三州園ホテルは愛知県の三ヶ根山にある巨大廃墟で、食中毒事件が原因で客足が遠のき、廃業したとされています。この記事では三州園ホテルの場所や当時の社長が自殺したとの噂、心霊現象の報告例、監視カメラやオーナー宅、現在について紹介していきます。
この記事の目次
三州園ホテルの概要【愛知県の心霊スポット・廃墟】
三州園ホテルは、愛知県蒲郡市から西尾市にまたがる三ヶ根山スカイラインに位置する巨大な廃ホテルです。
巨大な要塞のような佇まいと、山の上にぽつんと1件だけ建物が残っている異様さが目をひき、廃墟マニアの間では愛知県最大の廃墟として知られています。
また三州園ホテルは宿泊施設として営業していた頃に食中毒事件を起こし、倒産後には火災事故に見舞われるという不運が続いたことから「呪われた廃墟」とも呼ばれており、愛知県屈指の心霊スポットとしても有名です。
三州園ホテルの歴史① 当時のテレビCM・口コミ
三州園ホテルが開業したのは1960年代後半のことで、当時は中京圏で上の動画のようなテレビCMも流していました。
廃墟化した現在も最上階に残っている円形パノラマ雲上風呂が名物で、従業員による太鼓歌謡ショーも人気を博していた様子です。
経営が良好だった当時の三州園ホテルに行ったことがあるという方の口コミもネット上でいくつか見られたので、以下に紹介します。
・家族旅行でよく行った。広くて、三世代で泊まるのに丁度いいホテルだった。亡くなった祖父母との思い出のホテルだったので、心霊スポットになってしまったのが悲しい。
・宝塚グランドホテル(2003年に廃業)に務めていた頃、三州園ホテルの太鼓ショーを勉強で見に行っていた。当時の社長が太鼓ショーのリーダーをしてて、芝居のクオリティも高かった。
テレビCMを流せる規模の施設だっただけあって、社員旅行で訪れたという声も複数見られました。
ただ調べていくと、経営が好調だった頃からホテルの管理には問題があったのかもしれないと思わせる、以下のようなコメントも見つかりました。
父が仕事で三州園ホテルで働いていた。働いていたのは1970年代後半のことだけど、その頃には雲上風呂にお湯を送る配管が相当劣化していて、父は事故が起きるんじゃないかと危惧していたらしい。
危ないから交換するように女将に掛け合ったものの修理はされず、腹を立てた父は三州園ホテルを辞めたそうだ。
三州園ホテルの歴史② 食中毒事件の発生
今は廃墟として有名な三州園ホテルが現役だった頃のパンフ pic.twitter.com/tSRnXt5lHH
— ナンブ寛永 (@kan_ei_sen) June 22, 2021
順調に営業していた三州園ホテルですが、1990年に食中毒事件を起こしてから一気に経営が傾き始めます。
この食中毒事件で宿泊客49人が病院に運び込まれる事態になり、一時期営業停止処分が下されたとのことですが、具体的にどの食品からどのような菌が検出されたのかなど、食中毒の原因がわかるような資料は調べても見つかりませんでした。
ただ、1990年といえば日本国内で始めてO157の存在が発覚した年であり、食中毒の怖さが大々的に取り上げられた時期でした。
そのため「集団食中毒を出したホテル」という事実は、ホテルの経営に多大な影響を及ぼしたのでしょう。
食中毒以降はバブル崩壊で景気が急激に悪化し、有料ドライブウェイの三ヶ根山スカイラインそのものを利用する人も減り、三州園ホテルは2003年に廃業を迎えました。
なお、この三ヶ根山周辺では温泉旅館やラブホテルが時期を前後して続けて倒産していたようで、ほかにも取り壊されずに放置された廃墟ホテルが点在しています。
三州園ホテルの歴史③ 火災事故が発生
もう一回行きたい廃虚No.1#三州園ホテル pic.twitter.com/utLQQztaIC
— たけ (@take_17a) August 22, 2016
廃業から約4年が経過した2007年1月27日、廃墟となっていた三州園ホテルで火災が発生しました。
全焼には至らなかったものの、本館の出火元と見られるフロアは損傷が大きく、建物の内側からガラスが割れて吹き飛んだ跡が見られるなど爆発火災が起きたことが明らかになっています。
地元の人によると、この火災が起きる1月ほど前から三州園ホテルで5件もの不審火が続いていたといい、幡豆郡消防組合と愛知県警は放火の可能性が強いと見て、27日の火災発生後に建物に近づけないよう三ヶ根山スカイラインに禁止線を張っていたとのことです。
当初、ネットでは「地元の不良グループかなにかがふざけて火をつけて、大惨事になったのでは?」とも言われていました。
しかし出火元が複数あったことや、向かいにあったかんぽの宿(現在は廃業して高齢者向け簡易宿泊所になっている)からは火災当日に不審車両が確認されていないことなどから、「いきあたりばったりの火遊びにしては不自然だ」という指摘が出たようです。
そこから「債務返済のあてがなくて困った三州園の社長が、暴力団を雇って火災保険目当てで放火させてのではないか?」という噂もあがっていましたが、現在になっても放火犯人は逮捕されておらず、火災の原因が何だったのかさえ正式に発表されていません。
2020年にも火災が発生
三州園ホテルでは2020年7月16日にも火災が発生しています。この日の深夜0時20分頃、近くを通りかかった男性がホテルの敷地から火が出ているのを目撃し、119番通報したとのことです。
火は本館1階エントランスの廃材を焼いただけで消化され、大きな被害はなかったと報じられています。
なお、この火災時の報道でも以下のように「過去にも不審火があった」と書かれていることから、2007年に起きた火災の原因がまだ特定できていないことが窺えます。
西尾署によると、ホテルは有料道路沿いにあり、10年以上前から廃屋になっているが、インターネットなどで心霊スポットとして紹介。過去にも不審火があった。
三州園ホテルの怖い噂① 社長は自殺している?
廃業に追い込まれた後、三州園ホテルの社長は巨額の負債を抱えてホテルの敷地内で自殺をした、という話もネット上では見られましたが、これについては真偽不明です。
「近隣に住んでいて何度もホテルに宿泊したが、三州園ホテルの経営者一族から自殺者が出たという話は聞いたことがない」といったように、社長の自殺はデマだと反論する書き込みもありました。
また、現在のオーナーと当時の社長が同一人物なのかは不明ですが、2016年から2017年頃にはオーナー公認で三州園ホテルを使ったサバイバルゲームのイベントが開かれていたようです。
【エアガン応援情報】
次回、浜松戦闘ごっこ社様主催のサバゲーは2017/01/15(日)元三州園ホテル跡地にて実施予定のようです。
HP→https://t.co/5TtsUsDPX1
飛び込み参加は不可。まずは登録を!
フィールド状況、有料道路状況の確認もお忘れなく! pic.twitter.com/SBJZirBvb5— お宝創庫 大府店@アルバイト募集中! (@otasou_obu) December 22, 2016
サバゲーイベントを認めていたのが当時の社長であれば、ご存命だったことになります。土地建物の所有権が別のオーナーに移っていたとしても、もとの所有者が自殺した場所でイベントを開く気にはならないのではいかと思われます。
そのため三州園ホテルの社長はホテル内で自殺したという噂は、やはりデマの可能性が高いのではないでしょうか。
三州園ホテルの怖い噂② ヤクザの管理物件?
三州園ホテルはヤクザの管理物件になっているから、勝手に入ると殺されるという噂もあるようです。
ここに限らず、廃墟のまま放置されている場所では「ヤクザが安い値段で買い叩いて、資産運用するために価値が上がるまで寝かせている」という噂が多く見られます。
こちらも真偽は不明ですが、デマだったとしても個人が管理している土地や建物であることには変わりありません。誰の所有物であろうと廃墟に無断で侵入するのは避けるべきでしょう。
三州園ホテルの怖い噂③ 心霊現象が多発する?
三州園ホテルついた!まぢ怖い pic.twitter.com/Svh2UAlkcf
— Yuma Sato (@ymanxxx0) March 5, 2016
三州園ホテルは愛知県内屈指の心霊スポットとしても有名です。肝試しで訪れたという体験談のなかには、以下のようなものが見られました。
・夜中に行くと、どこからともなく太鼓の音がする。
・屋上に足のない男性の霊が現れる。
・電気が勝手につくなどのポルターガイスト現象が起こる。
・部屋の扉が開かなくなり、閉じ込められる。
・三州園ホテルで肝試しをして帰る途中に車が動かなくなった、事故に遭った。
上の2つは「社長が自殺をした」という噂に関連したもののようで、太鼓を叩いているのはショーでリーダーを務めていた社長の霊だ、屋上を徘徊しているのは飛び降り自殺をした社長の霊だ、という考察も多く見られました。
また、三州園ホテルは上の階に行けば行くほど心霊現象が起きる、1階だけが安全だという話もあるようです。
三州園ホテルが心霊スポットになった理由とは
三州園ホテルが心霊スポットになったもっとも大きな理由は、社長が自殺したという噂だと思われます。
また、営業時のホテルを訪れた人からは「三州園ホテルの近くにはA級戦犯の慰霊碑『殉国七士廟』があり、その関係でホテル内にも戦争関連の資料が展示されていた。観光ホテルに戦争の資料?と、異様に感じた人もいた思う。そういったことも不気味な噂を助長しているのではないか」との指摘もあがっていました。
三州園ホテルの現在・敷地内には監視カメラ・オーナー宅がある?
写真などで確認する限り、三州園ホテルには現在でも通用門などの完全に封鎖されていない出入り口があるように見えます。
しかし、正面も通用口も周辺にALSOKのステッカーが貼ってあったり、「監視カメラ作動中」との張り紙があったりと侵入者を警戒している様子が窺えます。
また正面入口付近には「三州開発・侵入者は警察に通報します」という看板が掲げられている様子が確認でき、調べたところ三州開発という会社は実在しており、愛知県岡崎市美合新町内に位置する株式会社とのことがわかりました。
現在はこの三州開発という会社が、ホテルの土地建物を管理しているのでしょうか。
さらにネット上では三州園ホテルの敷地内にはオーナー宅があり、許可なく敷地内に入るとすぐに通報されるとの話も見られました。
実際に敷地外から三州園ホテルを見るとホテル棟の脇に瓦屋根の民家のようなものが確認できるため、おそらくこの建物がオーナー宅、もしくは管理事務所なのではないかと思われます。敷地内には番犬もいることから、誰かが常駐しているのは間違いなさそうです。
前述のオーナー公認のサバゲーイベントに参加した、という人のブログにも「オーナーは不法侵入の多さに悩んでいる」との記載がありました。相次いで不審火も起きていますし、侵入者への警戒が厳しくなるのは当然と言えるでしょう。
三州園ホテルの場所・行き方
三州園ホテルの住所は知県西尾市東幡豆町入会山1で、「四季彩の郷・三ヶ根の湯」という高齢者簡易宿泊所の向かい側にあります。
三ヶ根スカイライン沿いにあり、最寄り駅は名鉄蒲郡線の東幡豆駅(三ヶ根スカイライン入り口まで車で約15分)です。
なお、三ヶ根スカイラインは8:00~20:00のみ通り抜け可能となっていますので、基本的には夜間に三州園ホテルへ向かうことはできません。
また敷地内に入らずに外から三州園ホテルを眺めることは可能ですが、周囲に有料のパーキングなどはないため、長時間留まって写真を撮り続けることなどはできません。
三州園ホテルの内部を見る方法はある?
三州園ホテルの内部を見たいけれどオーナーさんに許可を取る方法がわからない、という方におすすめなのが三州園ホテルをロケ地にした映像作品の視聴です。
2015年制作、現在はAmazon primeで視聴可能な林一嘉監督の映画『ENOLA(エノーラ)』は、三州園ホテルで撮影したシーンが含まれるSFアクション作品です。当然ですが地権者に許可を得たうえで三州園ホテルをロケ地にしています。
また、1968年に公開された小沢啓一監督の『無頼 人斬り五郎』でも三州園ホテルがロケ地として使用されており、営業していた頃のホテルの様子が窺えます。
渡哲也さん演じる主役の藤川五郎が三州園ホテルボイラー係に就職し、短い期間ではありますが働くというシーンがあります。
ロビーや円形パノラマ雲上風呂で撮影したシーンもあるので、盛況だった頃の三州園ホテルの雰囲気が味わえますよ。
三州園ホテルについてのまとめ
今回は愛知県西尾市、三ヶ根山スカイラインにある巨大廃墟・三州園ホテルについて、食中毒事件や火災などの歴史、心霊現象の噂や現在の状態を含めて紹介しました。
まるで要塞のような外観から一度は訪れてみたい廃墟として人気の高い三州園ホテルですが、火災が続いていることを考えると悪質な侵入者が多くいたのでしょう。
廃墟を訪れる際には外観だけ見て満足する、中まで入るのなら事前にオーナーさんに許可を取り、敷地内を汚さずに帰ることを徹底したいですね。