子供が被害者の事件のニュースを聞くと、とても心が痛みますよね。子供が被害に遭った事件の中でも、特に残酷で世界的に大きなニュースになったのが中国の目玉くり抜き事件です。目玉くり抜き事件の概要や被害者の子供や家族、犯人の動機や事件のその後・現在をまとめました。
この記事の目次
目玉くり抜き事件(中国)とは
目玉くり抜き事件は、2013年8月24日に中国の山西省で当時6歳の男の子が両目をくり抜かれた状態で発見された事件です。
中国の山西省で6歳男児が行方不明
出典:afpbb.com
2013年8月24日19時ごろ、中国の山西省汾西県に住む6歳の郭斌(ビンビン)くんが行方不明になっていることに両親が気づきました。
ビンビン君は18時頃は隣の家の前で遊んでいたはずです。そこで、両親が近所の人たちにビンビン君の行方を聞きに行ったところ、18時ごろに女性が来て連れ去ったことが判明しました。
両親は親戚や近所の人たちと共にビンビン君を捜索しましたが、ビンビン君は見つかりません。そこにサソリ獲りから帰ってきた老人が山の中に横たわった子供がいたようだという情報を告げました。
両親がその現場に急いでいくと、横たわっているビンビン君を発見したのです。ビンビン君は意識はありましたが、血まみれの状態で、目の周囲は真っ赤に染まり、腫れあがっていたとのことです。
目玉をくり抜かれて発見
ビンビン君は急いで病院に搬送され、緊急手術を受けて、一命をとりとめました。
そして、命の危機を脱したビンビン君の証言によって、次のようなことが明らかになったのです。
・連れ去った女性が「郭斌、一緒に来て」と言った
・「泣くと目玉をくり抜くよ」と脅された
・両目をくり抜かれた
・痛みで意識を失った
事件の翌日には、現場近くでビンビン君のものと思われる2つの目玉が発見されました。
現地報道では、この目玉は角膜が泣く、臓器提供のためにビンビン君は襲われたのではないか?という憶測が飛び交いましたが、現地警察はこの「角膜がない」という報道を否定しています。
病院で義眼を入れる
出典:hb.ifeng.com
目玉くり抜き事件は中国はもちろん全世界的にも大々的に報道されました。病院のベッドで目が覚めたビンビン君が初めて発した言葉は「お母さん、どうしてまだ夜が明けないの?」であったことも報じられ、世界中の涙を誘います。
そのような中、香港の眼科医がビンビン君の目の治療を無料で行うことを申し出ました。
ビンビン君は2013年9月10日に中国の深圳で両目に義眼を入れる手術には成功しましたが、視力は完全に失いました。
犯人は自殺した伯母?
山東省の警察は10万元の懸賞金を出し、情報提供を呼びかけましたが、事件から約10日後の2013年9月2日に現場近くで血痕が付いた紫色のトップスが発見されました。DNA鑑定の結果、この血痕は被害者のビンビン君のものであることが判明します。
また、ビンビン君の母親の証言からこの服はビンビン君の伯母のものであることがわかりました。
そして、その伯母は事件後の8月30日に自宅の庭にある井戸に飛び込んで自殺していたのです。
これらのことから、目玉くり抜き事件の犯人は被害者のビンビン君の伯母であると断定されたのです。ただ、すでに伯母は自殺していましたから、被疑者死亡と言うことになります。
目玉くり抜き事件(中国)の被害者とその家族
出典:hb.ifeng.com
ビンビン君は4人家族です。
・父親
・母親
・姉(2歳上)
・郭斌(ビンビン君)
両親はもともと農民でしたが、小学校の統廃合により、事件の5~6年前に事件当時の場所に引っ越してきました。父親は運転手の仕事をしていましたが、事故を起こし、事件当時は自宅のマージャン卓を貸し出して生計を立てていたとのことです。雀荘のようなものですね。
両親は地元メディアに対し、マージャン卓の貸し出しでトラブル等はなく、誰かに恨みを買うこともなかったと話していました。
目玉くり抜き事件(中国)の犯人の動機
中国で起こった目玉くり抜き事件は、被害者のビンビン君の伯母である張恵英が犯人ということで、事件は解決しました。
ただ、犯人の詳細な動機は不明のままです。犯人の伯母の張恵英は事件が起こってから1週間後の8月30日に自宅の井戸に飛び込んで自殺していますので、取り調べをすることができず、動機は解明されていないのです。
犯人の生活背景
犯人であり、被害者のビンビン君の伯母である張恵英は、1972年3月21日生まれで山西省奮渓県滴竹鎮橋家荘出身です。
張恵英は結婚していましたが、夫は事故で働くことができなくなり、張恵英が養鶏場の鶏肉の加工作業で月2,000現を稼いで、一家を支えていました。いくら中国の田舎とはいえ、一家が2,000元で生活するのは、かなり苦しい経済状況だったようです。
動機は不明
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一部報道では、犯人の張恵英一家と、被害者のビンビン君一家の間にはビンビン君の祖父の介護問題があり、揉めていたと報じられています。
また解明されてない最大の謎が動機だ。「男児の高齢の祖父の介護をめぐって男児の一家と伯母の間に確執があった」との報道も一部あったが、男児の父親は「そうしたトラブルはなかった」と言下に否定している。
ビンビン君の父親は「そんなトラブルはない」と否定していますが、真相は不明です。ビンビン君側がトラブルだと思っていなくても、犯人の張恵英側は不満を抱えていた可能性もありますから。
ただ、表立ったトラブルはないようです。また、もし介護に関するトラブルがあって恨みがあるとしたら、犯人の張恵英はビンビン君を狙うのではなく、ビンビン君の父親や母親を狙うのが普通でしょう。また、ビンビン君に危害を加えるにしても、目玉をくり抜く意味がありません。
ビンビン君の目玉をくり抜いたら、ビンビン君は失明します(実際に失明している)。ビンビン君が失明したら、両親はビンビン君のサポートをしなければいけないため、祖父の介護は犯人の張恵英の負担が重くなることは考えなくてもわかることですよね。
目玉くり抜き事件(中国)の犯人は本当に伯母?
中国の目玉くり抜き事件は、被害者のビンビン君の伯母が犯人と断定されましたが、伯母が犯人かどうか疑わしい点があります。
取り調べ後に意味不明なことをつぶやく
ビンビン君の伯母である張恵英は事件後の8月27日に、警察からアリバイを聞かれるなどの事情聴取を受けました。
夫の証言によると、その後は精神的に不安定になり、「誰かに連れて行かれる」などの意味不明なことを言うようになったとのことです。そして、8月30日に自殺しました。
この流れを見ると、目玉くり抜き事件の犯人は伯母の張恵英で間違いないかと思えるのですが・・・。
ビンビン君は伯母が犯人とは言っていない
ビンビン君は犯人の顔を見ているはずです。女性が連れ去ったことはわかっていますし、一緒に現場である山の中に行っていますから。
でも、ビンビン君は犯人が伯母であるとは証言していません。
警察はビンビン君の血痕が付いた服が見つかった後、ビンビン君に「犯人は伯母さんに似ていますか?」と聞きました。
ビンビン君は初めは「はい」と答えましたが、その後に「伯母さんではない。伯母さんがそんなことするはずない」と否定したのです。
もし、犯人が伯母の張恵英だったら、ビンビン君はすぐに犯人=伯母とわかるはずです。それなのに、それを否定したとなれば・・・。最初の警察の質問も、犯人は伯母であるという前提でビンビン君に質問していますよね。
ビンビン君が伯母をかばったという見方をすることもできますが、自分の目をくり抜いた伯母をかばうでしょうか。
証拠は母親の証言のみ?
この目玉くり抜き事件では、凶器も発見されていません。鋭利な刃物で目玉をくり抜いたことはわかっていますが、何が凶器か分かっていませんし、もちろん凶器も発見されていません。
また、伯母の張恵英が犯人と断定されたのは、母親の証言がメインかもしれません。
中国の報道によると、ビンビン君の血痕が付着した紫色のトップスが事件現場近くで発見され、その服は伯母のものであるとビンビン君の母親が証言したとあります。(※日本では伯母の自宅で発見された報道)
もし、中国の報道通りなら、その服が伯母のものである=犯人であるというのは、母親の証言が決め手になったと考えられます。ちょっと証拠としては薄いですよね。
また、犯人は地元の言葉ではない方言(北京語?)を使っていたとビンビン君が証言したという報道もありました。
これらのことから、伯母が目玉くり抜き事件の犯人であるという根拠は乏しいように感じてしまいます。
角膜の報道が気になるが・・・
目玉くり抜き事件の翌日、ビンビン君の目玉が事件現場近くから発見されました。当初の報道では角膜が取り除かれていたと報じられました。しかし、それを警察が否定しています。
当時の中国では臓器売買が社会問題になっていたようで、違法な臓器売買・臓器採取が急増していました。だから、目玉くり抜き事件も角膜を採取することが動機だったのでは?という見方が強くなったのです。
中国の一部メディアは、「本当は角膜採取が事件の真相だったのに、欧米諸国でこのニュースを大きく報じられるようになったため、中国が面子を気にして、伯母である張恵英を犯人に仕立て上げた」と報じています。
目玉くり抜き事件は6歳の男児が目玉をくり抜かれるという痛ましい事件で、欧米諸国が注目した事件でした。欧米諸国でこの事件が報じられるようになったのは、事件から4日後の8月28日ごろからだったようです。
中国としては国内で違法な臓器売買・採取が行われていると海外で報じられると、中国のメンツが潰れてしまうので、急いで臓器売買とは関係ない犯行だったとするために、急いで犯人を仕立て上げたということなのかもしれません。ただ、これについてはあくまでも推測・噂レベルでしかありません。
目玉くり抜き事件(中国)の被害者のその後と現在
出典:163.com
被害者の郭斌くん(ビンビン君)は義眼を入れたものの、視力は完全に失いました。
舌で見る視覚障害者向けの機器(感覚代行器具・人工視覚システム)を使う訓練をしたりしていましたが、結局はあまりうまくいかず、目玉くり抜き事件の1年後には事件があった地元を離れて、武漢の盲学校に通うことになりました。これは、武漢の盲学校が無償でビンビン君に教育を提供することを提案したためです。
ビンビン君と家族は武漢に引越して、ビンビン君は盲学校に通い、父親は学校の警備員、母親は小学校の食堂で働くようになりました。
そして、現在ビンビン君は音楽に興味を持ち、エレキベースを練習して、「VVM」という3人組のバンドを組んでいるそうです。
目玉くり抜き事件のまとめ
中国の目玉くり抜き事件の概要や被害者とその家族、犯人の動機やその後と現在をまとめました。6歳の子供の両方の目玉をくり抜くという恐ろしい事件ですが、動機が分からず、事件の真相が分からない点も恐ろしいですよね。