ハトヤホテルとサンハトヤは、天然自噴温泉やアドベンチャースパ・海底温泉といった施設、特徴的なCMで人気となった静岡県伊東市の大型ホテルです。ハトヤホテルの歴史や料金、宿泊者の口コミ、事件や心霊現象、閉館の噂や現在について紹介していきます。
この記事の目次
ハトヤホテルの概要と歴史【伊東温泉・昭和の巨大ホテル】
伊東温泉ハトヤホテルは静岡県伊東市岡1391にある温泉ホテルで、「伊東に行くならハトヤ♪
」のCMで親しまれてきました。
創業は1947年と古く、創業者は原口清二氏。当時、同胞援護会という戦災者への支援を行う団体に勤めていた原口氏が、同胞援護会の保養所として利用されていた「ハトヤ旅館」を買い取ったことが創業のきっかけとなりました。
ハトヤホテルの前身であるハトヤ旅館は、戦前に鳩を使った手品で財を成した手品師が建てた全14部屋の旅館でした。
しかし、建設されてすぐに戦争が始まったためにハトヤ旅館は宿泊施設として利用されずに放置され、戦後に同胞援護会の保養所になったそうです。
ところが保養所として運営を始めたところ、今度は米軍に買収される話が持ち上がり、原口氏のもとに「何とかできないか」と相談が来たとのこと。
この相談に応じて原口氏がハトヤ旅館を買い、1947年からハトヤホテルとしてリニューアルオープンしたのです。
もとの所有者は手品に鳩を使っていたことにちなんで、旅館に「ハトヤ」という名前をつけており、それが現在のハトヤホテルにも残っているのだといいます。
ハトヤホテルの名前が広く知られる理由にもなったCMがTVで流れるようになったのは1961年からで、このCMを機に関東、東海、近畿地区でハトヤの名前が知られるようになりました。
そして1975年には伊東市湯川に、姉妹ホテルのサンハトヤがオープン。バブル崩壊後、経営を支えていた団体客が激減したこともあり、一時は経営が危ぶまれましたが、現在は「昭和レトロな宿」として再び人気を取り戻しています。
ハトヤホテルの料金
ハトヤホテル公式の宿泊料金は、もっとも手ごろな価格のプランで大人1人1泊税込み7,850円~となっています。(現時点)
夕食なし・朝食付き、部屋も指定できませんが、夜は街歩きをしたい、観光メインの旅行をしたいという方にはピッタリのプランでしょう。
逆にホテル内で食事をしたい、眺望の良い海側の部屋に泊まりたいという場合は、シーズンにもよりますが大人1人1泊15,000円前後の宿泊費用となります。
サンハトヤホテルの料金
姉妹ホテルのサンハトヤの方がテーマパークのように館内だけで楽しめる施設がそろっているため、宿泊費も高めに設定されています。
サンハトヤの宿泊料金は、夕食なし・朝食付きのもっとも手ごろな価格のプランで、大人1人1泊11,000円程度。
どのプランもハトヤホテルの同じクラスのプランより、2,000~3,000円高くなっているようです。
ハトヤホテルの名物① 海底温泉・お魚風呂
出典:https://www.sunhatoya.co.jp/
ハトヤホテルの名物として知られる海底温泉。実は海底温泉があるのはハトヤホテルではなく、姉妹ホテルのサンハトヤです。
海底1000mから湧き出るお湯をひいて作った海底温泉は、壁面にある巨大水槽で泳ぐ魚を見ながら温泉につかれる「お魚風呂」が人気です。
多くの魚が回遊するお魚風呂の中でもとくに目を引くのが、2匹のウミガメ。創業者の原口氏の代から、ホテル従業員たちの手で飼育されているのだといいます。
海底温泉はサンハトヤの宿泊者であれば無料で利用できますが、ハトヤホテルの宿泊者も無料で利用できる宿泊プランが多く用意されています。
ハトヤホテルとサンハトヤの間は無料送迎バスも出ているので、宿泊費が割安なハトヤホテルに泊って海底温泉だけ利用する人も少なくないようです。
また、2008年のリニューアルオープンから日帰りでも海底温泉を楽しめるようになりました。こちらも利用料金は2000円(税込み)となっています。
海底温泉にはほかにも水着で過ごす古代ビーチや渚プールなどの施設がありますが、日帰り利用の場合こちらはお魚風呂とは別に利用料3,500円(税込)が必要です。
ハトヤホテルの名物② ディナーショー
ハトヤホテルの名物として鳩が出てくる豪華なディナーショーもあげられますが、こちらもサンハトヤのサービスになります。
ディナーショーの内容は時期によって変わりますが、ショーの最後にハトヤホテルのCMソングが流れ、白い鳩が宿泊客の頭上を飛び交うという演出は一貫しているとのこと。
この鳩が飛ぶという演出は、コロナ禍でショーそのものが中止になった際にも宿泊客を楽しませるサービスとして行われていたそうです。
ハトヤホテルの名物③ レトロな内装
憧れのハトヤホテルに泊まってきました🕊
このレトロフューチャー感たまらない… pic.twitter.com/JzOnqT7ATg— こた (@kota_draw) October 10, 2022
近年Z世代を中心に人気を集めているのが、ハトヤホテルのレトロな内装です。
昭和に建てられ、バブル期に多くの団体客を受け入れてきただけあって、ハトヤホテルはエントランスや階段も広々としており、そこかしこに昭和レトロが感じられるデザインがちりばめられています。
なかでもSNSなどで人気なのが、ハトヤホテルの本館と別館をつなぐ渡り廊下です。楕円型の窓が並ぶ円筒形の渡り廊下は、昭和の人々が思い描いた未来のデザインそのもので、これがZ世代に「可愛い!」「お洒落」と話題になっています。
ハトヤホテルの噂① 閉館の危機?現在は客が減っている?
ネット上では話題になることが増えたハトヤホテルですが、同時にSNSでは「平日に行くと心配になるほどガラガラだった」「どこもかしこも貸し切り状態。人がいなさ過ぎて怖かった」という声も多く見られます。
母が子供の頃CM見て憧れてたらしいハトヤ🐦
あまりにも人がいなさすぎてお風呂も貸切で、人がおらんすぎるって笑ってたんやけど、あとの2人のママsも娘からの報告に揃って「あの有名なハトヤ!」って言ってて過去の栄光を2人も思い知ったっていうオチが最高すぎてさっきからずっと笑ってる🐦www pic.twitter.com/a72zEFbdTE— よっしー (@plm67969803) May 20, 2023
週末や連休、お盆や年末年始などの長期休暇中はハトヤホテルもサンハトヤも予約が取りづらいほど賑わいを見せますが、平日は経営が心配になるほど閑散としているようです。
これには単に平日だから客が少ないのは仕方がない、という事情以外にハトヤの宿泊プランと「泊ってみたい!」と思う人のニーズがあっていないのではないか?との指摘があります。
ハトヤ泊まってみたいけど、おひとり様ではハードル高いんだよなぁ。
あと、昭和感が良くもあり悪くもあり。建物とかのハードは昭和感OKだけど、旅館チックなサービスはちょっと好きじゃないのでその辺で敬遠しちゃうかな。— midori-zero (@tokyo096) October 11, 2023
上のような「1人では泊りづらい」という声を受けて、ハトヤホテルは2023年12月現在「1人旅応援プラン」という宿泊プランを設けているのですが、この内容や価格についても「客の希望と離れている」「ハードルが高い」と言われている様子です。
もともとハトヤホテルはバブル期の社員旅行客など団体利用者が主な客層だったといい、広めの客室が多いとされます。
そのため「1人旅応援プラン」でも10畳以上の客室に宿泊できるプランなどが用意されているのですが、多くの人は「1人旅で10畳の広さはいらない」と感じるうえに、宿泊費についても「1人で気軽に利用するには高い」と感じる模様。
もともとハトヤホテルやサンハトヤが展開するサービスが、おひとり様という言葉が生まれる昭和の時代のものであったことが原因でミスマッチが生じているようです。
建物の老朽化を心配する声も
経営不振による閉館を心配する声以外に、ハトヤホテルの老朽化や建て替えを心配する声もネット上では多く見られました。
あと、海沿いのグランドホテルは窓ガラスが割れお化けのイラストが落書きされた完全な廃墟になっていたしハトヤは老朽化がひどかったので「これが昭和か…」と懐かしがったりしました。昭和が終わってもう29年か…(ザブゥ〜ン🌊ザブゥ〜ン🌊🌊
— Aco (@4jyu9) July 30, 2017
ハトヤホテルは築年数60年を超えるうえ、海沿いに建っていることから潮風による劣化も避けられません。
令和4年度に更新された静岡県の耐震診断結果では、サンハトヤは耐震基準を満たしており、改修工事の予定はないとされていますが、現在の耐震基準を満たしていても宿泊施設として客を集められるかどうかは別の話です。
同じく静岡県熱海市にある巨大ホテル・ホテルニューアカオも老朽化が進んで台風で窓が大破した結果、 海外ファンドの出資を受けてリニューアルオープンしています。
このことからも、そろそろハトヤホテルも建て替えが迫っているのではないかと囁かれているのです。
しかし、ハトヤホテルについては現在のレトロ感を残したリニューアルは難しいのではないか?とも言われており、閉館・再開という道を選んだ場合には別物のホテルになってしまうのでないかと心配する声があがっています。
ハトヤのネオン看板、老朽化が心配だなぁ…残して欲しいって今ネオン管職人がいなくて、もう作れないんじゃないかなぁ… #世界一受けたい授業
— 菜雲 (@naunn11090) November 14, 2020
ハトヤホテルの噂② 心霊現象が起きる?
ハトヤホテルやサンハトヤホテルでは心霊現象が起きる、幽霊が出るという噂もネット上では見られました。
ただ、実際に宿泊して怖い思いをや不思議な体験をしたという人は見当たらず、古いホテルだから幽霊が出そうというイメージを持つ人が多いだけの様子です。
また、ハトヤホテルとは関係のない別企業なのですが、1977年頃に西日本限定で「ハトヤグループ」という服飾関連の会社の不気味なCMが流れ、話題になったことがありました。
このCMは現在でもネット上で不気味だと囁かれ続けており、「検索してはいけない言葉」にも数えられています。おそらくハトヤグループのCMも、ハトヤホテルには霊が出るという噂の原因になっているのではないでしょうか。
ハトヤホテルの噂③ 事件が起きたことがある?
Googleなどの「ハトヤホテル」と検索するとサジェストに「事件」という単語が出ますが、ハトヤホテルにもサンハトヤにも大きな事件や事故が起きたという履歴はありません。
ハトヤホテルは相模湾を臨む絶景に建っていることから、「サスペンスドラマのロケで使われそう」と言われることが多いため、事件や事故と結び付けられるのかもしれません。
また、2005年から2006年にかけて日本を騒がせた耐震強度偽装事件で、サンハトヤと名前が似ている「サンホテル」が耐震偽装物件として報じられたことから、サンハトヤの名前をニュースで聞いた気がする、と記憶違いしている人もいる様子です。
ハトヤホテルの口コミ
伊東のハトヤホテル。
見上げるたびに美しくて心がときめいた…。 pic.twitter.com/AKWh6mPDkz— お鍋@ワタナベ (@onabe1028) November 4, 2023
ハトヤホテルの口コミはおおむね高評価なものが多く、建物は老朽化しているものの清掃が行き届いていたので快適だった、バイキング形式の食事も幅広い年齢が楽しめる内容だったというものが目立ちました。
ただ、ハイシーズンに泊ると宿泊費も高額になるためか「値段にサービスが見合っていない」「布団の上げ下げさえ自分でしなければいけないなんて驚いた」という声も。
そのため「昭和のレトロ感を目当てに来るのなら十分楽しめるが、最新のシティホテルと同等の設備やサービスを求めて来た人にとっては不満が残る宿」との指摘も見られました。
ハトヤホテルについてのまとめ
今回は1947年から70年以上も続く伊東の温泉ホテル・ハトヤホテルとサンハトヤについて、歴史や海底温泉などの名物施設、心霊現象の噂などを中心に紹介しました。
現在の時点では改修工事の予定はないとされていますが、ハトヤホテルもサンハトヤも建物そのものは老朽化が進んでいます。
もう職人がいないため改修しても直せない箇所もあるのではないか?と言われているハトヤホテル。もしリニューアルをしたら、趣の異なるホテルに生まれ変わってしまう可能性もあります。
昭和の情緒を満喫したい方は、早めに宿泊しておいた方が良いかもしれません。