猪野詩織さん(桶川ストーカー殺人事件)の父親など家族・高校や大学など経歴!犯人/小松和人との関係や遺書・事件その後もまとめ

猪野詩織さんは1999年に発生した桶川ストーカー殺人事件の被害者です。猪野詩織さんの生い立ちや経歴、高校、大学、父親や母親、兄弟など家族、遺書、結婚、かわいいからと詩織さんをストーカーした犯人・小松和人らの現在について紹介します。

猪野詩織さんが被害者となった桶川ストーカー殺人事件の概要

 

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1999年10月26日、埼玉県桶川市のJR桶川駅西口前の路上で白昼堂々、1人の女子大生が男に左胸とわき腹を刺されて殺害されるという痛ましい事件が起こりました。

 

事件の被害者となったのは、当時21歳であった上尾市在住の猪野詩織さんで、犯人は当時27歳の小松和人でした。

 

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詩織さんと小松和人は事件が起きた年の1月から交際していたのですが、詩織さんが別れ話を切り出したところ小松が激怒。詩織さんに脅迫や嫌がらせをするなど、悪質なストーカー行為をするようになったとされます。

 

身の危険を感じた詩織さんは、何度も小松の異常行動について警察に相談をしていましたが、警察は「ただの痴情のもつれ」として扱い、まともに対応しませんでした。

 

その結果、起きてしまったのが桶川ストーカー殺人事件だったのです。

 

しかも事件が発生してからも埼玉県警は失態をもみ消そうとしてマスコミを利用し、あたかも詩織さんの行動に原因があったかのように情報操作を行いました。

 

しかし、多くのメディアが被害者である詩織さんに批判的な報道を繰り返すなか、鳥越俊太郎氏と長野智子氏がキャスターを務める報道番組報道番組『ザ・スクープ』と、写真週刊誌『FOCUS』だけは早い段階から警察の発表を疑う姿勢を見せました。

 

とくに当時、『FOCUS』の記者としてこの事件の取材を担当していたジャーナリストの清水潔氏は、警察が詩織さんから相談を受けていたことを突き止め、警察よりも早く事件の犯人と真相を突き止めます。

 

そして、『FOCUS』と『ザ・スクープ』が中心となって警察に対する大きな批判が巻き起こり、事件から半年近くが経ってやっと埼玉県警が「警察が真摯に対応していれば、詩織さんの命は救えた」と謝罪するに至ったのです。

 

こうした経緯から、桶川ストーカー殺人事件は警察から3人の懲戒免職者を含む15人の処分者を出すという重大不祥事となり、2000年にストーカー規制法が制定されるきっかけにもなりました。

 

また、詩織さんの殺害を計画・指示したのは小松和人でしたが、彼女を殺害した実行犯は別人でした。

 

この実行犯らは逮捕されたのですが、小松は警察の手が届く前に自殺しており、1人の女性とその家族の人生を滅茶苦茶にしたにもかかわらず、罰せられることなく事件は幕を閉じています。

 

 

猪野詩織さんと小松和人の関係① 出会い

 

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猪野詩織さんと小松和人の出会いは、1999年1月6日のことでした。大宮駅東口のゲームセンターで小松が詩織さんに声をかけ、ナンパしたことが知り合うきっかけだったといいます。

 

この日、詩織さんは友達とプリクラを撮ろうとゲームセンターに立ち寄っていました。しかし、プリクラの機会が壊れていて店員を呼ぼうかと困っていたところ、「どうしたの?」と声をかけてきたのが小松と連れの男友達だったのです。

 

詩織さんはとくに小松たちに興味がなかったものの、一緒にいた友人が小松の連れの男性を気に入ってしまい、4人はカラオケに行き連絡先を交換。

 

ほどなくして詩織さんは小松と交際を開始しますが、付き合い始めた当初、小松はとても優しく紳士的で2人はドライブやディスに―ランドに行ったりと普通のデートをしていたといいます。

 

 

無理やりなプレゼントと嘘

 

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ただ、小松には胡散臭い点もありました。自分の職業を「外車のディーラーだ」と話しており、月に1,000万円以上の収入があると豪語していたのです。

 

そして詩織さんとのデートの際に札束を持ち歩き、ことあるごとにプレゼントを渡してきたといいます。

 

プレゼントといっても最初は数百円程度のぬいぐるみなどであったため、詩織さんも喜んで受け取っていました。

 

ところがプレゼントの価格は次第に高額になっていき、高級ブランドの服やバッグを押し付けてきては「今度会う時にこれを着てきて」などと詩織さんに頼むようになってきたのです。

 

次第にデートのたびに高級なものを渡そうとする小松が怖くなった詩織さんは、ある時「もう10年分くらいのプレゼントをもらっちゃったから、これからは受け取れないよ」と小松からのプレゼントをやんわり断りました。

 

すると、それまで優しかった小松の態度が豹変。「俺の気持ちが受け取れないのか!」と激高し、そこから徐々に凶暴な本性を見せるようになっていったのです。

 

実は小松は、自分の素性について詩織さんに多くの嘘をついていました。

 

まず、職業は車のディーラーではなく違法風俗店の経営者でした。そのうえ年齢も23歳と言っていましたが実は27歳で、名前も「小松誠」という偽名を使っていたのです。

 

 

ストーカーの兆候

 

さて、プレゼントの件があって以降、詩織さんはこれまでにも小松の行動には不審な点があったことに初めて気づきます。その不審な行動とは、以下のようなものです。

 

・小松はベンツSLのオープンカーとベンツのワゴンを所持していたが、運転が非常に荒く、わざと国道で蛇行運転をしたりと一緒に乗っていて恥ずかしい思いをすることもあった。

 

・使い捨てカメラを持ち歩いており、車の運転中に突然、助手席の詩織さんにフラッシュを浴びせることがあった。

 

・入院したのでお見舞いに来てほしいと頼まれて病院に行ったところ、ガラの悪そうな若い男が何人も病室にいた。

 

・小松には携帯電話の番号しか教えていないはずなのに、なぜか家の電話に連絡がきたことがあった。

 

小松は交際当時からストーカー化しており、興信所に依頼して詩織さんの住所や家族構成、父親の職場まで調べていたといいます。

 

流石にこの時点では詩織さんも小松がそこまで自分に執着しているとは知らなかったものの、プレゼントの件があって以降、小松との交際を考えるようになっていきました。

 

 

猪野詩織さんと小松和人の関係② 父親・兄弟を人質に脅される 

 

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小松が異常な本性を見せ始めたのは3月20日頃のことでした。

 

この日、詩織さんは池袋にあるマンションの小松の部屋を訪れていたのですが、そこで室内にビデオカメラが仕掛けられているのを発見します。

 

疑問に思った詩織さんは「このビデオはなに?」と、小松に尋ねました。すると小松が突然怒り狂い、詩織さんの腕を乱暴につかんで隣の部屋へ無理やり連れていき、「うるせえ!俺のことなめとんのか!」と大声で怒鳴ってきたのです。

 

さらに詩織さんが驚きと恐怖で部屋の壁にもたれかかると、怒りの表情を浮かべた小松が顔の横スレスレの場所に何度も拳を叩きつけてきました。

 

小松の身長は180㎝。自分よりもよほど背の高い男に脅された詩織さんは、恐怖のあまり動けなくなってしまいました。

 

そんな詩織さんに対して小松は「俺に逆らうな!逆らうならこれまでプレゼントした品物の代金100万円払ってもらうぞ!払えないならソープで働いて金を作ってこい!今からお前の家に行って父親に関係をばらすぞ!」などと恫喝してきたといいます。

 

詩織さんの家庭は家族仲が非常に良く、とくに詩織さんは優しい父親のことが大好きだったそうです。

 

興信所から情報を得ていた小松はこのことを知っており、さらに「俺の言うことが聞けないなら、父親がどうなっても知らないぞ。今の仕事が続けられると思うなよ」と脅迫してきました。

 

大好きな父親に迷惑はかけられない、こんなヤクザのような男と付き合っているなんて知られたくない。黙ってしまった詩織さんに小松は「俺の言うことを大人しく聞いてりゃいいんだよ」と勝ち誇ったような笑みを見せたといいます。

 

この日を境に、「いつか自分はこの男に殺されるのではないか」と感じながらも、小松の言いなりになるしかないという恐怖の日々がはじまったのです。

 

そして小松は凶暴性を隠すことさえなくなり、毎日30分おきに詩織さんに電話をかけては「何をしているんだ!」と行動を監視するようになってきました。

 

飼い犬の散歩に行っていて電話に出られなかった詩織さんに対して「俺を無視して犬と遊んでたのか!お前の犬を殺してやる!」と脅してきたことまであったそうです。

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猪野詩織さんと小松和人の関係③ 遺書を用意して別れ話を切り出すが…

 

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連日、寝る間もなく小松に付きまとわれて疲弊してしまった詩織さんは、3月30日についに別れ話を切り出そうと決意しました。

 

ただで別れてくれないだろうと思っていた詩織さんは、家族と友人に向けた遺書まで用意していたといいます。

 

実際に詩織さんが勇気を振り絞り、死を覚悟して小松に別れ話をしたのは6月14日のこのですが、その間にも2人の間には以下のような出来事がありました。

 

・男受けの悪い外見になろうと長くてきれいな髪の毛にチリチリのパーマをかけるが、小松から買収されていた詩織さんの友人が「小松さんに嫌われたくてパーマをかけたらしい」とチクってしまう。

 

・「俺のことが好きならそれで腕を切れ」とナイフを押し付けられる。

 

・詩織さんが仲良くしていた男友達のもとに、脅迫電話がかかってくる。

 

・ほかの人と連絡を取るなと言い、携帯電話を詩織さん自身に折られる。

 

・父親の会社名を出して、裏から手をまわしてリストラさせることもできる、失業したらお前の弟の学費も払えなくなるな、などと脅迫してくる。

 

これほどのことを毎日のようにされていれば、詩織さんが「殺されるかもしれない」と思い詰めるのも無理のない話です。

 

詩織さんの親しい友人のなかには小松のことを知っている人もいたといい、「親に相談した方がいい、異常だよと言っても、『自分が我慢すれば家族には迷惑はいかない、親を守れる』といつも家族を守ろうと必死だった」との証言が出ています。

 

そして6月14日に詩織さんは別れ話を切り出すのですが、当然ながら小松は激高して別れを認めず、その日のうちにヤクザ風の見た目の男3人が家の中に押し入って来て「小松がプレゼントした商品の代金と、あんたのせいで小松が精神疾患になったから慰謝料500万円を支払え」などと脅してきました。

 

幸いにも帰宅した父親がこの男たちを追い返し、詩織さんが機転を利かせて録音していた男たちの声を証拠に警察に相談に向かいます。

 

しかし、警察はまったく脅迫事件として扱おうとせず、「あんたもさあ、いい思いしたんじゃないの?」「付き合って3ヶ月でしょ?男も盛り上がってるだけだから、ちょっとしたら落ち着くよ」などと適当にあしらわれてしまったのです。

 

なお、最初に音声を聞いた若い警察官は「恐喝じゃないですか!」と憤りを見せていたそうですが、そこに年配の刑事が入って来て上のような対応をして「警察で対応することではない」と追い返したといいます。

 

 

猪野詩織さん殺害まで① 犯人グループによる嫌がらせ

 

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別れ話をした後も小松は詩織さんに復縁を迫ったといいます。そして7月19日には詩織さんの顔写真を大きく印刷し、電話番号などの個人情報を載せた中傷のビラが自宅周辺や大学周辺、父親の会社周辺にまでバラまかれたのです。

 

ビラの枚数も多く、複数の箇所にまかれていたことから小松が1人でやったこととは到底思えませんでした。

 

実際にこのビラは詩織さんを殺害した実行犯の男らがまいていたもので、この頃、小松はアリバイつくりのために沖縄に滞在していました。

 

さらに小松は合計で12人もの男を詩織さん一家への嫌がらせのために雇っていたといい、このほかにも板橋区で詩織さんの顔写真入りで「援助交際の相手募集中」というカードをばらまいたり、ネット掲示板に詩織さんの連絡先を書き込んだりしていました。

 

 

猪野詩織さん殺害まで② 「結婚前に騒ぎになるよ?」杜撰すぎる警察の対応

 

出典:https://ja.wikipedia.org/

 

度を越した小松の嫌がらせに悩んだ詩織さんは、何回も警察に相談に行きました。

 

しかし、警察から「告訴がなければ捜査できないよ」と言われてしまい、ついに小松和人を名誉棄損で訴える決意を固めます。

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この頃になると詩織さんはノイローゼ状態になっており「ビラがまかれた後は、小松が外国人かなにかを雇って私をレイプさせてビデオをそこら中に流すに違いない」「次は指を切り落とされるかもしれない」と憔悴しきった様子だったといいます。

 

告訴についても最初は小松の報復を恐れてためらっていたものの、両親や友人の励ましがあってやっと決意したところでした。

 

ところが告訴のために受けた警察での事情聴取は酷いもので、関係のないことまで聞かれたうえ「学生なのに試験期間にこんなことしてていいの?」「結婚前に、こんなことで騒ぎになって平気なの?」とまで言われたそうです。

 

そんな折、父親の会社や取引先に詩織さんだけではなく父親を中傷する内容の手紙が大量に届く事件が起きました。

 

父親は「これで娘の件を真剣に捜査してもらえるかもしれない」と思い、急いで警察に向かいましたが、対応した刑事は「高そうな紙ですね。手が込んでるなあ」と薄ら笑いを浮かべただけでした。

 

詩織さんはこのことに非常にショックを受けて「私のせいでお父さんまで、可哀そうだよ…」と友人に涙を見せていたといいます。

 

詩織さんを襲った酷い仕打ちはまだ続きます。7月29日に告訴は受理されましたが、9月21日頃にはなぜか上尾署の刑事が猪野さん宅を訪れて「告訴を取り下げろ」と迫ってきたのです。

 

この時、警察は「告訴は何度でもできますし、嫁入り前の娘さんが公の場で言いづらいこともあるでしょう」などと言ってきました。

 

しかし、これは大嘘であり、刑事訴訟法第237条2項でいったん刑事告訴を取り下げた場合、同じ内容の告訴は二度とできないと決められています。

 

対応した父親が毅然と断ると、刑事は「告訴を取り下げるまで何度も来ますよ」と、脅しともとれる言葉を残して去っていったといいます。

 

この時来た刑事については偽物であり、小松の指示で来たことが事件後に判明していますが、その後、上尾署の本物の刑事が告訴状を被害届に勝手に改ざんしていたことが明らかになっています。

 

被害届は捜査義務の伴わないもののため、面倒な仕事を増やしたくなかったために大切な告訴状を改ざんしたのでした。

 

こうして警察が杜撰かつ意味不明な対応をしているうちに10月16日がきてしまい、大学に行く途中の詩織さんが刺殺されてしまったのです。

 

 

猪野詩織さん殺害のその後① 警察の情報操作とマスコミのバッシング

 

出典:https://ameblo.jp/

 

桶川ストーカー殺人事件が起きた後も、警察の対応は杜撰そのものでした。上尾署では詩織さんを殺害した犯人を捜すことよりも捜査ミスを隠すための嘘の調書を作成し、事件当日の夜からその偽の調書をもとにしたニュースが流れたのです。

 

そして「被害者の女子大生はグッチの時計やプラダのバッグを好んで身に着けていた」「援助交際をしてブランド品を買い漁っていた」「男を騙して高額なプレゼントを貢がせていた」といった事実無根の報道がされるようになっていきました。

 

さらに詩織さんが3月の段階で遺書を書いていたことについては「遺書ではなく、妄想・創作」と説明。

 

極めつけに告訴状改ざんがバレる前に開いた記者会見では、埼玉県警の片桐敏男元刑事二課長が半笑いで質問に応じる姿が報道されました。

 

また、この会見で埼玉県警は「ストーカーによる殺人なのでは?」という記者からの質問に対し、苛立ちながら「そんなことはわからない。何度も同じことを聞くな」と面倒そうに対応していました。

 

 

猪野詩織さん殺害のその後② 犯人の逮捕と小松和人の自殺

 

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警察が自分たちの捜査ミスを隠すことに専念しているうちに、詩織さんを殺害した実行犯たちは逃亡してしまいます。

 

そんななか、保身に腐心していた警察に代わって桶川ストーカー殺人事件の真相を暴いたのが、写真週刊誌『focus』の事件記者だった清水潔氏でした。

 

発生の一報があってから事件を追っていた清水氏は、警察やマスコミに強い嫌悪感や警戒心を見せていた詩織さんの友人に取材を頼み込み、そこで「詩織は小松和人と警察に殺されたんです」という証言を得ます。

 

そして小松の店があったという池袋に何度も足を運んで、経営していた風俗店を特定。

 

また、事件当日の目撃証言で「猪野詩織さんを刺したのは30代くらいで、身長170㎝前後の小太りの男」という情報を得ていたことから、身長180㎝で痩せ型の小松は実行犯ではないと見て、共犯者も探し始めました。

 

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そして、小松が経営している店で働いている久保田祥史という男が、実行犯の特徴に酷似していること、さらに桶川ストーカー殺人事件が起きた直後から金遣いが荒くなり、毎晩20万円近く使って飲み歩いているということを突き止めたのです。

 

店周辺の人物への取材や久保田本人の動向を探り続けた後、実行犯はこいつで間違いないと確信した清水氏は警察に情報を提供しました。

 

こうして1999年12月19日に、猪野詩織さんを殺害した久保田祥史が逮捕されたのです。

 

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次いで12月20日には、清水氏が共犯者の1人と睨んでいた久保田の友人の川上聡、小松の風俗店の幹部であった伊藤嘉孝、そして小松和人の兄の小松武史(下の画像の男)が逮捕。

 

4人は全員、殺人教唆やほう助ではなく殺人罪での逮捕でした。

 

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そして逮捕後に久保田祥史が、「小松武史から『悪い女がいるから殺してほしい』と頼まれた」と供述したことが明らかになります。

 

事件当日は川上が車で待機して久保田の逃走を手伝い、伊藤が詩織さんの自宅前に張り込んで彼女の行動を見張る役割をしていたことも判明しました。

 

久保田、川上、伊藤の3人は小林の兄からあわせて1,800万円の報酬を受け取って何の恨みもない詩織さんを殺害したとのこと。

 

しかし、4人の逮捕の一報を受けて警察に情報を提供した清水氏本人も違和感を覚えました。清水氏も久保田、川上、伊藤の共犯だと睨んでいたものの、なぜかキーマンの小松和人が逮捕されずに、その兄が主犯として突然逮捕されたことに驚いたのです。

 

小松武史も、逮捕後に「自分は弟に猪野詩織さんを拉致してレイプしてくれ、とは頼まれたが殺害は指示していない」「たしかに久保田に詩織さんを脅すために顔を切りつけろとはいったが、殺せなんて言っていない」と主張していました。

 

そのため清水氏も引っ掛かりはしたものの、もう警察に身柄が渡った人間にどうこうできないと考え、小松和人の逮捕を待ったといいます。

 

 

小松和人の自殺

 

ところが2000年1月27日、北海道に潜伏しているとして警察が行方を追っていた小松和人が、屈斜路湖で水死体となって発見されたのです。

 

遺体は下半身が地熱による火傷を多数負った状態、上半身は凍り付いた状態で、遺体を回収した北海道警も氷が解けて指名手配中の小松の顔が現れたことでパニック状態になったといいます。

 

小松を知る人からは「道東からロシアに逃げると聞いていた」との話も出ていたことから、ロシアへの逃亡計画がとん挫したために自殺したのではないかとも見られました。

 

小松の荷物からは2通の遺書が発見され、その中には詩織さんと遺族に対する恨み言が長々と綴られていたといいます。

 

清水潔氏の手記『桶川ストーカー殺人事件―遺言』には、小松が北海道潜伏時に口説いていたという21歳の女性の証言が書かれているのですが、その女性によると小松は「詩織が自分を裏切った」と繰り返し口にしており、本当に彼女が悪いのだと思い込んでいる様子だったとのことです。

 

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なお、この取材に応じた女性は清水氏が詩織さんが生き返ったのかと思うほど、彼女と瓜二つだったといいます。小松がいかに詩織さんの可愛らしい外見だけしか見ていなかったのか、よくわかるエピソードです。

 

 

猪野詩織さん殺害のその後③ 警察の不祥事が暴かれる

 

出典:https://www.kinokuniya.co.jp/

 

詩織さんを直接殺害したのは小松和人と久保田らの実行犯グループですが、そもそも上尾署が誠実な対応をしていれば防げた事件でした。

 

この警察の不手際を暴いたのも清水潔氏であり、事件解決後に清水氏のもとにAFP通信の記者であった山路徹氏から「鳥越俊太郎さんに会ってもらえないか」と連絡がきたことがきっかけだったといいます。

 

かねてから警察の発表を鵜吞みにした桶川ストーカー殺人事件の報道に疑問を持っていた鳥越氏は、清水氏に「上尾署の対応が適切だったのか『ザ・スクープ』で取り上げたいので、協力してほしい」と持ち掛けたそうです。

 

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そうして清水氏、山路氏、鳥越氏の3人が作り上げた番組が、2000年3月4日放送の『ザ・スクープ 警察に“無視”されたー桶川女子大生殺害の真相』でした。

 

この放送を境に警察への批判が一気に高まり、国会で警視庁の刑事局長が尋問されるという事態にまで発展します。

 

その後、告訴状を改ざんした容疑で片桐敏男元刑事二課長ら3人が起訴されて、全員が執行猶予付きの有罪判決を言い渡されました。

 

 

猪野詩織さん殺害のその後④ 犯人グループへの判決

 

猪野詩織さんを殺害した犯人グループには、それぞれ以下のような判決が下りました。

 

・小松武史…無期懲役

 

・久保田祥史…懲役18年

 

・川上聡…懲役15年

 

・伊藤嘉孝…懲役15年

 

明らかに本当の主犯格であったはずの小松和人はというと、埼玉県警は殺人ではなく名誉棄損の罪でのみ指名手配した挙句に、死亡のため不起訴処分というお粗末な結果に終わっています。

 

また、事件の首謀者とされた小松武史は冤罪を訴え続けており、公判では証人として出廷した久保田が「事件後に小松武史に呼び出されて『なんてことをしたんだ!』と自首を勧められた」との証言までしていました。

 

逮捕直後に久保田は「小松武史に指示されて猪野詩織さんを刺した」と言っていたのに、整合性がとれません。

 

小松武史は自分が濡れ衣を着せられたことについて、ルポライターの片岡健氏に宛てた手紙のなかで「自分は経営する風俗店で嫌われ役を買っており、反対に弟は従業員に甘い対応をして好かれていた。だから久保田たちは和人を庇ったのだろう」と綴っていたそうです。

 

 

猪野詩織さんの生い立ち・経歴

 

出典:https://www.homemate-research-college.com/

 

猪野詩織さんは父親と母親、2歳年下の弟と、11歳年下の弟の5人家族であったこと、跡見学園女子大学の文学部国文科に通っていたことなどが明らかになっています。父親の憲一さんによると、弟をとても可愛がっていたそうです。

 

またとても親を大切にしており、小松の嫌がらせがエスカレートしていくのを心配する友人にも「私が大切なのは、やっぱり親なんだよね。親のためなら頑張れるから」と気丈に話していたといいます。

 

事件直後の報道では警察の情報操作で「派手好きなブランド依存症」と書き立てられていましたが、実際の詩織さんは可愛いものが好きな女性で、小松から送られたブランド物もデートの時だけ仕方なしに身に着けていたそうです。

 

大学の友人からも「普段の詩織はブランド物の服なんて着ていなかった。ブランド品に興味もなかったし、カジュアルな服装だった」との証言が出ていました。

 

 

猪野詩織さんの高校時代・大学時代の写真がかわいいと話題に

 

出典:https://twitter.com/

 

猪野詩織さんの写真は何枚かTVや新聞、週刊誌に掲載されましたが、どれも笑顔でかわいらしく、優しそうな女性だなという印象を与えるものばかりです。

 

ただ、この外見に惹かれて小松和人のような、本来なら詩織さんが出会うこともなかった怪しい人間が寄ってきてしまったのだと思うと、やる瀬ない気持ちにさせられます。

 

父親の憲一さんも、2019年に『AERA』の取材に対して「生きていれば、結婚して孫が生まれていたかもしれないのに」と語っていました。

 

 

猪野詩織さんの家族・父親と母親の現在

 

出典:https://twitter.com/

 

猪野詩織さんの両親である憲一さんと京子さん夫妻は、現在も講演の依頼があれば断ることなく駆け付け、二度と同様な事件が起きないように訴えています。

 

2017年からは求めに応じて警察署内での講演にも協力しているといい、求めがあれば埼玉県警にも向かうとの意向を示していました。

 

2023年には宮城県警察学校で講演をした猪野さん夫妻は、警察に望むこととして以下のようなことをあげています。

 

「大きな窓口を開いておいてください。小さな悩みも確実に聞いてあげてください」

 

引用:「小さな悩みも確実に聞いて」 埼玉・桶川ストーカー殺人事件の被害者遺族が宮城県警察学校で講演

 

 

猪野詩織さんと桶川ストーカー殺人事件についてのまとめ

 

今回は1999年6月に発生した桶川ストーカー殺人事件の被害者となった猪野詩織さんについて、犯人の小松和人との出会いや関係の変化、事件発生までを中心に紹介しました。

 

詩織さんの父親の憲一さんによると、事件直後の報道があまりにも酷いものであったため、現在でも「桶川ストーカー殺人事件は被害者の大学生にも問題があった」と思い込んでいる人も少なくないといいます。

 

詩織さんに落ち度があって事件が起きたわけではなく、理不尽な恐怖に耐え続けた後に命を奪われてしまったにもかかわらず、未だに誤解が残っているというのは第三者から見ても辛すぎる話です。

 

同様の事件が起きないことはもちろんですが、詩織さんや遺族のためにも警察だけではなくマスコミも襟を正してほしいと願います。

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