スタジオジブリの映画の1つである「猫の恩返し」。この猫の恩返しはヒットして、2002年の邦画興行収入1位を獲得しましたが、スタジオジブリの映画の中では地味な作品になっています。
猫の恩返しのあらすじと都市伝説・裏設定や謎の考察・解説をまとめました。これを見てから、もう一度「猫の恩返し」を見れば、きっとさらに面白くなるはずです。
この記事の目次
- 猫の恩返しはジブリ映画
- 猫の恩返しのあらすじ
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定①:原作がある
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定②:耳をすませばのスピンオフ
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定③:最初はテーマパークのプロモフィルム
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定④:宮崎駿の無茶ぶりで監督決定
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑤:雫の声優も参加
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑥:月島雫と天沢聖司が登場予定だった?
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑦:ケーキ屋のモデルがある
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑧:声優陣が豪華
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑨:平成狸合戦ぽんぽこと同じ舞台の話
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑩:ムタはグレート・ムタから
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑪:庵野・貞本のロッカー
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑫:宮崎駿のアイディアを却下
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑬:舞台は横浜・元町商店街
- 猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑭:ムタの正体は大犯罪猫
- 猫の恩返しの謎の考察・解説①:主人公らしくない主人公
- 猫の恩返しの謎の考察・解説②:バロンの正体
- 猫の恩返しの謎の考察・解説③:バロンの声優交代
- 猫の恩返しの謎の考察・解説④:ユキはもう死んでいる
- 猫の恩返しの謎の考察・解説⑤:猫の国は死んだ猫が行く国
- 猫の恩返しの謎の考察・解説⑥:猫の事務所は空間がゆがむ
- 猫の恩返しのまとめ
猫の恩返しはジブリ映画
出典:ghibli.jp
猫の恩返しは2002年に公開されたスタジオジブリ制作の映画です。
・監督:森田宏幸
・製作 鈴木敏夫、高橋望
・主題歌:つじあやの「風になる」
・制作会社:スタジオジブリ
・配給:東宝
キャッチコピーは「猫になっても、いいんじゃないッ?」で、短編映画の「ギブリーズ episode2」と同時上映されました。
日本の国内興行収入は64.8億円で、2002年の邦画1位となるヒット作品です。ヒットしたことは間違いありませんし、「猫の恩返し」が一番好きというファンも多いですが、「猫の恩返しはスタジオジブリの中でもいまいち」という人も多いのが現実です。
ジブリ好きだからあんまこういうこと言いたくないんだが・・・猫の恩返しって駄作だよな?
— オルバース彗星 (@Olbers201706) November 18, 2016
猫の恩返しってジブリの中で一番の駄作だと思う。
— カズヤ (@kaaazuuuyaaaa) October 22, 2010
「猫の恩返し」はスタジオジブリの映画の中でも、見る人を選ぶ映画と言えるかもしれません。ほかのスタジオジブリの映画よりも地味で、盛り上がりに欠けるところがあり、また主人公の女の子(吉岡ハル)がごく普通の女子高生だったから、ジブリっぽくないため、ジブリファンの間では不評なのかもしれません。
猫の恩返しのあらすじ
出典:amazon.co.jp
主人公の女子高生の吉岡ハルは、ある日の放課後、ラクロス部の親友・ひろみと一緒に帰宅していました。その途中、黒猫がトラックに轢かれそうになっているところを目撃し、咄嗟にひろみが持っていたラクロスのスティックを使って黒猫を助けました。助けた後、その黒猫は突然お礼を言い、二本足で立って歩き去ったのです。
ハルが助けたのは、猫の国の王子・ルーンでした。その日の夜、ハルは母親に「猫が話した!」というエピソードを伝えると、母親はハルが幼い頃に「白猫と話した」と口にしたことがあるというエピソードを話したのです。
その日の夜、ハルのもとに猫王など猫の国の一行が現れ、王子のルーンを助けたお礼として目録をもらいました。
翌日、猫の国から届いたお礼の品は、親友のひろみへの大量のスティック、家の庭いっぱいの猫じゃらし、マタタビやネズミなどハルには必要ないもの・猫しか喜ばなそうなものばかりでした。しかも、ハルのもとにたくさんの猫が訪れるようになります。
そんなハルのもとに猫王の家来のナトルが訪れ、猫の国に招待すること、さらに猫王はハルをルーンの妃にしようとしていることなどを伝えて去っていきました。
「自分が猫のお嫁さんになってしまう」ということにパニックになったハルに、どこからともなく「猫の事務所を探して。十字街にいる白い大きな猫が教えてくれる」という声が聞こえてきて、その日の帰り道にハルは十字街で白い大きな猫「ムタ」に出会い、「猫の事務所」に案内されて、猫の男爵「バロン」とカラスのガーゴイル「トト」に出会いました。
猫の事務所にいる時、ハルはナトルたちの猫の集団に猫の国に連れ去られてしまい、ルーンと結婚することになりました。さらに、ハルは猫耳やシッポが生えて猫にされてしまったのです。ハルは泣きながら、猫の国の祝宴に参加していましたが、バロンに助けられ、白猫のユキの案内で建物から脱出します。
しかし、猫王に追い詰められ、ハルたちは追い詰められましたが、ルーンやユキに助けられました。その後、ユキはハルが子どもの頃に助けた猫であることが判明し、ルーンはユキにプロポーズしてユキはそれを快諾。2匹は結婚することになりました。
猫王はまだハルのことを諦めることができず、ハルを自分の妃にしようとしますが、バロンが猫王との対決に勝利します。ハルは崩れ落ちる塔からムタと共に落ちていきますが、バロンやトト率いるカラスたちに助けられて、人間界に戻ってくることができました。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定①:原作がある
出典:amazon.co.jp
映画「猫の恩返し」には原作があります。
原作はスタジオジブリの映画「耳をすませば」の原作を描いた柊あおい先生が描き下ろしたコミック「バロン 猫の男爵」です。
この「バロン 猫の男爵」は宮崎駿監督にリクエストされて制作されたコミックです。あくまで「原作」ですので、原作は映画とは少しストーリー展開が違う部分がありますが、世界観は共通しています。
「猫の恩返し」は「耳をすませば」と原作者が同じなので、バロンやムタ(ムーン)がどちらにも共通して出てくるんです。猫の恩返しは、「耳をすませば」の後に「猫の恩返し」を見ると、さらに楽しめるはずです。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定②:耳をすませばのスピンオフ
出典:ghibli.jp
「猫の恩返し」は「耳をすませば」と原作者が同じ柊あおい先生で、続編ではないものの、「耳をすませば」で登場するバロンを物語のメインに据えたスピンオフの作品になります。
実は、この猫の恩返しは耳をすませばの主人公である月島雫が大人になってから書いた物語という位置づけになります。耳をすませばの主人公である月島雫が大人になってから書いた物語だから、バロンが出てくるお話になったんですね。そう思って、猫の恩返しを見ればワクワクしながら見ることができると思います。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定③:最初はテーマパークのプロモフィルム
出典:ghibli.jp
猫の恩返しの都市伝説・裏設定の3つ目は、「猫の恩返し」は最初は映画化する予定ではなかったことです。
もともと、1999年ごろにとある企業からスタジオジブリに「テーマパークを作るので、そのイメージキャラクターを描いてくれ」という依頼がありました。企業からのリクエストで「猫が良い」というリクエストがあり、ジブリのキャラクターを見せたところ、その企業の責任者がムタを気に入り、キャラクターだけではなく「20分くらいのフィルムを作ってくれ」という依頼が追加されました。
「ムタを使ってフィルムを作るなら」ということで、宮崎駿氏に話が行き、宮崎駿氏の提案で柊あおい先生に原作を描いてもらうことになりました。
宮崎駿氏は、「耳をすませば」の地球屋を探偵事務所にして、バロンを名探偵にするという設定のアイディアを出してきたそうです。
「地球屋が探偵事務所で、そこに名探偵バロンがいる。そしてムタがいるというので、できないかなぁ」と。それで柊さんに発注したら、柊さんが猫の国の設定を作ってきたんです。
引用:猫の恩返し (ロマンアルバム) 徳間書店
しかし、原作ができて、そのような設定のアイディアもできたのに、そのテーマパークの企画がなくなってしまって、いろいろとやっているうちに映画化されることになりました。テーマパークの企画がなくなった時に、この猫の恩返しも一緒になくならなくて、本当に良かったです。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定④:宮崎駿の無茶ぶりで監督決定
猫の恩返しの都市伝説の4つ目は、監督は宮崎駿の無茶ぶりで決まったことです。
猫の恩返しの監督は森田宏幸氏です。森田宏幸氏は、「となりの山田くん」や三鷹の森ジブリ美術館の短編映像作品に携わっていた人物でです。ただ、監督としては全く実績がなく、「無名の新人」と言っても良い状態でした。
スタジオジブリは当時、宮崎駿の後継者となり得る若手を育てようとしていて、それで森田宏幸氏に白羽の矢が立ったようです。もともとの企画だったテーマパークのフィルムはなくなったものの、その後45分くらいのスペシャルものとして猫の恩返しのアニメが作られることになりました。その時点で森田監督が大抜擢されたようです。
正しくは「これやる? やるって言いなさい。男の子らしく」そして、いつものはにかみ顔でニヤリとされました。#猫の恩返し https://t.co/qMhu2ITiDc
— 森田宏幸 (@Morita626) November 18, 2016
「これやる?やるって言いなさい。男の子らしく」と宮崎駿氏に言われて躊躇したり、断ったりできる新人アニメーターはいないと思います。このような無茶ぶりから、森田宏幸氏が猫の恩返しの監督に大抜擢されて、監督デビューしたことになります。
宮崎駿は、この頃、こう考えていた。
我々はもう年だ。新しい担い手を育てないといけない。
テーマパークの企画はぽしゃってしまうが、45分ぐらいのスペシャルモノとして新人にまかせようと考えた。
『となりの山田くん』で活躍した森田宏幸が抜擢される。
監督デビュー作がスタジオジブリの長編映画、しかも前作は超大ヒット作だった千と千尋の神隠し。監督デビュー作からプレッシャーは半端なかったことでしょう。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑤:雫の声優も参加
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猫の恩返しの都市伝説・裏設定の5つ目は、声優に関することです。猫の恩返しは耳をすませばのスピンオフ作品であり、世界観で共通しているところはありますが、声優も共通している部分があります。
耳をすませばの主人公の月島雫の声を担当していたのは本名陽子さんです。この本名陽子さんは猫の恩返しでは、主人公のハルの友達であるチカの役を演じています。こういうつながりがわかると、ジブリファンとしてはうれしいですね。
ちなみに、本名陽子さんは1991年のジブリ映画「おもひでぽろぽろ」の主人公・岡島タエ子の小学5年生時代を演じています。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑥:月島雫と天沢聖司が登場予定だった?
猫の恩返しのエンドロールには、月島雫と天沢聖司が登場予定だったという都市伝説があります。もともと、猫の恩返しは月島雫が書いた物語という裏設定がありましたよね。だから、「作者」として、猫の恩返しのエンドロールに月島雫の名前が登場したという設定のようです。
また、猫の恩返しは耳をすませばの劇中作であり、月島雫と天沢聖司が映画館で猫の恩返しを見ているという設定で、エンドロールに映画館で猫の恩返しを見終わった月島雫と天沢聖司の2人が描かれるという噂もありました。
これらはあくまでも都市伝説ですので、真偽のほどはわかりません。ただ、これらの都市伝説は猫の恩返しと耳をすませばの2作品のつながりがあるからこそのものでしょう。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑦:ケーキ屋のモデルがある
猫の恩返しの中で猫の王子のルーンがお魚型のクッキーを加えて出てきたケーキ屋さんがありますが、あのケーキ屋さんにはモデルがあります。そのモデルは、新高円寺駅から徒歩5分の場所にある「MYNT」というケーキ屋さんです。
写真を見比べても、外観がそっくりであることがわかります。
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残念ながら現在は店舗が移転してしまいました。移転後の外観は猫の恩返しのモデルとは異なっています。
このケーキ屋さんの「MYNT」は映画公開後に自分の店舗が猫の恩返しに使われていることを知って感激し、監督に感謝の気持ちを込めて、映画の中に出てくるお魚クッキーを焼き上げたそうです。現在でも、お魚クッキーは販売されていて、ジブリファンが買いに来ることも多いそうです。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑧:声優陣が豪華
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猫の恩返しの都市伝説・裏設定の8つ目は声優陣が豪華であることです。猫の恩返しの主なキャストを見ていきましょう。
・吉岡ハル:池脇千鶴
・バロン:袴田吉彦
・ムタ:渡辺哲
・トト:斉藤洋介
・ルーン:山田孝之
・ナトル:濱田マリ
・猫王:丹波哲郎
これを見るだけでも、豪華俳優陣が声優をしていることがわかります。特に、今見ると山田孝之さんが声優をしていることにびっくりしますよね。
2002年当時18歳。まだデビューしたばかりの頃で、「WATER BOYS」でブレイクする前のことでした。そう思うと、スタジオジブリは俳優・声優の抜擢スキルはすごいですね。
さらに、この猫の恩返しには、超人気バラエティ番組「水曜どうでしょう」ファンにはたまらない3人も声優として出演しています。その3人とは、次の3人です。
・鈴木貴之
・安田顕
大泉洋さんは国語教師、鈴木貴之さんは猫のシェフ、安田顕さんは主人公のハルが恋心を抱いていた町田君を演じています。あの水曜どうでしょうのキャスト3人が、というか今や日本を代表する俳優の大泉洋と安田顕、その2人を育てた鈴木貴之が猫の恩返しに出演していると思うと、なんだか不思議な感じがします。
ちなみに、チームナックスのメンバーは「ハウルの動く城」や「思い出のマーニー」などにも出演しています。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑨:平成狸合戦ぽんぽこと同じ舞台の話
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猫の恩返しの都市伝説・裏設定の9つ目は、平成狸合戦ぽんぽことのつながりです。猫の恩返しと耳をすませばの2作品にはつながりがあることは前述のとおりです。耳をすませばの主人公の月島雫が猫の恩返しを書いたという設定ですね。
そして、平成狸合戦ぽんぽこと耳をすませばにはつながりがあります。平成狸合戦ぽんぽこのラストシーンと、耳をすませばの冒頭のシーンを見比べると、2つの舞台は同じであることがわかります。
つまり、平成狸合戦ぽんぽこでたぬきたちが守った場所で、月島雫たちが暮らしている。そして、その雫が書いた物語が猫の恩返しであるというわけですね。
時系列で見ると、「平成狸合戦ぽんぽこ→耳をすませば→猫の恩返し」という流れになります。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑩:ムタはグレート・ムタから
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猫の恩返しの中の人気キャラクターのムタ。ムタの名前は、宮崎駿氏がグレート・ムタにちなんでつけたそうです。
原作者の柊あおい先生は、インタビューの中でムタという名前は宮崎駿氏の要望でつけられたと話しています。
柊 宮崎さんですね。「プロレスラーに、グレート・ムタという強い人がいて……」というようなことを言っていましたから(笑)。
引用:猫の恩返し (ロマンアルバム) 徳間書店
宮崎駿氏はグレート・ムタに何か強い思い入れがあったのでしょうか?作中のムタは怪力設定なので、プロレスラーに通ずるところはありますが・・・。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑪:庵野・貞本のロッカー
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猫の恩返しの都市伝説・裏設定の11個目は、ハルのクラスメイトの名前です。教室のシーンで、ロッカーに「庵野」と「貞本」という名前が貼ってあるのが見えます。
庵野と貞本と言えば、アニメファンにはお馴染みの名前です。庵野秀明はエヴァンゲリオンの原作者であり、貞本義行はエヴァンゲリオンのキャラクターデザインなどを担当しました。
2人は宮崎駿氏と交流があったため、遊び心でエヴァンゲリオンを作った庵野・貞本を主人公ハルの同級生の名前に使ったのかもしれません。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑫:宮崎駿のアイディアを却下
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猫の恩返しは森田監督の作品ですが、原作を柊あおい先生に提案したのは宮崎駿氏であり、宮崎駿氏の意見・アイディアも取り入れられています。
しかし、ラストシーンでは宮崎駿氏のアイディアを森田監督は却下したという経緯があります。
ハルが塔から落下するラストシーンで、宮崎駿氏はハルに「バロン、好きよ!」と言わせるように提案しました。
しかし、森田監督はそれに納得いかず、ずっと考え抜いた末に「ひょっとして、私たち、かっこいいかも!」にしたそうです。
確かに、「ひょっとして、私たち、かっこいいかも!」のほうがしっくり来ますよね。宮崎駿監督からの提案を却下するのは勇気が必要だったと思います。ちなみに、インタビューによると、この宮崎駿監督の提案はスタッフみんな引いていたとのことです。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑬:舞台は横浜・元町商店街
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猫の恩返しの都市伝説・裏設定の13個目は、猫の恩返し十字街は神奈川県横浜市の元町商店街周辺と考えられています。ただ、「十字街」という地名は柊あおい先生が住んでいる北海道函館市にある地名です。
また、映画の中の街の風景は、阿佐ヶ谷の中杉商店街や表参道も使われていますし、ハルの高校周辺は小金井北高校のあたりがモデルになっているそうです。
猫の恩返しの都市伝説・裏設定⑭:ムタの正体は大犯罪猫
出典:ghibli.jp
ムタの正体はムタの正体は大犯罪猫です。猫の国で国中の魚を食い尽くして逃げた伝説の大犯罪猫「ドナルド・ムーン」です。ムタが大犯罪猫で魚を食い尽くす様子は、劇中で壁画にもなっています。
猫の恩返しの謎の考察・解説①:主人公らしくない主人公
出典:ghibli.jp
猫の恩返しの主人公「ハル」はごく普通の女子高生です。今までのジブリ映画の主人公のように、魔法が使えたり、特別な存在だったり、頑張り屋だったりするわけではありません。本当にごく普通の女子高生なんです。
プロデューサーの鈴木敏夫氏も宮崎駿氏に説明する時に次のように語っています。
ハルちゃんという17歳の女の子、この子がほんとうにいるんだってことを真面目にやってるんですよね、って。
つけ加えた言葉が、どこにでもいそうで、実際にはいない。なんにも考えていないようにみえるけど、実はちゃんと考えてる。そんな女の子なんですよ。
なぜ、この猫の恩返しではごく普通の女子高生を主人公にしたのか?これは森田監督の考えが反映されています。森田監督は「女子高生は簡単には成長しない」という考えを持っていて、それを主人公に投影させたとのこと。
だから、あくまで主人公は等身大のどこにでもいる女の子にして、主人公が成長するストーリー展開にはしなかったんですね。
猫の恩返しの謎の考察・解説②:バロンの正体
バロンの正体はフンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵です。
耳をすませばでは地球屋の主人の西司朗がドイツに留学していた時に、無理に頼み込んでもらってきた猫の人形でした。
バロンには恋猫がいましたが、西司朗がもらい受ける時には修理中で、戦争のどさくさで行方が分からなくなってしまいました。バロンの恋猫は劇中にも絵で登場しています。
猫の恩返しの中で、バロンは探偵事務所の名探偵という設定になっていますが、バロンは恋猫を探すために探偵をしているのかもしれません。そう考えると、とても切ないですね。
猫の恩返しの謎の考察・解説③:バロンの声優交代
出典:ghibli.jp
ジブリファンの中には、耳をすませばと猫の恩返しでバロンの声が違うことに気づいた人もいるかもしれません。
・耳をすませば:露口茂
なぜ、バロンの声が違うのか?それは猫の恩返しではバロンの声をハルに合わせた若返らせたかったからです。森田監督は、バロンの声に若々しさが欲しかったと話しています。
しかも、耳をすませばでバロンを演じた露口茂さんは、この猫の恩返しの制作時は芸能活動を休止している状態でしたので、露口さんはバロンを演じられる状態ではなかったということも関係しているのかもしれません。
猫の恩返しの謎の考察・解説④:ユキはもう死んでいる
出典:ghibli.jp
猫の恩返しの中で、以前にハルに助けられた白い猫のユキがいますが、ユキはもうすでに死んでいるという設定です。原作ではユキはハルが昔飼っていた猫で、物語の7、8年前に交通事故により死亡しているんです。
映画の中でははっきりとは語られていませんが、ユキはもうすでに死んでいると思われます。それは、次で説明する理由があるからです。
猫の恩返しの謎の考察・解説⑤:猫の国は死んだ猫が行く国
出典:ghibli.jp
猫の恩返しでは、猫の国が出てきます。猫の国はただ猫の王国というわけではありません。原作では、死んだ猫が永遠に住む場所という設定があります。だから、死んだ猫のユキが猫の国にいたのです。
映画の中ではちょっと重い設定なので、きちんとした説明はありませんが、ムタは猫の国について「ありゃ まやかしだ、 俺みたいに自分の時間を生きられない奴の行く所さ」と語っているので、そのような設定は踏襲されていると考えられます。
猫の恩返しの謎の考察・解説⑥:猫の事務所は空間がゆがむ
出典:twitter.com
猫の恩返しでは、ハルはムタに連れられてバロンの事務所を訪ねます。入り口は小さいのに、中は広い印象ありますよね。これは事務所内部が広いのではなく、空間の歪みを表しています。監督自ら、そのようにツイートしています。
猫の事務所は入り口で空間がゆがんでいるそうです #猫の恩返し
— 森田宏幸 (@Morita626) November 18, 2016
ハルのお尻が入り口でつかえるなどのアイディアは宮崎駿氏からのものとのことです。
ハルのお尻がつかえるアイデア共々、宮崎駿監督のアドバイスがあったと当時伺いました。
— 叶 精二(Seiji Kanoh) (@seijikanoh) November 18, 2016
ここで空間の歪みを出すことで、ハルはもう日常の世界ではなく、異世界に迷い込んだことを表したのでしょう。
猫の恩返しのまとめ
猫の恩返しの都市伝説や裏設定、謎の考察・解説などをまとめました。猫の恩返しはスタジオジブリっぽくない、面白くないなんて声もありますが、「猫の国は死後の世界」ということを知ってから、もう一度猫の恩返しを見返してみると、また違った見方ができて面白いですよ!