東アジア反日武装戦線とは

出典：kamamat.org

 

東アジア反日武装戦線は1970年代に連続爆破テロを起こした極左テロ集団です。

 

アナキズム系の反日思想・左翼思想をベースにして、武装闘争による反日革命を掲げ、天皇陛下の暗殺を計画したり、海外進出している日本企業を標的にした連続企業爆破事件を起こしました。

 

1975年の一斉逮捕でほとんどのメンバーは逮捕されましたが、超法規的措置によって一部メンバーは釈放後日本赤軍に合流しています。

 

また、逮捕されずに指名手配された2名のうち、1人は1982年に逮捕、もう1人の桐島聡は2024年に身柄を拘束されましたが、拘束の数日後にガンで死亡しました。

 

 

東アジア反日武装戦線の目的や思想

東アジア反日武装戦線の思想・目的を簡単にまとめると、

 

 

というものになります。

 

 

目的は武装闘争による反日革命

出典：cira-japana.net

 

東アジア反日武装戦線の目的は、武装闘争による反日革命です。つまり、武力で革命を起こし、日本を打倒する・滅亡させようとしていました。

 

現在の日本帝国主義を破壊することを目的にしていましたが、日本を破壊した後、日本社会をどうしたいのか？日本の新しい社会については具体的な構想はほとんど持っていなかったようです。

 

つまり、「とにかく日本はだめだ。帝国主義でアジアを侵略している。だから、武力で革命を起こして破壊しなければいけない」という思想のもと、反日革命を目的にしていたのです。

 

 

思想は反日思想

出典：amazon.co.jp

 

東アジア反日武装戦線は、主に次のような思想を持っていました。

 

 

この中でも、東アジア反日武装戦線に特徴的な思想が反日思想です。

 

東アジア反日武装戦線の思想が書かれている「腹腹時計」には次のように書かれていました。

 

日帝は、三六年間におよぶ朝鮮の侵略、植民地支配を初めとして、台湾、中国大陸、東南アジアなども侵略、支配し、「国内」植民地として、アイヌモシリ、沖縄を同化、吸収してきた。われわれはその日本帝国主義者の子孫であり、敗戦後開始された日帝の新植民地主義侵略・支配を、許容、黙認し、旧日本帝国主義者の官僚群、資本家共を再び生き返らせた帝国主義本国人である。これは厳然たる事実であり、すべての問題はこの確認より始めなくてはならない。

 

引用：反日革命宣言 (復刊ライブラリー) | 東アジア反日武装戦線ＫＦ部隊（準）, 風塵社, 講演　太田　昌国 |本 | 通販 | Amazon

 

簡単に言うと、今の日本（日本人）は、アジア諸国を支配し、アイヌや沖縄を同化してきた日本帝国主義者の子孫だということです。

 

アジア諸国を苦しめてきた日本帝国主義者の子孫である現在の日本は滅亡させるべきであるというのが、東アジア反日武装戦線の考え方です。

 

自分たちが行う反日闘争に参加しない日本人は「日帝本国人」であり、「日帝の成員」として断罪しています。また、海外進出している日本企業はアジアを侵略する帝国主義として攻撃対象にしました。

 

彼らは日本の企業が海外に進出していく様子を見て、「日本帝国主義のアジア侵略だ」と考え、企業に対する爆弾テロを始めたのです。

 

引用：48年逃走していた「桐島聡」…池上さん、そもそも彼は何をした人なのでしょうか？「もしすぐに逮捕されていたら…」（文春オンライン） – Yahoo!ニュース

 

現在の価値観から考えると、「はぁ？？？」という感覚になりますが、東アジア反日武装戦線のメンバーの多くは大学に進学していますし、真面目に考えた末に行きついた思想ということになります。

 

 

東アジア反日武装戦線の特徴

ほかの新左翼集団・極左集団にはない東アジア反日武装戦線の特徴には次のものがあります。

 

 

これらの特徴を詳しく見ていきましょう。

 

 

メンバーが少ない

出典：nikkei.com

 

東アジア反日武装戦線は8名の死者と376名の重軽傷者を出した三菱重工爆破事件などの重大事件を起こした極左テロ組織ですので、大きな組織と思うかもしれませんが、メンバーはたったの9人しかいません。

 

東アジア反日武装戦線はとても小さなグループだったんです。

 

 

マルクス・レーニン主義ではない

出典：diamond.jp

 

1960年～1970年代にかけて武装闘争などを行った左翼・新左翼系の集団の多くは、マルクス・レーニン主義の影響を受けていて、極左思想・共産主義を掲げていました。

 

しかし、東アジア反日武装戦線、マルクス・レーニン主義ではなく、日本のアイヌや朝鮮半島への「侵略史」を学ぶ中で、独自の反日思想を掲げるようになり、そこから左翼的思想が入るアナキズムの影響を受けていきました。

 

同じ極左集団でも、根本の思想が違うんですね。

 

ただ、東アジア反日武装戦線の一部のメンバーは、超法規的措置で釈放された後はマルクス・レーニン主義の日本赤軍に合流していますので、結局のところ彼らにとって思想はあまり重要ではなかったのかもしれません。

 

 

3班に分かれていた

出典：www2.nhk.or.jp

 

東アジア反日武装戦線は「狼」、「大地の牙」、「さそり」の3班に分かれていました。

 

 

狼は4人、大地の牙は2人、さそりは3人という少人数編成です。

 

 

腹腹時計

出典：kosho.or.jp

 

東アジア反日武装戦線は「腹腹時計」という教程本を持っていました。

 

腹腹時計には東アジア反日武装戦線の思想や簡単に作れる爆弾の製造方法や仕掛け方、ゲリラ戦の方法などが記されていました。

 

この腹腹時計は狼班が作成し、この冊子で大地の牙とさそりのメンバーを獲得しました。

 

しかし、三菱重工爆破事件後に出した犯行声明文とこの腹腹時計の内容や活字が同一であることが判明したことで、東アジア反日武装戦線が公安警察からマークされ、逮捕・組織壊滅に結びつきました。

 

 

内ゲバはない

出典：sankei.com

 

1960年～1970年代にかけての極左テロ集団には、内ゲバが付きものでした。山岳ベース事件も連合赤軍の内ゲバが起こしたものでした。

 

でも、東アジア反日武装戦線は総括や粛清などを否定し、脱退も認めていました。内ゲバ体質を否定していたんです。

 

 

合法的に資金源を確保した

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赤軍派などの新左翼テロ組織は銀行強盗などの犯罪で活動資金を捻出していましたが、東アジア反日武装戦線は自分たちが働いて合法的に得た給料の半分を活動資金にしていて、不法な手段で資金を得ることはありませんでした。

 

ただ、犯罪で資金を得ることを否定していたわけではありません。

 

 

絶対的な権力者がいない

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東アジア反日武装戦線は絶対的な権力者がおらず、それぞれのメンバーが緩く結びついた組織でした。

 

3班（狼・大地の牙・さそり）のリーダーが時々連絡を取り合うだけで、メンバー同士の交流はほとんどないというユニークな団体だったんです。

 

 

昼間は善良な市民

出典：bunshun.jp

 

東アジア反日武装戦線の9人のメンバーは昼間は善良な市民を装っていました。

 

昼間は会社員やアルバイトとして働き、夜に活動するスタイルで、善良な市民を装っていたんです。「善良な市民」のため、職場や地域の市民活動も行わず、とにかく地味な善良市民を装い、職場や近所の目を欺こうとしていました。

 

 

東アジア反日武装戦線の事件

興亜観音・殉国七士之碑爆破事件

出典：twitter.com

 

興亜観音・殉国七士之碑爆破事件は東アジア反日武装戦線が起こした最初の事件です。この時点ではまだ「東アジア反日武装戦線」という組織名称ではありませんでしたが、この事件を起こしたメンバーは東アジア反日武装戦線の狼班でした。

 

1971年12月12日、東アジア反日武装戦線の狼班は自分たちの爆弾製造技術の腕試しとして、日本帝国主義の象徴の1つとして、静岡県熱海市にある興亜観音と殉国七士之碑を爆破しようとしました。

 

興亜観音には鉄パイプ爆弾、殉国七士之碑には消火器爆弾を仕掛けましたが、殉国七士之碑は爆破に成功したものの、興亜観音の爆弾は不発に終わっています。この事件では死傷者は出ていません。

 

 

総持寺納骨堂爆破事件

1972年4月6日に東アジア反日武装戦線の狼班（当時はこの名前ではなかった）が、神奈川県横浜市にある總持寺納骨堂に消火器爆弾を仕掛けて爆破させました。地面に大きな穴は開いたものの、納骨堂の大破には至りませんでした。この事件も死傷者は出ていません。

 

總持寺納骨堂を選んだ理由は、日本統治時代の朝鮮に住んでいた日本人約5,000人の遺骨が納骨されていたためです。朝鮮人民の抗議運動に呼応するという目的で、この總持寺納骨堂が標的にされ、爆弾が仕掛けられました。

 

 

風雪の群像・北方文化研究施設爆破事件

出典：twitter.com

 

風雪の群像・北方文化研究施設爆破事件は1972年10月23日に東アジア反日武装戦線の狼班（当時は違う名前）が起こした爆弾テロ事件です。

 

北海道旭川市にある風雪の群像・北方文化研究施設を日本帝国主義の「アイヌモシリ侵略」の象徴とみなし、爆弾を仕掛けました。決行したのは、アイヌ民族の首長シャクシャインが松前藩によって殺害された日である10月23日です。

 

この事件で死傷者は出ていませんが、風雪の群像は大破、北方文化研究施設は軽微な被害が出ました。

 

 

虹作戦

出典：twitter.com

 

東アジア反日武装戦線は天皇陛下を暗殺しようとしました。

 

1973年ごろから暗殺計画が浮上し、1974年から具体的な暗殺計画が進行していきました。天皇陛下の行動パターンを調べた結果、8月14日は毎年那須御用邸から皇居にお召列車で戻り、8月15日に全国戦没者追悼式に参加することがわかり、8月14日に赤羽～川口間の「荒川橋梁」に爆弾を仕掛けて、お召列車ごと爆破して、天皇陛下を暗殺しようとしたのです。

 

東アジア反日武装戦線のメンバーは8月14日の前々日の深夜から少しずつ爆弾設置のための電線敷設を行いましたが、決行前日の作業中に正体不明の人物が橋脚付近を徘徊し始めました。この人物は私服警官の可能性があったため、計画実行を断念し、暗殺は未遂に終わっています。

 

ただ、もし計画がそのまま実行されたとしても、事前に警察の点検で察知される可能性がありましたし、爆弾の設置ばあ所は実際に運行する場所とはズレていたため、計画は失敗に終わった可能性が高いとされています。

 

 

三菱重工爆破事件

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1974年8月30日に、東アジア反日武装戦線の狼班が三菱重工爆破事件を起こしました。

 

「世界進出している三菱重工をアジアを侵略する企業」とした狼班の4人は、東京都千代田区丸の内にある三菱重工業東京本社ビルの1階出入り口横に時限爆弾を仕掛けました。

 

そして、爆発の3分前に三菱重工ビルに「時限爆弾を仕掛けた。すぐに避難しろ」という電話をかけ、午後0時45分に時限爆弾が爆発させました。

 

この爆発で8人が死亡し、376人が負傷するという大惨事になっています。

 

この事件後、東アジア反日武装戦線は犯行声明を出しました。

 

 

しかし、この犯行声明が腹腹時計と一致したため、「東アジア反日武装戦線は腹腹時計を出版した団体」と特定されることになっています。

 

 

連続企業爆破事件（三菱重工爆破事件以降）

出典：hokkaido-np.co.jp

 

三菱重工爆破事件が予想をはるかに上回る大惨事になったことを受け、「大地の牙」と「さそり」が合流し、1975年5月まで連続して8件の連続企業爆破事件を起こしました。

 

 

三菱重工爆破事件は死者8名・負傷者376名という大惨事になりました、それ以降の8件の連続企業爆破事件は負傷者はいるものの死者はおらず、負傷者も出なかった事件もありました。

 

事件の標的になった三井物産、帝人、大成建設、鹿島建設、間組は海外に進出している企業なので、帝国主義でアジアを侵略しているとして、東アジア反日武装戦線から標的にされました。

 

 

東アジア反日武装戦線メンバーの逮捕と指名手配

 

出典：vichreview.blog116.fc2.com

 

三菱重工爆破事件の犯行声明で、東アジア反日武装戦線という組織が犯人であることはわかりましたが、そのメンバーは誰なのかはわかっていませんでした。東アジア反日武装戦線はアイヌ革命論を主張していたことから、アイヌ革命論を唱えていた太田竜がメンバーとして疑われました。

 

太田竜はメンバーではないと分かったものの、彼の人脈内にメンバーがいると睨んで、公安部が捜査したところ、メンバーの齋藤和・佐々木規夫が浮上します。

 

そして、1975年5月19日に主要メンバー7人が逮捕されました。

 

 

齋藤和は逮捕直後に服毒自殺をしています。

 

一斉逮捕を逃れたさそり班の宇賀神寿一と桐島聡は全国指名手配され、1982年に宇賀神寿一が逮捕され、桐島聡は2024年1月に身柄を拘束されました。

 

 

東日本アジア反日武装戦線のメンバーと現在

大道寺将司→獄中死

 

大道寺将司は東アジア反日武装戦線の狼班のリーダー格の人物です。

 

高校の頃から様々なデモに参加していましたが、浪人生活中に社会主義研究会に参加するようになり、この研究会の意向で法政大学文学部史学科に入学しました。

 

大学入学後は法政大学Lクラス闘争委員会を結成しましたが、全共闘運動・70年安保闘争の「敗北」で自然消滅し、大道寺自身は大学を中退します。

 

その後、Lクラス闘争委員会のメンバー数人と研究会を作り、日本帝国主義の「悪行」を学習して反日思想を持つようになり、東アジア反日武装戦線を結成してリーダー格になりました。同グループメンバーの大道寺あや子と結婚しています。

 

逮捕後は超法規的措置で釈放されるメンバーの1人でしたが、釈放を拒否し、1987年に死刑が確定しました。しかし、死刑が執行されることなく、2017年に東京拘置所で病死しています。

 

 

片岡利明→死刑確定・拘留中

 

片岡利明は大道寺将司の法政大学の同級生で、東アジア反日武装戦線に参加しました。狼の名付け親でもあります。

 

1973年から職業訓練校に通い、爆弾製造に必要な知識を身に着けていたため、組織の中で爆弾製造の中心的役割を担うようになりました。

 

逮捕後は1987年に死刑が確定していますが、ほかの国際指名手配のメンバーが逮捕されていないこともあるためか、2024年時点でもまだ死刑は執行されておらず、東京拘置所に収監されています。

 

死刑確定後に支援者と養子縁組をしたため、現在は益永利明という名前になっています。

 

 

大道寺あや子→国際指名手配

 

大道寺あや子は星薬科大学に入学後、高校の同窓会で大道寺将司に研究会に誘われます。これをきっかけに2人は交際・結婚することになりました。それと同時に、大道寺将司の東アジア反日武装戦線にのめり込むようになります。

 

逮捕時には青酸カリで自殺を図りますが、捜査員に阻止されました。

 

1977年には日本赤軍のダッカ事件で超法規的措置で釈放・出国となり、日本赤軍に合流して、国際手配されています。

 

 

佐々木規夫→国際指名手配

 

佐々木規夫は大学受験に失敗した後、上京します。1967年ごろに齋藤和と知り合い、「朝鮮革命研究会」を結成して、朝鮮侵略や抵抗運動し、さらにアイヌ侵略史を学びました。

 

1974年に大道寺将司から誘われて、東アジア反日武装戦線に参加するようになります。

 

1975年5月の一斉逮捕で逮捕されましたが、1975年の日本赤軍によるクアラルンプール事件による超法規的措置で釈放・出国し、日本赤軍に合流しました。

 

その後、ダッカ日航機ハイジャック事件や三井物産マニラ支店長誘拐事件にも関与し、国際指名手配されています。

 

 

斎藤和→自殺

 

東京都立大学人文学部に進学した斎藤和はアナキズムにのめり込んでいき、大学を中退することになりました。その後、朝鮮革命研究会に参加し、反日思想を持つようになります。その過程で狼班の佐々木規夫と親しくなり、アイヌ革命論の思想を持つようになります。

 

そこから、勧誘を受けて東アジア反日武装戦線に入隊し、大地の牙を結成しました。

 

逮捕当時は同じ大地の牙のメンバーであり内縁の妻だった浴田由紀子と共に逮捕されましたが、連行される間に隠し持っていた青酸カリを服毒して自殺しています。

 

 

浴田由紀子→懲役20年＆釈放

 

北里大学衛生学部に入学した浴田由紀子は学生運動とは無縁の生活を送っていましたが、高校の同級生が逮捕されたのをきっかけにして、活動に参加するようになり、斉藤和と出会います。斉藤たちと韓国に学習旅行に行ったのをきっかけに反日思想を持つようになります。

 

斉藤と内縁関係になり、東アジア反日武装戦線に参加して、連続爆破事件に関わるようになり、一斉逮捕の時に逮捕されています。

 

しかし、1977年の日本赤軍のダッカ事件で超法規的措置として釈放し国外に出国し、国際手配されていました。

 

同じ国際手配されていた大道寺あや子・佐々木規夫とは違い、1995年にペルーからルーマニアに日系ペルー人を装って入国したところ、身柄を拘束され、国外退去となり日本へ向かう飛行機内で逮捕されています。

 

逮捕後に懲役20年の判決が言い渡されました。

 

 

黒川芳正→無期懲役で収監中

 

黒川芳正は東京都立大学に進学した後、学生運動に参加します。その後、佐々木規夫や大道寺将司に出会って、東アジア反日武装戦線に参加して、連続企業爆破事件に関与し、1975年に逮捕されています。

 

1979年11月に無期懲役の判決が下り、1987年に無期懲役刑が確定しました。1987年には獄中から監督をしたドキュメンタリー映画「母たち」を製作しています。

 

 

宇賀神寿一→指名手配後に懲役18年で出所

 

高校時代にベトナム反戦運動に参加し、在日朝鮮人・韓国人の活動に関わるようになります。

 

明治学院大学社会学部に進学した後も在日問題に関わり、反日思想を持つようになりました。2年生の時に黒川芳正と出会い、4年生の時に桐島聡と共に東アジア反日武装戦線に参加し、連続企業爆破事件に関わるようになります。

 

1975年の一斉逮捕の時には逮捕されず、指名手配され、地下潜行生活に入りました。指名手配中は偽名を使って新聞販売店などで働いていましたが、1982年に東京都内で逮捕され、懲役18年の実刑判決を受けています。

 

 

桐島聡→指名手配＆2024年に発見も死亡

 

明治学院大学在学中にさそりのメンバーである黒川芳正や宇賀神寿一と出会って、東アジア反日武装戦線に参加しました。連続企業爆破事件に関わっていたものの、1975年の一斉逮捕では逮捕されませんでした。

 

1975年5月20日に銀行で現金を下ろし、実家の父親に「岡山に女と一緒にいる」と電話した後に足取りが途絶え、指名手配されていました。

 

その後、約40年間足取りは全くつかめていませんでしたが、2024年1月25日に鎌倉市内の病院で桐島聡と見られる男が偽名で入院しているという通報が入り、警視庁公安部に身柄を確保されました。

 

 

東アジア反日武装戦線のメンバーの現在①：国際指名手配犯2人

出典：keishicho.metro.tokyo.lg.jp

 

東アジア反日武装戦線は1975年5月の一斉逮捕で事実上壊滅状態になっています。しかし、メンバーの現在はそれぞれ異なっています。

 

一斉逮捕で一度は逮捕されたものの、日本赤軍の事件（ダッカ事件・クアラルンプール事件）の超法規的措置で、大道寺あや子・佐々木規夫・浴田由紀子の3人は国外に出国して日本赤軍に合流しました。

 

浴田由紀子はルーマニアで国外退去となり逮捕されたものの、大道寺あや子・佐々木規夫の2人はいまだ逮捕されておらず、国際指名手配中となっています。

 

大道寺あや子は1999年に香港にいたこと、佐々木規夫は1998年に東京にいたことが確認されていますが、その後の足取りは現在もわかっていません。

 

 

東アジア反日武装戦線のメンバーの現在②：指名手配の桐島聡は死亡

出典：newsdig.tbs.co.jp

 

東アジア反日武装戦線が再び注目を集めるようになったのは2024年1月に、指名手配されていた桐島聡が鎌倉市内の病院に入院していることが発覚し、身柄を拘束されたからです。

 

桐島聡は末期がんで、「ウチダヒロシ」という偽名を使った入院していて、「自分が桐島聡だ」と病院職員に伝えたため、公安部に身柄を拘束されたのですが、その数日後に容態が悪化して危篤状態になり、1月29日に亡くなりました。

 

親族のDNAで「ウチダヒロシ」は桐島聡で矛盾がないという結果が出たのですが、取り調べなどもきちんと行われないまま亡くなってしまいました。死亡後に火葬されましたが、親族が遺骨の引き取りを拒否したため、無縁仏として埋葬されることになります。

 

 

東アジア反日武装戦線のメンバーの現在③：出所したメンバー

東アジア反日武装戦線のメンバーの中には、罪を償って出所している人もいます。

 

 

浴田由紀子

出典：realsound.jp

 

斉藤和の内縁の妻だった浴田由紀子は超法規的措置で国外に出国していましたが、ルーマニアで身柄を拘束され、1995年に日本で逮捕されています。2004年に懲役20年が確定し、栃木刑務所に収監されていましたが、2017年に刑期満了で釈放されています。

 

2017年3月に「えきたゆきこ」という名前で作家デビューし、韓国のドキュメンタリー映画「狼をさがして」にも出演しました。

 

裁判では「心からの謝罪」をしていたものの、映画の中では自分の活動を擁護し、東アジア反日武装戦線のテロを正当化しています。

 

 

宇賀神寿一

出典：realsound.jp

 

宇賀神寿一は一斉逮捕では逮捕されず、指名手配されていましたが、1982年に東京都内で逮捕されました。その後、1990年に懲役18年が確定しました。岐阜刑務所に収監されていましたが、2003年6月に出所しています。

 

出所後は人権団体の救援連絡センターに就職しました。

 

――現在、宇賀神さんの闘争心は何に対して向けられているんでしょうか？

「抑圧であったり、他人が困っているという状況に対して反抗しています。救援連絡センターの活動も同じで、権力からの抑圧状況に対して反抗しているんです」

 

引用：「戦いはいまでも続いている」　爆破テロ犯が振り返る、左翼運動とその思想 (2010年11月10日) – エキサイトニュース

 

現在は人権問題に取り組んでいて、マスコミのインタビューを受けることもあるようです。

 

 

東アジア反日武装戦線のまとめ

東アジア反日武装戦線の概要や思想・目的、特徴、起こした事件や逮捕・指名手配、メンバーと現在をまとめました。

 

国際指名手配されている2人が逮捕されないと、東アジア反日武装戦線の事件は解決とは言えません。桐島聡が発見された例もありますので、何らかのきっかけで逮捕されるかもしれませんね。