絶対音感とは音を聞いた際に他の音と比べなくても、自然に音の高さがわかる能力のことです。この記事では絶対音感の特徴や割合、生まれつきの才能なのか、後天的に身に着けられるのか、絶対音感を持つ芸能人や有名人、歌手を紹介していきます。
この記事の目次
絶対音感とは・絶対音感を持つ人の特徴
絶対音感とは基準となる音、比較する音がなくても、聞こえてきた音の高さがわかる能力です。ある1つの音を聞いただけで、なんの音かあてられるという特徴を持ちます。
一方で相対音感は、基準となる音からあてなければいけない音がどのくらい離れているかがわかる能力で、1つの音だけを聞いて音高を判断するのは難しいとされています。
絶対音感の持ち主は全員、生活音すべてがド、レ、ミといったような音階で聞こえる特徴を持っているとも言われていますが、これは誤解です。
絶対音感を持つ人はソの音は約415Hz、ラの音は約440Hzと周波数まで聞き分けられる人も少なくないそうで、生活音や人の話し声などがなにかの音に聞こえる、という大雑把な判断はあまりしないといいます。
さらに程度は違うものの集中しない限りは絶対音感は発動されないため、なんとなく道を歩いていて、聞こえてくる生活音や話し声が全部音階に聞こえてくるということはないのだそうです。
また、単に聞いた音をあてられるでけではなく、頭に思い浮かべた音を再現できることまで含めて、絶対音感と呼ぶこともあります。
この能力があれば楽譜を見ただけで頭の中で音楽を再現できるため、ピアノなどの楽器を必要とせずにどこにいても複数の曲を正確に覚えることができます。そのため指揮者や作曲家には非常に有利な能力とされているそうです。
世界的な音楽家のなかでは、ベートーヴェンやモーツアルトが絶対音感を持っていたと考えられています。
絶対音感を持っているかのチェック方法
手軽に自分に絶対音感があるのか検査したいという方は、You Tubeにあがっている絶対音感テストの動画を使って正答率を確かめてみるとよいでしょう。音感チェックができるアプリもありますので、色々な難易度のものを試してみるのもおすすめです。
絶対音感を持っている人の割合
アメリカのバッチェムという生理学者が、1955年にアメリカの音響学会誌に発表した研究結果によると、生まれつき絶対音感を持っている人の割合は20万人にひとり程度、割合でいうと0.0005%という少なさだとされています。
20万人にひとりとなるとかなり希少な能力であるため、長らく絶対音感は特別な才能として扱われてきました。
ただ、近年の調査ではもっと多くの人が絶対音感を持つと言われており、新潟大学の宮崎謙一名誉教授を中心とした国際研究チームの調査では日本の音大生の約30%、一般大学生でも3%が絶対音感を持っていることがわかったと発表されています。
バッチェムの調査結果と宮崎教授らの調査結果で大きな違いがあるのは、調査方法そのものに違いがあるためです。
まず、バッチェムの調査では「調査を行った区域での絶対音感の保有者は123人だった」とされているのですが、この人々をどこから、どのように探してきたのは明かされていません。
バッチェムが1937年と1940年に行ったという研究でも、彼に協力した絶対音感の保有者が123人であったことから、この数を単純にシカゴ周辺の人口400万人で割って0.0005%という数字を出したに過ぎないのではないか、との批判もあります。
つまり、バッチェムが見つけたという123人の絶対音感保有者はシカゴ周辺で活動しているプロの音楽家やオーケストラ集団から連れてきた人々であり、本来ならばその音楽家集団を母数として絶対音感保有者の割合を出さなければいけないところ、周辺住民の総数を分母としたためにこのような数字が出たと指摘されているのです。
信じがたいような大雑把な調査結果ですが、バッチェムは絶対音感を希少な能力だと信じ込んでいたために、恣意的にこのような結果を発表したのではないのか、とも言われています。
さらに当時は同じような調査を行っている学者がいなかったため、バッチェムの発表はすんなりと社会に受け入れられてしまい、「絶対音感神話」とも呼べるものが誕生してしまったそうです。
一方で宮崎教授らが行った調査では、ピアノの88鍵をランダムに鳴らして、90%以上を当てられる人の割合を調べています。
この調査方法では、東京藝術大学の学生に限れば約半数が絶対音感を持っているとういことがわかったそうです。
なお、宮崎教授らの調査に対しても「100%の確率で音を当てられなければ絶対音感とは言えない」という批判がある様子です。
実は絶対音感には明確な定義がありません。そのため、調査結果によって割合にばらつきが出てしまうとされています。
絶対音感は生まれつきの能力?後天的に取得する方法はある?
以前は絶対音感は生まれつきのもの、遺伝によるもので、後天的な訓練では身につかないと考えられてきました。
しかし、近年では人によって取得できるかどうかに差はあるものの、後天的に絶対音感に近い能力が身につくケースもあるとされています。ここでは、後天的に絶対音感に近づく方法を見ていきましょう。
絶対音感を身につけるのに最適な年齢は?
子どもに絶対音感を身に着けさせたい場合は、3歳から6歳の間にトレーニングを始めるべきだとされています。
人間の耳は6歳までの間に急激に発達し、7歳を過ぎてしまうと絶対音感を取得しにくくなるといいます。
その理由は脳の発達や社会性の発達に伴って相対的にものごとを判断するようになることから、他の音と比較せずに音を判断すること自体が難しくなるためです。
そのため、ほとんどの音楽教室ではこの年齢を過ぎてしまうと、絶対音感トレーニングを受けられなくなります。
大人になっても絶対音感は身につけられる?
これまで絶対音感は生まれつきの能力で、幼少期にそれを定着させない限りは身につかないと考えられてきました。
しかし、近年では「程度の差はあるが、絶対音感に近い能力は大人になっても会得できる」という研究結果も出ています。
2018年に香港城市大学の研究チームが「Acquiring absolute pitch in adulthood is difficult but possible」という論文を発表しており、確実ではなく、難しいが大人になっても絶対音感は身につけられることを示しました。
研究者は3つの実験を通して、43人の被験者に異なる音色とオクターブを組み合わせた音の高さについて、ラボで12~40時間の訓練を受けてもらいました。なお被験者は香港城市大学の生徒で、音楽経験のある人とない人の両方が存在しましたが、いずれの被験者も絶対音感を持っていませんでした。
研究チームは上のような方法で選別した学生に訓練を行い、結果として14%の被験者が絶対音感を持つ学生と同じ精度で音を当てられるようになったと発表しています。
同じような研究は2015年にシカゴ大学でも行われており、やはり後天的に絶対音感が身につく可能性が示されました。
一方で2019年にトロント大学とデラウェア大学の共同研究チームが医学誌『ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス』にて発表した研究結果によると、絶対音感の持ち主は脳の機能そのものに特徴があるとされ、能力は先天的なものだとされています。
絶対音感を持つ音楽家はそれではないグループよりも側頭葉の上側頭回に位置する聴覚野の反応が大きいことが判明した。また、絶対音感の持ち主は音の周波数を認識する脳の領域の体積が大きめであることも明らかになった。
また、この研究で被験者となった音楽家のうち20%は、絶対音感の定着にマストとされていた幼児期の音楽訓練も受けていませんでした。
そのため合同研究チームは「絶対音感は先天性であり、遺伝の可能性が高い」と指摘しています。
異なる結果に見えますが、これらの研究結果から「大人になっても絶対音感に近い能力は身につく。しかし訓練が必要で、訓練をしても全員が身につくわけではない」ということが言えるでしょう。
どうしても絶対音感の定義がはっきりとしていないことから、研究結果によって「後天的に身につく、つかない」という点に関しても見解がわかれてしまうようです
絶対音感を身につける方法
7歳を過ぎてしまっても、努力で絶対音感に近い能力が身についたという人もいます。完璧ではないものの、ある程度は聞こえた音が何の音かわかるようになったと言うのです。
簡単にできる訓練方法としては、ピアノの1オクターブのなかにある12鍵それぞれに自分が好きな楽曲を当てはめていき、基準音を作るというものがあります。
たとえば正確に「ド」の音を覚えるためには、ドから始まる楽曲で自分の好きな曲、馴染みのある曲を紐づけるわけです。
「ド」から始まる有名な曲のなかには、スーパーマリオブラザーズの地下BGM(ドド、ララ、シ♭シ♭)などがあります。
このように12鍵すべてに対応する音楽を当てはめていき、その音楽の最初の音と照らし合わせながら音階を記憶していきます。
なお、12曲も探すのは面倒くさい!という方におすすめなのが、サビの「ありがとうって伝えたくて」がドレミファソ、になっているいきものがかりの楽曲「ありがとう」です。
ありがとうっ「て」まで入れると、1曲でドレミファソラまで基準音をカバーできるため、この曲を頭に叩き込むだけでも音感を鍛える訓練になります。
これに慣れたらバッハの平均律を繰り返し聞いて、ピアノの鍵盤の音を覚えると基準音がしっかり覚えられるといいます。
絶対音感にもデメリットはある?
音楽の教科書に載るような世界的な音楽家は絶対音感を持っている、著名な演奏家や指揮者は絶対音感を持っていると思われがちですが、実は絶対音感にはデメリットもあります。
ここでは絶対音感の持ち主が感じるデメリットや誤解について紹介していきます。
移調楽器が苦手
絶対音感の持ち主のなかには「楽器を演奏するうえでは、相対音感のほうが圧倒的に役に立つ」「ピアノ以外の楽器を演奏する際には絶対音感は邪魔になる」と話す方々もいます。
というのも、ドではない音が楽器の基準となる移調楽器を演奏する場合には、楽譜上の音と実際に楽器から出る音が異なるために混乱する人が多いのです。
とくに自分が絶対音感を持っていると気づかずにホルンやクラリネット、サックスなどの移調楽器に挑戦しすると、「理由はわからないけれど、なんだか気持ち悪い」と演奏に苦労してしまうこともあるといいます。
飲み薬で音感がずれる
意外な話ですが、絶対音感の持ち主はある薬を飲むと音感が狂ってしまい、音が低く聞こえるようになります。
その薬とは咳止め薬で、咳止めとして処方されるフラベリック錠を飲むと、すべての音が半音ずれて聞こえるようになるのだそうです。
普通の人にも同じ症状が起きるとのことですが、絶対音感の保有者以外は気づかないため見過ごされてきたようです。
しかし、2017年にフラベリック錠を飲んだ音大生が「音が低く聞こえる」とTwitterに書き込んだことがきっかけとなって、薬の副作用が拡散され、音楽に携わる人は忌避したほうが良い薬と話題になりました。
私がたった今やらかしたので全音大生に拡散してほしい。
病院で処方される「フラべリック」っていう咳止め薬、書かれてませんが副作用で「生活音も音楽も、全ての音程が半音下」に聴こえます。
絶対音感持ってるとかなりキツいし、寝てるときに音楽もテレビも見れないので辛いです。ぜひ拡散して!— あすみん (@asuminoshiki) June 29, 2017
なお、この副作用から開放されるまで2日程度は音がずれて聞こえる状態で生活しなければいけなかったとの体験談もありました。
キーチェンジが苦手
絶対音感の持ち主はカラオケが上手、歌がうまいというイメージがありますが、必ずしもそうではないといいます。
とくにカラオケでは出せない音がある時にキーチェンジをしますが、絶対音感があるとキーチェンジへの違和感、次にくるはずの音と違う音が来ることによって別の曲を歌っているような錯覚に陥ってしまい、グダグダになってしまうことがあるそうです。
これを解消するには絶対音感に頼るだけではなく、別の音楽訓練を積む必要があります。
耳コピは得意だが…
聞いた曲の音階が正確に当てられるため、絶対音感の持ち主は耳コピが得意とされています。
しかし、なかには「You Tubeで聞いた曲をそのままコピーできるが、演奏者の癖もコピーしてしまうため、本当にただのコピーになる。オリジナリティが出せない」という高度な悩みを持つ方もいるそうです。
たとえば、耳コピや替え歌で人気を誇るYou Tuberのゆゆうたさんは絶対音感の持ち主ではなく、努力で相対音感を極めているため、演奏者の癖までコピーすることはないといいます。
そのため人からは羨ましがられる能力ですが、絶対音感よりも相対音感を鍛えたほうが何かと役立つと考える人もいるようです。
ウザがられることがある
音楽に携わっていて、絶対音感を活かしているという方々にとってはとばっちりとしか言いようのないことですが、「絶対音感を持っていると言うやつ=ウザい」という捉え方をする人も少なくありません。
前述したように絶対音感には明確な定義がないため、自称・絶対音感持ちという人も存在します。おそらく絶対音感を超能力と履き違えてしまい、憧れをこじらせてしまった結果なのでしょう。
そういった人が学校の音楽の時間などに「絶対音感持ちだから、このレベルの合唱を聞くと気持ち悪くなっちゃう」などと言って顰蹙を買うケースは珍しくありません。
このように自称・絶対音感持ちがいらない自慢話をして注目を集めようとするあまり、自称・霊が見える人に近い感じでウザいと思われてしまう様子です。
絶対音感を持っていると噂の日本の歌手6人
日本の音大生は欧米の音大生に比べて絶対音感の持ち主が多いといいますが、プロの歌手も絶対音感を持つ人が多いのでしょうか。
自ら絶対音感があることを明かしている日本のシンガーは少なく、ファンから「絶対音感を持っているに違いない」と言われる人も、実は絶対音感を持っていないと否定しているケースが少なくないようです。
ここでは絶対音感の保有者と噂される日本の歌手6人と、その真相についてまとめて紹介していきます。
①美空ひばり
昭和の歌姫として知られる美空ひばりさん。演奏のないアカペラの状態でも音程をまったく外さなかったことから、絶対音感を持っていたと考えられています。
また、ひばりさんは楽譜がまったく読めず、新曲は耳ですべて覚えたというエピソードも持っており、相対音感も優れていたと言われています。
②さだまさし
シンガーソングライターのさだまさしさんは、もともと持っていた絶対音感を「意図的に壊した」というエピソードの持ち主です。
さださんと言えばアコースティックギターの弾き語りのイメージがありますが、ギターを弾くうえで「絶対音感は邪魔だった」と感じていたことを明かしています。
2021年放送のテレビ朝日『関ジャム』で、さださんがこの話をした際には「ミュージシャンは絶対音感があったほうが有利なのでは?」「悩みの次元が高すぎてわからない」「絶対音感って意図的になくせるものなの?」とネット上で話題になりました。
③玉置浩二
俳優のイメージが強い方も多いであろう玉置浩二さん。日本の男性シンガーのなかでは最も歌がうまいと評価されるほど、高い歌唱力を持つシンガーソングライターです。
本人は「絶対音感はない」と否定していますが、プロのボイストレーナーや音楽評論家をして「化け物」と言わせる歌のうまさから、当たり前過ぎて本人が絶対音感に気づいていないだけでは?との疑いが根強くあります。
④宇多田ヒカル
昭和の歌姫が美空ひばりさんなら、平成の歌姫は宇多田ヒカルさん、と感じる方も多いのではないでしょうか。
デビュー当時、宇多田ヒカルさんは絶対音感を持っていると音楽雑誌などで紹介されることもあり、ファンからもこの歌唱力なら絶対音感を持っていても不思議ではないと思われてきました。
しかし、宇多田さん本人は自身のブログで「絶対音感はありません」とバッサリ否定しており、「ある種の音楽の仕事には向いている能力だけど、アーティストとしては絶対音感ってない方がいいのかも」という持論も展開しています。
⑤綾戸智恵
ジャズピアニストでシンガーの綾戸智恵さんは、3歳の頃からクラシックピアノを習っており、ピアノのテクニックからも絶対音感の持ち主ではないかと言われています。
ただ、綾戸さん本人が音感について発言したことはなく、「絶対音感の持ち主だったら、あそこまで自由に演奏をしたり歌ったりできないんじゃないか?」とも指摘されています。
⑥広瀬香美
広瀬香美さんは2020年にフジテレビ『ダウンタウンなう』に出演した際に、自ら「4歳からピアノの英才教育を受けていて、絶対音感がある」と話していました。
幼少期はすべての生活音が音階でノイローゼ状態になった、常にミュージカルをみているみたいで落ち着かず、寝られなかったせいで学校も休みがちだった告白。
かなり感覚が鋭いお子さんだったようで、幼少期の苦労について『絶対音感のドレミちゃん』というエッセイも出版されています。
絶対音感を持っていると噂の日本の芸能人・ミュージシャン6人
歌手以外のミュージシャンや芸能人では、絶対音感を持っている人はどのくらいいるのでしょうか。ここでは絶対音感を持っていると公表している人や、持っているのではないかと噂される芸能人を紹介していきます。
①坂本龍一
闘病生活の末、2023年に逝去した坂本龍一さん。4歳からクラシックピアノを始め、東京藝術大学大学院の音楽学部作曲科を卒業した音楽のエリートです。
坂本さんは1999年に雑誌『リトルモア』のインタビューで、自身の音感について以下のようなことを語っていました。
・(ピアノの)白鍵に関しては絶対音感がある。黒鍵は怪しい。
・音感は半音の半分くらい低い。
独特な音感を持っていたようです。また、ファンからは「絶対音感があったとしても、意図的に使っていなかったんじゃないか」とも言われています。
坂本龍一さんは、絶対音感の持ち主が聞いたら音程のズレから気分が悪くなるような民俗音楽も好んでいました。
そのため藝大入学以降、小泉文夫氏と出会って民俗音楽の世界に傾倒するようになってからは、絶対音感を使わないようにする方法を身に着けたのではないか?とも考察されています。
②みやぞん
土曜日の『さんまのお笑い向上委員会』に出てます🙌✨
そして、日曜日『世界の果てまでイッテQ』に出てますので是非見て下さい😆🎶
今回も大変だった😭💖 pic.twitter.com/nxPosWsdh7
— みやぞん【ANZEN 漫才】 (@anmanmiyazon) January 25, 2017
ANZEN漫才のみやぞんさんは、本業がお笑い芸人でありながら聞いた曲を即興でピアノやギターでカバーしてしまうという音楽的な才能を持ち、絶対音感があるのではないか?と噂されてきました。
ただ、みやぞんさんが耳コピで演奏する曲は元の曲とキーが違うこともあり、このことから絶対音感はなく、相対音感が優れているのではないかという説が有力です。
TVの仕事が増える前がギターを片手に流しで仕事をしていたといいますから、その時にリクエストを受けた曲を必死に覚えるという経験を積み、相対音感を磨いていったのでは?と指摘されています。
③松下奈緒
東京音楽大学でピアノを専攻していた女優の松下奈緒さん。ピアニストとしても活動しており、絶対音感を持っていると自ら語っています。
耳コピをする際に絶対音感は役に立っているとのことで、絶対音感があることで感じるデメリットは「父親の大きなイビキが音階で聞こえてきて、苛立つことがある」ことだといいます。
④ハラミちゃん
ストリートピアノでブレイクしたYouTuberのハラミちゃんも、4歳からクラシックピアノを習っており、耳コピでピアノを弾くことから絶対音感の持ち主ではないかと言われています。
また、ハラミちゃんは周囲の学生への劣等感から国立音大時代に挫折を味わったといいますが、おそらくそれは絶対音感に頼ってしまって楽譜を読まなかったからではないか?とも考察されています。
⑤YOSHIKI
X JAPANのドラマーであり、ソロのアーティストとして活動するYOSHIKIさん。YOSHIKIさんも自ら絶対音感の持ち主であることを明かしています。
絶対音感があるので音を聞けば全部譜面にかけますし、その逆もできるということかな。X JAPANの曲も先に譜面で書いたものですし、ドラムも99%譜面になっていて、譜面通りに叩いているだけなんですよ(笑)。
⑥さゆり(かつみ・さゆり)
最近は美容系YouTuberとしても人気の、お笑い芸人かつみ・さゆりのさゆりさんも絶対音感を持っているそうです。
さゆりさんは3歳からピアノを習っていたといい、中退したものの大学は大阪音楽大学短期大学部ピアノ科に進学しています。
フジテレビ系列で不定期に放送されている『芸能界特技王決定戦 TEPPEN』のピアノ大会でも4度優勝しており、ピアノの実力は折り紙付きです。
絶対音感が原因で炎上した芸能人も…
2015年1月17日、日本テレビ『嵐にしやがれ』にSEKAI NO OWARIが出演し、メンバーのSaoriさんが「絶対音感がある」と発言したことから炎上騒ぎに発展しました。
この発言を検証するために番組内では『NEWS ZERO』のテーマソングや山手線の発車メロディ、『笑点』のテーマなどをSaoriさんに耳コピで再現してもらったのですが、そのうちのいくつかのコピーに失敗。
ここでSaoriさんが「黒鍵は苦手で当てられないことがある」「絶対音感にも精度がある」とコメントしたため、Twitterでは「本当に絶対音感があるなら白鍵しかわからないなんてことはない」「絶対音感に精度なんてない」「見栄をはって絶対音感があると嘘をついたんじゃないか」と批判が殺到してしまったのです。
ただ、「黒鍵は苦手」というのは坂本龍一さんも同じことを言っていましたし、それに対して「坂本龍一は見栄を張っている」と感じる方はまずいないでしょう。
また、Saoriさんは短い曲やチャイムのような音であれば完全にコピーできていたものの、長いメロディになると再現できなかったことから、絶対音感はあるものの、単に記憶力の問題で再現できない曲があったという印象を受けます。
絶対音感があると嘘をついてもSaoriさんには何のメリットもないですし、見栄を張ったとは思えません。それなのになぜ、炎上騒ぎになってしまったのでしょうか。
これについては視聴者のなかで「絶対音感」の「絶対」を「絶対↔相対」の意味ではなく、「絶対に音を間違えない超感覚」と間違えている人が多かったのではないか、上でも触れたように自称・絶対音感の持ち主に嫌な思いをさせられたことがあり、「絶対音感」という単語自体にアレルギーのある人が多かったのではないか、と考察されています。
絶対音感についてのまとめ
今回はランダムに鳴らされた音を言い当てられる能力・絶対音感について紹介しました。
少し前までは音楽の才能を持っている人は必ず持っている能力、楽器や歌が上手い人は絶対音感の持ち主という印象がありました。しかし、現在は絶対音感にこだわなくてもいい、あれば便利だがなくても困らないという印象に変化しているようです。
また、たとえ訓練して絶対音感が身につかなくても、誰にでもある相対音感を鍛えればいいとの声も多く見られました。素晴らしい才能ではありますが、絶対音感にこだわらずに音楽を楽しみたいですね。