2017年7月26日にアメリカオハイオ州コロンバスの移動遊園地で発生した「ファイアーボールオハイオ事故」が話題です。
この記事ではファイアーボールオハイオ事故の概要や発生場所、事故の原因やその後、現在などについてまとめました。
この記事の目次
- ファイアーボールオハイオ事故とはアメリカで起きた移動遊園地の死亡事故
- ファイアーボールオハイオ事故が発生した場所
- ファイアーボールオハイオ事故のアトラクションはオランダ製
- ファイアーボールオハイオ事故の原因① 内部の腐食
- ファイアーボールオハイオ事故の原因② 事前の安全検査の不備の可能性
- ファイアーボールオハイオ事故の原因③ 従業員のミスや突風説は憶測
- ファイアーボールオハイオ事故でタイラー・ジャレルさんが亡くなった原因
- ファイアーボールオハイオ事故のその後① 全アトラクションの稼働中止
- ファイアーボールオハイオ事故のその後② 負傷者の1人が1年後に死亡
- ファイアーボールオハイオ事故の現在① メーカーは今も絶叫マシンを開発製造
- ファイアーボールオハイオ事故の現在② オハイオ・ステート・フェアも変わらず開催
- ファイアーボールオハイオ事故の現在③ 被害者の1人が現在を語っている
- まとめ
ファイアーボールオハイオ事故とはアメリカで起きた移動遊園地の死亡事故
「ファイアーボールオハイオ事故」とは、アメリカ中西部のオハイオ州で、2017年7月26日に発生した移動式遊園地アトラクションでの死亡事故です。
その日は、オハイオ州コロンバスで大規模なお祭り「オハイオ・ステート・フェア(Ohio State Fair)」が開催されており、移動式遊園地も運営されていました。
ファイアーボールオハイオ事故が起きたのはこの移動式遊園地で運用されていた「ファイアーボール(Fire Ball)」という空中で支柱が振り子式に動き、そこに取り付けられた座席が回転する仕組みの絶叫型アトラクションでした。
このファイボールが稼働中に分解を起こして一部の座席が支柱から外れ、乗っていた14歳から42歳までの合計8人が空中に投げ出されて地面に落下するなどし、当時18歳の男性、タイラー・ジャレル(Tyler Jarrell)さんが亡くなり、その他7名が負傷しました。事故発生時には、7名の負傷者には重体者も含まれると報じられていました。
ファイアーボールオハイオ事故で亡くなったタイラー・ジャレルさんは地元のオハイオ州コロンバスのフランクリンハイツ高校を卒業したばかりで、事故の1週前に海兵隊に入隊したばかりでした。
事故の負傷者7名の中には、タイラー・ジャレルさんの恋人も含まれており、彼女も一時は重体となって2度の手術を受けた事が報じられています。
ファイアーボールオハイオ事故は、事故発生時の衝撃的な動画がネットに投稿されており、現在も検索すると多数ヒットする事から日本国内では「検索してはいけない言葉」としても知られています。
ファイアーボールオハイオ事故の動画自体は遺体や負傷した人が映り込んでいるようなグロテスクな内容ではありませんが、凄惨な事故の内容や悲惨な状況が伝わるため「検索してはいけない言葉」とされています。
検索してはいけない言葉としての危険度は「1」で「人によっては不快に感じる内容」に設定されています。
下の動画は、ファイアーボールオハイオ事故の瞬間が含まれるアメリカのニュース番組ですが、衝撃的な部分もあるため試聴には注意してください。
ファイアーボールオハイオ事故が発生した場所
「ファイアーボールオハイオ事故」が発生した場所は、アメリカ合衆国中西部にあるオハイオ州コロンバスの博覧会場「Ohio Expo Center and State Fairgrounds」です。この場所の詳しい住所は「717 E 17th Ave, Columbus, OH」です。
下はファイアーボールオハイオ事故があった場所の周辺地図です。
ファイアーボールオハイオ事故のアトラクションはオランダ製
ファイアーボールオハイオ事故で空中で分解したアトラクションは振り子型の絶叫マシン「Fire Ball(ファイアーボール)」で、オランダの「KMG International BV」というメーカーが開発したアトラクションでした。
2002年に運用が開始され、アメリカで最も人気のある絶叫マシンの1つとして知られていたファイアーボールは、振り子式に動く支柱にタコ脚のように複数のアームが取り付けられ、その先端に座席が取り付けられている構造で、支柱が振り子のように揺れながら座席が回転する仕組みでした。
座席は1分間に13回転し支柱は40フィート(約12メートル)の高さで旋回し、稼働している映像を見る限りかなりスリリングなアトラクションだったようです。
ちなみに、この「ファイアーボール」というのはアメリカでの名称で、他の地域では「アフターバーナーの名称で販売されていたという事です。
日本国内の遊園地で同様のアトラクションが運営されていたという情報は出ていません。
ファイアーボールオハイオ事故の原因① 内部の腐食
「ファイアーボールオハイオ事故」の原因は一部の支柱内部の腐食だと発表されています。
ファイアーボールのメーカーのオランダのKMGインターナショナル社は事故後に原因調査を実施しており、一部の支持柱(支持梁)の内部が腐食したため梁の厚さが減少し、それが破損につながったとの声明を発表しています。
ファイアーボールオハイオ事故の原因② 事前の安全検査の不備の可能性
オハイオ・ステート・フェアの開催前にアトラクションの検査などを担当したオハイオ州の農務省の検査官は、事故後に3、4回、電気系統や油圧系統の動作状態、構造的完全性などの安全検査を実施したと説明していましたが、オハイオ・ステート・フェア開催週の初めに雨と洪水の被害があり、開催の直前前で検査が遅れ、慌てて検査を行ったのが事故の原因の1つではと指摘する報道もありました。
ただ、KMGインターナショナル社の発表では、事故原因は内部の金属腐食と発表されており、検査官は構造内部の金属検査までは実施していなかったため発生前に内部の腐食に気づく事は難しかったとの意見も出ています。
しかし、オハイオ州農務省はファイアーボールオハイオ事故が発生するわずか数時間前に実施された安全検査で合格点を与えている事から、この事前の安全検査に不備がありそれが事故の原因となった可能性は現在も追及されています。
ファイアーボールオハイオ事故の原因③ 従業員のミスや突風説は憶測
一部ウェブサイトではファイボールオハイオ事故の原因として、「従業員のミス」や「突風が吹いたため」などの根拠のない情報が拡散されていますが、そうした内容は現地メディアでは報じられておらず、憶測によるいい加減な情報のようです。
ファイアーボールオハイオ事故でタイラー・ジャレルさんが亡くなった原因
出典:https://images.thewest.com.au/
検死にあたったオハイオ州フランクリン郡の検視官は、タイラー・ジャレルさんの亡くなった原因について、ファイアーボールが破損した際に頭部、胴体、下肢に損傷を負い、外傷によって死亡したと発表しています。
タイラー・ジャレルさんは、乗っていたファイアーボールの座席がちょうど上に上がっていくタイミングで破損した事が原因で上方向に打ち上がるように投げ出され、座席部から約50フィート(約15メートル)離れた地面に落下しています。
しかし検視官の発表ではファイアーボールが破損したタイミングでタイラー・ジャレルさんは損傷を負ったという事なので、地面に叩きつけられた事ではなく、破壊されたファイアーボールの破片がタイラージャレルさんを傷つけた事が亡くなる原因となった可能性があるようです。
ファイアーボールオハイオ事故のその後① 全アトラクションの稼働中止
「ファイアーボールオハイオ事故」発生のその後の影響についても見ていきます。
ファイアーボールオハイオ事故のその後、オハイオ・ステート・フェアの移動遊園地の他のアトラクションも全て稼働中止の措置が取られました。
これは当時のオハイオ州知事だったジョン・ケーシック氏の指示によるものでした。
また、この事故を受けて、アメリカの他の州やカナダの州でも、ファイアーボールやそれに似た構造のアトラクションの運用を一時中止するとの発表が相次ぎ、アメリカ全土に大きな影響を及ぼしました。
ファイアーボールオハイオ事故のその後② 負傷者の1人が1年後に死亡
2018年9月に、「ファイアーボールオハイオ事故」の被害者の1人で当時18歳だった女性、ジェニファー・ランバート(jennifer lambert)さんがその後、肝不全により亡くなっていた事が報じられました。
報道によれば、ジェニファー・ランバートさんはファイアーボールオハイオ事故によって外傷性脳損傷による後遺症が残り、施設で治療とリハビリを行なっていたという事です。
ジェニファー・ランバートさんの弁護士は、ランバートさんの死とファイアーボールオハイオ事故との関連性はないと説明していますが、経緯から見ても全く関係がないとはいえないとの見方が有力です。
なお、ジェニファー・ランバートさんに対しては、ファイアーボールオハイオ事故後に、メーカーのKMGインターナショナル社および、民間の調査会社2社から合計で約180万ドルの和解金を受け取っていました。
ファイアーボールオハイオ事故の現在① メーカーは今も絶叫マシンを開発製造
出典:https://www.newrideseurope.com/
「ファイアーボールオハイオ事故」の現在についても見ていきます。
事故を起こしたオランダに本拠を置くKMGインターナショナル社は現在も遊園地向けのアトラクションの開発製造事業を継続しており、現在は「ファイアーボール」は提供していないものの、同様に振り子の動きや回転の動きをする絶叫マシンを多数提供しています。
KMGインターナショナル社の他の絶叫系マシンで大きな事故が起きたというニュースは現在の時点ではありません。
ファイアーボールオハイオ事故の現在② オハイオ・ステート・フェアも変わらず開催
「ファイアーボールオハイオ事故」の後も、オハイオ州のお祭り「オハイオ・ステート・フェア」は毎年変わらず開催(2020年は新型コロナウイルスの影響で中止)されています。移動遊園地にも変更はなく、絶叫系のアトラクションも運営されています。
「オハイオ・ステート・フェア」は2024年度も7月24日から8月4日にかけて開催予定です。
ファイアーボールオハイオ事故の現在③ 被害者の1人が現在を語っている
「ファイアーボールオハイオ事故」で亡くなったタイラー・ジャレルさんの恋人で、一緒に「ファイアーボール」に乗っていて事故に遭ったケザイア・ルイス(Keziah Lewis)さんが、2023年4月にアメリカメディアの取材に応じて現在の状況について語っています。
ケザイア・ルイスさんはシンシナティ大学に通っていましたが、ファイアーボールオハイオ事故によって大学を休業する事になり、手術を受けて数ヶ月間病院での生活を余儀なくされ大学も2年間休学しました。その後大学には復帰できたものの、事故の影響で合計で12度の手術を受ける必要があり大学生活はとても困難なものだったという事です。
しかし、ケザイア・ルイスさんは2023年4月にシンシナティ大学を無事卒業して英語のクリエイティブライティングの学位を取得されています。今後は修士号の取得も目指しており、いずれは本を書きたいと将来についても語られていました。
まとめ
今回は、2017年7月26日にアメリカのオハイオ州コロンバスで起きた「ファイアーボールオハイオ事故」についてまとめてみました。
ファイアーボールオハイオ事故は、同地で毎年開催される大規模なお祭り「オハイオ・ステート・フェア」で運営されていた移動遊園地の絶叫系アトラクションの座席が稼働中に外れ乗っていた人々が空中に投げ出されるなどして1人が死亡、7人が負傷した事故です。
亡くなったのは、当時18歳の男性のタイラー・ジャレルさんで、1ヶ月前に高校を卒業し海兵隊への入隊が決まっていました。
ファイアーボールオハイオ事故が起きた場所は、アメリカ合衆国オハイオ州のコロンバスの博覧会場「Ohio Expo Center and State Fairgrounds」です。
ファイアーボールオハイオ事故の原因は、支柱の一部が金属の内部が腐食し破損した事だと発表されています。
ファイアーボールオハイオ事故のその後、同型のアトラクションや似たアトラクションは全て稼働中止などの措置が取られアメリカ全土をはじめ世界的に影響を及ぼしました。
ファイアボールオハイオ事故の現在については、事故を起こしたメーカーのKMGインターナショナル社は現在も変わらず絶叫マシンの開発製造を続けていて健在であり、事故のあったお祭りオハイオ・ステート・フェアも毎年変わらず開催され移動遊園地も変更なく運営されています。