宮古列島に属する大神島は美しい自然と神聖な雰囲気で観光地として注目度を上げています。
この記事では大神島の場所や行き方、観光スポットやシュノーケルを楽しむ方法、年間の気温、伝説やユタ、行ってはいけない禁足地やタブーを冒したため起きた怖い事件などについてまとめました。
この記事の目次
大神島は宮古列島に属する観光やシュノーケルもできる自然が美しい島
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「大神島」(おおがみじま)は、沖縄県の宮古列島の8つの有人島のうちの1つで、周囲2.4キロメートル、面積0.24平方キロメートル、最高標高74.4メートルの小さな島です。
大神島の人口は住民基本台帳によると、2023年9月調査時点で22人となっています。
大神島は最近まで観光地化されていなかったため美しい自然がそのまま残されており、美しいビートやシュノーケリングスポットとしても注目されています。
また、その名前が示しているように島全体が神様の宿る聖域だとされており、日本神話に登場する「天岩戸」や「高天原」がある場所だとする伝説も存在し、沖縄有数のパワースポットと紹介されるなど、近年はスピリチュアル的な観点からも注目されていまる島です。
この記事ではそんな大神島について詳しく紹介していきます。
大神島の場所は宮古島の北方約4km
大神島の場所は、宮古島の北方、約4キロメートルに位置しています。
宮古島や大神島のある宮古列島は沖縄本島から南西に約300キロメートルの場所にあります。
また、台湾の台北市からちょうど真東に進んだ場所にあり、東シナ海に位置しています。
大神島の行き方…宮古島から船の定期便が1日4往復
大神島への行き方は1つだけで、宮古島の島尻漁港から大神島の大神漁港まで、1日に4往復の定期便が出ています。片道の所要時間は約15分となっています。
下は、大神開運が運行する定期便の2024年10月現在の運行時間表です。
島尻漁港(宮古島)発 | 大神漁港(大神島)発 | |
1便 | 8:00 | 8:20 |
2便 | 10:20 | 11:05 |
3便 | 13:00 | 13:45 |
4便 | 16:10 | 16:30 |
乗船料金は片道が大人370円、小人180円、往復が大人670円、小人350円に設定されています。その他、小荷物運賃や特殊手荷物運賃(自転車やベビーカーなど)があるため都度確認してください。
なお、宮古島への行き方は、各都市空港からの直通の航空機が運行されています。宮古空港から島尻漁港まではバスやタクシーの利用が便利です。
大神島の観光スポット6選
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大神島は小さな島ですが、多くの魅力的な観光スポットがあります。大神島の代表的な観光スポットの場所を6つ紹介します。
大神島の観光スポット① 遠見台(トゥンバラ)
「トゥンバラ」とも呼ばれる「遠見台」は、大神島を訪れたら一番最初に訪れるべき観光場所です。
遠見台は大神島のほぼ中央にある、島でも最も高い標高約75メートルの小山の頂上にあり、上と島の美しい全景を360度見渡す事ができ、宮古島、池間島や天候が良ければシュノーケルポイントとしても知られる八重干瀬も望む事ができます。
行き方は、港から集落の中を通る道と、一周道路の東側から西の多目的広場を結ぶ遊歩道から行ける集落のはずれにある登り口から入り頂上まで木製の階段を登ると辿り着けます。
この遠見台へ登る途中、頂上のすぐ脇あたりに神様が降りてくるという大きな岩(この巨石がトゥンバラと呼ばれているとも)があり、その下に「ウガンジュ」と呼ばれる「拝所」があります。ここは行ってはいけない聖域なので、歩道から眺めて挨拶するだけにとどめましょう。どうしても写真を撮影したい場合はガイドさんに尋ねるのが良いでしょう。
この遠見台ですが、2014年3月18日に 国の史跡「先島諸島火番盛」の1つに追加されています。
大神島の観光スポット② ノッチ(奇岩)
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大神島の海岸周辺では「ノッチ」と呼ばれる不思議な形をした奇岩を多数見る事ができます。
ノッチは、満潮時には上の方しか海面に出ておらず普通の大岩に見えるのですが、干潮時には下の方だけ細くなったまるでキノコのような不思議な形状を見る事ができます。
ノッチが所在する場所は海流が早いため、海中に沈む岩の下の方だけが削り取られてこのような形状が作られます。
大神島の観光スポット③ カミカキㇲ
大神島の観光場所としては「カミカキㇲ」があります。
大神漁港から一周道路を東方向へ10分ほど歩いた場所にあり、浅い海に大小たくさんのノッチが弧を描くように配置され、壮大な天然のプールのようになっています。
海水の透明度もあって非常に美しく、多くの生き物が生息するためシュノーケルのポイントとしても人気です。
大神島の観光スポット④ 美しいビーチ(タカマ、マウケー、カーキヌバー、パマサス)
宮古列島の島々にはどれも心が洗われるように美しいビーチがありますが、その中でも大神島のビーチは際立って美しい事が知られています。
大神島の美しいビーチは大神漁港から周回道路北西側に歩いた場所にあり、タカマ、カーキヌバー、マウケー、パマサスという名前がつけられています。特に、一番北西にあるパマサスの白砂のビーチは群を抜いた美しさです。
大神島の観光スポット⑤ 大神小中学校跡地の記念碑
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現在は人口20人ほどの小さな島である大神島ですが、かつては子供達が通う大神小学校と中学校がありました。
大神小学校は、1933年に狩俣尋常高等小学校大神分教場として設置され、その後1957年に大神小学校として独立。大神中学校は1957年に宮古島の狩俣中学校から分離独立する形で設置されました。
しかし、子供の減少により、2006年に小学校が2008年に中学校が休校となり、2011年3月に廃校が決まり、現在は校舎は全て解体されています。
現在は、大神中学校の校門の支柱だけが残り、跡地に記念碑が建立されています。島の人々の歴史を感じられる場所なので、観光に訪れた際には1度訪れてみるのも良いでしょう。
大神島の観光スポット⑥ おぷゆう食堂
大神島唯一の食堂兼民宿が「おぷゆう食堂」です。
おぷゆう食堂は、2013年4月に廃校になった大神小中学校の教職員宿舎跡地を改装した食堂で、大神島の特産品である「カーキダコ」(タコの燻製)を使ったカーキダコ丼が看板メニューとなっています。他にも島でとれるの食材を使った料理を楽しむ事ができます。
大神島でシュノーケルを楽しむ方法
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大神島は知る人ぞ知る絶好のシュノーケルスポットです。
八重干瀬に匹敵するほどの美しいサンゴ礁群や熱帯魚がたくさん見られるポイントが多数あり、大神島マリンクラブがシュノーケルツアーを実施しています。
宮古島の島尻漁港と大神島港を結ぶ定期船と連動する形で、1日に3度のツアーが実施されており、毎年5月1日から開始されているようです。
1度のツアーは3時間ほどで、料金は1人1万円に設定されています。
シュノーケルのポイントについては、その時の気象条件などを考慮してインストラクターの方が最も良い場所をガイドしてくれるようです。
大神島でシュノーケルツアーの予約は大神島の公式サイトや、「じゃらん」などの旅行情報サイトなどから可能です。
大神島ではガイドを頼まずに個人でシュノーケルを楽しむ事も可能ですが、大神島には病院がなく、万一事故や怪我をした場合に早急に処置する事ができません。シュノーケルをするには危険な場所もあり、危険な海洋生物もいるため、できるだけ経験豊富なガイドを頼む事をオススメします。
大神島の気温や気候
大神島の気温や気候ですが、高温多湿な亜熱帯海洋性気候に属しており、四季を通して暖かく、年間の平均気温は23℃です。なお、年平均湿度は約80パーセントです。
大神島で最も気温が下がるの1月ですが、それでも晴れの日の日中の気温は20℃あるのがほとんどで、最低気温が15℃を下回る日はほとんどありません。ただ、風が強い日などは体感気温が下がるため薄手のアウターが必要になります。
大神島の年間の平均最高気温が30℃を超えるのは6月〜9月にかけてで、例年平均最高気温が25℃を超える4月上旬に海開きとなり10月頃までが海のシーズンです。
大神島の伝説
大神島には海賊にまつわる伝説が残されています。
大神島の伝説① 海賊キャプテン・キッドの財宝が隠されている
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大神島で最も有名な伝説が、17世紀に北大西洋やインド洋を荒らし回ったスコットランド生まれの海賊「キャプテン・キッド(ウィリアム・キッド)」の隠し財宝が大神島のどこかに隠されているという伝説です。
キャプテン・キッドは1699年に捕えられ1701年に絞首刑となりましたが、その処刑の直前に「ある場所に財宝を隠した。処刑を取りやめればそのありかを教える」と観衆に向けて叫んだという伝説があり、「海賊キッドの財宝伝説」として世界中で語り継がれています。
そのキャプテン・キッドの財宝伝説の隠し場所が大神島だとする一説があります。これは1936年と1938年に研究のために大神島を訪れた社会学者の河村只雄が、1939年に発表した「南方文化の探究」の中に、かつて大神島に海賊に襲われたという伝承が書かれており、1960年代にこれを引用する形で英タブロイド紙「ロンドン・タイムズ」が、日本の大神島にキャプテン・キッドの財宝が眠っているとする記事を掲載し、これを朝日新聞が転載した事で日本中にこの財宝伝説が広まる事になりました。
この記事は、キッドの財宝が隠されているのは、大神島の聖地である洞窟「イワヌイワヌパナ」かかつて遺体を置き風葬に使われたという洞窟「後生山」のいずれかで、この財宝を探しに行った者は、全て島の祟りに見舞われるため、今なお財宝は見つかっていないという内容でした。
また、1937年か1938年頃にアメリカの新聞が「東経125度の東シナ海のサンゴ礁の島に海賊が財宝を隠した」との内容を掲載したとの情報を劇作家の寺山修司が著作の中に書いています。大神島は東経125度に位置しており、美しい珊瑚礁に囲まれた島でもあります。
この伝説を信じた島外の者が財宝を探しに来て島を荒らして、行ってはいけない場所に入ったり、穴を掘ったりして問題になる事件もあったようです。
大神島の伝説② 海賊の略奪から生き残った兄妹が島の祖
大神島の伝説としては、約300年ほど前に島にどこかの海賊達が略奪にやってきて、当時の島民のほどんど虐殺し、生き残った兄妹が現在の島民の始祖となったという衝撃的な伝承も残されています。
海賊達の襲撃により、当時の島民は洞窟へ身を隠しましたが、この兄妹だけが逃げ遅れてしまった。兄妹は皆を追って洞窟へ向かうも、海賊達につけられてしまい洞窟に逃げ込んでいた島民達は皆殺しにされてしまった。からくも逃げ伸びた兄妹はやがて夫婦になり、その子孫が現在の大神島の島民であるという内容です。
大神島には祖神(祖先や祖先である神)を島に迎え豊穣を祈願する「ウヤガン祭」という秘祭で知られていますが、この兄妹から続く家は現在も大神島に残っており、ウヤガンの神事はこの家から出発するのだそうです。
なお、上で紹介した大神島に海賊キャプテン・キッドの財宝が隠されているという伝説は、この海賊の襲撃に遭って元々の島民が虐殺されたという伝承が元になって生まれたとも言われています。
大神島には行ってはいけない場所やユタの同行が必要な場所がある
大神島はその名前の通り、神様が宿る島といわれていて、宮古列島の中でも神事において重要な島だとされています。
島の中には行ってはいけない御嶽(うたき)と呼ばれる聖域が多くあり、観光客どころか島の人も、ユタ(沖縄地方のシャーマン、巫女)や「つかさ」と呼ばれる神職の女性以外は絶対に行ってはいけない禁足地が多くあるそうです。
観光スポットのところで紹介した「遠見台」も本来はユタやつかさが裸足で上る聖域だという事ですが、ここは行ってはいけないという事はなく一般の観光客の立ち入りも許可されています。ただ、遠見台のある丘の頂上近くの大岩と拝所は聖域なので立ち入ってはいけません。
また、ユタやつかさの同行が必要な場所もあるという事なので、大神島をできる限り散策したければ島の人にガイドを頼んだ方が良いようです。
大神島では、ドローンを使った空撮が禁止されていますが、これは行ってはいけない場所が上空からの撮影で映り込んでしまう事を避けるためだそうです。こうした禁足地は島外の者の目に触れる事もタブーだという事のようです。
大神島のタブーとしては島のものは何1つ島外に持ち出してはいけないという事があります。これは、石ころや貝殻など、大神島にある全て物に神様が宿っているためだという事です。また、当たり前ですが島にある自然を傷つけたり、例え小さな虫であろうと島の生き物を殺したり、勝手にテントを張ったりしてキャンプをする事などもタブーです。
なお、かつては大神島では神事や祭りの日には島外の人が島へ入る事を禁止していましたが、現在は入島自体はできるようです。ただ、祭事の時にはできるだけ観光目的では行かない方が良いとされています。
大神島のタブーに触れて起きた怖い事件も伝えられている
大神島には行ってはいけない場所やタブーがあるとされていますが、そのタブーに触れてしまったために起きた怖い事件がいくつか伝わっています。
大神島のタブーに触れた怖い事件① 秘祭を冒された神の祟りで大勢の死亡者
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海賊キャプテン・キッドの財宝が隠されているという伝説のところでも触れましたが、社会学者の河村只雄は、まだ大神島が現在のように観光地化されていなかった1936年と1938年に大神島に研究のために訪れています。
この1936年の来訪時に、河村只雄は島の人の許可を得る事なく秘祭である祖神祭「ウヤガン祭」に潜入して無断で写真撮影までしています。
河村只雄はこの時のことを1939年に発表した著作「南方文化の探求」の中で書いています。それによると、河村只雄の潜入を知った大神島の人々は顔面蒼白になって震え上がったそうです。
そして、河村只雄の帰国後、大神島では神様が怒って疫病が流行し、ユタやツカサが集まって大祓(お祓い)を行うも、河村只雄が勝手に写真撮影した島の大司(ウブツカサ)とその家族が次々と死亡したそうです。
そして、タブーを冒した河村只雄本人も「南方文化の探求」を出版してから2年後の1941年に47歳という若さで突然死亡しており、これも大神島のタブーに触れたため祟りにあったのではないかと言われています。
大神島のタブーに触れた怖い事件② 道路建設で岩を壊した祟り
大神島のタブーに触れて起きたとされる怖い事件はこの他にもあり、2024年現在から見て約40年前に、大神島では島を一周するための道路の建設が始まりました。
この道路工事中に、建設予定地にあった大きな岩をブルドーザーで砕こうとしますが、ブルドーザーの爪が折れてしまい、さらには掘削機の鋼鉄の爪までも折れてしまったそうです。
この岩は神様が宿っているとされているのに、工事関係者は必要な手続きを踏む前に岩を砕こうとしてしまったため神様の怒りに触れたのではないかとの噂が広まりました。
やがて、この道路工事関係者らが次々と原因不明の病気に倒れるようになり、それが広がって大神島の島民達も同様の病が降りかかったために、道路工事は途中で中止にせざるを得なくなったそうです。
そのため、現在も一周道路と名付けられている大神島のこの道路は、途中で不自然に途切れたままになっていて、そこにはお祓いをした跡も残されているそうです。
まとめ
今回は、沖縄県の宮古列島に属する大神島についてまとめてみました。
大神島はその名が示すように島全体に神様が宿っていると言われていて島全体がパワースポットとも言われ、また、最近までは観光地化もされていなかっため、豊かで美しい自然がそのまま残されている事から観光地として注目度を上げています。
大神島の場所は宮古島の北方約4キロメートルで、行き方は宮古島の島尻漁港からの定期船が運行されています。
大神島の観光スポットとしては、島の中央の最も高い丘にあり島の全景や周囲の美しい海を360度見渡せる「遠見台」や、島の海岸に点々とある奇岩「ノッチ」、美しい白砂のビーチなどがあり、周囲の海は大変美しく色々な生き物が生息しているためシュノーケルスポットとしても人気を上げています。
大神島の気温は年間通して暖かく、最も気温が下がる1月でも日中は20℃以上ある日が多く、15℃を下回る日はほとんどありません。海開きは例年4月上旬頃で、10月頃まで海のシーズンが続きます。
大神島に伝わる伝説としては、17世紀の海賊キャプテン・キッドの財宝が隠されているというものや、300年前に海賊に襲撃されて唯一生き残った兄妹が夫婦となり、それが島の祖先となったという伝承があります。
大神島は行ってはいけない神域が多く、タブーを犯せば怖い祟りがあるとも言われており、観光地化されていない場所に立ち入るのならばユタやつかさと呼ばれる神職の方の案内が必須とされています。
大神島のタブーを冒したために起きた怖い事件もいくつか伝わっており、島でやってはいけない事などのルールが決められているため、観光で訪れる際は前もって確認し島のルールを守ようにしましょう。