あなたは「イクイク病」という病気を知っていますか?「イクイク病」という名前を聞くと、それほど深刻な病気ではないと思うかもしれませんが、イクイク病はその症状を苦に自殺する人がいるほど大変な病気なんです。
イクイク病(持続性性喚起症候群)の概要や症状、女性だけでなく男性も発症するのか、原因、芸能人にイクイク病はいるのか?治し方や漫画・仰天ニュースでの取り扱いなどをまとめました。
この記事の目次
イクイク病は持続性性喚起症候群という病気
イクイク病は持続性性喚起症候群の別称です。持続性性喚起症候群とは、性的興奮を起こすような刺激がないのに、突然にしかも持続的に性的興奮・オーガズムが引きおこる病気です。
持続性性喚起症候群は1日に何度も性的興奮を覚え、オーガズムを感じるため、その症状を簡単に表した言葉で「イクイク病」と呼ばれるようになりました。
英語ではPSAS(persistent sexual arousal syndrome)または PGAD(Persistent genital arousal disorder)と略されることが多いです。
イクイク病は命にかかわる病気というわけではありません。しかし、1日に10回~100回もオーガズムに達する場合もありますので、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
実際の患者数は不明
イクイク病は、2001年にアメリカで発見されたばかりの新しい病気です。そのため、イクイク病の有病率はわかっていませんが、2012年の時点で患者は世界に数千人しかいないとされています。
現在の世界の人口は約80億人。そのうち数千人しか患者がいないのですから、イクイク病はかなり珍しくレアな病気と言えます。
ただ、イクイク病は性的刺激がない状態で、突然性的興奮を覚えてオーガズムに達する病気です。1日100回以上オーガズムに達することもあるし、4日間もオーガズムの状態が続いたという症状も報告されています。
このような症状の場合、たとえイクイク病を発症したとしても、羞恥心が強くてなかなか病院に行くことができないし、周囲の人に相談することもできないと思われます。そのため、実際の患者数は未知数です。
AskDoctorsというサイトには、10件以上の持続性性喚起症候群ではないか?という相談が寄せられていたので、持続性性喚起症候群で悩んでいる患者さんは意外とたくさんいるのかもしれません。
イクイク病(持続性性喚起症候群)はセックス依存症ではない
イクイク病(持続性性喚起症候群)は突然オーガズムに達する病気です。1日に100回もオーガズムに達することもあります。それなら、性欲が強すぎる「色情症」だったり、セックス依存症なのではないか?と思う人も多いです。
でも、イクイク病と色情症やセックス依存症は全然違うものです。色情症は性欲が強すぎるもので、セックス依存症は「性行為に依存している」ものです。どちらも、性行為に強い欲求を持っている状態です。
イクイク病(持続性性喚起症候群)は性欲とは関係ありません。性的な刺激もない状態で、いきなりオーガズムに達してしまうのです。普通に日常生活を営んでいる時に、オーガズムを感じます。
自分の意志とは関係なく、性的興奮を覚え、オーガズムに達するので、日常生活に支障が出てしまいます。
イクイク病(持続性性喚起症候群)は女性だけでなく男性も発症する
イクイク病は女性に多い病気です。
医学情報源であるMSDマニュアルにも、「持続性性喚起症候群」が掲載されていますが、 「女性の性機能障害 」のカテゴリーに入っています。
実際に、イクイク病は女性の方が患者数は多いようです。しかし、男性のイクイク病の患者がゼロというわけではありません。
「持続性性喚起症候群(Persistent Genital Arousal Syndrome)」という病気があることをご存じであろうか。これまでは女性にのみ発症するといわれてきたが、どうやら男性にも起こり得るものらしい。
引用:1日100回のオーガズム。「持続性性喚起症候群は男にも起きる」と米男性。 (2014年9月25日) – エキサイトニュース
アメリカには実際に男性のイクイク病の患者さんがいて、その男性患者に取材した記事があります。
「父親の葬儀の最中に9回も勃起してしまった。日常の買い物や公共の場でも、必要もないのにそうなってしまう。毎日100回ものオーガズムに襲われるこの病気のせいで、心身はもうボロボロ。できればオーガズムを普通の人たちのように“快楽”として経験したい」とデールさん。勃起を伴うだけに、男性でこの病気があることを告白するのは大変恥ずかしいと話す。
引用:1日100回のオーガズム。「持続性性喚起症候群は男にも起きる」と米男性。 (2014年9月25日) – エキサイトニュース
イクイク病は女性も男性も発症する病気と言えるでしょう。
イクイク病(持続性性喚起症候群)の症状
イクイク病によって性的興奮を覚えてオーガズムに達する「肉体的な興奮」は、とても強烈なものです。しかも、数日間持続することもあります。
オーガズムが4日間も持続することを考えてみて下さい。「性的快感を得られてうらやましい」なんて絶対に思えないですよね・・・。
具体的にどのような症状が起こるのかを見ていきましょう。
・自転車に乗ろうとまたがると、オーガズムに達する
・満員電車の振動でオーガズムに達する
・座っている姿勢を変えるとオーガズムに達する
・電話の音を聞くだけでオーガズムに達する
・肩を叩かれただけでオーガズムに達する
・車に乗っている時にオーガズムに達する
・家事をしている時にオーガズムに達する
・自慰行為をやめることができない
通勤している時、仕事をしている職場で、買い物をしている時、友達と食事をしている時など、ごく普通の日常生活を送っている時に、突如としてオーガズムに達する。これがイクイク病の症状になります。
イクイク病は些細な刺激(もしくは刺激が一切ない状態)でオーガズムに達してしまいます。1日100回もオーガズムに達していたら、肉体的なダメージは大きいですよね。アメリカのキム・ラムジーさんは彼氏とセックスをした後、4日間もオーガズムが続いたことがあったそうです。
当時の彼氏とセックスをしたあと、4日間もオーガズムが続いていたとか。
女性の場合、性的な刺激がないのに、性器周辺の血流が増加し、陰核と膣壁が膨張して、膣壁の分泌物が増加することで、オーガズムに達するようです。
1日に何度も何度もオーガズムに達していると、快感が痛みに変わってくるんだとか。
ラムジーさんによると、ずっとイキまくっていると快感がだんだん痛みに変わってくるのだそうです。
とにかくつらい症状の病気であることは間違いないでしょう。
イクイク病の症状で日常生活が送れなくなることも
イクイク病の症状は自分ではコントロールすることができません。だから、日常生活を送るのが難しくなりますし、自分の意志に反して性的興奮を覚え、オーガズムに達することで、大きなストレスを抱えることになります。社会的に孤立し、ストレスを抱えることでうつ病などの精神疾患を発症することもあります。
また、イクイク病を発症することで、配偶者や恋人との関係性が悪化したり、性行為を一切避けようとすることもありますので、破局・離婚に至るケースも珍しくありません。
さらに、自分がイクイク病であることに絶望して、自殺に至ることもあります。
米フロリダ州スプリングヒルで、持続的な性的興奮を引き起こす珍しい病気に苦しんでいた39歳のグレートヒェン・モランネンさんが、自殺した。
モランネンさんは23歳の時から、持続的な性的興奮状態に悩まされるようになった。性的興奮を取り除くことができたのは、数時間にわたる自慰行為だけだったが、数分後には、再び抑えがたい欲望に襲われた。
イクイク病はその病気自体が命にかかわるものではなくても、その症状のつらさから死を選んでしまうこともあるんですね。
イクイク病(持続性性喚起症候群)の原因は不明
イクイク病は2001年にアメリカで報告された病気です。つまり、病気と認識されてからまだ20年ちょっとしか経っていません。また、症例数も多くありません。
そのため、イクイク病についてはまだわかっていないことも多く、原因は不明です。
骨盤周囲の筋肉の過度の緊張が原因の一部とも言われていますが、なぜ筋肉が緊張してしまうのか?そのメカニズムは改名されていないんです。
この病気の原因は解明されていません。しかし、症状がまた起こることへの不安や心配により、病気が持続する可能性があります。骨盤筋の緊張が原因の一部である可能性があります。
明かな原因がわかっていない以上、イクイク病(持続性性喚起症候群)は誰でも発症する可能性がある病気であると言えるでしょう。
ただ、「これが原因では?」と言われているものがいくつかありますので、ご紹介していきます。
SSRIの離脱症状
イクイク病の原因の1つ目は、SSRIの離脱症状です。
SSRIとは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬のことです。抗うつ薬の一種で、セロトニンの働きを増強することで精神を安定させ、うつ症状を改善します。うつ症状以外にも、パニック障害や強迫性障害、PTSDなどにも用いられる精神科の薬です。
このSSRIの服用をやめた女性が、イクイク病を発症しているという報告の英語論文「Persistent genital arousal in women — a new syndrome entity」があります。
ほとんどの場合、この症候群の原因は不明ですが、多くの女性が選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)抗うつ薬の中止後に症状を報告しています。(※日本語訳)
引用:Persistent genital arousal in women — a new syndrome entity – PubMed
精神科の薬を服用していて、服用を止めると、イクイク病になる可能性が高くなるのかもしれません。
椎間板ヘルニアなどの身体の変調
ヘルニアなど骨盤周辺の体の変調がきっかけで、イクイク病になることもあります。
アメリカの男性はこの椎間板ヘルニアになったことをきっかけに、イクイク病を発症したとのことです。
2012年9月、椅子から立ち上がった瞬間にぎっくり腰を起こし、椎間板ヘルニアを患ったところでこの病を発症したデールさん。
引用:1日100回のオーガズム。「持続性性喚起症候群は男にも起きる」と米男性。 (2014年9月25日) – エキサイトニュース
また、アメリカの女性は階段から落ちたことをきっかけにイクイク病を発症しています。
医師らによると、ラムジーさんがPGADを発症したきっかけは、2001年に階段から落ちたことがきっかけではないかとしています。
階段から落ちたということは、しりもちをついたり、腰を強く打ったりした可能性が高いですよね。
骨盤周囲・腰周辺に何らかのケガ・病気があると、骨盤周囲の筋肉の緊張が起こって、そこから性器の過敏反応が起こりやすくなって、イクイク病を発症するのかもしれません。
ただ、これも椎間板ヘルニアになった人は全員イクイク病(持続性性喚起症候群)になるわけではなく、むしろごく少数なので、これだけが原因というわけではありません。
性欲がない女性
イクイク病(持続性性喚起症候群)の原因には、「性欲がない女性」というのもあるようです。
イギリスのセント・メアリーズ病院の医師デイヴィッド・ゴールドメイヤーは、長期間性欲がない女性がイクイク病を発症しやすいと報告しています。
性欲がなく、長期間オーガズムに達していないと、その揺り戻しでイクイク病を発症してしまうのでしょうか。
イクイク病(持続性性喚起症候群)の芸能人は?
イクイク病(持続性性喚起症候群)の芸能人や有名人はいるのでしょうか?いろいろ調べてみましたが、イクイク病を発症していると公表している芸能人はいませんでした。
やはり、イクイク病を公表すると、「私はずっとオーガズムに達しています」と宣言しているようなものですから、実はイクイク病を発症していてもなかなか公表はできませんよね。
そもそも、イクイク病を発症すると、1日10回以上オーガズムに達するようになりますので、表舞台に出るような仕事はなかなかできません。
イクイク病(持続性性喚起症候群)の治し方
イクイク病(持続性性喚起症候群)は、発症した後数週間から数ヶ月程度で自然に治ることもありますが、
長期間にわたり、何年もイクイク病の症状が続くこともあります。イクイク病を発症すると、日常生活を送るのが難しくなります。また、精神的にも肉体的にもきついので、できるだけ早く治すようにしなければいけません。
しかし、残念ながらイクイク病の確実な治し方はわかっていませんが、現時点で治し方とされている方法をご紹介していきます。
心理療法
イクイク病の治し方の1つ目は心理療法です。イクイク病は症状が起こることに不安や心配を感じると、病気が悪化する可能性があるとされています。ということは、イクイク病は精神的なものも関わっているということになります。だから、心理療法が有効なんです。
・バイオフィードバック法を用いて、骨盤筋を緩めるトレーニング
・認知行動療法でオーガズムのきっかけになる行動を避ける
これらを意識的に行うことで、オーガズムに達する回数を少なくしていき、イクイク病の不安・負担を軽減していくという治療方法です。
ストレスを軽減する
イクイク病とメンタル面が関係していることから、ストレスを軽減することも効果があるとされています。人間関係のストレスを軽減するようなカウンセリングが有効とも言われています。
この症状は「持続性性喚起症候群の症状である」と認識させると、今までの不安が解消されて、症状が軽減することもあります。
ホルモン療法?
3つ目の治し方は驚きの方法です。その方法とは、トランスジェンダーのためのホルモン療法です。イクイク病の男性が女性ホルモンを摂取したところ、オーガズムに達する回数が減ったんだとか!
なんと、“デッカーさん”は2年前から女性としての人生を歩んでいるというのだ。 現在は男性名を捨て、女性名のクリスティンとして生きているという。実はこれが結果的にデッカーさんの症状を劇的に改善した治療法だ。女性ホルモンを摂取したことでオーガズムの回数が激減したというのだ。
引用:1日に100回以上イッてしまう奇病「持続性性喚起症候群」の男がヤバすぎる! 絶頂地獄から救われたハンパない治療法とは!?ーオカルトニュースメディア トカナ
女性ホルモンを摂取すれば、男性としての性欲がなくなり、性的興奮を感じなくなるというメカニズムなのだと思います。
ただ、この男性はもともと性同一性障害を抱えていたということですので、性同一性障害の大きなストレスが、イクイク病につながっていた。だから、女性ホルモンを投与して女性になったことで、そのストレスが減って、イクイク病が軽減したとも考えられます。
この治し方は「性ホルモン」という観点からは良い方法かもしれませんが、トランスジェンダーでない限り、自分の性別を変えなければいけないので、大きなストレスを抱えることになります・・・。
イクイク病(持続性性喚起症候群)は漫画や仰天ニュースで取り上げられた?
野原ひろみ「魔少女的~私 イっちゃうんです~」という漫画が、持続性性喚起症候群(イクイク病)をテーマにした漫画です。
また、日本テレビの人気番組「ザ!世界仰天ニュース 」はいろいろな奇病を取り上げていますが、仰天ニュースではまだイクイク病は取り上げていないようです。まぁ、ゴールデンの時間帯の全国放送番組では、イクイク病(持続性性喚起症候群)はなかなか取り上げにくいですよね。
イクイク病(持続性性喚起症候群)のまとめ
イクイク病(持続性性喚起症候群)の症状や男性と女性の割合、原因、芸能人の有無、治し方や漫画・仰天ニュースでの扱いをまとめました。
この病気がもっとメジャーになって、患者さんが気軽に病院で相談できるようになると良いですね。