昔から存在し、社会問題になることもあるマルチ商法。そのマルチ商法と暗号資産を組み合わせた詐欺事件がマーケットピーク事件です。
マーケットピークとはどんな会社か、マーケットピーク事件の概要とKENZOさんの突撃や被害の実態、事件での逮捕者一覧、マーケットピークの前身、判決と逮捕後の坂本昂洋と熊谷はるなの現在をまとめました。
この記事の目次
マーケットピークとは?(表向き)
出典:ktv.jp
マーケットピークはマルチ商法詐欺事件である「マーケットピーク事件」を起こした企業名・投資案件です。
マーケットピークはドバイに拠点を置く会社
マーケットピークとはドバイに拠点を置き、暗号資産(仮想通貨)を扱う企業です。
日本語のWebサイトがあり、そこには「Learn To Earn教育プラットフォーム」の会社であるという説明が書いてありました。また、マーケットピーク事件の被害者の証言によると、「資産運用を高めていく教育の会社」という説明だったようです。
ただ、このマーケットピークという会社が本当にドバイに拠点を置いていて、きちんと実在する会社なのかはわかっていません。
あくまでもマーケットピークの関係者が「ドバイに拠点がある。仮想通貨を扱っている」と宣伝していただけで、実態は不明なままです。
暗号資産で儲けられると宣伝
マーケットピークは暗号資産(仮想通貨)を扱う企業で、2021年頃からSNSやセミナーで、暗号資産への勧誘を始めていることが分かっています。
マーケットピークでは、まず入会金として1万ドル(2025年の為替レートで約140万円)を支払い、それに応じたマーケットピークの暗号資産を受け取ることができます。(20%上乗せした額を受け取るという情報もあり)
その暗号資産の価値が上がれば、何もせずに大儲けできると宣伝していました。ここまでは普通の暗号資産の投資案件と同じです。
紹介報酬もあり
マーケットピークは入会金に応じた暗号資産を受け取れるだけでなく、勧誘したら報酬が入るというシステムががあったんです。
他人に紹介すれば出資金の8%、その人がさらに別の人に紹介すれば2%の「紹介報酬」がそれぞれもらえるなどと説明していたという。
1人を紹介したら数十万円の報酬が手に入り、さらにその人が別の人を勧誘したら、自分は直接勧誘していなくても紹介報酬がもらえるというマルチ商法です。最低4人を誘ったら、自分の払った額が戻ってくると説明されていたようです。
マーケットピークは1万ドルを支払えば、その分の暗号資産をもらえる。さらに友人・知人を勧誘して、その人もマーケットピークに入会すれば、どんどんお金が入ってきて、4人紹介すれば暗号資産+元資金が戻るという投資案件でした。
マーケットピーク事件① KENZOの突撃で拡散
出典:amazon.co.jp
マーケットピークという名前が一気に拡散されたのは、YouTuberの新宿109のKENZOさんがマーケットピークのセミナーに突撃した動画をアップしたからでした。
KENZOさんは2023年5月24日に「マーケットピークの親玉に突撃して奥歯ガタガタ言わせてみたwww」という動画をYouTubeにアップしました。
新宿109のKENZOさんは「詐欺撲滅系YouTuber」として活動していて、ネクステージ社員が顧客のクレジットカードを不正使用した事件でも犯人の職場に突撃し、大きな話題になりました。
このKENZOさんは動画をマーケットピーク主催者の坂本昂洋らが逮捕されたタイミングでアップしています。
この動画では、KENZOさんは自らマーケットピークのセミナーに参加して、主催者の坂本昂洋らに「これって詐欺ですよね」と撮影しながら詰め寄っていました。
セミナーの参加者たちはみんなKENZOさんのことを「変な人」という感じで笑ってみていただけで、セミナーは異様な雰囲気に包まれていました。
このKENZOさんの動画が瞬く間に拡散され、2025年時点で再生回数は500万回超。マーケットピークの危険性を世に知らしめることになったのです。
マーケットピーク事件② 被害の実態が明らかに
新宿109のKENZOさんがマーケットピークのセミナーに突撃した動画がアップされたのと同じ日の2023年5月24日。マーケットピークの中心人物9人が大阪府警に逮捕されました。
そして、その被害の実態が明らかになったのです。
マーケットピークは投資案件+マルチ商法で勧誘し、20代の若者を中心に2515人から約7億7500万円のお金を騙し取っていました。
マーケットピークはヤバい詐欺会社だった
マーケットピーク事件は犯人が逮捕されたのと同じタイミングで新宿109のKENZOさんの動画がアップされたことで、一気に拡散され、マスコミもマーケットピーク事件の取材をするようになりました。すると、マーケットピークのヤバい実態が明らかになってきたのです。
契約書を用意していなかった
まず、マーケットピークは契約書を作っていませんでした。本来はマルチ商法(連鎖販売取引)の契約をする時には契約書が絶対に必要ですが、マーケットピークでは契約書は交付されていません。
クーリングオフができないようにしたり、警察や弁護士に違法性を指摘された時に言い逃れをするために契約書を作成しなかったのでしょう。きちんと文書で契約書を残さなければ、知らぬ存ぜぬを通しやすくなりますから。
知識のない20代を狙う
マーケットピークは大学生などの20代の若者に狙いを定めていました。20代の若者を狙った理由は、おそらく「無知」だからでしょう。社会的常識や金融に詳しくないし、社会経験がないため、騙しやすい「良いカモ」だったと思われます。
また、マーケットピークはSNSで勧誘をしていましたが、SNSで勧誘するには中高年よりも20代の若者のほうが適していたとも言われています。
借金を強要
マーケットピークは入会した人に借金を強要していました。
マーケットピークに入会するには1万ドルが必要です。20代の若者が1万ドル(約140万円)をすぐに用意できるはずがありません。
勧誘したけれど、入会金を用意できない若者には消費者金融から借金をするように強要していました。
杉山:これって、勧誘方法の指導を受けるときに、「若い子はお金を持ってないから借入させるのが基本だ」みたいな説明があるのですか?
Cさん:はい。「借入させるのが基本だ」と言っていました。
引用:巨額詐欺事件で見た!タワマン住民による奇妙な役割分担、被害者はこうしてだまされた [暮らしのお金] All About
消費者金融でお金を借りさせるだけでなく、親から借金させたり、奨学金からマーケットピークにお金を払うように強要したケースもありました。
「稼げるから大学を退学しても良いじゃないか」と言われるケースもあったようです。
タワマンでの長時間の勧誘
マーケットピークは「展示会」「ロボット展示」などの名目でタワーマンションに誘い出し、そこで勧誘を行いました。
マーケットピークをやれば、タワーマンションで生活できるくらい稼げることをすり込もうという狙いがあったのかもしれません。また、非日常の異様な空間で勧誘することで、若者たちの冷静な判断力を奪う狙いもあったものと思われます。
マーケットピークは、勧誘を断ったらすぐに解放してくれるわけではありません。被害者の中には7時間もタワーマンションの一室で勧誘を受けた人もいました。
出典:youtube.com
この被害者は5人くらいに囲まれて「やるのか、やらないのか」と7時間も勧誘を受け、最後は根負けして消費者金融から借金をしてお金を工面したとのことです。
金融庁の許可取っていない
マーケットピークは金融庁の許可をとっていないことも明らかになっています。日本では暗号資産を扱う会社は金融庁・財務局への登録が必要になります。
金融庁のホームページでは、登録がない業者は違法と明記されています。
日本で登録を受けずに金融商品取引業や暗号資産交換業を行うことは違法です
そして、マーケットピークは金融庁の許可を得ていなかったのです。新宿109のKENZOさんは動画の中で「金融庁の登録をしていますか?」と何度もマーケットピークの坂本昂洋に尋ねました。
KENZOさんから尋ねられた坂本昂洋はニヤニヤするだけで、何も答えられません。つまり、マーケットピークは金融庁に登録していないと認めているようなものですよね。
マーケットピークの前身はジュビリーエース
出典:ktv.jp
暗号資産+マルチ商法で2021年8月以降に約2,500人から約7億7500万円をだまし取ったマーケットピークですが、実はマーケットピークの前身も暗号資産+マルチ商法の詐欺会社でした。
マーケットピークの前身はジュビリーエースと言われています。
ジュビリーエースは暗号資産(仮想通貨)を扱う詐欺会社で、投資ファンドに出資すれば出資金の3倍の配当を保証すると言って勧誘し、新しい出資者を紹介したら紹介料を受け取れるというシステムで、2019年4月~2020年11月までに約650億円をだまし取ったことで、2021年11月に警察が摘発し、7人が逮捕されました。
このジュビリーエースの被害者はマーケットピーク事件同様に20代の若者が中心でした。そして、このジュビリーエースの被害を苦に自殺した女性もいたのです。
大阪府豊中市在住で当時22歳の川上穂野香さんは、大学時代の同級生からSNSでジェビリーエースを紹介されて、消費者金融から150万円を借りて出資します。しかし、出資後に配当をもらえないことがわかり、借金だけが残ったことを苦に自殺したのです。
社会人になったばかりの22歳。
150万円を借りてまで暗号資産の運用をうたう投資に手を出したのは、同級生からのSNSがきっかけでした。
遺書の最後は、こう締めくくられていました。
「服とかは売ってね。多少のお金にしかならんかもやけど」
ジュビリーエースは22歳の若者を自殺に追い込むほどあくどいモノでしたが、警察に摘発された後、今度はマーケットピークに名前を変えて、再び同じような暗号資産+マルチ商法で詐欺行為をしていました。
マーケットピークは本当にあくどいですし、マーケットピークで逮捕された人たちは最低の詐欺師と言えるでしょう。
マーケットピークは坂本昂洋がボス
出典:youtube.com
マーケットピークのボスは、坂本昂洋です。
KENZOさんの動画の中で「金融庁に登録しているか?」と問われて、何も答えられなかった男性です。
この坂本昂洋は前述のジュビリーエースに関わっていました。それどころか、ニュースキンでマルチ商法にハマり、そこからビットクラブ、ジュビリーエース(ジェンコ)に関わるようになり、自分でマーケットピークを立ち上げました。
ニュースキン以外は現在は全部破綻している悪徳マルチ商法です。
坂本昂洋は女性1人を自殺に追い込むような詐欺をしておきながら、何の反省もせずに悪徳マルチ商法の会社を立ち上げ、大学生や20代の若者たちからお金を騙し取ったのです。
マーケットピーク事件での逮捕一覧
出典:youtu.be
2023年5月24日にマーケットピーク事件で9人が逮捕されました。逮捕者一覧はこちらです。
・脇田健史(28歳)
・文野輝樹
・丸田勇剛(23歳)
・梶谷光
・熊谷はるな
・泉颯斗
・今野美瑛
・谷瑞貴
逮捕されたのは、マーケットピークのトップである坂本昂洋(33歳)の他、21~28歳の男女8人です。
逮捕者の中には大学生が3人もいました。
また、逮捕された9人のほかに3人の逮捕状も出ています。
逮捕容疑は特定商取引法違反(不実の告知など)です。
2022年10月に大阪府警は消費者金融から借金してマーケットピークに入会した大学生から相談を受けて、捜査を進めていました。
逮捕者は元自衛官と大学生が多い
マーケットピーク事件で逮捕者をもう一度確認しておきましょう。
・坂本昂洋(33歳)
・脇田健史(28歳)
・文野輝樹
・丸田勇剛(23歳)
・梶谷光
・熊谷はるな
・泉颯斗
・今野美瑛
・谷瑞貴
この中でマーケットピークのボスが最年長の坂本昂洋で、幹部が脇田健史(28歳)、文野輝樹、丸田勇剛の3人でした。
KENZOさんの動画によると、幹部が脇田健史(28歳)、文野輝樹、丸田勇剛は元自衛官とのこと。そして、マーケットピークは元自衛隊員が多いと言われています。元々、閉鎖された中で上下関係が厳しい自衛隊は昔からマルチ商法が蔓延しやすかったようです。
ただ、今回のマーケットピークの幹部は元自衛官です。現役ではありません。テレビの取材にも対応していた丸田勇剛は「丸田商法」と呼ばれるほど同級生を勧誘し、そのお金でメンズエステに行ったり、ドバイで遊んだりしていたようです。
マーケットピーク事件の判決
出典:ktv.jp
マーケットピーク事件では9人が逮捕されましたが、有罪判決が出たのは3人だけでした。
・坂本 昂洋:懲役 1年6か月(執行猶予3年)、罰金200万円
・脇田 健史:懲役 1年4か月(執行猶予3年)、罰金180万円
・丸田 勇剛:懲役 1年(執行猶予3年)、罰金120万円
一緒に逮捕されたほかの6名については、有罪判決の情報がありません。裁判で無罪になったという情報もありませんので、おそらく逮捕後に不起訴になったものと思われます。
主犯ではなく従犯であり、どこまで詐欺を把握していたのか立証できないから不起訴になったものと思われますが、2515人から約7億7500万円を騙し取る悪徳マルチ商法に関わっておきながら、不起訴になったというのは被害者にとっては納得できないのではないでしょうか。
マーケットピークで逮捕された坂本昂洋の現在
マーケットピークのボスである坂本昂洋は現在、執行猶予中です。2023年10月に執行猶予3年の有罪判決を受けていますので、2026年10月までは執行猶予中になり、派手な動きはないはずです。
ただ、ニュースキンからどっぷりとマルチ商法にハマっていますので、執行猶予が明けたらどうなるかはわかりません。
過去には結婚していましたが、マルチ商法にハマったことで離婚しているという情報もあります。
マーケットピークで逮捕された熊谷はるなの現在
マーケットピークで逮捕された人の中には、熊谷はるなもいます。この熊谷はるなはKENZOさんにネタに使わていた女性です。ルックスは良いので、こんなマーケットピークに手を染めなければ、楽しい人生を送れていたはずですが…。
はい!熊谷はるなちゃんです!
僕の推しです! pic.twitter.com/aTWklUlGgO— 【新宿109】KENZO (@aruaru_Sagishi) May 27, 2023
残念ながら、マーケットピーク事件で逮捕された後も、あまり反省はしていなかったのかもしれません。マーケットピークで逮捕され、すぐに釈放された後、その資金で「今夜もアイス」というアイスクリーム屋さんを始めたという情報があるんです。
KENZOさんの情報によると、大阪の弁天町店で今夜もアイスというお店を始めたようですが、この今夜もアイス弁天町店は2023年7月10日にオープンしていますので、釈放後すぐにお店をオープンしたようです。
ただ、すでにこの熊谷はるなさんのお店は閉店しているので、ビジネスはうまくいかなかったのでしょう。現在は何をしているのか不明です。
マーケットピーク事件のまとめ
マーケットピーク事件の詳細やKENZOさんの突撃・拡散、逮捕者一覧と坂本昂洋らの判決や熊谷はるなの現在をまとめました。
マルチ商法はいつの時代もなくなることはありません。特に将来が不透明なこの時代、若者は引っ掛かりやすいのかもしれませんね。