2001年にホストクラブ経営者が元暴力団員ら10名以上に襲撃され殺害された「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」が話題です。
この記事では名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の概要と発生場所、被害者と犯人、裁判での判決や現在などについてまとめました。
この記事の目次
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の概要
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」は、2001年9月1日の23時すぎ頃に愛知県名古屋市中区富士見町の路上で、ホストクラブ経営者の稲垣春美さん(男性、当時54歳)が、元暴力団員ら10名以上の集団に襲撃され、銃撃された上で車のトランクに押し込まれて連れ去れさられ、その後遺体で見つかった事件です。
犯人らは作業着とヘルメットで工事現場作業員風に変装して稲垣春美さんに接近してゴルフクラブなどで殴りかかり、拳銃を発砲するなどしました。
この時、犯行場所に隣接するマンションに住む被害者の知人女性が事件に気づき、大声で助けを呼びましたが、犯人らはこの女性に向けても銃撃し、1発の銃弾が首を貫通して女性も重傷を負いました。
それから犯人らは銃撃を受けて倒れた被害者の稲垣春美さんを車のトランクに押し込んだ上でさらに至近距離から2発〜3発の銃弾を浴びせ(裁判では合わせて4発とされている)、稲垣春美さんトランクの中で死亡。その後、犯人らは2台の自動車に分乗して現場から逃走しています。
犯人らは逃走後、被害者の稲垣春美さんの所持金と貴金属類(合計で約106万円相当)を奪い、遺体を損壊した上でドラム缶に入れてコンクリート詰めにし、滋賀県彦根市の河川(宇曽川)に遺棄しています。
犯人らの1人が犯行時に事件現場に携帯電話を落としており、警察はその通話記録から主犯格の元山口組系の暴力団員の山岡秀憲ら犯人のうち数名の身元を割り出し事件から1ヶ月半後の10月17日に男女3名を逮捕監禁と殺人未遂などの容疑で逮捕しました。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件発生時の動画
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」は、大通り沿いで人目も多い場所での公然の犯行であった事から、騒ぎに気がついた第三者が犯行の瞬間をホームビデオカメラで撮影しており、その映像がニュース映像で繰り返し流されました。
現在もこの時の動画はyoutubeなどネット上で視聴できます。この動画ですが「名古屋ホストクラブ2001」として「検索してはいけない言葉」にもなっています。
助けを呼ぶ女性の悲鳴がかなり怖く、映像は不鮮明ながら行われている事がわかった上で見るとかなりショッキングな映像で精神的にショックを受ける可能性もあるため動画の視聴は自己責任で行ってください。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=cKZRDt9HZew?si=–R5pr2uzW_eTKJu]
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の発生場所
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」の発生場所は、「愛知県名古屋市中区富士見町」内の路上です。
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犯行場所となったのは名古屋市営地下鉄名城線も通る大通り路上で、愛知県警察中警察署からは約500メートルの場所でした。夜間は車通りが少なくなる道路ではありますが、住民も多い場所での公然の犯行でした。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の被害者は稲垣春美さん
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」の被害者は、事件当時54歳のホストクラブ経営者・稲垣春美さんでした。
事件当時、暴力団対策法の改正があり、暴力団の資金源を断つため、用心棒代た場所代などの名目で徴収される「みかじめ料」の支払いを拒否するキャンペーンを官民一体で推進する動きがあり、全国各地でそれに関連した暴力団絡みの事件が頻発していました。
被害者の稲垣春美さんも、警察の指導のもとで、それまでに支払っていたみかじめ料の支払いを拒否しようとしており、それが原因で犯人の山岡秀憲らとの間に金銭トラブルが発生していました。
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」以前にも、被害者の稲垣春美さんが犯人の山岡秀憲が路上で争っている姿が目撃されており、事件の4ヶ月前の2001年5月にも被害者の稲垣春美さんが集団に襲われる事件が発生して警察沙汰になっていました。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件で巻き込まれて負傷した被害者は28歳女性
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」では、殺害された被害者の稲垣春美さんの知人女性が、犯行場所に隣接するマンションに住んでおり、事件に気がついて大声で助けを呼びました。
犯人がこれに気がついてこの女性に発砲し、女性は首を弾丸が貫通する重傷を負っています。
この事件のもう1人の被害者であるこの女性は当時28歳で、事件後に病院に搬送されて一命をとりとめて現在は快癒されているようです。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の犯人は元暴力団員の山岡秀憲ら10人以上
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」の犯人は、主犯格とされる元山口組系の暴力団員の山岡秀憲以下10名以上です。
この犯人ら10名ですが、暴力団に所属していたのは主犯格の山岡秀憲だけで、他は山岡秀憲の知り合いの人材派遣業者やその従業員達でした。
また、この犯人グループには日系ブラジル人が少なくとも6人含まれていました。2001年6月には、ブラジル人の2名が名古屋市内で2度にわたって被害者の稲垣春美さんの拉致を企てていますが失敗していた事も裁判記録などからわかっています。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の犯人のうち日本人男女5名は逮捕
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」の犯人らのうち、男女3名が事件から1ヶ月半後の2001年10月17日に逮捕監禁と殺人未遂などの容疑で愛知県警に逮捕されています。
この時、逮捕されたのは、主犯格とみられる元暴力団組員の山岡秀憲(名古屋市千種区、逮捕当時33歳)、人材派遣業者の藤居慎治(滋賀県彦根市、逮捕当時43歳)、無職・川口ゆう子(滋賀県甲西町、逮捕当時30歳)の3人でした。
翌18日には、人材派遣業者の早竹和也(旧姓は京谷、逮捕当時41歳)と、早竹和也の妻の京谷雅代(年齢不明、事件後に離婚)が逮捕されています。
この早竹和也と妻の京谷雅代は、10月15日に車両窃盗事件で逮捕されており、その取り調べで「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」への関与を自白して逮捕されました。
逮捕された犯人らの裁判での判決については後述します。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の犯人のうち逃走していたブラジル人2名が逮捕
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」の犯人グループには、人材派遣業で働いていた日系ブラジル人の男性6名が含まれており、そのうち2名が逮捕監禁容疑で指名手配されています。
事件から15年以上が経過した2017年2月、この日系ブラジル人の犯人のうち2名をブラジル連邦警察が、ブラジルのサンパウロ州で逮捕した事が報じられました。
逮捕された犯人2名は、マルセロ・ヨコヤマとアレシャンドレ・ミウラと発表されています。
2001年9月に名古屋市中区で風俗店経営稲垣春美さん=当時(54)=が殺害され、金品が奪われた事件で、ブラジル連邦警察は3日までに、日系ブラジル人の男2人をサンパウロ州で逮捕した。同州検察当局が明らかにした。 2人は、マルセロ・ヨコヤマ容疑者とアレシャンドレ・ミウラ容疑者。
日系ブラジル人の犯人らは事件当時は日本に住んで働いていましたが、事件後に出国してブラジルに逃亡していました。逮捕された2名についてはブラジルで食堂とガソリンスタンドで働いていた事も報じられています。
両容疑者は事件当時、日本に住んでいたが、間もなくブラジルへ逃走。逮捕時は食堂やガソリンスタンドで働いていた。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の裁判と判決
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」の犯人のうち、現在までに日本人5名とブラジル人2名が逮捕されています。
日本人の犯人5人の裁判は既に終了しており、判決が確定しています。この犯人らの裁判での判決は以下です。
主犯格とされる元山口組系の暴力団組員・山岡秀憲には「懲役15年」の判決。
人材派遣業者の藤居慎治には、山岡秀憲に「何か儲け話はないか」と持ちかけて事件の発端を作り、事件時には指示役を務めたとして「懲役12年」の判決。
計画段階から共謀して事件に加わった無職・川口ゆう子には「懲役12年」の判決が言い渡されました。
上の3名については、当初の計画では被害者の稲垣春美さんを拉致した上で暴行し、みかじめ料の支払いを継続させて迷惑料として支払額も上乗せさせるというもので、解放時に手数料の名目で金銭を奪うというものだったと主張。裁判ではこれが認められて殺意がなかったとされて上記の判決となりました。
人材派遣業者の早竹和也は、被害者に至近距離から発砲して死亡させ、事件に気がついて大声を上げた隣接マンションに住む女性に対しても発砲し怪我を負わせました。
早竹和也は裁判では、殺意を否定し「睡眠薬を飲んでいて記憶がない」と主張し、事件時には心神耗弱状態だったとして減刑を求めました。
裁判を担当した名古屋地裁の沼里豊滋裁判長は、2003年10月31日の判決裁判にて、至近距離で被害者に4発発砲している事から殺意を認定し、「共犯者を指示し、拳銃の発射もしている。刑事責任は重大」として、犯人グループの中で最も重い「無期懲役」の判決を言い渡しました。
早竹和也は控訴はせずこの判決が確定しています。
また、早竹和也の妻の京谷雅代は強盗致死ほう助の罪に問われて「懲役5年」の判決が言い渡されています。
2017年にブラジル・サンパウロ州で逮捕された日系ブラジル人2名(マルセロ・ヨコヤマとアレシャンドレ・ミウラ)については、ブラジルで代理処罰(国外犯処罰規定による訴追)での裁判が行われ「禁錮30年」の判決が言い渡されています。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の現在
「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」では、現在も日系ブラジル人の犯人4名が闘争を続けています。
事件後に日本から出国していて、現在は母国のブラジルで逃亡を続けていると見られており、ブラジル連邦警察が捜査を続けています。
まとめ
今回は、2001年9月1日に愛知県名古屋市中区富士見町の路上で発生した「名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件」についてまとめてみました。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件は、被害者の当時54歳のホストクラブ経営者の稲垣春美さんが、元山口組系の暴力団組員の山岡秀憲(当時33歳)と「みかじめ料」の支払いをめぐってトラブルになり、襲撃されて拳銃で撃たれた上、車のトランクに押し込まれて拉致され、トランクの中で死亡した山岡秀憲さんの遺体がドラム缶にコンクリート詰めにされて遺棄された事件です。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の犯行場所は、「愛知県名古屋市中区富士見町」の路上で、名古屋市営地下鉄名城線も通る大通りで、愛知県警察中警察署から約500メートルの距離でした。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の被害者は、名古屋市内でホストクラブを経営していた稲垣春美さんで、暴力団対策法の改正後の動きの中、警察の指導のもとそれまで支払っていたみかじめ料の支払いを拒否しており、それで犯人の山岡秀憲との間に金銭トラブルが起きていました。
被害者の稲垣春美さんは、この事件の前にも、山岡秀憲と路上で口論になっている姿が目撃されたり、集団に襲われて警察沙汰になったり、誘拐されそうになったりと危険な状況に置かれていました。
名古屋ホストクラブ経営者拉致殺害事件の犯人グループには、元山口組系の暴力団員で主犯格とされる山岡秀憲の他、山岡秀憲の知人の人材派遣業者の藤居慎治と早竹和也、早竹の妻の京谷雅代、無職の川口ゆう子ら日本人の他、日系ブラジル人が少なくとも6人加わっていました。
犯人らのうち上記の日本人5人が2001年中に、日系ブラジル人のうち2名が2017年に逮捕されています。
犯人らの裁判での判決は、主犯の山岡秀憲に「懲役15年」、計画段階から犯行に加わった藤居慎治と川口ゆう子に「懲役12年」、被害者を至近距離から銃撃して殺意が認定された早竹和也に「無期懲役」、犯人ほう助の罪に問われた早竹の妻の京谷雅代に「懲役5年」がそれぞれ言い渡されています。
逃亡先のブラジルで逮捕された日系ブラジル人の2人は、代理処罰でブラジルの裁判所で裁かれて「禁錮30年」の判決が言い渡されています。犯人グループのうち日系ブラジル人のうち少なくとも4名は現在も逃亡を続けています。