マデリン・マクカーン失踪事件は2007年に発生した3歳の少女・マデリンちゃんの行方不明事件で、現在も未解決です。この記事では本件の犯人や真実、両親、霊視の結果、死亡、生きてる可能性、Netflixの番組について紹介します。
この記事の目次
マデリン・マクカーン失踪事件の概要
2007年5月3日、イギリスのレスターシャー州からポルトガルの南部のリゾート地に旅行に家族旅行に来ていたマデリン・マクカーンちゃん(当時3歳)が行方不明になる事件が起こりました。
一家は4月28日からポルトガルに滞在しており、マクカーン一家は友人家族とともにアルガルベにあるリゾート地・プライアダルスの「オーシャンクラブ」というヴィラに宿泊していました。
オーシャンクラブにはキッズクラブがあり、安心して子どもを任せられるような家族向けのサービスが充実しているそうです。
事件当日、両親はマデリンちゃんと2歳になる双子を寝かしつけてから、20時頃にヴィラから50mほど離れた場所になるレストランに出向いたといいます。
そして友人夫妻と夕食の最中、母親が22時14分頃に子どもたちの様子を見に行ったところ、双子の兄弟は寝ていたもののマデリンちゃんだけが忽然と姿を消していたのでした。
慌てた両親は警察に連絡をしてヴィラの従業員も協力をして周囲を捜索しましたが、マデリンちゃんの行方はわからず、現在に至るまで発見されていません。
警察の初動捜査が問題に
このような失踪事件の場合、初動捜査が早ければ早いほど、事件解決の可能性は高くなるとされています。
しかし、マクリーン夫妻から通報を受けたポルトガル警察は当初マデリンちゃん失踪には事件性はないと見て、オーシャンクラブへの出入りに制限をかけず、翌朝の10時まで現場周辺の検問さえしていなかったのです。
しかもマデリンちゃんが寝ていた部屋、つまり事件現場も保存されていなかったため、失踪後にもマデリンちゃんを心配した知人や従業員が20人以上出入りしてしまい、犯人の指紋や足跡なども検出困難になっていました。
その後、警察は「失踪の連絡があった後、黒髪の白人男性が小さな金髪の女の子を抱きかかえているのを目撃した」という情報が数件寄せられていたことを発表しましたが、犯人の特定には至りませんでした。
実はポルトガルでは単なる失踪は犯罪には当たらず、誘拐だという確信が持てて初めて、警察は検問や通信傍受、事情聴取などの捜査に乗り出すことができるのだといいます。そのために杜撰と感じられるほど、初動捜査が遅れてしまったのです。
マデリン・マクカーン失踪事件の犯人と見られた3人の人物
出典:http://english22catkat22.blog.jp/
マデリンちゃんが失踪してから10日が経過した5月14日、ポルトガルに住むイギリス人不動産コンサルタントのロバート・ミュラ(当時32歳)という男性が、事件に関与しているとして事情聴取を受けました。
オーシャンクラブ周辺の住民はマデリンちゃん捜索に協力的な人々が多く、連日数多くのボランティアが活動しており、ミュラ氏もその1人だったそうです。しかし、ミュラ氏が事件に異常なほどの興味を持っていたことから、彼を取材したメディアの記者が警察に通報をしたとのことです。
その後、ミュラ氏は家宅捜索も受けましたがマデリンちゃん誘拐の証拠などは発見されなかったため、嫌疑なしと発表されています。
ほかにも同時期にドイツ人女性、ポルトガル人男性が事情聴取を受けたと報じられていますが、2人とも証拠不十分により嫌疑なしとされました。
マデリン・マクカーン失踪事件では両親にも疑いの目が
マデリン・マクカーン失踪事件が大々的に報道され、注目を集めた理由は、行方不明になったマデリンちゃんが愛くるしい容姿をしていたからだけではありません。
マクカーン夫妻は夫のジェリーさんも妻のケイトさんも医師であり、マデリンちゃんは子どもに恵まれなかった夫妻が不妊治療を経て、やっと授かったという待望の命でした。
しかも、マデリンちゃんがいなくなったのはキッズクラブも併設された安全なヴィラの室内です。
このことは世界の著名人にも大きな衝撃を与え、『ハリーポッター』シリーズで知られる小説家のJ・K・ローリング氏も、私財から1億円以上もの懸賞金を出してマデリンちゃんの情報を募りました。
しかし、世間の注目が集まり、多数のボランティアが捜査に協力したもののマデリンちゃんの行方は杳として知れません。
そんななか、2007年の9月上旬にポルトガル警察は「マクカーン夫妻がマデリンを殺害した疑いがある」として、両親の事情聴取をはじめたのです。
ポルトガル警察によると、マデリンちゃん失踪後に両親が借りたレンタカーから血液反応があっり、これがマデリンちゃんのものである可能性が否定できないとのこと。
そのため、警察は「殺意はなかったものの、レストランに行く前になかなか寝ないマデリンちゃんに医者の両親が睡眠薬か鎮静剤を使い、そのショックで死んでしまったのを隠そうとして失踪をでっち上げた」と見て、両親に疑惑の目を向けたとされています。
また、警察が両親に疑いの目を向けたのは血液痕だけが理由ではありませんでした。失踪後の両親の言動には、以下のような不自然な点が見られたのです。
両親は事情聴取で「マデリンがいなかったので、ベッドの下まで探した」と証言したが、ベッドと床の間に隙間はなかった。
同じく事情聴取で「20分に一度は誰かが子どもたちを見に行った」と証言していたが、部屋とレストランの距離を考えると、誰かが戻ってきたら他の人がまた様子を見に行くというような不自然な状況だったはず。
母親は当初から「マデリンが誘拐された!」と騒いでいたが、なぜか警察に連絡する前にレストランに戻ってきていた。
母親は「マデリンが誘拐された!」と騒ぎながらも、なぜか2歳の双子は危険なはずの現場の部屋に置き去りにしてレストランに戻ってきていた。
同情的な目が集まる一方で、2歳と3歳の子どもを置いて長時間、部屋を開けていたという点は社会から「親の自覚がない」「無責任だ」との批判も集めました。
また、ヴィラにはベビーシッターのサービスもあったため、どうしても大人だけの時間を作りたいのならば、シッターを利用するのが一般的だ、不自然だとも指摘されました。
そのため、ポルトガルのメディアも警察の情報を受けて一斉に「両親も怪しい」と報道を開始したのです。
しかし、事情聴取を繰り返しても両親に怪しい点は見当たらず、2008年7月21日になって、ポルトガルの司法当局は「両親がマデリン・マクカーン失踪事件に関与している可能性はない」と発表しています。
マデリン・マクカーン失踪事件の真実は?マデリンちゃんは死亡している?
2020年になって、イギリスとドイツの警察がマデリン・マクカーン失踪事件の犯人として、1人の男をマークしていることを公表しました。
両国の警察がマークしているのはクリスチャン・B(仮名、当時43歳)というドイツ人で、幼児の誘拐や児童虐待、レイプなどの前科を持ち、2020年当時も麻薬密輸罪で収監されていました。
クリスチャン・B容疑者は2015年にドイツのザクセン・アンハルトで起きた当時5歳の少女の失踪事件にも関与していると見られています。
この男は1995〜2007年にかけてマデリンちゃんが行方不明になったポルトガルのアルガルベに住んでいたことが明らかになっており、2005年にはオーシャンクラブのあるプライアダルスで、72歳のアメリカ人女性をレイプした罪にも問われていました。
さらにクリスチャン・Bは2013年に友人に対して以下のような話をしていたことも、明らかになっています。
正式の調書から抜粋された内容によると、クリスチャン・B容疑者は友人に対し、「何か小さいものを捕まえて、何日もぶっ通しで使い続けたい」と話し、それは危険だと友人が返答したのに対し、「ああ、その証拠を後で破壊するとしたら」と返したとされている。
報道を受け、このような発言をする人間が真犯人なのだとしたら、マデリンちゃんはすでに殺害されているのではないかと不安がる声があがりましたが、ドイツ警察も2020年に「クリスチャン・Bをマデリンちゃん殺害容疑で捜査対象としている」と発表しています。
警察の取り調べに対してクリスチャン・Bは黙秘を続けているとのことですが、もし彼が真犯人ならば、事件は最悪の幕引きを迎えるかもしれません。
マデリン・マクカーン失踪事件の霊視結果
2014年7月21日にテレビ朝日系で放送された「世界の超能力、透視捜査スペシャル」という番組内で、マデリン・マクカーン失踪事件の霊視がおこなわれました。
マデリンちゃんの行方を霊視したのはイギリス人超能力者のジョー・パワー氏で、パワー氏によると霊視の結果、以下のようなことがわかったといいます。
・マデリンちゃんは誘拐された
・犯人は複数で、主犯格は足に障がいを持っている
・犯人はマクカーン一家の部屋に何度も出入りしている
・マデリンちゃんは丸みを帯びたバンで連れ去られた
・マデリンちゃんは草に囲まれた廃墟に連れて行かれた
・廃墟の周辺には薬局があり、古い民家が見える
・フィッシュ&チップスのお店と「14」という数字も見える
・漁船と思われるボートが見えた
番組内ではこの霊視の結果をもとに現地での独自調査をする様子も放送されましたが、マデリンちゃんがいた形跡も見つかりませんでした。
また、ジョン・パワー氏は「マデリンの残留思念からメッセージを受けた」と説明していましたが、彼女が生きているのか死亡しているのかはわからないと言っており、SNSでは視聴者からも「で、ここからどこに連れて行かれたんだよ」「中途半端」といった辛口のコメントが寄せられていました。
マデリン・マクカーン失踪事件の現在① 両親は死亡を受け入れている?
マクカーン夫妻はマデリンちゃんの生存を諦めていないとしていますが、2007年10月の時点で「最悪のケースも覚悟している」と代理人を通じてコメントを出していました。
容疑が晴れ、イギリスに帰国してからはマクカーン夫妻が積極的にメディアに出演することも減りましたが、2020年にクリスチャン・Bについて報じられた際には「捜査を続けてくださっていることに感謝します」とのコメントのみ発表していました。
マデリン・マクカーン失踪事件の現在② マデリンちゃんが生きてるとしたら…?
2020年の時点でドイツ警察とポルトガル警察は「マデリンちゃんは死んでいる可能性が高い」として捜査をしていることを明かしました。
しかし、ネット上では「まだ生きているのではないか?」という声も少なからず見られます。アメリカのソーシャルニュースサイトRedditの掲示板などでは、「失踪現場は海も近かった。人身売買組織に誘拐されて、子どものいない夫婦に買われた可能性もある」との説が根強く指示されています。
またTikTokにも「マデリンちゃんに似た少女を見た!」という隠し撮りのような動画もアップされていますが、警察が調査に乗り出していない以上、動画の信憑性は低いと考えられるでしょう。
マデリンちゃんの生存を望む声は現在もネット上で多く見られますが、残念ながら生きていることを証拠付けるものは発見されていません。
マデリン・マクカーン失踪事件のドキュメンタリー番組をNetflixが制作
2019年にはNetflixがマデリン・マクカーン失踪事件を題材にしたドキュメンタリー番組『マデリンちゃん失踪の真実』を公開し、事件は再び注目を集めました。
2019年3月に公開された番組のため、2020年に明らかになったクリスチャン・Bの存在には触れられておらず、マデリンちゃん失踪の夜から両親やミュラ氏に疑惑が向けられるまでの話を中心とした内容となっています。
マデリン・マクカーン失踪事件についてのまとめ
今回は2007年5月にポルトガルのリゾート地で3歳の少女が忽然と姿を消した、マデリン・マクカーン失踪事件について紹介しました。
2020年には真犯人と思われる男の情報が公開されましたが、2年以上が経過した現在、どこまで捜査が進んでいるのでしょうか。
本当にクリスチャン・Bが犯人ならばマデリンちゃんは殺害されている可能性が否定できないため、RedditやTikTokで支持されている意見のように、誘拐されてどこかほかの場所で暮らしていてくれればと祈らずにいられません。いずれにしても、1日も早く事件が解決することを願います。