検索してはいけない言葉の1つである野崎コンビーフは怖い絵の作者ですが、現在はすごい人になっているんです。
野崎コンビーフについて情報や野崎コンビーフに関する誤解・デマ、酒鬼薔薇事件との関係、現在の活動をまとめました。
この記事の目次
野崎コンビーフは検索してはいけない言葉
野崎コンビーフとは、インターネット上で検索してはいけない言葉とされています。「野崎コンビーフ」と検索すると、不気味な絵がたくさん出てきます。
とある作者の不気味な絵をファンたちが「野崎コンビーフ」と名付けて、それが広まったため、野崎コンビーフと検索すると、その不気味な絵がヒットするようになりました。
野崎コンビーフの絵はその不気味な作風から「呪いの絵」・「グロい絵」とも呼ばれるようになり、野崎コンビーフは「検索してはいけない言葉」の代表的なワードになりました。
野崎コンビーフは怖い絵の作者
野崎コンビーフが「検索してはいけない言葉」の1つであることはわかりましたが、そもそも野崎コンビーフとは一体何なのか?わからない人も多いと思います。
野崎コンビーフとは、怖い絵を描く作者のことです。
野崎コンビーフはこんな絵を描いています。確かに、不気味で怖い絵ですよね。見ていると、どこか不安になるような絵が多いです。でも、目を離せなくなるような人を惹きつける力を持っているだと思います。
ちなみに、「野崎コンビーフ」は自分で「私の名前(ペンネーム)は野崎コンビーフです!」と名乗っていたわけではありません。野崎コンビーフの絵のファンたちが、その絵の作者を「野崎コンビーフ」と呼ぶようになっただけです。
MIDTOWN MADNESSで活動
野崎コンビーフは、「MIDTOWN MADNESS」というサイトを作って、そこに自作の絵をアップしていました。「MIDTOWN MADNESS(ミッドタウンマッドネス)」は、もともとは古いゲームのタイトルでしたが、それを自分のWebサイトのタイトルにしたようです。
そのサイトを訪れたファンたちが、その絵を「野崎コンビーフ」と名付けたため、それが広まっていきました。
ただ、本人は野崎コンビーフと言われたり、「野崎コンビーフ」として扱われることをあまり良く思っていなかったようで、MIDTOWN MADNESSは閉鎖されています。
いつ頃から「野崎コンビーフ」と呼ばれるようになったのかは不明ですが、2009年にはすでに「野崎コンビーフ」のWiki的なものが作られていたので、その前から野崎コンビーフは絵師(作者)として活動していたし、ファンたちからは「野崎コンビーフ」と呼ばれるようになっていたと思われます。
pixivで活動
野崎コンビーフは、「MIDTOWN MADNESS」を閉鎖した後はpixiv(ピクシブ)で活動していました。
pixivでは、いろいろと名義・アカウント名を変えながら活動していました。
・いちごみるぐ
・ふわふわおもち
・REI
現在でも、「REI」のアカウントページは残っていて、野崎コンビーフ(REI)の作品を見ることができます。
PixivでREIのアカウントページを見ると、野崎コンビーフの作風は幅広いことが分かります。確かに怖いし、不気味で不安になる絵が多いのですが、それだけではないんです。明るい絵、かわいい絵、希望を感じさせるような絵、神秘的な絵などもあります。
野崎コンビーフはただの「中二病の絵師」ではない、本物のアーティストであることが分かるでしょう。
野崎コンビーフはノザキのコンビーフと関係ない
出典:mainichi.jp
さて、「検索してはいけない言葉」である野崎コンビーフ。「のざきこんびーふ」というワードを聞くと、日本で最も有名なコンビーフである「ノザキのコンビーフ」を思い浮かべる人は多いと思います。
「野崎コンビーフ」という名前は、おそらくこの「ノザキのコンビーフ」から取った名前だと思います。ただ、「野崎コンビーフ」と「ノザキのコンビーフ」は一切関係ありません。
「野崎コンビーフ」が「ノザキのコンビーフ」が好きというわけでもないし、「ノザキのコンビーフ」を製造・販売する川商フーズ株式会社と関係があるというわけでもありません。
しかし、なぜあの怖い絵の作者のことを「野崎コンビーフ」と名付けたのか、その理由は不明なままです。
野崎コンビーフに関する誤解①:あたしはもう お嫁にはいけませんの作者ではない
出典:twitter.com
検索してはいけない言葉である野崎コンビーフは、いろいろと間違った情報がインターネット上に拡散されています。野崎コンビーフに関する間違った情報・誤解を1つ1つ見ていきましょう。
野崎コンビーフに関する誤解の1つ目は「あたしはもう お嫁にはいけません」の作者ではないということです。一部のインターネットユーザーの間では、「あたしはもう お嫁にはいけません」の作者は野崎コンビーフであると言われていますが、これは間違いです。
「あたしはもう お嫁にはいけません」とは、野崎コンビーフと同じように「検索してはいけない言葉」の1つで、赤を基調にした不気味な絵です。
この「あたしはもう お嫁にはいけません」の作者は立島夕子さんです。野崎コンビーフではありません。「あたしはもう お嫁にはいけません」は性犯罪に対する反逆であり、立島夕子さんがストーカー行為に悩まされていた極限の精神状態の時に描いたものです。
この「あたしはもう お嫁にはいけません」もかなり怖い絵ですが、その怖さ・不気味さが野崎コンビーフの画風に似ていたため、勘違いしたインターネットユーザーが『「あたしはもう お嫁にはいけません」も野崎コンビーフの作品である』と広めたのでしょう。
ちなみに、「あたしはもう お嫁にはいけません」は1990年に製作された作品ですから、かなり昔のものですね。
野崎コンビーフに関する誤解②:病んでいるわけではない
野崎コンビーフは怖い絵が多く、「呪いの絵」・「グロい絵」と言われていました。そして、野崎コンビーフの絵が有名になると、「野崎コンビーフって精神的に病んでいるのではないか?」と噂されるようになったんです。「殺人鬼が描いたのでは?」と言われることもありました。
確かに、あの絵を見ると、精神的に不安になりますし、普通の精神状態ではないのかな?と思えてきます。でも、ごく健全な精神状態だったようです。
ネット上での知名度が上がると、「作者は精神病患者ではないのか」という噂が広まったが、描いてる本人は至って健康な普通の人間であり純粋な絵画調の絵も描いている。
ただ、野崎コンビーフ本人は「ホラー調の暗い画風で、15-6歳の繊細な時期でした」と振り返っています。「15-6歳の繊細な時期」としていることから、若干の中二病があったと思われます。
中二病はある意味、成長過程におけるごく普通の状態ですから、特別に野崎コンビーフが精神的に病んでいたというわけではないでしょう。
野崎コンビーフに関する誤解③:酒鬼薔薇聖斗事件とは関係ない
出典:diamond.jp
野崎コンビーフに関する誤解の3つ目は、酒鬼薔薇聖斗事件との関係です。野崎コンビーフの絵は、神戸連続児童殺傷事件の犯人である酒鬼薔薇聖斗が描いたものではないか?と噂されるようになったんです。これは完全なデマです。
野崎コンビーフの絵は、なぜ神戸連続児童殺傷事件の犯人である酒鬼薔薇聖斗のものと言われるようなったのでしょうか?
酒鬼薔薇聖斗とは?
酒鬼薔薇聖斗とは、1997年に起こった神戸連続児童殺傷事件の犯人です。神戸連続児童殺傷事件は、1997年2月から5月にかけて、兵庫県神戸市須磨区で5人の小学生が襲われ、2人が死亡し、3人が重傷を負った事件です。
この神戸連続児童殺傷事件では不気味な犯行声明文と一緒に、被害者男児の頭部が小学校の正門に放置されていて、その声明文の中で犯人は「酒鬼薔薇聖斗」と名乗っていました。この猟奇的な事件をマスコミは連日センセーショナルに報道し、世間の注目を集めています。
この事件の犯人である「酒鬼薔薇聖斗」は近所に住む14歳の少年でした。「酒鬼薔薇聖斗」は動物を殺害して遺体を損壊することに性的な興奮を感じるようになり、より大きな興奮を得ようとして、人間を殺害し、遺体を損壊するようになったようです。つまり、快楽殺人ですね。
この神戸連続児童殺傷事件と「酒鬼薔薇聖斗」は、被害者の頭部が切断され、それが小学校前に置かれていたことや犯人が14歳の少年だったことなどから、平成を代表する猟奇的な事件と言われるようになりました。
野崎コンビーフが酒鬼薔薇聖斗と噂されるようになった理由
野崎コンビーフの絵は神戸連続児童殺傷事件の犯人である酒鬼薔薇聖斗が描いたものと呼ばれるようになったのは、今は既にサービス提供が終了している「NAVERまとめ」でそのような誤った情報がまとめられたからのようです。
Twitterの「@OMOCHI_HUWAHUWA」は既に削除されていますが、野崎コンビーフのアカウントでした。このアカウントが、次のようにツイートしていました。
このNAVERまとめの情報が、誤って拡散されてしまい、野崎コンビーフ=酒鬼薔薇聖斗と思われてしまったんですね。
野崎コンビーフの絵は「殺人鬼が描いたのでは?」と言われるほどとても怖いものだったので、そのような誤解が出てきてしまったのかもしれません。また、誰かが、「この野崎コンビーフの絵、酒鬼薔薇聖斗が描いていたら面白いのに」という軽い気持ちでの妄想から、このような間違った情報が拡散していったのかもしれません。
野崎コンビーフは訂正・削除を要請
NAVERまとめに野崎コンビーフの絵を描いたのは、実は神戸連続児童殺傷事件の犯人の酒鬼薔薇聖斗という間違った情報を最初に載せた人は、悪意なく本当に勘違いしただけかもしれませんし、ほんの気軽な「いたずら」のつもりだったのかもしれません。
でも、野崎コンビーフにとってはたまったものではありませんよね。自分が一生懸命描いた作品は、あの猟奇的な事件の犯人が描いたものと噂されているのですから。自分が事件の犯人、つまり酒鬼薔薇聖斗であると言われているようなものです。
そのため、野崎コンビーフは訂正・削除を申し立てたようです。
このように訂正を入れたツイートをした人もいました。
@thelovedtools
酒鬼薔薇の絵この方のです(@OMOCHI_HUWAHUWA )— Ash-01:祝寛解 (@Paprika_RedDS) November 17, 2019
また、春名風花さんも、誤ってツイートしてしまったようです。
https://twitter.com/harukazechan/status/1196583046218014720
著作権の問題もありますし、自分の作品が神戸連続児童殺傷事件の犯人の酒鬼薔薇聖斗の作品と噂されていたら、心穏やかではないでしょう。自分が酒鬼薔薇聖斗であると勘違いする人も出てくるでしょうから。
このようなケースを見ると、完全に間違った情報がSNSなどで拡散されてしまうリスクを考えざるを得ません。
ただ単に「不気味な絵だから」というだけで、「野崎コンビーフの絵は神戸連続児童殺傷事件の犯人の酒鬼薔薇聖斗の絵」という間違った情報が拡散されてしまったら、野崎コンビーフ本人がれを訂正・削除するのは難しいですよね。
野崎コンビーフの正体は梶谷令
出典:twitter.com
野崎コンビーフの正体は「梶谷令」さんです。
出典:twitter.com
野崎コンビーフの正体が梶谷令であると公表したのは2015年ごろからのようです。2015年4月8日に「梶谷令」の公式サイトが作られ、その中で野崎コンビーフの作品も掲載されています。
ただ、「梶谷令=野崎コンビーフ」という認識が広がったのは、2019年ごろからのようです。Twitterでは、その頃から「梶谷令=野崎コンビーフ」としたツイートがいくつか見られるようになりました。
野崎コンビーフで有名な梶谷令氏(@OMOCHI_HUWAHUWA )から鉛筆画を譲渡してもらいました。印象的な目と目が合ったらいつの間にか引き込まれてずっと絵を見てる。 pic.twitter.com/eO1NAUbiym
— ガキオ (@DUBSCR) September 29, 2019
(野崎コンビーフ)梶谷令(@OMOCHI_HUWAHUWA)様、一生の宝物にさせていただきます! pic.twitter.com/dvOtHJWxe7
— ゐ忌レ (@tatumihijikata1) October 6, 2019
野崎コンビーフ名義でも有名な梶谷令さん(@OMOCHI_HUWAHUWA )から、銅版画「孤独に立ち返る」をいただきました。
新宿は伊勢丹の屋上で開封。数年前梶谷さんのページで拝見し、生まれてはじめて、この絵が欲しいという気持ちになった作品。ご縁をいただき、感謝につきません。見たい人は連絡してね。 pic.twitter.com/RYrbodjPVM— たつしま (@ttsm108) October 17, 2019
このツイートの写真にある絵を見るだけで、野崎コンビーフこと梶谷令さんの才能・独創性・すごさが分かりますね。「野崎コンビーフ」なんて気軽に呼んではいけないようなパワーを絵から感じ取ることができます。
野崎コンビーフの現在
野崎コンビーフは、現在どのような活動をしているのでしょうか?野崎コンビーフは現在、すごいアーティストになっているんです。
多摩美術大学博士課程を修了&野崎コンビーフを公表
野崎コンビーフこと梶谷令さんは、多摩美術大学の大学院博士課程を修了しています。
2016年に多摩美術大学大学院修士課程を修了した野崎コンビーフ(梶谷令)は、そのまま大学院の美術研究科博士課程に進学します。
論文執筆や研究、個展の開催、グループ展への出品など精力的に活動し、「展示空間における芸術活動の行方――ハイデッガー『芸術作品の根源』に基づく存在論的美学を手掛かりに――」という論文で博士学位を授与されています。
野崎コンビーフはただ単に美術の才能があると言うだけでなく、美術を学問として研究する研究者としての一面もあるんですね。
2000年代にリアルタイムで野崎コンビーフの絵を見ていた人にとっては、「あの野崎コンビーフがこんなにすごいアーティストになるなんて・・・」と感慨深いのではないでしょうか?
新しい作品を生み出し続ける
多摩美術大学大学院で博士号を取得した野崎コンビーフ(梶谷令)は、その後も新しい作品をを生み出し続けています。
大学院時代からの主な受賞を上げていきます。
・2015、2016、201年8:「ドローイングとは何か」展入選
・2015~2017年:全日本アートサロン絵画大賞展 入選・優秀賞
・2016~2018年:春陽展版画部入選
・2017年:高知国際版画トリエンナーレ展入選
・2017年:平成29年度 多摩美術大学校友会奨学生採択
・2017年:一般財団法人守谷育英会 第25回修学奨励賞受賞
・2017年:FACE2018 損保ジャパン日本興亜美術賞入選
・2018年:第7回FEI PRINT AWARD 一般部門準大賞
・2018年:第22回岡本太郎現代芸術賞入選
・2019年:春季當代沙龍展”(台湾)採択
・2019年:SHIBUYA ART AWARDS 2019入選
・2020年:Social Art Award Book Top 50 artists
・2021年:國際藝術家大獎賽”(台湾)ファイナリスト選出
すごい業績ですよね。梶谷令さんの作品を動画でまとめたものがありました。
2021年からは「写真と素描を組み合わせたミクストメディア」を製作していて、Raribleでは野崎コンビーフ(梶谷令)の作品を購入することも可能です。
トランスジェンダー&アセクシャルを公表
野崎コンビーフはトランスジェンダーでアセクシャルを公表しています。「中性よりのMTX」とのことなので、戸籍上は男性だけど、性自認は女性ということになります。アセクシャルは他人に対して性的な欲求を抱かない人のことです。ご本人も「恋愛や性愛をしません」と言っています。
最近は自分のセクシュアリティに踏み込んだ作品も製作しているとのことです。検索してはいけない言葉だった野崎コンビーフ。実はすごい人だったんですね。すごい才能の持ち主だったから、その作品にインターネット民が注目し、「野崎コンビーフ」になったのかもしれません。
野崎コンビーフのまとめ
「検索してはいけない言葉」であり、怖い絵の作者である野崎コンビーフとは何か、また野崎コンビーフに関する誤解、野崎コンビーフの正体や現在をまとめました。
野崎コンビーフは少年時代(15~16歳)からその圧倒的な才能と作品のパワーで、インターネット民を魅了し、現在はアーティスト+研究者としてさらなる高みを目指しているんですね。