日本には古くから恐ろしく個性的な様々な妖怪の伝説が残されており、現在でも漫画やアニメ、ゲームの題材にされるなど人気の高い存在となっています。
この記事では、そんな妖怪達の中でも恐ろしいものを、強さ最強ランキングとしてまとめました。
この記事の目次
妖怪の強さ最強ランキング:35位〜31位
第35位:見越し入道
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見越し入道は日本各地で伝わっている妖怪で、夜道や坂道の突き当たりに僧形で現れて、見る間に大きくなり、見上げれば見上げるほど大きくなるとされます。
ずっと見上げ続けて仰向けに倒れてしまうと噛み殺されてしまうともされますが、「見越し入道
見越したり」と言えば消えてしまうと言われています。
第34位:一反木綿
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一反木綿は、鹿児島県などに古くから伝わる妖怪です。水木しげるさんの「ゲゲゲの鬼太郎」では良い妖怪として描かれる一反木綿ですが、実際には恐ろしい妖怪で、空から飛んできて人の首に巻きついたり、顔を覆ったりして窒息死させると言われ、人を体に巻き込むようにして連れ去ってしまうとも伝わります。
第33位:山姥(やまうば、やまんば)
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山姥は、山奥に住むと伝わる老女の姿をした妖怪で、山で道に迷った旅人を家に泊めて食事などを与えてもてなし、旅人が寝入ったところを襲って殺し、その肉を食べるとされています。
姿形については、最初は普通の老女の姿をしているが、その正体は背が高く、ざんばらの長い髪で、眼光は鋭く、口が耳まで裂けて牙が生えた鬼のような姿をしているとも伝わっています。
第32位:がしゃどくろ
がしゃどくろは、巨大な人間の骸骨の姿をした妖怪で、江戸時代の浮世絵師の歌川国芳の「相馬の古内裏」に描かれた巨大な骸骨を元にして昭和の時代に知られるようになったものです。
がしゃどくろは、戦死者や野垂れ死にした者などの埋葬されず供養されずに白骨化した者の怨念が集まって生まれたとされ、夜中にガチガチと音を立てて辺りを彷徨い、生者を見つけると襲い、握りつぶして食べてしまうとされます。
第31位 鎌鼬(かまいたち)
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鎌鼬は、中部や近畿地方を中心に全国的に伝承が残る妖怪です。風を起こして人を斬りつけて鋭い傷を与えますが、そのすぐ後に別の鎌鼬が薬を塗り込んで傷を塞ぐため、痛みはなく傷からは血も出ないと言われています。
目に見えないほどの速さで動くため詳しい姿は不明ですが、絵図などでは手に鎌をつけたイタチの姿で描かれているものが多くあります。
妖怪の強さ最強ランキング:30位〜26位
第30位:輪入道
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輪入道は、江戸時代中期の画家・鳥山石燕の妖怪画集「今昔画図続百鬼」に描かれている妖怪です。
炎に包まれた牛車の車輪の中央に入道のような男の顔がついており、その姿を見た者は魂を抜かれるとされます。また、見つけた相手を車輪で引き摺り回してバラバラにして殺してしまう事もあるとされています。
「此所勝母の里」と書いた呪符を家の戸に貼れば輪入道は近づけなくなり、避ける事ができるとも言われています。
第29位:禰々子(ねねこ)
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禰々子は、利根川に住んでいたと伝わる河童の女親分で、利根川流域を転々とし、子分たちを率いて暴れて川の堤を壊して田畑を水浸しにしたり、近隣の村にを襲って子供や馬を川へ引きずり込んで溺れ死にさせたりして、利根川流域の人々から恐れられていました。
そこで、江戸時代に地域の川奉行を務めていた加納家の者が、禰々子を生捕りにして檻に閉じ込め改心させ、以来悪さをする事は無くなったと伝わります。
第28位:青頭巾
青頭巾は江戸時代後期の読本「雨月物語」に収録されている説話に登場する妖怪です。
青頭巾は、元々は下野国(現在の栃木県)の富田近くの山に住む高僧でしたが、寵愛していた稚児(幼い子供)が病で亡くなり、その悲しみのために気を狂わせて稚児の死肉を喰らって骨まで食い尽くしそのまま鬼と化しました。
以来、鬼と化した高僧は里へと降りてきては墓を暴いて屍を喰らうようになったため、里の者たちは恐れ慄いていました。
偶然その里へと立ち寄った禅僧の改庵禅師はその話を聞き、鬼と化した高僧の住む山寺へと赴いてその心を改心させ、被っていた青頭巾を僧の頭にのせて立ち去りました。
以来、鬼と化した高僧が里へ降りてくる事は無くなり、里は平和を取り戻したのでした。
第27位:大嶽丸(おおたけまる)
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大嶽丸は伊勢国(現在の三重県)と近江国(現在の滋賀県)の国境にまたがる鈴鹿山を根城にしていたと伝わる鬼神で、桓武天皇の時代(平安時代)に、鈴鹿峠を通る民を襲って都への献上品を略奪していました。
朝廷は坂上田村丸に大獄丸の討伐を命じ、3万の軍勢を差し向けました。しかし、大獄丸は神通力を使って鈴鹿山を黒雲に覆わせて身を隠し、暴風雨を起こして雷鳴を轟かせ、火の雨をも降らせて田村丸の軍勢を数年に渡り足止めします。
困り果てた田村丸が神仏に祈願したところ、夢で鈴鹿峠に住む鈴鹿御前という美女の助けを得よとのお告げがあり、その力を借りてついに大獄丸は討伐されました。
第26位:土蜘蛛
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土蜘蛛は、平安時代の武士の源頼光の伝説に登場する妖怪で、鬼の頭と虎の胴体、蜘蛛の手足を持つ姿をしているとされます。
平家物語では、病に臥せていた源頼光のもとに身長約2.1メートルもの奇怪な僧侶が現れて、頼光を縄で縛って連れ去ろうとしました。頼光は枕元においていた刀で斬りつけると僧侶は逃げ去り、翌日に配下の四天王とともに僧侶の残した血痕を追っていくと、北天満宮にたどり着き、その裏手に巨大な大蜘蛛を見つけます。
頼光らがこれを捕らえて、鉄串で全身を突き刺して河原で晒し者にすると、間も無くして源頼光の病は回復したとされます。
妖怪の強さ最強ランキング:25位〜21位
第25位:前鬼・後鬼(ぜんき・ごき)
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前鬼と後鬼は、修験道の開祖で実在したとされる呪術師の役小角(えんのおづぬ)が、従えていたとする二体の鬼で、役小角の式神とも弟子とも伝わります。
前鬼が夫、後鬼が妻の夫婦で、前鬼は赤鬼の姿をして鉄斧を持ち、先を進んで役小角の道を切り開きました。
後鬼は青鬼の姿をして、霊力のある水(理水)の入った水瓶を持ち、種を入れた笈を背負っています。
前鬼と後鬼は元々は生駒山に住み人に災いをなす悪鬼でしたが、役小角が彼らの5人の子供を鉄釜の中に隠し、子供を殺された親の悲しみを伝えて改心させ、その後は役小角に従うようになったと伝わります。
第24位:蛟(みずち)
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- 蛟(みずち)とは、古来から日本の神話や伝説として語られる水に関連する妖怪で、蛇や竜などの水神の一種とされています。
形状は伝説によって様々で、大きさは約3メートルから約24メートル、竜や蛇のような姿をして、足が4本あるとも伝わっています。毒を吐いて人を襲い、大雨を降らすとされています。
日本書紀では、県守(あがたもり)という男が対峙した逸話が描かれています。(上の絵図は県守が蛟を退治する様子が描かれたもの)
第23位:火車(かしゃ)
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火車は、全国的に古くから伝承されている妖怪で、悪行を重ねて死んだ者の亡骸を墓場や葬式から奪うとされています。
地獄の獄卒(地獄の役人)が炎に包まれた車を引いた姿で描かれ、それに乗せて罪人を地獄へと連れ去るとする伝承も存在します。
火車に亡骸を奪われる事を防ぐため、山梨県のある地方では葬式を2度に分けて行い、1度目の葬儀では棺桶に石を詰めておく風習がありました。他の地方でも火車避けとして棺桶の上に剃刀を置いたり、出棺の前に「火車には食わせん」と唱えたり、和楽器の妙八を叩く事で火車を避けられるなどの風習が伝わっています。
第22位:牛頭・馬頭(ごず・めず)
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牛頭・馬頭とは、それぞれ牛の頭と馬の頭を持った地獄の鬼で、地獄におちた罪人を責め苛む獄卒で、手に鉄叉や鉄棒を持って罪人を突いたり焼いたりして苦しめる地獄の下級役人とされています。
牛頭と馬頭がいるの地獄の中の衆合地獄と呼ばれる場所で、その地獄には殺生や盗み、邪淫の罪(仏教における男女間の道にはずれた情事を指す罪)を犯したものが落ちるとされています。
牛頭と馬頭は山へと罪人達を追い立て、山と山が次第に近づき罪人らはそれに挟まれて押し潰されて、骨や肉体を砕かれる事を何度も繰り返すとされています。
第21位:鉄鼠(てっそ)
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鉄鼠は、平家物語に登場する鼠の妖怪で、平安時代の頼豪はという僧侶の怨念から生まれたとされています。
当時の白河天皇は頼豪に褒美を約束して皇子誕生のための祈祷を行わせますが、見事皇子が誕生したにも関わらずその約束が反故にされ、それを恨んだ頼豪は復讐のための祈祷を行い100日の断食の末に悪鬼のような姿で亡くなりました。
その後、頼豪の怨念によって皇子(敦文親王)は4歳で亡くなり、敵対していた延暦寺に巨大な鼠があらわれるようになって経典や仏像を食い荒らしたとされます。
延暦寺は怖れをなし、怨念を鎮めるために東坂本に社を築いて頼豪を神として祀ってその怒りを鎮めました。
太平記によれば、鉄鼠は8万4千匹もの石の体、鉄の牙を持つ鼠の群れとされています。
妖怪の強さ最強ランキング:20位〜16位
第20位:団三郎狸(だんざぶろうだぬき)
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団三郎狸は、佐渡島に伝わる狸の妖怪で、佐渡に住む化け狸の総大将だとされています。
変化の術に長けていて、自分の住む穴倉を豪華な屋敷に見せて客人を招いてお土産をもらったり、木の葉を金に見せて買い物をしたり、病気になると人間に化けて医者にかかったりしていました。
また、人間に化けて佐渡の金山で働いて本物のお金を稼ぎ、困っている人に貸したりと人助けをする一面もありました。
佐渡島には狐が一匹もいませんが、これは団三郎狸が、ばかし合いをして狐を追い払ったためだとする伝説も残されています。
第19位:イクチ(あやかし)
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イクチとは、各地の日本の海に伝わる妖怪で全長が1km以上もあるとてつもなく長いウナギや海蛇のような化け物だとされています。
夜間に海から現れ、船を乗り越えるようにして進んでいくとされ、あまりにも長いため通りすぎるのに数時間から2日もかかると言われています。
イクチは体からヌルヌルとした油を出しており、通り過ぎる時にその油を船に残していくとされ、それが船に溜まるため汲み出さなければ船が沈没すると言われています。
鳥山石燕の妖怪画集「今昔百鬼拾遺」に「あやかし」の名前で描かれている巨大な海蛇状の妖怪とイクチが同一のものと見られています。九州や山口県ではあやかしという船を沈没される船幽霊が漁師の間で恐れられており、それが混同されたのだと思われます。
第18位:野槌(のづち)
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野槌は、近畿から中部、北陸、四国などで伝承されている妖怪で、頭部に大きな口を持つ胴の太い巨大な蛇のような怪物です。
江戸時代の百科事典「和漢三才図会」では野槌について大きさは長さ3尺(約90cm)、直径5寸(約15cm)と伝わりますが、別の伝承ではもっと大きく、深山に生息して、シカを丸呑みにし、時には人を飲み込む事をあったとも言われています。
人を見つけると山の上から転がってきて噛みつくとも言われ、野槌に触れると死ぬ、見つけられただけでも病気にかかり高熱を発して死ぬともされる恐ろしい存在です。
ただし、坂を登る速度は遅いので、高いところに登れば逃げる事ができるとされています。
第17位:陰神刑部狸(いぬがみぎょうぶだぬき)
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隠神刑部狸は、伊予国の松山(現在の愛媛県松山市)に伝わる化け狸の首領です。
古くは、飛鳥時代の天智天皇の時代からこの地に根付いていたとされ、代々の松山城の城主と家臣や領民とも良好な関係を結んでおり、「刑部(古い役職名)」は過去の松山城主から与えられたものだとされます。
「四国最強の神通力」を持つ存在で、江戸時代中期の松平隠岐守の時代に起きたお家騒動では、謀反側に加担して怪異を起こしました。
しかし、藩士・稲生武太夫によって倒されて、眷属とともに久万山に封印されたと言われています。
第16位:酒呑童子(しゅてんどうじ)
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酒呑童子とは、丹波国大江山(現在の京都府丹後半島)を根城にしていたとする鬼の頭目で、一条天皇の時代(平安時代)に京都の若い娘を攫って食べていたとされます。
朝廷の命を受けた源頼光が仲間らと討伐に向かい、信用させて毒の酒を飲ませてから襲いかかるという謀略によって退治したと伝わります。
酒呑童子は源頼光に首を切られてもすぐに死なず、なおも頭に食らいつこうとしたとも伝えられています。
妖怪の強さ最強ランキング:第15位〜第11位
第15位:牛鬼
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牛鬼(うしおに、もしくは、ぎゅうき)は、西日本に広く伝わる妖怪で、非常に獰猛かつ残忍で人を食い殺す恐ろしい存在だとされています。
その姿もとても恐ろしく、頭は角の生えた牛、胴体は蜘蛛のような形をし、口は真っ赤に裂けた姿で描かれています。鬼の胴体に昆虫のような羽を持つとする言い伝えもあります。
牛鬼は主に海辺や川や沼などの水辺に出没し、通りかかった人や釣り人を襲い喰らうとされています。また、濡れ女という赤子を抱いた女姿の妖怪と協力して人を襲うとする説話も複数見られます。
第14位:手洗い鬼
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手洗い鬼は、江戸時代の後期に成立した奇談集「絵本百物語」に登場する巨人で、四国の海で3里(12km)もの距離の山々を跨ぎ、海で手を洗うとされています。
手洗い鬼が手を洗っていた場所は讃岐国の高松から丸亀にかけての湾だとされており、20km以上にもなります。
その巨体ゆえにダイダラボッチ(第5位で紹介)の一種とも考えられていますが、山や湖を造り出したり、人間を手助けしたり、あるいは人間に害を及ぼしたりはせず、ただ巨体で山に足をかけて海で手を洗うとのみ伝わる特殊な存在です。
第13位:大天狗
大天狗は強大な神通力を持つとされる天狗であり、中世の日本においては仏教を脅かし国家を揺るがす魔王の一種と目される存在でした。
大天狗は不老不死で巨大化や変身も自在であり、石礫や火や風を起こすなどの様々な術を使って、火災や人間同士の争いなどの騒乱を引き起こす存在として人々に恐れられていました。
第12位:海坊主
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海坊主は日本各地に伝わる海にひそむとされる巨大な化け物で、その大きさは数メートルから数十メートルにも及ぶと伝えられています。
坊主頭のような丸みを帯びた頭部を持つ見た目で描かれる事が多く、一体ではなく集団で現れて、船を襲って沈没させようとすると言われています。
海坊主に遭遇した場合は沈没は免れないものの、唯一煙草の煙が弱点で、それを吹きかける事で追い払う事ができるとされています。
第11位:大鯰
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大鯰は、ナマズの姿をした巨大な化け物で、その巨体で暴れることで地震を引き起こすとされています。
江戸時代に起きた安政地震の後には、200を超える大鯰の絵図が描かれています。ちょうどこの安政地震の頃にはペリーの黒船が来航しており、この黒船を巨大なナマズに見立てて、大鯰の伝説を連想したとも言われています。
大鯰の伝説は日本書紀にまで遡り、古くから日本人が人間にとって抗う事の難しい地震という自然災害を巨大な化け物に見立てていた事が窺えます。
妖怪の強さ最強ランキング:第10位〜第6位
第10位:大百足
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大百足は、太平記や御伽草子などで描かれる藤原秀郷の大百足退治伝説などで描かれる巨大なムカデの化け物です。
近江国の三上山を根城とする大百足に苦しめられているとして、美女の姿に化身した大蛇(龍神の類)に助けを求められた藤原秀郷(俵藤太)が、百足が苦手だとされる唾をつけた矢を放って大百足を退治し、礼として龍宮に招かれるという伝説で描かれています。
絵図などでは、大百足は山に巻き付くほどの巨体で、頭部は村落の家1軒よりも巨大に描かれています。
第9位:風神・雷神
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風神・雷神とは、それぞれ風と雷を司る一対の神で、千手観音の眷属である二十八部衆にも加えられています。
風神は風袋を用いて風を起こし、雷神は雷鼓を打ち鳴らして雷鳴と稲妻を起こすとされ、その姿が風神雷神図として描かれています。
第8位:天狐
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天狐とは、日本や中国に伝わる妖狐の一種で、1000年を生きた狐が天に通じたものとされます。
妖狐の階級には下から順に野狐、気狐、空狐、天狐であるとされ、最上級の天狐はほとんど神のような存在であり、千里先の事を見通し、もはやこの域に達した妖狐は悪さをする事もなくなるとされています。
第7位:白澤(はくたく)
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白澤は、中国に伝わる瑞獣(動物達の長である神獣)で、万物の知識に精通して人間の言葉を話し、善政を敷く執政者の世にだけ姿を現して人智を超えた知識を授けるとされます。
その容姿は、真っ白な4足の獣で白鬚を蓄えた老人のような相貌をしており、2本の角が生え、額には知識を表すとされる第3の瞳と背中にも3つの目を持つと伝わります。
第6位:白面金毛九尾(はくめんこんもうきゅうび)
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白面金毛九尾は、真っ白な顔をした金色の体毛を持ち、9つの尾を持つとされる妖狐で、全ての妖狐の眷属の中でも最強の妖力を持つ存在だとされています。
美女に化けて権力者を誑かし世を乱して国家を転覆させる存在として描かれており、中国で妲己や褒姒に、インドで華陽夫人の正体とされます。日本では平安時代の鳥羽上皇に仕え、寵愛を受けた玉藻前という絶世の美女の正体であり、鳥羽上皇に病を呼び込み国家転覆を企てた存在だとされます。
一方で、元々は聖なる神獣としても伝承された存在であり、動物達の長と考えられた「瑞獣」の1つに数えられる事もあります。
妖怪の強さ最強ランキング:第5位〜第1位
第5位:ダイダラボッチ
ダイダラボッチは、日本の各地で伝えられている巨人で、富士山や琵琶湖をはじめとする日本列島の山、湖を造った存在だとされています。
ダイダラボッチが土を運んで山を造り、土を掘り出した穴は湖や盆地になったとの伝説や、足跡や手をついた後が同様に湖や盆地となったとする伝説が日本列島の各地に残されています。また、人間を手助けする存在として描かれた伝説も多く残ります。
これらの伝説から推測されるダイダラボッチの体の大きさは想像を絶するもので、身長は推測で100km以上という圧倒的なスケール感です。
第4位:八岐大蛇(ヤマタノオロチ)
八岐大蛇は、日本神話に登場する8つの頭と8本の尾を持ち、8つの谷と丘に跨るほど巨大な化け物で、ホオズキのような真っ赤な目をし、体は苔むして檜や杉の木が生えている。腹の部分は食べた人間の血で真っ赤に爛れていると伝わります。
古事記や日本書紀では、神の1人スサノオが出雲国(現在の島根県東部)を訪れた際にヤマタノオロチを倒して生贄の娘を救った話が伝えられています。
スサノオが八岐大蛇の尻尾を斬った時に中から現れたのが三種の神器の1つである草薙剣(天叢雲剣)だとされています。
第3位:天逆毎(あまのざこ)
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天逆毎は、日本神話の神・スサノオが吐き出した体内に溜まった猛気(荒々しい気質)が、形を成して生まれたとされる存在で、天狗や天邪鬼の祖先だとされます。
人間に似た姿をしているものの高い鼻、長い耳と牙を持つ獣のような顔をしており、その性格は極めて荒々しく、物事が思い通りにならないと荒れ狂い、力のある神すらも千里の彼方へと投げ飛ばし、鋭い武器も歯で噛み砕いてしまうほどだとされています。
子の天魔雄(あまのさく)は九天の王となり、荒ぶる神や逆らう神を全て従える魔神となりました。
第2位:神野悪五郎(しんの・あくごろう)
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神野悪五郎は、江戸時代中頃に成立した妖怪・怪異集「稲生物怪録」に名前が登場する妖怪の長、魔王です。
「稲生物怪録」では、山本五郎左衛門を名乗る魔王の1人が、この神野悪五郎と魔王の頭の座をかけて勝負をしていると語ります。(山本五郎左衛門は次の見出しで紹介)
江戸時代に土佐潮江天満宮の神官を務めた宮地水位の日記をまとめた「異境備忘録」によると、神野悪五郎は魔界の13の悪魔の頭領のうちの1人で第6の魔王だとされます。
神野悪五郎を含む魔王達の風貌についても書かれ、「皆、髪の毛が逆立っており、長上下に似た服を着ている。三つ目であったり、四手一足であったり、或いは無首大足であったり、或いは横に顔があって大きな口をしていたり、或いは大きな頭を持ち大きな一つ目であったりと、異形の見た目をしている」とされています。
第1位:山本五郎左衛門
出典:https://tosidennsetu02.up.seesaa.net/
山本五郎左衛門は妖怪達を率いる頭領、魔王に属するもので、江戸時代中頃に成立した妖怪・怪異集「稲生物怪録」に登場します。
備後国三次(広島県三次市)に実在した江戸時代中期の武士・稲生武太夫(幼名・稲生平太郎)は、16歳だった寛延2年(1749年)に、比熊山の祟りがあるとされる場所に肝試しに行ったのをきっかけに30日間にわたって、巨大な妖怪に襲われるなどの様々な怪異に遭遇するようになります。
30日目の夜、平太郎の元に武士姿の40歳くらいの男が現れ、自分は山本五郎左衛門という妖怪達の頭領であると名乗りました。
続けて、山本五郎左衛門は、自分は神野悪五郎という者と魔王の頭の座を賭け、勇気ある少年100人を驚かせる勝負をしており、インド、中国、日本と渡り歩いて86人目として平太郎を驚かそうとしたが、平太郎が何をしても驚かないため自分の負けになり、また1人目からやり直さなければならないと語りました。
山本五郎左衛門は平太郎の胆力を褒め称えると、木槌を渡し「今後は自分はもう怪異を起こす事はないが、悪五郎に襲われた時は、この木槌を打ち鳴らせば自分が現れて力を貸す」と伝え、大勢のもののけの眷属達を引き連れて去っていったのでした。
この木槌は現在も広島市東区の國前寺に伝えられています。
まとめ
今回は、古くから日本に伝わる数々の妖怪を強さ最強ランキングとしてまとめてみました。
最強の妖怪1位に選ばれたのは、「稲生物怪録」に登場する妖怪達の頭領で魔王の1人とされる山本五郎左衛門でした。
今回紹介した以外にも日本には魅力的な妖怪が数多く伝わっているので、興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。