細田守監督の名作長編アニメ映画であるサマーウォーズは考察合戦があったり、都市伝説が囁かれていたりする映画の1つです。
サマーウォーズの概要や興行収入、評価やあらすじ、陣内家の家系図、考察や都市伝説、怖いと言われる理由やその後の展開をまとめました。
この記事の目次
サマーウォーズは細田守監督の長編アニメ映画
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サマーウォーズは2009年8月に公開された細田守監督の長編アニメ映画で、ネット上のサイバーテロに田舎の大家族が力を合わせて立ち向かうというお話です。
・タイトル:サマーウォーズ
・監督:細田守
・脚本:奥寺佐渡子
・製作総指揮:奥田誠治
・声優: 神木隆之介、桜庭ななみ、谷村美月、富司純子など
・音楽:松本晃彦
・主題歌:山下達郎「僕らの夏の夢」
・製作会社:サマーウォーズ製作委員会
・配給:ワーナー・ブラザーズ
このサマーウォーズは細田守監督初の長編オリジナルアニメ映画です。「時をかける少女」のスタッフが多く参加していて、映画だけでなく、漫画や小説にもなっています。
物語の舞台は長野県上田市で、城下町の街並みや上田電鉄別所線、上田交通真田傍陽線などが登場します。また、作中に出てくる陣内家のモデルは戦国武将の真田氏です。
サマーウォーズの興行収入
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サマーウォーズの興行収入は16.5億円です。
2009年8月1日に全国127館で劇場公開され、4ヶ月にわたるロングランとなり、動員126万人・興行収入16.5億円を記録しました。
ちなみに、日本の歴代興行収入ランキングトップ5は次の通りです。
・第2位:千と千尋の神隠し=316.8億円
・第3位:タイタニック=277.7億円
・第4位:アナと雪の女王=255.0億円
・第5位:君の名は。=251.7億円
これらの歴代興行収入ランキングトップ5と比べると、サマーウォーズの興行収入はちょっと寂しく感じるかもしrません。
「サマーウォーズ」の認知度は、これらのトップ5と比べてもそこまで大きく見劣りはしません。認知度・人気度の割には、興行収入には結びつかなかった作品と言えるかもしれません。
サマーウォーズのあらすじ
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夏希の実家に行くまで
ネット上の仮想世界「OZ(オズ)」はショッピングやゲーム、行政手続きなどを行えるサービスで、全世界の人々が利用していました。OZのセキュリティは世界一安全と言われているものでした。
都内の高校生の健二は友人の佐久間と共に、OZの保守点検のバイトをしていたのですが、高校の憧れの先輩である夏希に「長野の実家に一緒に行く」バイトに誘われます。
OZが乗っ取られる
夏希の実家に行った健二は、夏希の婚約者のふりをすることになります。その日の夜、携帯電話に数字が羅列されたメールが送られてきます。数学オリンピックを目指していたほど数学が得意な健二はその数字の羅列が暗号であると察し、暗号を解いて、解答を返信します。
その翌日、OZの管理権限が何者かによって奪われ、人工知能のラブマシーンに乗っ取られ、OZを乗っ取ったハッカーは健二であると報じられました。
OZは社会のインフラに浸透している仮想世界だったため、現実世界にも大きな影響を及ぼします。しかし、夏希の祖母である栄の適切な指示で、被害は最小限に食い止められました。
このラブマシーンを作ったのは、10年ぶりに実家を訪れた侘助であると知り、栄は激怒します。
栄は健二に「あの子を頼んだ」と伝え、翌朝には心臓発作で亡くなりました。
ラブマシーンに対抗
女性陣が栄の葬儀の相談を始める中、男性陣はラブマシーンに対抗する術を相談し、実行します。カズマがあと一歩のところまでラブマシーンのアバターを追い詰めますが、スーパーコンピューターの熱暴走により捕獲は失敗に終わり、カズマのアバターも奪われてしまいます。
ラブマシーンは奪ったアカウントを使って地球に帰還途中の小惑星探査機「あらわし」の着陸場所を世界500ヶ所の核施設のどこかに設定します。
世界を救うため、夏希は花札でラブマシーンに対抗し、見事勝利しました。
あらわし落下を阻止
花札に負けたラブマシーンは、あらわしの制御権限を持つアカウントを使って、あらわしの落下地点を陣内家に設定します。
絶体絶命に見えた陣内家でしたが、健二の計算能力と侘助のラブマシーンのリプログラミング、カズマのラブマシーンへの一撃で、あらわしは陣内家には直撃せずに済み、温泉を掘り当てるというおまけまでついてきました。
サマーウォーズの評価
サマーウォーズは高い評価を得ています。
現実世界の家族の絆と仮想空間の対比が描かれていて、音楽や描写も素晴らしく、青春SF映画としての完成度は非常に高いです。
サマーウォーズが受賞・ノミネートされた主な映画賞には次のようなものがあります。
・第42回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門(Gertie Award)最優秀長編作品賞
・第24回デジタルコンテンツグランプリ経済産業大臣賞
・第13回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞
・第33回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞
・第64回毎日映画コンクールアニメーション映画賞
・第14回日本インターネット映画大賞日本映画部門 作品賞
・第9回東京アニメアワードアニメーションオブザイヤー・国内劇場部門優秀作品賞・監督賞・原作賞・脚本賞・美術賞・キャラクターデザイン賞
・第1回日本シアタースタッフ映画祭 グランシャリオ賞(邦画部門1位)・脚本賞
・第6回リスボン国際インディペンデント映画祭 観客賞
・第14回モントリオール ファンタジア映画祭 最優秀アニメーション賞 観客部門:金賞
・第41回星雲賞メディア部門
・第15回アニメーション神戸賞 個人賞:細田守
・第1回アナハイム国際映画祭 最優秀アニメーション賞
・第1回ビデオ屋さん大賞 第1位
Amazon Primeでの評価は4.6/5と非常に高く、「夏休みに見たいアニメ映画」の代表作になっていると言えるでしょう。
サマーウォーズの家系図
サマーウォーズに出てくる陣内家の家系図はこちらです。
夏希は栄のことを「おばあちゃん」と呼んでいますが、曾祖母・ひ孫の関係になります。
また、侘助は栄の夫である陣内徳衛の隠し子(妾の子)になります。陣内徳衛は陣内家の入り婿で、陣内家の当主は栄です。陣内徳衛は陣内家の財産のほとんどを食い潰した放蕩者で、愛人を作って侘助を残しました。
栄はその侘助を幼い頃に引き取り育てますが、侘助は陣内家のお金を持ち逃げして行方知れずになり、10年ぶりに陣内家に帰ってきました。
・陣内理香:上田市役所勤務
・陣内理一:陸上自衛隊所属(ちょっと言えないとこの部署に所属)
・陣内太助:電気店店主(大学や役所と取引あり)
・陣内翔太:警察官
・陣内万作:内科医
・陣内頼彦:救命救急士
・陣内邦彦:消防士
・陣内克彦:レスキュー隊員
陣内家はこれらの社会のインフラに欠かせない職業の人たちが揃っています。
サマーウォーズの考察11選:1~5
元ネタはデジモン僕らのウォーゲーム?
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サマーウォーズは監督の細田守氏の過去の作品である「デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」に酷似していると指摘されています。
この「デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」は、2000年の春休みにネットから出現した新種のデジモンが、コンピュータのデータを食い荒らしながら、いろいろと暴走して進化。この暴走を止めるために、戦いに乗り出すというストーリーになっています。
「インターネットを舞台にAIが暴走してリアル世界に悪影響を及ぼし、それを止めるために登場人物たちが頑張る」という展開はサマーウォーズと共通していますよね。サマーウォーズは「デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」を大人向けにリメイクした作品という噂もあります。
細田守氏は2021年公開の「竜とそばかすの姫」でも仮想世界・アバターを題材にしているので、細田守監督は約10年に1回のペースでインターネット・仮想世界を扱う作品を作っていると言えます。コンセプトが似ていると、ストーリー展開が似てくるのは当然のことかもしれません。
主題歌なしの可能性も?
サマーウォーズの主題歌は山下達郎の「僕らの夏の夢」です。細田守監督は、どうしても山下達郎さんに主題歌を担当してもらいたくて、「山下さんに断られたら主題歌はなしで行く!」とまで考えていました。
山下達郎さんに主題歌のオファーをした時、山下さんはツアー中で長編アニメ映画に楽曲提供したこともなかったことから、オファーを受けようか迷っていました。しかし、完成した映像を見て魅力を感じたし、「断ったらどうなる?」と尋ねたら「「その時はインストゥルメンタルにする」と言われて、オファーを受けたそうです。
もし、山下達郎さんが引き受けなかったら、サマーウォーズの良さは半減していたかもしれませんね。
「よろしくお願いします」の意味
サマーウォーズの名場面と言えば、健二が最後に暗号を解いて、鼻血を出しながら「よろしくお願いしま~~~~す!!!!!」とエンターキーを押す場面だと思います。なぜ、あの極限状態で、健二は「よろしくお願いします」と叫んだのでしょうか?
この健二のセリフの意味は2つあると思います。
1つ目は単純に自分が解いた暗号の解答が正解であり、ラブマシーンに邪魔されずに、あらわしの軌道を変えられるように祈る意味合いです。
そして、もう1つは栄おばあちゃんへの答えでしょう。栄おばあちゃんが死ぬ前の日の夜、栄おばあちゃんから「あの子をよろしく頼むよ」と言われますが、健二ははっきりと答えることができませんでした。この時の健二は自分に自信がなく、「やってみますとしか今は言えない」と言っていたのです。
しかし、この最終局面になって、ようやく自分に自信を持つことができ、夏希と一緒に歩んでいく覚悟を決めたために、栄おばあちゃんへの答えとして、「よろしくお願いします」と叫んだのではないでしょうか。
この健二の名ぜりふ「よろしくお願いしま~~~~~~~~す!」は、健二の成長と覚悟を表現したものだったのかもしれません。
健二の暗号の元ネタ
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健二がラブマシーンから送られた数字の羅列の暗号。あれはRSA暗号というものです。
この暗号はかなり難しいようで、QuizKnockのメンバーも暗号解読に挑んでいました。
過去には、コンピュータの技術の向上によって1993年(発表は1994年)に129桁の素因数分解に成功し、テストメッセージを解読された事例がある。これの解読には、1600台ほどの計算機が投入され、8カ月かかったとされている。
129桁で1600代の計算機で8ヶ月かかったとのことですが、健二が挑んだのは1000桁以上。その1000桁以上のRSA暗号を健二は一晩で、しかも紙とペンだけで解いてしまったというのですから、健二がいかに天才的な才能を持っているかがわかりますね。
花札勝負で夏希が選ばれた理由
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スーパーコンピューターが熱暴走したことで、カズマがラブマシーンを抑えられませんでしたが、その後に夏希は花札でラブマシーンに挑むことになりました。でも、なぜその場面で夏希が花札代表に選ばれたのでしょうか?
それまで、「夏希は花札が強い」という描写はありませんでした。それどころか、夏希は侘助に花札であっさり負けています。それなのに、あの緊迫した場面で夏希が代表になるなんて変ですよね。
確かに、夏希は花札が特別強いというわけではありませんが、「勝負強い」という描写はありました。栄おばあちゃんは健二が花札している時、「この家には、私に負けず劣らずの勝負強い子がいる」と話していました。この勝負強い子はおそらく夏希のことを指しています。
死ぬ前の晩に栄おばあちゃんは夏希に自分の跡を継ぐ者として未来を託したと考えることができるのです。
サマーウォーズの考察11選:6~11
栄の死を描いた理由
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陣内家の第16代当主であり、サマーウォーズの登場人物の中でも重要なポジションを担っていた栄おばあちゃんは、物語の前半で亡くなります。
そして、そこから陣内家はさらに団結し、ラブマシーンに立ち向かっていくのですが、実は細田守監督はこのサマーウォーズの中で誰も死なせたくなかったとのこと。
細田:今回の『サマーウォーズ』でも、本当は死なせたくはなかったんですが、物語的な必然から、「死」を描かざるをえなかった。僕にとって大きなチャレンジでした。
誰も死なせたくなかったけれど、物語を進めるためには栄おばあちゃんの死は避けて通れないものだったんですね。
OZの元ネタ
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OZの元ネタは「mixi」と「スーパーマーケット」です。
OZのイメージは、当時流行していたSNSのmixiから発想を得ています。
細田守監督がOZを発想するきっかけとなったインターネット技術の1つがSNSで、当時流行していたのが「mixi」。会員制のコミュニティサービスで映画公開時は約2400万人が登録していました。
引用:サマーウォーズ公開から10年。OZの世界は現代でどこまで実現された?徹底比較してみました!|金曜ロードシネマクラブ|日本テレビ
このmixiが流行して、SNSで世界中の人がつながるようになったため、細田守監督の頭の中でOZができたのでしょう。
また、OZという名前は、細田監督の行きつけのスーパーマーケットの名前からとりました。
細田:「OZ」については、よく訊かれるんですが、実は僕が昔働いていた東映動画の横にある大きなスーパーの名前が「LIVINオズ」といって、そこから取っているんです(笑)。
細田守監督は身の回りのものから着想を得て、サマーウォーズを完成させたんですね。
アサガオの意味
出典:ok.ru
サマーウォーズにはいろいろなシーンでアサガオが出てきます。栄おばあちゃんが夏希に渡す浴衣の柄はアサガオですし、陣内家にもアサガオはたくさん咲いています。また、栄おばあちゃんが子どもの頃の侘助を引き取るシーンにもアサガオがあり、栄おばあちゃんの葬式にもアサガオがありました。
アサガオは陣内家のシンボルであり、栄おばあちゃんその人であり、生命の継承の象徴でもあるそうです。
https://twitter.com/kinro_ntv/status/1416010083612258305
細田守監督はアサガオの蔓の細部にまでこだわって描いたとのこと。アサガオはサマーウォーズの中で生命の継承以外にも蔓が絡まるところから家族同士の絆のメタファーとして描いたとも考えられます。
サマーウォーズの中でアサガオは命の継承であり、家族の絆・人々の絆であり、現実世界の「生」を表すものだったと言えるでしょう。
甲子園の意味
サマーウォーズでは栄おばあちゃんの孫である陣内了平が甲子園に出場しています。陣内了平が甲子園で野球をしているのと同時進行で、陣内家の人々はラブマシーンに対抗しているんです。
甲子園のシーンは物語の本流とはほぼ関係ないのに、細田監督はなぜ甲子園のシーンを盛り込んだのでしょうか?
これは、「陣内家で起こっている非日常(ラブマシーンへの対抗)」と「それ以外の日常」を対比させるためではないでしょうか。
陣内家の人たちは必死にラブマシーンに対抗しているけれど、それ以外の世界の人たちは「OZがおかしい」と思っているだけで、具体的に何が起こっているのかは分からず、ごく普通の日常を過ごしています。この対比を表現するために、甲子園のシーンを入れたと考えることができます。
また、「バーチャル世界・仮想世界での対戦」と「生身の人間が身体を動かしての試合」という対比の意味もあるのかもしれませんね。
ラブマシーンの名前の由来
侘助が開発したAI「ラブマシーン」。この「ラブマシーン」という名前は一体どうやってつけられたのでしょう。
このラブマシーンの名前の由来は、侘助の「愛されたい、認められたい」という願望からつけられたとのこと。侘助は妾の子として栄おばあちゃんに引き取られましたが、子供の頃から愛情に飢えていて、「愛されたい、認められたい」という思いが強くありました。
侘助は栄おばあちゃんに認められたい一心でラブマシーンを開発しましたが、栄おばあちゃんからは認めてもらえず・・・。
侘助は、栄に認められたいという一心で開発に取り組んだのだが、結果として「ひとさま」に大きな迷惑をかけたということで、栄や陣内家の面々から非難を浴び、姿を消す。
栄おばあちゃんが死んで、ラブマシーンを倒した後に、ようやく陣内家の人たちから認められる結果になりました。なんとも皮肉な形ですね。
健二にメールを送ったのは?
夏希の実家に泊まった夜、健二の携帯電話にOZのセキュリティを突破するための暗号が送られてきました。これは誰が送り付けたのでしょうか?
ラブマシーンをOZで稼働させたのはアメリカの国防総省ですが、暗号のメールを送った人物は誰だかわかっていません。この人物はもしかしたら、健二の友人の佐久間敬なのかもしれません。
佐久間敬は健二の友人ですが、健二に嫉妬していたはずです。健二は数学オリンピック日本代表の候補者でしたが、佐久間はそうではない。また、夏希のバイトに先に手を挙げたのは佐久間なのに、選ばれたのは健二だった。
この状況で、健二に嫉妬しないはずがありませんよね。少し困らせてやろうと思って、ラブマシーンの暗号を健二に送ったのではないでしょうか。
その後、健二に協力するふりをしているけれど、実は健二に敵対心を抱いていた可能性はあります。
サマーウォーズの都市伝説2選
サマーウォーズを予言した漫画がある?
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ネット上には、サマーウォーズの内容と酷似している漫画が1992年の時点で出版されていたという都市伝説があります。
その漫画とは、1992年に出版された「プレイヤーは眠れない」(原作:黒沢哲哉・作画:正木秀尚)です。この「プレイヤーは眠れない」は仮想空間の街「アゴラ」が「GOD」というハッカーに乗っ取られ、アバターを支配下に置き、現実世界に干渉してくるという内容です。
確かにあらすじは似ているかもしれませんが、作風は全く違います。「サマーウォーズ」は爽やかな作品ですが、「プレイヤーは眠れない」はアダルトテイストの作品ですので、この作品がサマーウォーズを予言していたというのは無理があるかもしれません。
ただ、この「プレイヤーは眠れない」は1992年に出版されたとは思えないほど、ネット世界のことを予言しているように思います。1992年はまだパソコンやネットはほぼ普及していない時代ですから。
夏希と健二はいなかった?
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サマーウォーズの主人公は健二と夏希ですが、最初の構想時点では、健二と夏希は存在せず、主人公は侘助と佳主馬だったらしいんです。ただ、侘助と佳主馬が主人公だと、主人公が地味すぎるので、健二と夏希を物語に登場させて、さわやかさを出したとのこと。
確かに、物語のカギを握っているのは侘助と佳主馬です。健二も鍵を握っていますが、正直に言えば、夏希はいなくても物語は進んでいきますよね。
サマーウォーズは本来は侘助と佳主馬の物語だけど、商業作品として成立させるために、健二と夏希が投入されたのかもしれません。そう思いながら、もう一度サマーウォーズを見ると、違った見方ができて、面白いですよ。
サマーウォーズが怖いと言われる理由4選
現代でも起こりうること
サマーウォーズは夏休みにピッタリの爽やかなアニメ映画ですが、「怖い」と言われることもあります。怖いと言われる理由の1つ目は、OZをAIが乗っ取ったという事例は現代でも起こりうることだからです。
サマーウォーズの頃と比べて、現代ではAIが発達しています。だから、AIが暴走したら、どうなるのだろう?と不安になっしまうこともあるでしょう。もし、ラブマシーンのようにAIが暴走したら、私たちの生活は壊滅状態になります。全く機能しなくなるでしょう。
また、ラブマシーンは小惑星探査機「あらわし」を核施設の上に落下させようとしました。これも十分にあり得るケースですよね。
サマーウォーズが公開された頃よりも、現在の方がその内容をリアルに感じることができるため、「怖い」と思う人が増えたのかもしれません。
家族の絆を全肯定していて怖い
出典:note.com
サマーウォーズを怖いと思う理由の2つ目は、大家族の絆を描いていることです。
細田守監督は、この作品で「結婚と大家族の絆」をテーマにしているとインタビューで語っています。
「急に親戚が増えて、しかもものすごく仲がいいのに驚いて、結婚って面白いなと思った。それで、親戚が主人公で家族を肯定する映画を作りたくなった」
引用:asahi.com(朝日新聞社):家族って、いいな 「サマーウォーズ」細田守監督にきく – マンガ+ – 映画・音楽・芸能
陣内家は大家族で、家族同士の結束が異常なほど強いですよね。栄おばあちゃんを中心に、みんな結束しています。
この家族同士の結束を称賛していることについて、現代の若者世代は違和感・恐怖・嫌悪を感じることがあるようです。
1.家族はみんなで助け合うのが当然。家族の助け合いの称賛
2.大家族の称賛
「サマーウォーズ」では、女性は誰もコンピュータをいじらず、炊き出しと子供の世話だけで、やたら「子供を産め」と言われる。 https://t.co/ejNEpYxIUU
— 町山智浩 (@TomoMachi) July 19, 2019
昭和の家族観を押し付けられるような気がして、怖いと感じてしまうのかもしれません。
コネをフル活用している
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サマーウォーズでは、コネを全力で使っているところが「怖い」と感じる人もいるようです。OZがラブマシーンに乗っ取られて暴走している時、栄おばあちゃんは各方面に電話をして、人脈をフル活用し、有力者たちを叱咤激励して、被害を最小限にとどめていました。
ここでは単純に「栄おばあちゃんすごい!」と思う人が多いのですが、一部の人たちは「コネをフル活用して怖い」や「忙しい時に電話をしてくるなんて迷惑極まりない」と思う人もいます。
確かに、このシーンはただの厳しいおばあちゃんだった栄がいきなり警視総監や有力者に電話をかけ始めたので、「栄おばあちゃん、何者?怖いんだけど」と思う人はいるかもしれません。
侘助への差別
ラブマシーンの開発者である侘助は、栄おばあちゃんの夫が妾に産ませた子です。まだ侘助が子どもの頃に、栄おばあちゃんが引き取ることになりました。
「妾の子」ということで、侘助はなかなか陣内家の一員になれずに差別されてきたことを推察できます。「東大だかなんだかしらないけどねえ!勝手にアメリカ行って!」と言われていましたし、疎外感を感じていたから「認められたい」と思い、ラブマシーンを作ったのでしょう。
妾の子だからという理由で差別されていることを描いている作品なので、このサマーウォーズは現代の感覚で見ると、「怖い」と感じてしまうこともあります。
サマーウォーズのその後
出典:crank-in.net
映画のサマーウォーズは、最後に夏希と健二がお互いに両想いで、夏希が健二の頬にキスをして、健二が鼻血を出すシーンで終わりますが、その後は2人はどうなったのでしょうか?その後の2人のことは、漫画版のサマーウォーズに少しだけ書かれています。
夏休みが終わり、高校に戻った夏希は東大を目指して受験勉強をするようになります。東大を目指した理由は、健二の志望校が東大だから。それを聞いた健二は赤面します。
サマーウォーズのファンからは、健二と夏希は2人で東大に合格し、そのまま結婚するのではないかと言われています。確かに、お似合いのカップルですね。
サマーウォーズのまとめ
サマーウォーズの概要や興行収入、あらすじと評価、考察や都市伝説、怖いと言われる理由をまとめました。サマーウォーズは名作だし、夏休みには何度かテレビ放送されているので認知度も高いのですが、なぜか興行収入は伸び悩んだ不思議な映画です。
この考察や都市伝説を見た後に、もう一度サマーウォーズを見ると、また違った視点で楽しむことができるはずです。