査するために立ち上げられた「南アフリカ真実和解委員会」によると、タイヤネックレスが最初に行われたのは1985年7月20日で、被害者は若い黒人女性だったとのことです。
この女性がタイヤネックレスで殺害されたことを彼女の妹が証言しており、黒焦げになった遺体にまで石が投げつけられるほど、反アパルトヘイト活動家からの憎しみをぶつけられたといいます。
人種によらない民主的な南アフリカを築いたとしてノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラの妻のウィニーも、夫が反アパルトヘイト運動に加担した罪で投獄された間に、「マッチとネックレスで国を開放する」と、タイヤネックレスによる死刑を肯定するような発言をしていました。
それほど、当時の南アフリカでは白人に味方する者への残酷な制裁が正しいこととされていたのでしょう。
タイヤネックレスが行われた国② ハイチ
ハイチでは民兵を使って自分に反抗的な勢力の虐殺を行っていたジャン=ベルトラン・アリスティド大統領の政権下で、大統領公認のもとタイヤネックレスが行われていたとされます。
アリスティド大統領は自身の政党である「ラヴァラの家族」の支持者にも私刑の方法としてタイヤネックレスを推奨していました。
なお、国のトップでありながら残虐な私刑を支持したアリスティド大統領は2004年にハイチ国内で起きたクーデターで失脚して国外へ逃亡。南アフリカのヨハネスブルグに飛んだことが報じられています。
タイヤネックレスは現在も行われている
現在でもブラジルのファヴェーラなど、ギャングや麻薬密売人が多く住む極めて治安の悪い地域では、見せしめとしてタイヤネックレスが行われることがあるといいます。
麻薬密売人やギャングの間ではタイヤネックレスは「microwave」と呼ばれているそうです。
また、ナイジェリアでも2006年にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画がきっかけとなって起きたイスラム信者の暴動の最中に、タイヤネックレスで命を落とした人がいると報じられています。
タイヤネックレスを見る方法は?画像や動画・イラストは存在する?
タイヤネックレスの動画(画像をまとめたもの)はYouTubeにもアップされています。
現在、ネットに流れているタイヤネックレスの画像は反アパルトヘイト活動が激化していた1980年代半ばに写真家のケビン・カーター氏(報道写真『ワシと少女』でピューリッツァー賞受賞)が撮影したものなどで、過去には普通にニュースで取り上げられたこともあるといいます。
とはいえ、炭化するまで黒く焼けてしまった人間の遺体に溶けたタイヤのゴムが付着している画像は非常に痛ましく、積極的に閲覧をお勧めできるようなものでは決してありません。
悲しい歴史の一幕として見たいという方であれば、YouTubeでタイヤネックレス、もしくは英語の「Necklacing(ネックレーシング)」と検索することでタイヤネックレスの動画を見ることができます。
また、Googleなどの画像検索でも「Necklacing」と検索するとタイヤネックレスの画像やイラストを載せている海外のサイトがヒットしますが、歴史とは関係なくグロ画像を集めているだけのサイトも存在するため、自己責任での閲覧となります。
タイヤネックレスで生き残りはいる?
タイヤネックレスの刑を受けて生き残った人はいるのか、生き残った人がいたとして、その後にどのような生活を送ったのかについては情報がないため不明です。
しかし、タイヤネックレスを行うような国は豊かではないことが多く、軍や警察などの介入で一命をとりとめることがあっても満足な治療は得られないのではないかと思われます。
タイヤに火をつけられた時点で被害者の全身は炎に包まれ、溶けたタイヤのゴムが皮膚に流れ落ちることから、途中で消火しても重度の火傷は免れません。
また、前述のように燃えたタイヤから出る有毒ガスを吸ってしまっているために、呼吸器系がダメージを受けることはもちろん、免疫機能の低下や発がんなどのリスクも背負って生きていくこととなります。
そのため、もしもタイヤネックレスで絶命する前に助けられたとしてもあまり長く生きることは叶わないのではないかと考えられます。
タイヤネックレスは知恵袋でも話題に
タイヤネックレスについての質問は、ヤフー知恵袋やネット掲示板などでもされています。
大半の質問は「どこでいつ頃、行われた私刑なのですか?」「なぜ、こんな拷問が行われていたのですか?」といった質問ですが、時としてこういった当たり障りのない質問に紛れて閲覧注意の画像が貼られていることもあります。
とくにタイヤネックレスは検索してはいけない言葉に数えられるくらいですから、何の気なしに質問を閲覧していて、薄くモザイク処理をされただけの遺体の画像にあたってしまう可能性も否定できません。
タイヤネックレスに限らず、グロ注意、検索してはいけないと注意書きのある言葉を検索する際には、普通のサイトで情報を探す際にも注意が必要です。
タイヤネックレスが出てくる漫画やドラマ・ゲームの一覧
タイヤネックレスは主に犯罪者や加害者の異常性をアピールする目的で、漫画やドラマに登場することがあります。ここではタイヤネックレスが取り上げられたフィクション作品を3つ紹介していきます。
①漫画『アイアムアヒーロー』
ビッグコミックスピリッツで連載されていた花沢健吾さん作のゾンビ漫画『アイアムアヒーロー』の6巻に、タイヤネックレスが登場します。
ただ、主人公の仲間がタイヤネックレスをされるわけではなく、強力な武器や生き残った人々を求めて主人公の英雄一行が御殿場アウトレットモールへ向かう途中、タイヤネックレスで殺害された遺体を目撃するというものです。
作中に出てくるのは炭化した遺体だけですが、このような残虐な私刑をした犯人がこの先にいるという恐怖心をあおる演出として、効果的に使われています。
②ゲーム『Call of Duty: Modern Warfare Ⅲ』
2011年に発売され、2023年にリメイクのリリースが予告されている『Call of Duty: Modern Warfare Ⅲ(cod mw3)』。このゲームの中にもタイヤネックレスが登場します。
タイヤネックレスのシーンがあるのは、第一章のキャンペーン5『back on the grid』です。
このキャンペーンの舞台はアフリカのシエラレオネの村で、村では武装した民兵による村人の虐殺がそこここで行われています。
潜入後、仲間の1人が捕らえられている黒人の村人を見て「あいつら、火だるまにするつもりか」と声をかけてきたらイベント発生の合図です。
ここで仲間とともに民兵を撃破すれば村人は助かり、逃亡して終了となりますが、何もせずにスルーすると捕まった村人は民兵によってタイやネックレスに処されてしまいます。
なお、このルート分岐はストーリーにはまったく影響を及ぼさないため、ここで村人を見殺しにしても問題はありません。
ゲーム内でシエラレオネの民兵は妙に強いことから、あえて村人を見殺しにするユーザーもいるようです。
③ドラマ『ザ・シールド 〜ルール無用の警察バッジ〜』
出典:https://www.sonypictures.jp/
2002年に放送を開始し、第7シーズンまで続いたアメリカのクライムドラマ『ザ・シールド 〜ルール無用の警察バッジ〜』。
ゴールデン・グローブ賞TVシリーズ部門の作品賞やエミー賞にも輝いた本作でも、シーズン2でタイヤネックレスのシーンがあります。
『ザ・シールド』でタイヤネックレスを行うのは、シーズン2の第1話から登場するメキシコのギャングのキンテロ兄弟です。
この兄弟は敵対するギャング2人を制裁としてタイヤネックレスの刑にかけて焼死させており、とくに兄弟の片割れであるアルマディーヨは不気味な強敵として主人公ヴィックら刑事の前に立ちはだかります。
本作でも『アイアムアヒーロー』と同じように、タイヤネックレスは加害者の」残虐性や異常性を表す演出として使われていました。
タイヤネックレスについてのまとめ
今回はかつて南アフリカで反アパルトヘイト活動のなかで多く行われ、現在ではギャングの制裁で行われることがあるという残虐な私刑・タイヤネックレスについて紹介しました。
お金がかからず、見せしめとしての効果もあるからと、このような恐ろしい処刑方法を考えついてしまう人間の業の深さには恐怖を感じてしまいます。
繰り返しになりなすがタイヤネックレスの画像は犯罪者があげたグロ画像などではなく報道写真であるため、検索の方法によっては普通にヒットします。その点はくれぐれも気を付けてくださいね。