クッシーは北海道のカルデラ湖こと「屈斜路湖」に生息すると言われるUMAです。
写真や動画に収められた事もあり、目撃場所の屈斜路湖ではその正体や実在する生き物なのか?それとも嘘や誤認なのか?度々議論に上がる未確認生物です。
クッシーとはどの様なUMAなのか
1933年に端を発した『ネッシー騒動』を多くの方はご存知かと思います。
この未確認生物『ネッシー』はイギリス国内のみならず、国外各国にも多大な影響を与えます。日本でもニュージーランド沖を巡航していたトロール船が釣り上げた正体不明の首長竜状の死骸『ニューネッシー(おそらくウバザメの死骸説が濃厚)』そして鹿児島県のカルデラ湖「池田湖」でも正体不明の生物『イッシー』の存在が報告されています。
そんな中、1973年に北海道川上郡弟子屈町に位置する『屈斜路湖』で正体不明の生物が目撃されます。
この屈斜路湖は約170万~100万年前に活火山が噴火し、その火口に形成された『カルデラ湖』です。その名残として北側に藻琴山という山が存在します。
そんな屈斜路湖ですが現在は南北が約20km、東西が約30kmあり平均水深28.4m/最大水深が117mにも及ぶ日本最大のカルデラ湖です。
事の発端は1973年の7月、北見から遠足に赴いた中学生が屈斜路湖北側に位置する「藻琴山」から湖面を眺めた際に湖面が激しく波打つように動き、怪しげな物体・生物を目撃したのが始まりです。その後道内各メディアがこぞってこの正体不明の生物について報道し、瞬く間に未確認生物の情報は道内はおろか全国に拡散されます。
画像はかなり不鮮明ですが、1974年別の撮影者によって写真に収められた『クッシー』です。
その後目撃談も増え、加熱するクッシー報道に比例するように、一目見ようとする野次馬・そして上記画像の様にフィルムに収めようとするメディア関係者や学識者などで、屈斜路湖は一躍人であふれることになります。
またクッシー騒動以前にも、先住民族アイヌ族の中で屈斜路湖に住む“主”(アイヌでいう所の神的存在)として大蛇伝承や巨大なアメマス・イトウという魚の伝え話があり、明治時代の蝦夷地開拓民達も、アイヌから湖の主のことを聞かされています。
伝承の内容は「湖の主を見たとしても誰にも話してはならない。話すと災いが起こる」というものです。そのため、開拓民も屈斜路湖で「主」を目撃しても、見て見ないふりをしてきたとされていました。また周辺地帯に地震が起こる度に、湖の主のたたりとして恐れていたそうです。このため、湖の主・怪物の存在は結果的に長い間外部には伝わりませんでした。
ただし、必ずしも湖の主が『クッシー』のことを指しているとは限りません。
しかしクッシーが出現し、その伝承がオープンになった1973年以降、次々とクッシーの目撃報告やその姿を収めた写真が報告され始めます。
1974年7月にはある一家が湖面を急スピードで移動する2つの黒い物体を目撃。同年9月18日には北海道テレビが湖面に浮かぶ丸い物体をビデオカメラに収めます。ただかなり乏しい資料であり、クッシーの正体に迫るほどの資料ではありませんでした。それ以降も80・90年代と頻繁にクッシーと思わしき生物の姿の目撃・撮影に成功しています。
ちなみにクッシーの正体は超巨大な水生肉食ナメクジらしいです
ちゃんと自衛官が死の間際に撮影した写真も残ってます ムーにはちゃんとそう書いてありました pic.twitter.com/WbNhqjGiVK— べっくみん/Gavin Beckminh/ゆうさく/味噌 (@Vonoknow_Niner) February 3, 2021
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ちなみに上記2つの写真は米軍の要請を受け自衛隊屈斜路湖を探索・撮影したものとされています。
その正体は「タリモンストラム・グレガリウム」通称「ターリー・モンスター」。はるか昔、古生代の海に棲息していた生物とされています。米軍はクッシーの正体を「ターリー・モンスター」と断定したそうです。撮影した自衛隊の隊員は当時の一等海尉で、その直後ターリー・モンスターに食われ殉職したとされています。
ただし!この2つの写真は実はその信憑性はほぼゼロです。
出典は『ムー』これだけで分かる方は分かるでしょう。
2000年代に入るとクッシーの目撃情報は急速にしぼんでしまいます……
果たしてクッシーの真偽はどのような変遷をたどるのでしょうか!?
クッシーを収めた写真や動画の紹介
ややその存在に茶々が入れられがちな『クッシー』ですが、実際に証拠となる写真・動画は少数ながら確実に残っています。
順番に説明していきましょう。
こちらがYoutube上に上がっている、おそらく最新の『クッシー』動画です。
撮影者の方は2021年8月17日18:30頃に湖畔のホテルから偶然撮影に成功したそうで、明らかに何らかの“巨大生物”の様相を見せています。
時間を巻き戻し初期の写真や動画と本動画を比較してみましょう。
出典:http://www.cryptomundo.com/
出典:http://www.cryptomundo.com/
出典:http://www.cryptomundo.com/
一連の画像の出自は不明であり、しかも海外サイトに記載されていたものなので、またも真贋は不明です。ですがここまでクッキリと映る『クッシー』は初出となります。
ちなみに首長竜の写真の誤認説は、渡来した水鳥(特にこの地に渡来する“オオハクチョウ”)の誤認という説がかなり有力です。実際に屈斜路湖には多くの白鳥が渡ることで有名な湖です。
みなさん!お疲れマヨです(๑˃̵ᴗ˂̵)
いつぞやの屈斜路湖
何か好き#北海道#川上郡#弟子屈町#屈斜路湖#クッシー pic.twitter.com/g5z5LIu6jk— ひらさん@帯広そら (@BsF8WJdoMoQhHZT) March 10, 2022
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次に紹介するのは地元「北海道テレビ」が撮影したもので、根拠としてかなり信用に足るものです。
湖内の岩礁に見えなくもないのですが、実際は動きがあり直に湖底に沈んでいったそうです。見方によってはフェイク画像に見えなくもないですが、そこは信頼に足る北海道テレビです。信憑性はかなり増すでしょう。
実際の屈斜路湖はこの様な感じであり、岩礁などは一切目にしません。
こちらの写真はやや不鮮明ですが、明らかに魚影ではない巨大生物の影を捉えたものです。
実は『クッシー』の写真はあまり世間に出回る事がなく、そのほとんどがお蔵入りになっているという事実があります。もったいない話なのですが…おそらく検証の結果『クッシー』ではないと判断されたものがほとんどなのでしょう。
クッシーを取り上げた動画内当でもこれ以上はあまり言及されておらず、写真の方も探した限り表に出回っているものはこの程度です。ただ、もしかしたら何かしらの事情で隠匿されている可能性も否めません。
クッシーの屈斜路湖内の主要目撃場所
この屈斜路湖の画像は1973年に実際にクッシーが初めて目撃された場所から撮影したものです。
上空から撮影した航空写真がこちらです。右下にやや見切れているカルデラ湖は霧で有名な『摩周湖』であり南西方向にはマリモで有名な『阿寒湖』も存在します。冬場には湖面が全面凍結してしまう淡水湖であり、日本最大の面積を持つカルデラ湖という特徴を兼ね備えています。
1934年(昭和9年)には周辺一帯が国の保護区域である『阿寒国立公園』に指定されています。
航空写真から分かるように大部分が切り立った山間部に囲まれており、特に西部・北部は顕著ですね。湖畔南・東方面からの『クッシー』目撃例が多いのも納得できます。
中央部の小島は『中島』と呼ばれており、クッシーが存在するとなるとこの『中島』の存在がキーとなりそうです。
現在は湖内に生き物が豊富である『屈斜路湖』ですが、84年前の1938年(昭和13年)「屈斜路湖地震」により湖水が酸性化し、水棲生物が全く生きて行けない環境に変化しています。しかし30年後の1968年から弟子屈町の有志・釣り人の放流など地道な努力により、湖内の生態環境が復活しています。餌が少なく巨大生物が住めないと言われる『屈斜路湖』ですが、ちょうどその後からクッシーの目撃情報が報告されているのは偶然の一致でしょうか?
●屈斜路湖のニジマス
●屈斜路湖のアメマス
●屈斜路湖のワカサギ
クッシーが目撃されるのは、ほぼ全てが水中内となります。
既にお話した様に屈斜路湖は南部~東部の砂丘地帯以外はほぼ断崖絶壁です。東部に「屈斜路湖砂場」があり、南部はある種のリゾート地域になっていますが、どうやら巨大生物『クッシー』は陸上に上がる性質に欠けているようです。
クッシーが写りこむ画像は背景に切り立った山影が多く、おそらく国道があり人が集まりやすい「湖畔の南部」から撮影されたということが推測できます。その他の写真も湖上や水中から撮影されているので、おそらく屈斜路湖の北側…人が近づきにくく切り立った丘陵が多い場所に生息しているのではないでしょうか?
クッシーの正体
クッシーの正体は諸説あります。
まずは屈斜路湖に渡る『オオハクチョウ』の幼鳥の見間違えという可能性です。
確かに羽色とシルエットはクッシーと誤認しそうですが、この“オオハクチョウ”は冬場にしか北海道にやってきません。夏場の間はロシア近辺に再び渡るので、年間を通し目撃例のある『クッシー』との誤認には時期的なズレがどうしても生じます。
また北海道には日本最大の淡水魚『イトウ』という魚が生息するのをご存知でしょうか?
屈斜路湖に分布する可能性も捨てきれず、加えて屈斜路湖は釣魚者の絶好の釣りスポットでもあるので、ブラックバスの様に放流されたケースも考えられます。何より先に紹介したアイヌの伝承に『イトウ』の名前が出てくるのも少々引っかかります。
そして以下の写真をご覧ください。
出典:https://troutparadise-hokkaido.com/
これは水面からジャンプするイトウです。
出典:https://troutparadise-hokkaido.com/
こちらは水面にハッキリと姿を見せたイトウとなります。
この写真だけ見るとクッシーと誤認するのも仕方ない…という空気になりそうなのですが、実際にイトウの仲間は日本最大淡水魚とは言え、体長2mにも達しません。ただ野外で見るとこの手の生物は実測値より巨大に見えなくもありません。
そしてアイヌ民族に伝わる伝承こと“屈斜路湖の大蛇”についてクローズアップしてみましょう。
亜寒帯気候である北海道では変温動物の爬虫類は生活しにくく、本州以南に比べ3種減り「シマヘビ・アオダイショウ・ジムグリ・シロマダラ・ニホンマムシ」の5種類のヘビが生息します。
この中で最も巨大化するのは『アオダイショウ』ですが、最大全長は2m30cmほどです。例え水面を泳いでいても小さく目に映る事でしょう。
ここでヘビ類の特徴について言及しますが、実は“生きている間は常に成長し続ける”生き物なんです。そして平均寿命は約20年。過去には3m以上の老齢個体の発見例もあります。それに加え北海道では「エゾブルー」といわれる青みの強い個体が多く、水の色にうまく溶け込むという北の大地ならではの特徴も有します。
こちらが北海道産のアオダイショウ(エゾブルー)個体です。
アイヌ伝承に出てくる大蛇はアオダイショウ以外考えられませんが、なかなか写真の様なクッシーほどの大きさの個体はお目にかかりませんが、可能性は消すことはできません。
ただ北海道の気温を考えると、変温動物であるアオダイショウがこうも頻繁に湖面を泳ぐものでしょうか…?
では次の写真を見てみてください。
出典:https://plus.amanaimages.com/
この写真は最も有力な説です。湖ではなく海ですがこの2つの影がどのような生き物か一目では分かりませんよね?
じつはこれ『エゾヒグマ』なんです。
日本最大の陸生哺乳類である彼らが、クッシーと誤解される理由がよく分かるワンショットですね。
ただ…これだけで『クッシー』の存在を否定する材料にはなりません。もしかすると正体などなく実在する未知のUMAの可能性も同じくらい大きいでしょう。
クッシーは実在するのか嘘なのか!
上記の動画は有名報道番組「バンキシャ!」で特集されたクッシーです。
クッシーの実在性、もしくは嘘の可能性は諸説あるのですが、そもそも嘘とするのならば互いに関係性のない複数人が口裏を合わせなければいけません。
そして実在の可能性はあれど、未だ発見に至らないので存在の立証も不可能です。
2000年代に入り目撃例がパッタリ止まっているのも不可解ですが、嘘の可能性は限りなく少ないでしょう。未だに屈斜路湖にクッシーが生息しているか、前述の誤認説がやはり濃厚でしょう。
まとめ
今回は北海道にある日本最大のカルデラ湖に生息すると言われるUMA「クッシー」について取り上げました。
本州と異なり亜寒帯気候である北海道、そんな場所に巨大UMAが生息する…かなりロマンがある話です。先住民族アイヌ民の伝承もあいまり、その信憑性もかなり謎深いものとなります。
果たして国内から新種の未確認生物が発見されるその日は来るのでしょうか?