終わらない夏休みとは1997年頃にネットにアップされた創作小説で、内容の残酷さ、グロテスクさから未だに語り継がれています。この記事では終わらない夏休みの作者や 検索してはいけない理由、最後のネタバレ、続編について紹介していきます。
この記事の目次
終わらない夏休みとは【検索してはいけない言葉】
『終わらない夏休み』とは、1997年~1998年頃に個人が運営するウェブサイト「殺生森」に投稿された創作小説です。
簡単なあらすじは1人の女子高校生が同級生と男に監禁され、夏休みの間中、酷い拷問を受け続けるというもの。
あまりにも拷問の描写が凄惨で、四肢欠損やカニバリズムをふくむグロテスクな内容であることから、現在でも「検索してはいけない言葉」の危険レベル4に指定されています。
終わらない夏休みの内容
ストーリーを紹介する前に、まずは『終わらない夏休み』の登場人物と、登場人物の関係を見ていきましょう。被害者となる少女や加害者グループなど、『終わらない夏休み』の主な登場人物は以下のとおりです。
河合眉子
本作の主人公で被害者。15歳の高校1年生で、絶世の美女。年の離れた弟の達也(3歳)を非常に可愛がっている。
真野亜紀
加害者グループのボス的な存在で、高校3年生。同性愛者かつ歪んだ嗜好を持つサディスト。
母親は作中に登場する真野財閥という日本有数の大財閥の愛人で、母親が死んだことから別荘と高級マンションを相続している。
真野章一
真野財閥の社長の長男で、亜紀とは異母兄弟にあたる関係。頭脳明晰で医学部に進み、脳神経外科の博士号を持っている。
工藤明美
亜紀の恋人。高校1年生で眉子の同級生。天才的な写真の才能を持つ。
小錦敏江
怪力の大柄な少女で、勉強はできない。亜紀の手下的な存在で、高校2年生。
サディストの亜紀が恋人の明美と手下の敏江と夏休みを自分の所有する別荘で過ごすにあたって、慰み者にするために誰もが振り返る美少女と噂される眉子に目を付けることからストーリーが開始します。
そして7月20日、終業式の後に同級生の明美から呼び出された眉子は、何の疑問も持たずに亜紀が待ち構えるマンションに行き、そこから別荘に連れていかれて監禁されてしまうのです。
眉子は監禁状態から逃げようと試みますが、亜紀は弟の達也のことも調べ上げており、弟を人質に取って眉子を支配下に置きます。
こうして眉子は7月20日の「1日目」から8月31日の「最終日」までの43日間、生かさず殺さずの状態で拷問を受け続けることになる、というのが『終わらない夏休み』のストーリーです。
終わらない夏休みが「検索してはいけない言葉」と言われる理由
前述のように『終わらない夏休み』は「検索してはいけない言葉」に指定されています。
検索してはいけない言葉は危険度別に☆1つから☆7つまでに分類されており、『終わらない夏休み』は☆4つの危険度となっています。
実は『終わらない夏休み』をアップしていた個人サイト「殺生森」は現在は存在しません。そのためアップされていた作品もネット上からさくじょされており、『終わらない夏休み』のオリジナルは読むことができなくなっています。
『終わらない夏休み』の文章はミラーサイトで読むことができるのですが、ミラーサイトではオリジナルにあった挿絵が削除されており、この挿絵がなくなったことで「グロさが半減した」との声も上がっています。
おそらく挿絵がある状態なら、『終わらない夏休み』の危険度はもっと高くなっていたのでしょう。
とはいえ、文字だけの情報でも危険度4というのは相当です。ちなみに検索してはいけない言葉の危険度4の言葉の中には、有名なところでは「蓮コラ」や人間の遺体で作品を作っていた実在の猟奇殺人犯「エド・ゲイン」などが並び、7段階中4の危険度でこれか、という印象を受けます。
終わらない夏休みに登場する拷問の一部を紹介
『終わらない夏休み』がなぜ検索しないほうがいい、読まないほうがいいと言われるのかをお伝えするため、作中に出てくる拷問の内容を一部紹介します。
あまり詳しい内容は書きませんが、痛々しい内容が苦手な方は閲覧に注意してください。
・生ごみや排せつ物、吐しゃ物を食べさせられる
・木槌で失神するまで殴られる
・金属の棘がついた鞭で性器を叩かれて出血する
・熱したコテを肛門に入れられ、大やけどを負う
・性器をバーナーであぶられる
・麻酔なしで歯や爪をもがれる
・足を切断され、食べられる
実際に読んだ人の感想
好奇心から『終わらない夏休み』を読んでしまった人からは、「読まなければよかった」「途中で読むのをやめたけど、気持ち悪くてしばらくご飯を食べられなくなった」といった感想が多くあがっていました。
最近になってやっと終わらない夏休み読み終わったんだけどあれ普通にトラウマなる
— ぽぽ (@poponyan_o0) September 12, 2023
また、グロテスクな残酷描写よりも「なんの落ち度もない被害者がいじめられる展開が胸糞悪かった」と、拷問ではなく度を越したイジメ小説だと不快感を示す感想もありました。
終わらない夏休み読んでしまって読んだ後怖すぎて泣いた(全部は読んでないけど)…見らんどけばよかったまじでトラウマ
— あやねチャン (@ichigo_nico53) June 10, 2021
終わらない夏休みのネタバレ・最後はどうなる?
『終わらない夏休み』の最後は、被害者の眉子が夏休み最終日の8月31日の深夜12時ちょうどに息を引き取るというものです。
これまで凄惨な拷問を受け続けてきたものの、瀕死の状態になると医学知識のある真野章一が薬や輸血などの処置をして延命し、翌日にはまた拷問という生活を強いられてきた眉子。
しかし、この輸血に使われた血液も実は最愛の弟の達也からとったもので、眉子が守り続けたがっていた達也の死亡を匂わせる鬱展開つきで眉子は死亡します。
さらに眉子が死んだ後、エピローグのような形で加害者4人のその後が綴られるのですが、この部分が本当に酷い、4人の性格が歪なのがよくわかると言われています。具体的には以下の描写が本当に胸糞悪いのです。
・愛人の子である亜紀は、夏休みの終わりとともにヨーロッパに留学する。眉子をいたぶり殺しておきながら「みんなのおかげで最高の夏休みを過ごせた。一生忘れない」と言い、なぜかしんみりしたムードになる。
・眉子をいたぶり殺しておきながら、亜紀との別れが寂しくて「私を置いて行ってしまうの?」と泣く明美。
・眉子をいたぶり殺しておきながら、将来はプロレスラーになるんだ!と希望に満ち溢れて明るい敏江。
・明美が撮った眉子の拷問ビデオや写真が好事家の間で高額販売され、ハリウッドでも好評を博している。
・自分が評価されたことについて「眉ちゃんに感謝しなきゃ」と言う明美。
・章一は眉子の拷問と蘇生で実践したことを「瀕死の患者へのサポートやケアの仕方」という内容の論文にまとめ、発表。
実際に起きたいじめ事件でも、被害者は自死を選んでしまったのに加害者には何の罰もないのか?と問題視されるケースが多々あります。
作者はわざと上のような内容のエピローグをつけたのでしょうが、それにしても酷い、これまで感じた気持ち悪さが怒りに代わるほど腹が立ったという声があるのも頷けるラストと言えるでしょう。
終わらない夏休みの作者は誰?
インターネットがまだまだ普及していない時期に個人サイトにアップして、今もなお語り継がれている『終わらない夏休み』。
「ネット史上最悪の小説」と呼ばれるこの作品を書いた作者とはどのような人物なのでしょうか。ここではこれまでに噂されてきた『終わらない夏休み』の作者の正体について紹介していきます。
①あの事件の犯人?
ネット上で『終わらない夏休み』の作者は、「リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人である市橋達也なのではないか?」という噂が流れたことがあります。
終わらない夏休みって市橋達也が書いたと言う可能性が結構高いらしい
— _(:3 」∠ )_ (@colto_usagi) December 18, 2011
リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件とは、2007年3月26日に発生した英国籍の英会話学校講師のリンゼイ・アン・ホーカーさんが殺された殺人および死体遺棄事件です。
この事件の犯人である市橋達也は自分の英会話レッスンを担当していたリンゼイさんに恋愛感情を持ち、彼女を騙して自宅に連れ込んで監禁。
結束バンドで拘束して浴槽に閉じ込め、殴るなどの暴行をくわえました。そして、リンゼイさんが隙を見て逃げようとしたことに激高して警部を圧迫して殺害したとされます。
また事件現場からは中からは市橋の精液、外からはリンゼイさんの細胞が検出されたコンドームも発見されており、市橋がリンゼイさんを強姦したことも明らかになっています。
しかし、市橋達也の異常性が話題となった原因は起こした事件ではなく、その後の逃走劇です。
リンゼイさんを殺害した後の市橋は、逮捕を免れるためにカッターやはさみを使って自分で唇を切る、ほくろを切り取る、鼻翼を左右から縫って縮めるなどの自己整形手術を行っていました。もちろん逃亡中の身の上ですから、麻酔なしでです。
そして人相を変えて沖縄のオーハ島でサバイバル生活をする、大阪の西成区で仕事を見つけて住み込みで逃走費用を稼ぐなどして、2年7ヶ月も逃走生活を続けたのでした。
市橋は両親が医師と歯科医師で、自分も医学部を目指して挫折していました。そのためいくらか医学的な知識があって、自分で整形手術をするという荒業に出たのではないかと考えられます。
エリートの家庭に生まれて自身も医学的な知識がある、気に入った女性を拉致して監禁・暴行する、さらに刃物を使って麻酔なしで自分の身体とはいえ人体を切れるという市橋の経歴や異常性。
これらが『終わらない夏休み』の登場人物に似ていると噂になり、市橋達也が作者なのでは?自分の犯行をなぞって小説化したのが『終わらない夏休み』なのでは?と囁かれたようです。
また市橋は逮捕時に道尾 秀介氏の『向日葵の咲かない夏』という小説を携帯していたと報じられていました。
この小説は作品紹介では「あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み」と爽やかに書かれているのですが、登場人物が全員不気味で「面白かったけど、気持ち悪かった」「途中で何を読んでいるのかわからなくなって混乱した」という人も多い、癖のある内容です。
このような本を携帯していたことからも、『向日葵の咲かない夏』に影響を受けた市橋達也が『終わらない夏休み』を書いたのではないか?と考察された様子です。
ただ、『終わらない夏休み』が発表されたのは1997年から1998年のことで、『向日葵の咲かない夏』が出版されたのは2008年です。
そもそも『終わらない夏休み』が発表された頃には市橋も受験勉強に明け暮れる高校生か浪人生で、リンゼイさんも殺害されていません。そのため、市橋達也が作者という説は無理があるでしょう。
②医者?
『終わらない夏休み』に登場する真野章一は医学部を出ている天才という設定で、拷問や蘇生には章一の知識が使われることが多くあります。
さらに拷問が原因で内臓がどのようにダメージを受けたのかなども書かれていることから、作者は医学知識を持っているのでは?本業は医師なのではないか?とも噂されていました。
しかし、実際に読むとわかるのですが、『終わらない夏休み』に出てくる医療行為はかなりガバガバ設定で、おそらく現在ならネットで仕入れた知識を駆使してもっとまともに書けるのでは?と感じる箇所も多くあります。
第一、連日酷い拷問を受けていたら43日間も体がもたずに死んでいます。
読者からは「『終わらない夏休み』で一番怖かったのは、主人公の女の子の化け者じみた体力と回復力」と評されるほど眉子の体力は人間離れしており、この点だけでもとても医者が書いているとは思えません。
『終わらない夏休み』は、検索してはいけない言葉として有名になってから読んだという人も多く、18歳以下は閲覧禁止と注意書きはされているものの、中学生や高校生で読んだという人も少なくない様子です。
そのため大人になって読み返すと無理があると感じる設定でも、専門知識がないと書けない!と感じる人が多かったのかもしれません。
③プロ作家の別ペンネーム?
あまりにも有名になり、ネット上で語り継がれていることから『終わらない夏休み』の作者はプロの作家で、別のペンネームで個人的に書いていたのではないか?とも噂されていました。
しかしこの説を否定する意見は、かなり初期から多く上がっていました。
というのも『終わらない夏休み』は誤字脱字や言葉の誤用が割と多く、章ごとに設定がぶれていたりと、拷問描写が迫真な一方で粗が目立つ作品でもあるのです。
そのため、他に本業がある人が趣味で書いている、もしくは学生が書いているのではないか?と考える人が多かった様子です。
終わらない夏休みの作者が明らかに・作者は「えれきてる」さん?
実は2019年の時点で『終わらない夏休み』の作者だと名乗り出ている人物がおり、その人が本物の作者で間違いないだろうと見られています。
『終わらない夏休み』の本当の作者とされているのは、小説投稿サイト「小説家になろう」に、『沖を行く船』という小説を投稿している「えれきてる」さんという方です。
『沖を行く船』も残酷描写が目立つストーリーで、1人の美少女が6人のサディストに生かさず殺さずの状態で拷問を受け続けるというものです。
ストーリーや設定、残酷描写が『終わらない夏休み』に似ていることや、『終わらない夏休み』に出てきた真野真一が登場することから『沖を行く船』と『終わらない夏休み』の作者は同一人物ではないかとネットで噂になっていたようです。
そして2019年1月13日に『沖を行く船』の感想掲示板に「あなたが『終わらない夏休み』の作者なんですか?」という質問する人が現れ、それに対してえれきてるさんは下のように答えていました。
引用:沖を行く船 感想一覧
また、他の人からの質問に対してえれきてるさんは既婚者であること、『終わらない夏休み』のもととなる漫画は学生時代に書いていたが、小説投稿時には社会人だったことを明かしています。
なお、『沖を行く船』は2018年で未完のまま投稿が途絶えており、2020年を最後にえれきてるさんは感想への返事もしていません。
終わらない夏休みには続編がある?
作者のえれきてるさん本人が書いたものではありませんが、『終わらない夏休み』の続編は有志によって数多く制作されています。
ここではネット上で発表された『終わらない夏休み』の続編や二次創作について紹介していきます。
①終わらない夏休み2
『終わらない夏休み2』はすみれさんという方が書いた、『終わらない夏休み』の続編という設定の二次創作です。
ストーリーは眉子の母親や弟の達也が、眉子を殺した亜紀、明美、敏江に復讐するというものだったようです。現在は作品が削除されいるために見ることはできません。
②終わらない夏休みハッピーエンド
『終わらない夏休み』の読後感があまりにも苦しかった、という理由でハッピーエンド版を書いた人もいました。
pixivにも『終わらない夏休みの舞台裏』というハッピーエンド作品が投稿されており、これは人気アイドルの眉子とモデルの亜紀をメインにした『終わらない夏休み』という映画の撮影をしていただけでした、というストーリーになっています。
本編でのキャラクターも演じていただけで、実は4人はすごく仲が良く、真一も少し頼りない好青年という設定です。眉子が可哀そうすぎて辛い、という方は読んでみてはいかがでしょうか。
2chにも『終わらない夏休みの舞台裏』のハッピーエンド作品があがっていたようですが、こちらはログが残っておらず内容が不明です。
③茜の悲劇
『茜の悲劇』は、『終わらない夏休み』に影響を受けて書かれた、オマージュ作品と言われる小説で作者はCamusさんという方です。
ストーリーは茜という女性が3人の男に拷問されるというもので、最後に茜は全身を加害者に食べられて臓器だけになってしまいます。
『終わらない夏休み』の眉子ほど茜には悲壮感がないとの声もありますが、グロさや残酷さは『茜の悲劇』のほうが上だという感想も見られました。
④地獄を滅して薔薇は咲く
『地獄を滅して薔薇は咲く』は、原作の『終わらない夏休み』とは別の世界線で書かれた眉子たちの物語です。こちらも二次創作で、作者は大上さんという方です。
葉村美華という眉子の先輩にあたるオリジナルキャラクターが登場し、拷問で弱り切った眉子を助けて病院に連れていき、両親に引き渡すというエンドとなっています。
また、主犯格である亜紀は眉子の前に拷問した女性の件で警察に逮捕され、拷問ビデオで利益をあげていたことも発覚。
途中は拷問の痛々しいシーンもありますが、ハッピーエンドと言える結末になっています。
終わらない夏休みについてのまとめ
今回はインターネット普及開始期、ネットで創作作品を発表するという文化が誕生したばかりの頃に発表された伝説のエログロ小説『終わらない夏休み』について紹介しました。
『沖を行く船』の感想掲示板を見る限り、作者のえれきてるさんは『終わらない夏休み』はニッチな層に向けた作品で、そこまで注目を浴びてしまうとは思っていなかったようです。
そのため『沖を行く船』はあまりブックマークされなくていい、読んで責任が取れる人の目にだけ留まればいい、というスタンスだといいます。
調べてみると「彼氏が『終わらない夏休み』というネット小説を読んでいて気持ち悪くなった。もう無理、別れたい」と相談するスレッドも2ちゃんねるにありました。こういったこともあるようなので、『終わらない夏休み』を読む際は、くれぐれも自己責任でお願いします。
「えれきてる」というペンネームは、『終わらない夏休み』の原型が公開されたパソコン通信のニフティサーブ内のパテオ(会員制の非公開空間)で使っていたハンドルです。