2007年に洒落怖に投稿された怖い話「ヤマノケ」が話題です。
この記事ではヤマノケの内容、ヤマノケが現れた場所とされる宮城県の田代峠にまつわる怖い話について、神とも妖怪とも言われるヤマノケの正体、娘のその後や後日譚などについてまとめました。
この記事の目次
ヤマノケは洒落怖に2007年に投稿された怖い話
「ヤマノケ」とは、2chオカルト板の人気スレッド、洒落怖(死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?)に、2007年2月5日の夜に投稿された怖い話です。
ヤマノケは洒落怖に投稿された怖い話の中でも人気が高い話で、現在もネット上でよく話題にされています。ここでは、この怖い話「ヤマノケ」について紹介します。
ヤマノケの怖い話の内容
まずは、ヤマノケの怖い話の内容を紹介します。
ある日(投稿日から見て1週間ほど前という事なので、2007年の1月終わり頃と推測される)、ある男性(投稿主)が娘(男性についても娘についても年齢の描写は無し)を連れてドライブに行きました。
ドライブしていたのは山道で、ドライブインで食事をした後、男性は娘を驚かせようと思い、舗装されていない山の脇道へと車を乗り入れました。男性は、娘が止めるのを面白がって脇道の奥へとどんどん車を走らせますが、かなり走らせたところで突然エンジンがストップして車が動かなくなってしまいます。
山奥のため携帯電話も繋がらず、脇道に入る前に食事をしたドライブインに戻ろうにも歩いて何時間かかるかわからないほど奥まで来てしまったため、その日は車中泊をし、翌朝に歩いてドライブインに戻る事にします。
次第に日が落ちて夜になり、周囲はからはザワザワと樹木が揺れる音だけが聞こえる静寂が訪れました。そうして時間が過ぎ、娘が助手席で眠りについたのを確認した男性が自分も眠ろうと目を閉じると、何かの声だか物音だか見分けがつかないような気味の悪い感じで「テン…ソウ…メツ、テン…ソウ…メツ」と繰り返すのが聞こえてきました。
男性は最初、聞き間違いか空耳と思い込もうとし、そのまま目を閉じてやり過ごそうとしますが、声だか音だかがだんだんと近づいてくるような気がして、恐怖に駆られて目を開けました。
すると遠くから、白いのっぺりとした(ウルトラマンに登場する怪獣「ジャミラ」のような、頭のない1本足のシルエット)何かが車に近づいてくるのが見えました。
その何かは、ケンケンをしながら、両手をめちゃくちゃに振り回して身体全体を震わせるようにしながら、車の脇をすり抜けていきました。すり抜ける時にもそれは、「テン…ソウ…メツ」と謎の音を発し続けていました。
しばらくして音は遠ざかり、後ろを確認してもそれの姿見えなかっため、男性は少しほっとして助手席で眠る娘の方を見ました。すると、なんと、助手席の窓の外側にさっき通り過ぎたように見えたその得体の知れない何か立っていました。
それの胴体部分には恐ろしげな顔がついており、それは車の中を覗き込むようにしながらニタニタと笑っていました。男性は咄嗟に娘に近づかれたという怒りが込み上げそれに向かって「この野郎!」と叫びました。
その途端、その何かは消え、それと同時に眠っていた娘が跳ね起きました。男性は自分の怒鳴り声で娘が起きてしまったと思い、咄嗟に謝ろうとしますが、次の瞬間、娘が
「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」
と、小さな声で呟き続けている事に気が付きます。
男性は娘に何か良くない事が起こったと直感し、その場を離れようと車のエンジンをかけようと試みたところ、あっさりとエンジンがかかり、車を発進させて急いで来た道を戻りました。
男性は車を飛ばし、ようやく街の明かりが見えてきた頃、娘のつぶやく言葉が「はいれたはいれたはいれた」からあの何かが呟いていた「テン…ソウ…メツ、テン…ソウ…メツ」に変わっている事に気がつきました。
そして、娘の顔も、何か「娘の顔じゃないみたいに」変化していました。(この時、娘の顔がどのような顔に変化していたのかは描写がなく不明です。)
男性は娘が何かに取り憑かれた事を直感し、目についたお寺に駆け込みました。娘を引きずるようにして寺のチャイムを押すと、寺の住職が出てきて、その様子を見るなり「何をやった!」と怒鳴りつけました。
男性が事の顛末を住職に説明すると、住職は残念そうな表情になり、「気休めにしかならないだろうが」と言ってからお経をあげ、娘の背中をパンパンと叩きました。
住職に泊まって行くように言われ、男性は妻に電話で事の顛末を連絡し、住職にも説明してもらってどうにか信じてもらいます。
住職がいうには、娘は「ヤマノケ」という何かに憑かれており、49日が過ぎてもこのままなら、もう一生正気に戻る事はないという事でした。
住職は、ヤマノケを追い出す努力をしてみるといい、娘をそのまま寺に預かりました。住職がいうには、ヤマノケは女性に取り憑くらしく、もし娘をこのまま家に連れて帰れば、母親にも取り憑いていただろうという事でした。
その1週間後、男性は洒落怖のスレッドにこの話を書き込みました。男性は毎日娘に会いに行っているものの、その時点では、「娘じゃないみたい」な状態で、ニタニタと笑いながら男性を見つめてくるという事でした。
以上が、洒落怖に投稿された「ヤマノケ」の怖い話の内容です。
下は、人気怪奇画家の北原功士さんのツイートで、迫力のある「ヤマノケ」のイメージイラストを描いてくれているので紹介しておきます。
みなさんご存知の有名怪談「ヤマノケ」のイラストを描きました! pic.twitter.com/bWCOalKWjT
— 北原功士 (@Kitahara_kou) January 26, 2019
この他にも、ネット上にはヤマノケのイメージをイラスト化した作品が多数アップされています。
ヤマノケの怪異が起きた場所は宮城と山形の県境
投稿主は、ヤマノケの怪異が起きた場所について質問され、「宮城と山形の県境」と答えています。
172 本当にあった怖い名無し sage 2007/02/05(月) 22:59:10 ID:sN6iWxmE0
>>169
大まかな場所はどの辺?
175 167 2007/02/05(月) 23:07:37 ID:uuWi3n130
>>172
宮城と山形の県境だ。
引用:2ちゃんねる 死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?より
ヤマノケの場所は田代峠(宮城と山形の境目にある峠)だと言われている
ヤマノケの怪異が起きた場所は宮城県と山形県の県境あたりにある峠道という情報から、ネット上では、正確場所は宮城と山形の境目にある田代峠ではないかという推測がされています。
田代峠は宮城県加美郡加美町から山形県最上郡最上町を結ぶ県道262号線の最上小野田線にある未舗装の峠道です。
ヤマノケの怖い話と関連するのかは不明ですが、この田代峠にも怖い話がいくつか存在します。
田代峠の怖い話① 地下に宇宙人UFO基地がある
1968年1月17日、航空自衛隊松島基地に所属する戦闘機F86Fセイバーが墜落する事故が発生しました。
当時、この地域は豪雪に見舞われており、捜索は難航しましたが、発見されたF86Fセイバーは、左翼を失ったのみで他に損傷はほとんどない状態で雪上に佇んでいたのだそうです。
そして、なぜか周囲の木々がなぎ倒されたような形跡はほとんどなく、まるで垂直に上空から落下したかのような状況だったそうです。さらに、戦闘機が墜落した場合は燃料に引火して爆発や火災が発生する可能性が高いですが、そうした形跡も見られませんでした。
なお、パイロットの紙西一等空尉は亡くなっており、田代峠の現場には現在も慰霊碑が建立されています。
こうした極めて不可思議な状況から、墜落はUFOの仕業ではないかという噂が立ち、田代峠の地下には宇宙人の基地があるという噂も流れました。現在も田代峠はUFOスポットとして知られています。
田代峠の怖い話② 旧日本軍の施設が隠されている
田代峠には、旧日本軍がジェット戦闘機「秋水」を製造していた施設が残されているという噂もあります。
山菜を採りに田代峠の奥に入った高橋邦泰さんという人が、正体不明の緑色のガスに導かれるようにして、謎の大洞窟に辿り着きます。
大洞窟の中では磁石の針がぐるぐると回転し、内壁には雑多な金属が貼り付けられており、その中には「金星発動機五十二型昭和十九年三菱航空機株式会社」と刻まれたものがあったそうです。この「金星発動機」とは、当時三菱重工が製造していた航空機用の空冷エンジンです。
そして、当時、田代峠には日本軍の秘密部隊が駐屯しており、この部隊が終戦間際までジェット戦闘機「秋水」を製造していたという噂があります。
高橋邦泰さんが迷い込んだ大洞窟こそ、この旧日本軍の秘密施設の入り口だったのではないかと噂されているのです。
このように、宮城県の田代峠は怪異話の多い場所として知られており、「ヤマノケ」の怪異が発生した場所もこの田代峠だったのではとの推測につながっています。
ヤマノケの正体
ネット上ではヤマノケの正体についてもよく考察されています。
ヤマノケの正体① 山の妖気から生まれた魔物
ヤマノケの正体としては、オカルト研究家の山口敏太郎さんが「山の妖気が凝り固まって生まれた魔物」ではないかと推測されています。
ヤマノケという名前は“山の気”とでも表記するのであろうか。どちらにしろ、山の妖気が凝り固まって生まれた魔物と推測できる。
ヤマノケの正体② 中国に伝わる神「形天」
また、山口敏太郎さんは、中国に伝わる神である「形天(けいてん)」とヤマノケの形状よく似ている事も指摘しています。
上の画像が形天ですが、胴体に顔があるものの、足は2本あり1本足に見えたというヤマノケとは違います。なのでこれがヤマノケの正体というわけではなさそうですが、形状に類似する点があるのは興味深いところで、ヤマノケの正体も山の神様の一種ではないかという推測にもつながりそうです。
首がなく、胸のあたりに顔がある形状は中国の神である「形天(けいてん)」をほうふつとさせる。
ヤマノケの正体③ 「一本だたら」などの山の妖怪
さらに、山口敏太郎さんはヤマノケの形状については「一本だたら」という山の妖怪とよく似ている事も指摘されています。
一本足でぴょんぴょんと跳ね回る様子は「一本だたら」に代表される山の妖怪そのものである。
ここから、ヤマノケの正体は山に棲む妖怪の類ではないかとの推測もできそうです。
ヤマノケのその後や後日談
ヤマノケの話は、ここで紹介したところで終わっており、その後や後日談などは1度も書き込まれていません。
そのため、ヤマノケのその後や後日談などは不明です。ヤマノケに取り憑かれて、49日が経過しても元に戻らなければ、一生このままであるという事なので、娘のその後や後日談がとても気になりますが、投稿主はこの書き込み以降、洒落怖板に現れていません。
まとめ
今回は、2ちゃんねるのオカルト板「洒落怖」に、2007年2月5日に投稿された怖い話「ヤマノケ」についてまとめてみました。
ヤマノケは、ある男性が娘とドライブをしていて、舗装されていない山道へと入り込んだところエンジンが泊まってしまい、車中泊をしていたところ、頭のない一本足で胴体に顔をついた得体の知れない何かに遭遇し、娘がそれに取り憑かれてしまうという内容です。
ヤマノケの怪異が起きた場所については、宮城県と山形県の境目にある田代峠ではないかと推測されています。
正体としては、山の神や妖怪、宇宙人説など様々なものがありますが、結論は出ていません。
後日談なども現在までに語られておらず、取り憑かれた娘がその後どうなったのかは不明です。