藻南公園は札幌市にある広大な公園です。悲しい伝承の残るおいらん淵があることや、稲葉事件の関与が疑われる警官の遺体が見つかったことなどから、心霊の噂が絶えない場所でもあります。今回は藻南公園の都市伝説や事件・事故、熊出没情報などを紹介します。
この記事の目次
藻南公園とは
札幌市南区にある藻南公園はバーベキューからスポーツまで楽しめる総合公園で、敷地面積296.585㎡を誇ります。
1943年に市が健民公園として開園整備をはじめたものの戦争の影響で整備が遅れ、1949年に本格的な開園を迎えました。
園内には釣りや水遊びも可能な豊平川が流れるほか、同じく札幌市南区の真駒内地区にある北海道立真駒内公園に続く「ふるさとの散歩道」があるなど、豊かな自然が楽しめます。
ほかにも施設として夜間照明がありナイターもできる野球場やテニスコート、野外のイベントステージ、都市公園コンクールで国土交通大臣賞を受賞した札幌軟石ひろば(旧・札幌軟石の採石場跡地)を有し、さまざまな年齢層から愛される公園です。
なお「藻南公園」という名称は公募で選ばれたもので、毎年夏には「もいわ夏まつり花火大会」も開催されています。
豊かな自然が広がる開放的な藻南公園ですが、札幌市内でも指折りの心霊スポットという暗い一面も持ちます。
後述しますが藻岩公園では過去に自殺や事故などが複数起きており、「自殺者の霊を見た」「自殺者の霊に連れて行かれそうになった」という心霊体験が数多く報告されるようになったのです。
藻南公園の場所・行き方
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藻南公園は北海道札幌市南区川沿10条1丁目2−58にあり、最寄り駅は南北線の真駒内駅です。
真駒内駅からはじょうてつバスの南沢線、または藻岩線に乗り、バス停「藻南公園前」で下車。バス停は藻南公園の目の前にありますので、徒歩1分で公園に着きます。
札幌駅からもじょうてつバスの定山渓線 、または藻岩線で向かうことができますが、1時間程度バスに乗ることになるため、乗り物酔いをしやすい方などは注意が必要です。
藻南公園の都市伝説① おいらん淵の悲しい伝承
藻南公園を流れる豊平川の中流には「おいらん淵」という淵があります。約3万2千年前に支笏湖から流されてきた軽石がこの場所に溜まり、水の流れをせき止めるようになってできた淵です。
おいらん淵という名前は公園が設立される以前から呼ばれていたもので、この場所には以下のような悲しい伝承が伝わっています。
明治時代の末、吉原の遊郭から身請けされた花魁が北海道にやってきた。花魁は薄野遊郭(現在のすすきの)で働くことになったが、薄野遊郭での仕事は辛く、苦しいものであった。
耐えかねた花魁は遊郭を逃げ出したが追手に詰め寄られてしまい、遊郭に戻るよりは、と思って崖からこの淵に身を投げた。以来、彼女の短く悲しい一生を悼んでこの場所を「おいらん淵」と呼ぶようになった。
藻南公園内に設置された看板には、おいらん淵はかつて豊平川のなかでもひときわ水が深い場所だった記されています。また、藻南公園周辺は札幌扇状地の扇頂とされており、豊平川の脇には河岸段丘ができています。
伝承では、切り立った河岸段丘から花魁が深い淵に身を投げたとされているのです。
伝承のなかで自殺した花魁が働かされていたとされる薄野遊郭は、札幌の開拓のために本州からやってきた労務者たちをねぎらうために設けられた官営の遊郭でした。
最盛期を迎えたという明治40年前後には、遊郭が32軒も並び、遊女は372人いたといいます。そのなかには伝承のように自害した者もいれば、梅毒で命を落とした者もいたのでしょう。
すすきのの豊川稲荷札幌別院には、札幌の開拓を影で支え、命を落とした遊女のために薄野娼妓並びに水子哀悼碑が建立されています。このような碑が建てられていることからも、薄野遊郭での暮らしが過酷であったことが窺えます。
ほかにもおいらん淵の由来については、さまざまな説あります。たとえば以下のような説もあるそうです。
豊平川を水運に使っていた頃に、水が深くなるこの淵のあたりまで来ると船や積み荷が川底に引っかかる心配がなくなるために、親方の機嫌が良くなり小遣いがもらえた。
それで花街に遊びに行く船乗りが多かったため、小遣いをもらえる淵の周辺は「おいらん扶持(花魁を買うためのお金)」と呼ばれるようになった。
また札幌市が開基120周年を記念し制定した「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選ばれたおいらん渕の民話は、以下のような内容でした。
明治時代の末、吉原の遊郭から身請けされた花魁が北海道にやってきた。彼女を身請けしたのは南2条西3丁目の呉服店の主人だった。
この呉服店では洋物を取り扱っており、主人は東京に仕入れに行くたびに吉原で遊んでいたのだが、ある花魁に惚れ込んでしまって身請けまでしてしまった。
しかし花魁には将来を約束した別の男がいた。札幌に連れてこられてからも彼女は男のことばかり考えており、ついには主人に「東京に帰りたい」と言ってしまう。
この言葉に怒り狂った主人は花魁を座敷牢に監禁し、陵辱した。ある晩、座敷牢から逃げることに成功した花魁は豊平川の方面に逃げていった。
すぐさま主人だけではなく店の使用人たちも彼女の行方を追ったが見つからず、それから2、3日後に豊平川の淵で女性の水死体が発見された。遺体は、呉服店から逃げた花魁のものだったという。
最初に紹介した伝承とは異なりますが、自殺した花魁を悼んでおいらん淵と名付けたという点は同じです。そのため、藻南公園のおいらん淵の由来は世を儚んで自殺した悲しい花魁がいたためだという説が有名です。
藻南公園の都市伝説② 稲葉事件に関係した疑いの遺体が発見される
こちらの話は都市伝説として語られることがありますが、公園内で遺体が発見されたのは事実です。また、遺体の持ち主が過去に起きた大事件に関与していたという説も、かなり信ぴょう性の高いものです。
2002年7月31日の午前、藻南公園のトイレで男性の首吊り死体が発見されました。遺体は北海道警釧路方面本部の生活安全課長、つまり現職の警察官のもので、発見者も同じく警察官でした。
遺書などは見つからなかったため、警察官が自殺した理由は不明です。しかし、この警察官は日本警察最大の不祥事とされる「稲葉事件」に関与していた可能性が示唆されています。
稲葉事件とは
稲葉事件とは、2002年7月に北海道警察の稲葉圭昭警部が、銃砲刀剣類所持等取締法違反と覚醒剤取締法違反容疑で逮捕された事件です。
稲葉元警部は現職の警察官でありながら暴力団と繋がりを持ち、覚醒剤や拳銃の密売をおこない、多額の利益を得ていました。
これだけでも大問題なのですが、1993年に北海道警察生活安全部に銃器対策課が設置、そこに配属されて以降、稲葉元警部は暴力団を自分の捜査員として使って違法捜査をおこなっていたのです。
暴力団員から情報を得ていた稲葉元警部は、普通では考えられないペースで拳銃を押収していました。協力者の暴力団員から銃を受け取り、摘発を装うことさえあったといいます。
しかし、暴力団員もボランティアで協力しているわけではありません。見返りとして稲葉元警部は、暴力団員らに現金を渡したり飲食店で接待をしていました。
ところが、暴力団員と付き合いを続けるうちに警察官としての給与では謝礼の費用がまかないきれなくなってしまいます。そのため、稲葉元警部は拳銃や覚せい剤の密売に手を出すようになっていったのです。
違法捜査や拳銃や覚せい剤の密売は、稲葉元警部の協力者の1人が自ら出頭して所持していた覚醒剤を提出し、稲葉元警部についても供述をしたために発覚しました。
トイレで自殺した警官と稲葉事件の関係
稲葉元警部が逮捕された後、警察内にも彼の違法捜査や密売を知っていた人間、協力が疑われる人間がいたことが明らかになり、警察関係者にも捜査が入りました。
2002年に藻南公園のトイレで自殺をした男性警察官は、1997年から2001年まで銃器対策課に配属されており、稲葉元警部の上司だったといいます。
自殺をする前日も北海道警察本部で事情聴取されており、遺体が発見された7月31日も朝から事情聴取の予定でした。
このことから、おそらく男性警察官には後ろ暗い秘密があり、事情聴取から逃げるために自死を選んだのではないか?と囁かれているのです。
藻南公園の心霊スポット① 水難事故が多発!おいらん淵
悲惨な伝承が残るためか、おいらん淵には花魁の霊が出る、川に引きずりこまれるといった噂話が昔から囁かれていました。
もともとおいらん淵周辺は水の流れが急なことから、入水自殺をする人が多かったといいます。そのため、花魁の霊に自殺志願者が誘われておいらん淵に身を投げて死に、さらに呪われた土地になったとも噂されているのです。
夜間、おいらん淵の近くで女性客を乗せたタクシーの運転手が直後に亡くなり、そのことが運転手の間で有名になって「夜はおいらん淵近くでは客は拾わない」と決めている人もいるとの話もネット上では見られました。
おいらん淵では事故も起きている
藻南公園の多目的広場の脇には、宝性地蔵尊があります。この地蔵尊は戦後まもなく遊びに来ていた3人組が、おいらん淵で溺死したために宝流寺仏教婦人会が供養として建立されたものです。
地蔵尊の石碑によると、亡くなったうちの1人は当時7歳の男の子だったようです。おいらん淵は上流にある藻岩ダムで放流があると水位が上がり、流れも急激に速くなるために事故が起きやすいのだといいます。
2014年5月にも、啓北商業高校の2年生の少年がおいらん淵の周辺で流されて行方不明になる事件が起きています。
藻南公園の心霊スポット② 警察官の霊が出る男子トイレ
前述の自殺遺体が発見されたというトイレにも、警察官の霊が現れると言われています。トイレがある場所は藻南公園の端にある南警察署藻南交番の隣です。
なお、このトイレの個室の壁には、平均的な身長の成人男性が少し見上げる程度の位置にパイプがあり、そこにロープをかけて警察官は命を絶ったのではないかと思われます。
藻南公園では事件や事故が多く起きている
おいらん淵やトイレでの遺体発見以外にも、藻南公園ではたびたび事件や事故が発生しています。
2021年9月14日にも藻南公園内で石垣の補強工事をしていた男性作業員が、倒れてきた石垣の下敷きになるという事故が起きました。
この石垣は崩落の危険があったために2020年から立入禁止とされており、被害に遭った男性を含めて数人で補強工事をしていたところだったといいます。
また、1962年には藻南公園内で女性が暴行される事件が発生。さらに現場に向かったパトカーが前方で方向転換をしようとした小型トラックに追突し、双方の乗員が全治7〜10日の怪我を負うという事故を起こしています。
藻南公園周辺では熊も目撃されている
藻南公園では熊の目撃情報もあります。札幌市の発表によると現在、2022年度は藻南公園も公園がある札幌市南区川沿でもヒグマの目撃情報はないとされていますが、南区全体や真駒内では数件のヒグマ目撃情報が寄せられています。
2022年7月9日にも札幌市南区真駒内南町4丁目の路上で、花火大会の帰りの男子高校生がヒグマを目撃していました。
これまでにも藻南公園と遊歩道で繋がっている北海道立真駒内公園に熊が出没し、その後に藻南公園でも熊が目撃されたケースがありますから、藻南公園で遊ぶ際にも十分に警戒したほうが良さそうです。
藻南公園に現れる熊は、定山渓方面から豊平川沿いに移動してきたものと見られています。
藻南公園周辺の心霊スポット① 平和の滝
札幌市西区の平和にある「平和の滝」は、日蓮宗の修行場であったとされる場所です。
平和の滝は右股川(現在の琴似発寒川)の下流にあることから、かつては右股の滝と呼ばれていました。
明治初期に開拓がおこなわれた際、環境的に厳しく、水田耕作も難しかったことから「平和で暮らせる土地に育つように」との願いを込めて、周辺の土地が「平和」と名付けられたことから滝の名称も変更されたといいます。
環境的に厳しいということは開拓も過酷だったのですが、この土地の開墾には太平洋戦争時に強制連行されてきた朝鮮人が多数従事されました。
酷使されて亡くなった人も多かったといい、平和の滝には彼らを供養する「朝鮮人殉難者之慰霊塔」も建立されています。
そのため平和の滝には、この場所で命を落とした朝鮮人の霊が現れると噂されるようになったのです。
また、平和の滝に設置されている公衆トイレでは過去に焼身自殺をした男子高校生がいたという話もあります。
この高校生が亡くなった後に公衆トイレは取り壊されて新設されたのですが、新しいトイレでも高校生の首吊り自殺があったそうです。
2人の高校生が自殺して以来、平和の滝の周辺では数々の怪奇現象が報告されるようになったといいます。
公衆トイレのあたりから焦げ臭いにおいがする、滝の前の道路にある無人のプレハブ小屋から女の霊がこちらを睨んでくるなど、心霊体験も多岐にわたります。
藻南公園周辺の心霊スポット② 西岡水源地
西岡水源池は札幌市豊平区に位置する西岡公園のなかにあり、月寒川をせき止めてできた水源です。
明治の末期に陸軍第7師団の軍用水道としてつくられ、赤い屋根の旧西岡水源地取水塔は国の有形文化財にも登録されています。
野生動物も多く見られることからハイカーにも人気の西岡公園ですが、過去に旧西岡水源地取水塔の近くで殺人事件が起きた、数人のグループがリンチで人を殺してしまい、遺体を西岡水源池に投げ込んだ、休憩小屋で首を吊って死んだ人がいたという噂が数多くあります。
とくに西岡水源池は海と違って潮の満ち引きや水の流れがないため、遺体を遺棄するのにうってつけの場所だとの噂まで流れているようです。
調べてみたところ、過去に西岡公園や西岡水源池で殺人事件や死体遺棄事件が起きたというニュースは見当たらなかったため真偽は不明ですが、噂に関係する心霊体験が数多く報告されています。
夜中に遊歩道を歩いていると誰かに追いかけられる、夜に西岡水源池の近くにいると池のなかに引きずり込まれる、取水塔から女の人の泣き声がする、取水塔に人影が見えるなど、とくに水源池と取水塔の近くでの心霊体験が目立ちます。
藻南公園周辺の心霊スポット③ 旧豊浜トンネル
豊浜トンネルは国道229号線にある、余市郡余市町と古平郡古平町を結ぶトンネルです。1963年につくられた旧豊浜トンネルと、2000年に新設された豊浜トンネルが並んでおり、現在は旧豊浜トンネルの入り口は封鎖されています。
同じ場所を結ぶトンネルが新旧で2つつくられた背景には、旧豊浜トンネルで起きた大規模な岩盤崩落事故があります。
1996年に古平町側坑口直上の斜面で崩落が起こり、旧豊浜トンネルの屋根を突き破って岩盤が走行中のバスと乗用車2台を直撃するという事故が発生しました。
この崩落事故では20名もの人が亡くなり、瓦礫に塞がれてしまったことから遺体の搬送にも時間がかかったとされます。
この豊浜トンネルがある周辺は、岩盤崩落事故の前から女の霊が出ると噂される場所だったそうです。
また崩落事故が起きた直後に、撤去作業で瓦礫を爆破した際に魔人のような顔が浮き出たという噂が流れるようになりました。
この鬼の顔は義経伝説の一つである「義経北行伝説(源義経は岩手で自害せず、北海道まで逃げて生存したという伝説)」に因むものだという説があります。
古平まで逃げ延びてきた義経に恋をしたアイヌコタンの少女が、叶わない恋に悩んで自害し、彼女の怨霊が魔人となって豊浜トンネル周辺を呪っているというのです。
トンネル崩落事故を起こしたのも少女の呪いで、現在も成仏しないまま彷徨っているとも言われています。
藻南公園周辺の心霊スポット④ ラフィラのエレベーター
ラフィラは北海道札幌市中央区の繁華街、すすきのにあった複合商業施設です。地下鉄南北線のススキノ駅に直結しており、かつては札幌松坂屋、ヨークマツザカヤ、ロビンソン百貨店と名前を変えて営業してきましたが、2020年5月に建て替えのため閉店を迎えました。
2023年の秋には同じ場所に新しい商業施設がオープンする予定なのですが、地元の人やオカルトファンから注目されているのが「ラフィラのエレベーターはどうなるのだろう?」という意外な点です。
上の画像が閉店前のラフィラのエレベーターホールなのですが、これを見るとエレベーターが3基あり、その横に閉鎖されたような不自然な空間があるのが確認できます。
そして下の画像は、ラフィラの外観を撮影したものです。外から見るとエレベーターはなぜか4基あることがわかります。
つまりラフィラのエレベーターは外から見た時と建物内に入った時で、数が異なるのです。
なぜ数が異なるのかは施設側が公表していないため不明ですが、よく見るとあからさまに板でエレベーター1基の入り口を塞いでいるように見えることから、さまざまな憶測を呼ぶようになりました。
ヨークマツザカヤだった頃に火災が起こり、逃げ遅れた人がエレベーターの中で亡くなって心霊現象を起こすようになったためエレベーターが封鎖された、もともとエレベーター内での心霊現象が多発していたためやむなく百貨店が封鎖したなど、さまざまな説が囁かれています。
ヨークマツザカヤで火災があったという記録はないので、火災で亡くなった人の霊が取り憑いているという説の真偽は不明です。
しかし、あまりにも謎めいたエレベータのため、2023年にオープンする施設のエレベーターホールはどうなっているのか、また数が合わなかったりするのかと注目されています。
藻南公園についてのまとめ
この記事では札幌市南区にある藻南公園について、公園内にあるおいらん淵にまつわる都市伝説やトイレやおいらん淵で発生する心霊現象、園内で起きた事件や事故などを紹介しました。
心霊スポットのなかには、「過去に悲惨な事件が起きたらしい」という不確かな情報だけが独り歩きしているものも多々見られます。しかし、藻南公園おいらん淵での事故死と、男子トイレでの警察官の自殺は実際に起きた出来事です。
肝試しで藻南公園に向かう際にも、実際に亡くなった人がいる場所なのだということは覚えておいてくださいね。