セスジスズメという言葉を聞いたことがありますか?セスジスズメとは言葉を聞くと、「鳥のすずめの一種かな?」と思うかもしれません。でも、セスジスズメは昆虫なんです。セスジスズメとは、どのような昆虫なのかを説明していきます。
この記事の目次
セスジスズメは蛾の一種
セスジスズメは蛾の一種です。「スズメ」といいいう名前がついていますが、鳥類ではありません。蛾。つまり昆虫です。
セスジスズメは、スズメガ科に属しています。スズメガ科に属する蛾は世界中に1,200種ほどが知られていて、セスジスズメもその1つになります。スズメガ科に属していて、セスジスズメの成虫は背中に日本の白っぽい肌色の線が入ることから、「セスジスズメ」という名前が付けられたものと思われます。
セスジスズメの成虫は一般的な蛾とは少し異なり、ハングライダーのような形をしていることが特徴です。茶色っぽい色をしていて、前翅ににはこげ茶色と白っぽいベージュの線が入っていて、背中には白っぽいベージュの2本線が入っていることが特徴です。
6月~10月にかけて発生することがわかっています。セスジスズメの成虫は6~10月に年に2回発生しますが、幼虫はその期間連続して見ることができます。また、冬は蛹になって土の中で過ごして越冬します。
セスジスズメの幼虫・成虫の大きさ
セスジスズメの幼虫と成虫の大きさを見ていきましょう。セスジスズメはほかのスズメガ科の蛾と同じく成虫・幼虫共に比較的大型であることが特徴です。セスジスズメの成虫の大きさは、体長は35mm前後、羽を広げた場合50~70mmです。
出典:jpmoth.org
そして、問題は幼虫です。蛹になる前の幼虫の大きさは80~85mmにもなります。卵は直径1.5mm程度、そこから孵化したばかりの若齢幼虫は6mm程度です。セスジスズメの幼虫は成長スピードがとても速く、たった数日で数倍の大きさに成長していきます。
セスジスズメの幼虫は卵からかえったばかりの時は体長数mm程度で、色も葉っぱと同化するような色ですので、ほとんど目立ちません。しかし、たった数日でどんどん大きくなっていき、茶色~黒の大きな芋虫になりますので、突然大きな芋虫がそこに現れたように感じることも珍しくありません。
セスジスズメが生息する地域
セスジスズメが生息する地域は日本全国です。北海道から本州、四国、九州、対馬、種子島、屋久島、沖縄に生息していることがわかっています。
さらに、セスジスズメは海外にも生息しています。セスジスズメの生息地域はマレーやインド、ニューギニアですので、セスジスズメは寒冷地域から熱帯まで幅広く生息できることになります。
セスジスズメの幼虫はかわいい?
一部のマニアからは、セスジスズメの幼虫はかわいいと言われて人気があります。セスジスズメの幼虫は、ぷっくりとした体型をしている「イモムシ」です。色は黒~茶色で、気門から背側に赤・オレンジ~黄色の眼状紋を持っています。
尾角(シッポのようなもの)は付け根がオレンジで先端が白くなっていて、歩く時はこの尾角を左右に振りながら歩きます。また、足は黒く丸い吸盤のようになっています。触感はぷにぷにしています。
このセスジスズメの幼虫がかわいい・・・。これは、先ほども言いましたが、虫が好きか嫌いかによって印象は異なると思います。セスジスズメの幼虫を見て、「かわいい!」と思える人は本当の虫好きですが、一目見て「気持ち悪い」と思う人は虫嫌いですよね。
虫が嫌いにとっては「黒くて、変な黄色い目のようなものがたくさんついていて気持ち悪い」。しかも、体長8cmで大きいし、存在感がヤバい。とにかく気持ち悪いと思うと思います。
でも、虫好きの人にとっては「ぷっくりしていてカワイイ!黒地に派手な模様もかわいいしカッコいい!尾角を振り回しながら歩くのがカワイイ。なんか、オーケストラの指揮者みたい!」、「プニプニしていて、黒い丸い足が吸盤みたいで、それもかわいい!」と思うものなんです。
セスジスズメの幼虫はほんとカワイイ(恍惚
— さわてぃ (@sawatei_) April 28, 2013
セスジスズメの幼虫にハマる。手に乗せると歩く感触もあるけど食べられるかどうかかじってきてもじもじしてカワイイ。歩いてる時のおけつの角の動きがピコピコしてて堪らない。セスジスズメの抱き枕とか欲しい。
— あかね (@Ztender) August 31, 2016
この人のツイートによると、手に乗せると、食べられるかどうかかじってくるんですね。セスジスズメの幼虫は非常に食欲が旺盛と言われていますが、人間の手もかじってくるくらいですから、本当に食欲旺盛な幼虫であることが、このエピソードからわかります。
ただ、幼虫は食欲旺盛すぎて問題になることがあるんです。
セスジスズメの幼虫は害虫!毒はないけれど駆除推奨
出典:imokatsu.com
セスジスズメの幼虫は成長スピードが異常に速いです。体長数mmで生まれてから、どんどん大きくなっていき、数日で数倍の大きさになり、蛹になる前は体長80mmにもなります。
なぜ、こんなに成長スピードが速いのか?それは、セスジスズメの幼虫は食欲が旺盛だからです。セスジスズメの幼虫は主に葉っぱと食べます。ヤブガラシやノブドウ、ホウセンカ、サトイモ、サツマイモなどの葉っぱを食べるのですが、本当にたくさんの葉っぱを食べるので、農家にとっては害虫になるのです。
サトイモの葉っぱの場合、成熟幼虫は1頭葉っぱの半分が食害されてしまうとのこと。中肋を残して全部食べてしまうので、農業の観点から見ると、どんなにセスジスズメがかわいくても駆除の対象になるようです。
セスジスズメの幼虫の駆除の仕方は、一匹一匹捕殺することが基本になります。サトイモの場合、葉っぱの裏についていますので、確認しながら駆除します。登録された農薬はありませんが、農薬には弱いので、サトイモにつくほかの害虫の農薬をまいておけば、駆除することができます。また、畑の周囲の雑草やヤブガラシなどを女装しておくことも、セスジスズメの幼虫の駆除には有効です。
ちなみに、成虫になるとセスジスズメは花の蜜などを吸いますので、害虫にはなりません。
大量発生はしない
セスジスズメの幼虫は食欲旺盛で、サトイモの葉っぱを食べつくしてしまう勢いで成長していくため、畑にいたら駆除したほうが良いのですが、大量発生することはないので、そこまで大きな被害になることはないようです。
幼虫1頭で1葉の半分が食害されるが、発生数は少ないので、サトイモの生育にはほとんど影響しない。
ただ、気温が高く雨が少ない年は発生しやすいので、気をつけたほうが良いでしょう。
セスジスズメの幼虫には毒がある?
セスジスズメの幼虫は黒くて赤~オレンジ~黄色の眼状紋があります。しかも、とても大きいですよね。セスジスズメの幼虫を見ると、「なんか毒があるのではないか?」と思う人も多いと思います。確かに、毒があってもおかしくはない色彩です。
でも、大丈夫です。安心してください。セスジスズメの幼虫には毒はありません。成虫になっても毒はありません。このようにセスジスズメの幼虫を手に乗せている人はたくさんいます。
最近娘が学校で潰されそうになったセスジスズメ幼虫を救出してくる。手前からしろもっち、くろもっち、はいもっち(←朝までは灰色だった)だそうです。 pic.twitter.com/M36siQyHCb
— さとちあおち (@chiccaScolia) September 22, 2022
ホウセンカにいたセスジスズメの終齢幼虫。
大きなイモムシを見ると手に載せて撮影。
でも、アゲハ類は臭角を出すので手には載せません。 pic.twitter.com/4qkKcbVHC0— 蝶の図鑑(j−nature.jp) (@jnaturejp) October 5, 2019
見た目が似ているイモムシにアゲハチョウの幼虫がいます。アゲハチョウの幼虫は基本的に毒はないものの「臭角」があって異臭を放ちます。臭角からの臭い=毒と思っている人もいるので、似たようなセスジスズメの幼虫にも毒があるのでは?と思う人もいるようです。
ただ、繰り返しますが、セスジスズメの幼虫には毒はありませんし、臭角もないので、異臭を出すこともありません。葉っぱを食い散らかすだけで、基本的には人間には無害の昆虫と言えます。
セスジスズメの育て方
セスジスズメの幼虫を育て方をご紹介します。
セスジスズメの幼虫を育てたいと思ったら、まずはセスジスズメの幼虫を探しましょう。セスジスズメの幼虫は6~10月に畑や雑草が生い茂るところにいます。日本全国どこにでもいる幼虫ですので、セスジスズメを見つけるのは難しくないと思います。葉っぱの裏などにいることが多いので、探してみてください。
セスジスズメの幼虫を見つけたら、そこから飼育スタートです。
まずはセスジスズメを捕まえて、家に連れていきましょう。そして、必要になるものは次のものです。
・虫かご
・土
・餌
虫かごはセスジスズメがどんどん大きくなることを考慮して、ちょっと大きめサイズの方が良いでしょう。虫かごに少し湿らせた土を入れて、そこにセスジスズメを入れます。そして、必要なものはやっぱり「餌」ですよね。
食欲旺盛なセスジスズメの幼虫ですから、餌は大量に必要になります。
セスジスズメの幼虫の餌になるものは、ヤブガラシ、ノブドウ、ホウセンカ、サトイモ、サツマイモなどの葉っぱです。
ホウセンカやヤブガラシは雑草として生えていますので、見つけた時に集めておくと良いでしょう。特に、ヤブガラシは道端でよく見かけます。
そして、セスジスズメの幼虫がどんどん大きくなってきたら、次は蛹になる準備に入ります。
セスジスズメの幼虫は蛹になる準備のために土に潜っていきますので、土を虫かごに入れてある場合は特別な準備は必要ありません。蛹になったら、あとは孵化するのを待つだけです。
ただ、セスジスズメの幼虫を手軽に育てるなら、土ではなく新聞紙やティッシュペーパーもおすすめです。
土はどうしてもほかの虫がついていることがあり、衛生的に「ちょっと無理」という人も多いですよね。
それなら、土の代わりに新聞紙やティッシュペーパーを使いましょう。
セスジスズメの幼虫は落ち葉の裏で蛹になることもありますので、落ち葉の代わりに新聞紙やティッシュペーパーを使うんです。
セスジスズメが大きくなったら、新聞紙やティッシュペーパーを適度な大きさにちぎって、少し湿らせて虫かごに入れておきましょう。そうすると、幼虫はその下に潜り込んで蛹になります。
あとは羽化するのを待ちましょう。
セスジスズメのまとめ
セスジスズメの概要や生息地域・大きさ、幼虫がかわいいかどうか、幼虫の毒や駆除、成虫への育て方などをまとめました。
セスジスズメはかわいいか気持ち悪いか評価が大きく分かれる幼虫です。かわいいと思える人は、幼虫を探して育ててみてはいかがでしょうか?